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きまぐれ短編集

はじめてでさいごのおつかい

作者: 来阿頼亜

あのBGMを脳内再生してくんなまし。

 S宿区にある、とある小さなボロアパート。お風呂は無く、トイレは共同、家賃は破格の38000円(税込み)。

 ここには一人の男の子が住んでいました。男の子の名前は『小物山大丸(こものやまだいまる)』、お友達のみんなからは『dieちゃん』あるいは『小物』と呼ばれています。

 dieちゃんは素直で正直者、おまけに責任感も強くてみんなからとっても頼りにされています。だからみんなはdieちゃんにいつもお願い事ばかり。

 そして今日は、お友達のタケちゃんからおつかいを頼まれてしまいました。そのおつかいとは、H埠頭の第三倉庫で待っている黒いスーツのおじちゃんの所まで片栗粉を届けるんですって。きっとおじちゃんは餡掛けチャーハンを作るためにとろみをつけたいんだね。さあ、dieちゃん、ちゃーんと届ける事が出来るかなぁ?

 でも、どうしてH埠頭の第三倉庫で待ってるのかなぁ? タケちゃんが言うには、そこは会員制の中華料理店でこの世に二つと無い絶品の餡掛けチャーハンが食べられるとかなんとか。本当かなぁ?

 でも、素直で正直者のdieちゃんはタケちゃんの言葉を疑うこと無く、張り切って出発します。




 H埠頭までは結構な距離があるみたいだけど、どうやって行けばいいのか分からない様子のdieちゃん。とりあえず駅へ行って電車に乗れば大丈夫……なんだけど、S宿駅の構内は複雑だもんね。どこのホームへ行けばいいのか分からないのか、あっちこっちうろうろしているけど……片栗粉を持ってそんな事をしていたらただの不審者だよ?

 ほら、駅員さんが声を掛けてきたよ? 大丈夫かなぁ?

 あらあら? dieちゃんったら急に走り出しちゃったよ? そんなに慌てて走り出したら駅員さんが追いかけてきちゃうよ? だってあからさまに挙動不審だし、そりゃお巡りさんだってきちゃうよ。


 ……あらら、外に出ちゃった。どうするの、dieちゃん? あ、目の前にタクシーが停まっているよ! 電車は諦めてタクシーで向かう事に決めたみたいだけど、確かにその方が安心安全かもね。でも、交通費が高くつくんじゃない? え? 大丈夫? このおつかいが『 mission(ァミッション) complete(カンプリーツンヌ)』したらお小遣いが貰えるの? え! 30万円も!? 凄いじゃない!

 タケちゃんは270万円貰える事は黙っておこうっと。




 タクシー代8500円を支払ってH埠頭まで無事たどり着いたdieちゃん。さあ、黒いスーツのおじちゃんはどこにいるのかなぁ? 第三倉庫って言ってたけど、どこにあるのかなぁ?

 ってdieちゃん、ちょっと大変! 片栗粉を無くしちゃったみたい! さっきのタクシーの中に置いてきちゃったのかも! どうするの、どうするの? このままじゃおじちゃんは絶品餡掛けチャーハンを作る事が出来ません。dieちゃんは途方に暮れてしまい、とうとう泣き出しちゃいました。いい大人なのにね。

 あ、誰か来たよdieちゃん! 泣き声を聞きつけてきたのかな? あ、あの黒いスーツはおじちゃんじゃない?

 でも、なんだか様子が変だよ? おじちゃんはちょっと怒ってるみたい。内ポケットから何かを取り出したみたい。あ、あれはコルトパイソン? しかもサイレンサー付きだね。あ、dieちゃん危ないよ!




 東京湾に何かが沈められたみたいだけど、dieちゃんの姿が見当たらないみたい。dieちゃん、ちゃんとおうちに帰れたのかなぁ?

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