第94話 息抜き4 ~春のお花見編~
春……
デクス世界とシニス世界は地軸の傾きが逆なため、北半球にある大和と南半球にある第12領域は季節がリンクしている。
要するに向こうが春ならこっちも春、つまり春爛漫! まさに今の俺の人生そのものだ!
俺の周りには美しい花たちが咲き乱れている、ココこそが俺の帰るべき場所だったんだ!
例えるなら刀と鞘、船と港、ハゲとヅラ、収まるべき所へ収まった感じだ。
現在、我がギルドD.E.M. は、少し遅めの春休みだ。理由は簡単、ホープが使えないからだ。知り合いにチャリを貸したらいつになっても戻ってこない感じだ。
我々にホープの使用権が回ってくるのは2週間後、それもたった二日間だけだ。仕方の無い事とはいえイライラが募る……
しかし今の俺は非常に機嫌がイイ。何と言っても春が来たから!
些細な事で人類を滅ぼしたりしない、俺は心優しい魔王。困っている人類を助けちゃうくらいの度量は持ってる。ただし期間限定だがな。
ホープが戻り次第、俺は琉架と二人でもう一度ウィンリーの元を訪ねる。先輩魔王のウィンリーに教えを乞いに。
第一目標は『ゲート能力』について、その次に『限界突破』と『使途作成方法』についてだ。
しかし『ゲート能力』に関しては、ウィンリーも知らない可能性が高い、それでも2400年も生きている魔王様だ、きっと何か情報を持っているハズだ。
英知という言葉が一番似合わない魔王のような気がするが、それでも幼女魔王の英知に期待する。
そんな訳で今ヒマな我々は、それぞれ自由行動をしている。
琉架とミカヅキはゴリラの巣へ赴いている。
俺も鬼じゃない、一年ぶりの再会に水を差すような真似はしない。
ゴリラにとって俺は熱湯風呂のようなモノだ、少しずつ慣らしていかないと一気に血圧が上がる。相手はお年寄りだ、俺が我慢しよう。
ミラは病院に行っている。
ナイチンゲールみたいな感じだ、先日のガイア防衛線での負傷兵の治療に当たっている。まさに聖女だ…… もしミラが魔王になったら二つ名は“聖女”で決まりだな。
でも魔王に聖女は不釣り合いか? だったら“人魚姫”か、うん、こっちの方がピッタリだ。
そう言えばミラに淫乱糞ビッチのギフト『歌姫人魚』について聞いておかないとな、現在もガイア外縁部では5人の巨人族が生き埋めになってるんだから。
先輩はここ2~3日、部屋に閉じこもってる。
いろいろ考えたいお年頃なのだろう、正直この反応は予想外だった。
先輩なら能天気に全てを受け入れてくれる気がしていたが、そこまでシンプルな人じゃ無かったらしい。
そんな先輩の為に何か気晴らしになるイベントでも考えよう。D.E.M. 恒例! 懐かしの息抜きだ!
本当は1年前に戦勝記念をするつもりだったが、今回は再会記念だな。ただしホープがいないから近場で済ませる事になるだろう。
ジークは朝からトレーニングに行ったらしい。
全く元気な奴だ…… そう言えば妖魔族戦でも一人だけピンピンしてたな。なんて頼りになる肉壁なんだ。
そして俺は二人の妹とお出かけだ。
伊吹を連れて被害者救済機関本部へ向かう、被害者登録行うためだ。忘れていた訳ではない。
道すがら…… 俺と白が当たり前の様に手を繋いでいるのを見て羨ましく思ったのだろう、懸命に白と手を繋ごうとしているが、思いっ切り避けられている……
愚か成り伊吹よ…… いきなり距離を詰めようとし過ぎだ。お前は只でさえ白に警戒されてるんだ、急ぎ過ぎれば逆効果だぞ?
まだまだ若いな……
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一週間後…… お花見当日
首都ガイアから鉄道で一駅分、小高い丘に桜の木が数万本も植えられているトゥエルヴ1の桜の名所、通称『桜森』へ足を運ぶ。
世界大戦の真っ最中にも関わらず、結構な混みっぷりだ。それでも例年に比べれば人出は少ないらしい。つまり今年は当たり年だ。
金にモノを言わせAランクギルドに場所取りの依頼を出しておいた。
流石Aランク、見事に仕事を成し遂げてくれたらしい! 最初は伝説君たちのギルドを名指しで指名しようかとも思ったが、彼らにこんな高ランクの依頼はこなせないと判断した、何せ彼らは間違いなくFランクだからな、荷が重いだろう。
桜森で一番大きくて古い木の下、そこが今回の宴の場だ。垂れ下がった枝が周囲を囲み、地面には舞い散った花びらがピンク色の絨毯の様になっている、そこは360度全方向に桜が楽しめる特等席だ。
何でも酒飲みの聖地とか呼ばれているらしいが、ウチのギルドは一人を除いて全員未成年なので、見た目それっぽいノンアルコール飲料で我慢しよう。
「うわぁ……」
「すごい…… キレイ……」
女性陣はポ~っとした表情を浮かべている。確かに心が洗われる様な光景だ、俺のなかの邪念も浄化されていく……気がする。
さっそく魔神器からお弁当と飲み物を取り出しセッティング。宴の始まりだ!
「カミナ様、挨拶をお願いいたします」
「え? 挨拶? 俺が?」
そんなの全然考えてなかったな…… 労いの言葉とか言っとけばいいのかな?
いや、長い話も堅い話も必要ないな、開始の合図みたいなものだ。
「え~、D.E.M. 恒例の息抜きです。今だけは戦争とかそんなの忘れて、再会の喜びと美しい花を楽しみましょう。本日は無礼講と言う事で存分に楽しんでいきましょう」
ソフトドリンクで乾杯!
しかしすぐに異変が起こる、最初に症状が現れたのは先輩だった。
「なぁぁにが無礼講だよぉ~、神那クンって何時でも何処でも無礼千万じゃん! 私の事も敬えよぉ~、後輩になっちゃった憐れな先輩を敬えよぉ~」
酔っ払いだった……
先輩が飲んでるのは間違いなくノンアルコール、にも拘らず、開始1分でヘベレケが出現した。場酔いってやつか?
「先輩は後輩を可愛がれよぉ~、後輩は先輩を敬えよぉ~」
どうやら俺に学年を抜かれたことが余程ショックだったらしい、最近落ち込んでいたのはそっちが原因だったのか…… 心配して損した。
だいたい俺は常に目上の人間には敬意をもって接してる、ちゃんと敬語で話してる……よな? 少なくとも外面だけは……
「君は私の事をお笑い担当か何かだと思ってるだろぉ? どうせ私はギルド最弱ですよぉ……」
イジケちゃったよ…… 俺なにも言ってないのに…… こういうのを絡み酒って言うのかな?
それにしてもなんてベタな酔っ払いぶりだ、この分だとお笑い担当脱却はまだまだ先の事になりそうだ。
しかし妙だな? いくら先輩のノリが良くったって短時間でこんな酔っ払いが出来あがるだろうか? 酒はジークが自分用に確保している分だけのハズだが……
「……」
「ん?」
いつの間にか白が目の前に立っている。
今はまだ冬肌の真っ白白だが、頬がほんのり赤みを帯びている様にも見える…… まさか白も?
「ん……」
白は目の前に膝をつくと、俺の腕を開きシッポを丸めてあぐらの上に腰を下ろしてきた。自分のシッポをクッション代わりにしてモゾモゾ動いてポジション取りをしている。
「んん……」
どうやら落ち着くポジションが見つかったようだ、白が俺の足の上にすっぽりハマった。
そしてそのまま俺にもたれ掛ってくる…… 何この生き物、超可愛いんですけど?
白は俺の右手を掴むと自分の頭に乗せた。
「ん~~~」
後頭部をグリグリと押し付け、何かを催促してくる。頭を撫でろってことか?
ナデナデ
「ふみゅぅ……」
ふみゅぅって言った…… ヤバイ! 超可愛い! 俺の中のシスコンの鬼がこのまま誘拐しろと囁いている、そんな事しなくても白は俺のものだ!
しかし白らしくない行動だ、俺としては常時これくらいおに~ちゃんにデレデレの方が嬉しいんだが。
普段から口数の少ない白だが、さっきから意味のある言葉を発していない。だが言いたい事は分かる。つまりこれは「もっと私を可愛がれ」って事だな、いつもの妄想推理とは違ってコレは間違いないと思う。
望むところだぁ!
ぐっへっへっ! たっぷり可愛がってやるぜ! 覚悟しな、助けは来ないぞ! ひゃっはー!!
……と、いうワケで。いい機会なので獣人族の性感帯……じゃなくて、撫でてやると喜ぶ場所を探してみるか、獣耳の裏側とか、アゴの下とか。
「うにゅぅ~」
どこを撫でても白は幸せそうな顔をしている…… あまり参考にはならないな。もしかしたら獣人族という種族は頭を撫でられるのが好きなのかもしれない…… 今度、第3夫人候補に会ったら試してみよう、あのなんちゃってツンデレさんならいきなり胸を揉むとかしない限り大丈夫だろう。
そんな訳で、白の可愛さを心行くまで堪能する。こんな充足感は久しぶりだ!
しかし…… やっぱり妙だ、先輩に続き白まで酔っているようだ。白は両手でコップを持ちクピクピ飲んでいる。中身はもちろんただのジュースだ。
一体どういう事なんだろう? まるで心の中身をさらけ出すようなこの症状は? 先輩は情けない心情を吐露し、白はこれでもかってくらい甘えてきた。
原因は分からないがもしかして……
「マスター……」
今度はミカヅキの番か!
「何故ですか? マスター…… ミカヅキはいつも待っているというのに」
「え~、何のコト?」
「マスターは何故私にお仕置きを下さらないのですか?」
えぇぇぇ~~~? ミカヅキさんナニ言ってるの?
「主とはメイドが粗相をした時に性的なお仕置きをする決まりがあると習いました。
しかしマスターは何時になっても私にお仕置きをくださいません」
あんのゴリラ!! ウチのメイドになんてコト教えてんだ!! GJ!! でかした!!
じゃね~よ!! それはエロゲとかエロマンガとかエロ小説の世界の出来事であって、現実では…… いや待て! ここは異世界、それが常識なのではなかろうか? この中世チックな世界観設定……有り得る!
「私はいつ何時、マスターの呼び出しに応じられるよう、待機していますのに」
なんてこった…… ミカヅキは理想のメイドさんそのものだったのか! 俺は一体今まで何を呆けていたのだ? まさか俺のすぐ隣にこんな背徳的な世界が広がっていたとは!
しかし一つ問題がある…… ミカヅキにお仕置きをする理由が無い。
ウチのメイドさんは非常に能力が高い、ミカヅキの仕事は常に完璧だ。窓枠に塵一つ見つからない…… 一体どうやってお仕置きしろってんだ? 理由も無しにお仕置きしたら、主とメイドのルールに違反する。
以前の駄メイド・ミカヅキなら30分に一度は呼び出して、爛れた世界を満喫できただろう。
いっそ難癖つけるか? 高そうな壺をワザと落ちやすい所にセッティングして? フッ、主の仕事も楽じゃないな……
「クスン、マスターはヒドイ人です……」
ミカヅキが俺の右肩にもたれ掛かりチビチビとジュースを飲み始めた。
まさかミカヅキにこんな願望があったとは…… これ、本当に本心なのかな? なにか俺に都合が良すぎる気がするが……
「カミナ様……」
間を置かずに今度はミラだ。
俺の左側に寄り添っている、普段はロングスカートで隠れている足が露わになっている…… 相変わらず美味しそうな足だ。
「私…… 実戦経験はありませんが、結構自信があるんですよ?」
? 実戦? 一体何の話だ?
「子供の頃からお母様に男を骨抜きにする方法を叩き込まれてきました」
「ブッ!?」
ド直球だ!
あんの淫乱糞ビッチ!! ウチの人魚姫になんてコト教えてんだ!! GJ!! でかした!!
「ですのでカミナ様を絶対に満足させて見せますワ」
なんてこった…… ミラは酔っ払うと淫乱糞ビッチの遺伝子が目覚めるらしい! 良い事を知った!
普段の清楚なミラからは想像も出来ない艶やかさが溢れ出ている。さすが第6魔王の娘、2400年にも渡り数々の男を籠絡してきた技術はしっかり次の世代に受け継がれていたのだ! もし二人きりの時にこんな事をされてたら、間違いなく襲い掛かっていた。
俺の中で鬼と紳士と野獣が荒ぶっている。
コラコラ、折角の酒の席で何をしている? なに? 順番だと? 愚か者め、お前たちは何も分かっていない、順番などどうでもイイんだよ。三人の美少女が俺にくっ付いている、今!この瞬間を楽しむんだ!
なに? 三人一緒だと? ま…待て! いくら俺がハーレム王の資質を持っていてもいきなり4Pとかハードルが高すぎる。垂直跳びで42.195km飛べと言ってるレベルだ! 出来るワケが無い! ましてやDTに!
とにかく一回落ち着けお前等、久しぶりのハーレム状態にテンションが上がり過ぎだ。
「カミナ様ぁ♪」
ムニョン
左舷被弾! 弾幕薄いぞ! なにやってんの!
左を見れば、いつの間にかミラの胸元がはだけてる! ま…眩しい! まるで徹夜明けの朝日のようだ! 美しすぎる!
普段のミラなら絶対にやらない男を誘惑する行為…… これはオカシイなんてもんじゃ無い! 異常事態だ!
一体何が起こっているのか? その原因究明は取り敢えず置いておいて、一回トイレに行かせてもらえないでしょうか? このままではいずれ暴発してしまう、そんな事になったら白の可愛らしいシッポが穢れてしまう!
「む~~~、神那ぁ」
女神降臨! バカな……四連戦だと? ラスボスのご登場だ!
ジト目にほんのり頬を染め、頬っぺたを膨らませている…… 可愛い……が、ご気分を害されてるご様子。
俺が女の子たちに囲まれているのが気に入らないのだろうか? …… そりゃ気に入らないか、男が女をはべらすのを見て羨む奴はいても、好意的に見る奴はいない……
ヤバイ…… 琉架が本気で怒ったら世界が終わる……
そんな琉架は俺たちの前をしばらく右へ左へウロウロしたら、意を決した様に俺の背後へまわり、首に腕を回し抱き着いてきた。
ムギュ
背中に押し付けられる柔らか爆弾! 第二副砲と第三主砲が大破した! ヤバイヤバイヤバイ! 波動砲が暴発寸前だ! エネルギー充填率が100%を超えている!
一瞬チョークスリーパーでもされるのかと思ったよ……
「神那ぁ…… 約束したよねぇ?」
約束? 琉架との約束というと……あの、ずっと一緒に居るってヤツの事か?
「ずっと一緒に居よう…… 死ぬまで一緒に居よう…… 死ぬときは一緒だよ…… ってやつ」
あれれ? そんなに重たい約束だったカナ?
確かにいつまで生きるか分からない魔王になった以上、それ位の覚悟はしていたけど…… 明言されるとちょっと怖い……
「神那は私より先に死んじゃいけない…… だから神那の事は私が全力で守る……」
「お……おう、俺も琉架の事を守るから」
実力的に見ても琉架の方が俺より強いが、守るってのは何も戦いだけじゃないからな。あらゆる面で脆く危うい琉架を守るのが俺の役目だ! と、思っている。
男のプライドなど知った事ではないが、そうでも言っておかないと、あまりにも情けないからな。
「神那には幸せになってもらう…… それでぇ、私の事も神那に幸せにしてもらう…… ずぅっと一緒に……」
…… こ…これが琉架の願望なのだろうか? ちょっとだけヤンデレエッセンスの香りがする、まぁ、琉架に限っていきなり周囲に血の雨を降らせることなど無いだろうが。
「だから神那ぁ、私の事も幸せにしてぇ~、みんなに優しくするなら私にもしてぇ~」
急にデレた…… 大丈夫、病んでない。
琉架がヤンデレ化したら大変な事になる。一説にはヤンデレの戦闘力は通常の3倍…… 誰にも止められないからな。
「みんなばっかりズルいよぉ、私はこんなにも神那の事が大好きなのに!」
「うっ!!?」
あ……あぶねぇ~! 危うく波動エネルギーが漏れ出るところだった!
レコーダーを置いて来てしまったのが悔やまれる! 今のは是非とも録音しておきたかったのに!
「神那ぁ~」
琉架の聖なる膨らみが無遠慮に押し付けられる、死ぬより先に昇天してしまいそうだ。
ふと気付くと…… 伊吹がこっちを見つめていた。
あ…… そういえば居たんだった…… 最愛の妹のことを忘れるとは、師匠の言う通り俺は最低の糞兄貴だ。
美少女4人に囲まれて身動き一つとれない俺を見つめながら伊吹が一言こぼした……
「おにーちゃん死ねばいいのに」
伊吹の願望はとても辛辣だった……
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「おい、そろそろ起きろ」
誰かがまどろみの中にいる俺を呼ぶ…… 何者だ? 我が眠りを妨げる愚か者は? 代わりにお前を永遠の眠りにつかせてやろうか?
「そろそろ起きなければ最終列車に間に合わなくなるぞ?」
最終列車? 終電か? だったら俺ん家にお泊りすればいいさ。ただし男は庭で寝ろ!
「冷え込んできた、こんな所で寝ていては風邪を引くぞ?」
冷え込む? 何言ってんだ、全身ポッカポカだ。こんなに気持ちいい安らかな眠りは生まれて初めてだ。
「お前は良くても女たちは風邪を引くぞ?」
それは困る! 嫁の健康を管理するのも禁域王の務めだ!
「ん…… あれ?」
ジークが偉そうに仁王立ちしながらこちらを見下ろしてる…… え~と、ナニしてたんだっけ?
周囲は暗くなっている、桜の大木の周りには幾つもの篝火が焚かれ辺りを照らしだしている。幻想的で美しい光景だ…… が、ジークが美観を損ねている、邪魔だからちょっと地面に埋まっててくれ。
「そろそろ起きろ、花見は終わりだ」
そうだった…… 花見に来てたんだ…… 何で寝てるんだ?
なにか幸せな夢を見ていた気がする…… なぜか頭が痛く良く思い出せない……
俺の右腕をミカヅキが抱えて眠っている。左腕をミラが抱えて眠っている。俺の上には白が覆いかぶさり、俺の頭は琉架に抱きしめられてる…… うん、あと5分……
「コラ! 二度寝するな! お前の大切な嫁候補たちが凍えても良いのか?」
クソッ! それを言われると弱い、仕方ない起きるか…… 美少女詰め合わせパックなど俺の人生で二度と起こらないであろう幸せな時間だが、魔王である俺と琉架、それに寒さに強いミラはともかく、白とミカヅキに風邪を引かせる訳にはいかんからな。
頭がボ~っとする…… 一体何が起こったのだろう? あの夢は現実だったのか? 本当に夢だったのだろうか?
全員ノソノソと起き上がってくる、みんなヒドイ表情をしている。気怠さと頭痛を感じているのだろう。
そんな中、ジークは相変わらず一人だけ元気だ…… コイツ不能以外の弱点ないのかよ?
美しい夜桜を眺めながら重い足を引きずり、帰路へとつく……
一体何が起こったのだろう? 俺は何か大切な事を忘れている気がする……
ま…いいか、美少女が俺にくっ付いていたという事実だけで満足できる。
俺の見た夢はもしかしたら現実に起こったモノだったのかも知れない。
これからは先輩の事をもう少しだけ敬うようにし、嫁達は今まで以上に大事にして、妹に殺されないよう注意しよう。
こうしてD.E.M. 恒例の息抜き・春のお花見は幕を閉じた。
ちなみに翌日、ジーク以外の全員が二日酔いに悩まされた。酒は飲んでないハズなのに一体ナゼ?