第78話 新聞部員・高槻涼子の堕落
私は第三魔導学院・中等部2年 高槻涼子、新聞部で一番可愛い女性ジャーナリストだ。
私は失望する…… 我が新聞部の部長にだ。
その余りにものヘタレっぷりに!
部長は恐怖に負け、あろうことか私の記事を握りつぶした。あれがジャーナリストのやることか?
確かに今回の記事は多少の取材不足も否めない、悔しいが確証は何もない。しかし私の書いた記事だ! この未来のピュー○ッツァー賞候補の可愛い私のだ!
もちろんこのまま終わらせるつもりはない! 確証がないなら見つければ良いだけだ!
もはや手段は選ばない、特別生への突撃取材だってヤッてやる! 本人を追跡したってイイ! 自宅に侵入してみるのもアリかもしれない!
ストーカーとか犯罪者とか呼ばれるかもしれないが構いはしない! 何故なら私は可愛いから!
可愛いは正義だ!! 魔王になんか負けないんだから!!
とは言え、いきなり犯罪行為に手を染める訳にもいかない。犯罪行為はあくまで最終手段、まずは特別生への取材を続ける。
今回の取材相手は……
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「おぉ! 新聞部にこんなにも可憐な少女が在籍していたとは! まるで天使が舞い降りたみたいだ!」
この世界一の正直者は高等部2年、二宮運命先輩だ。
例のバケモノカップルがやってくるまでは、第三魔導学院最強と噂されてた人物だ。
その本質は霧島先輩以上の超フェミニスト! 可愛い私にとってはもっとも与し易い相手でもある。
「本日はどういった御用ですか? 美しいお嬢さん?」
もう…… ホントに正直なんだからこの先輩は♪ でも好都合! 私の美しさに酔いしれてる内にリサーチしてしまおう!
「コホン! え~今回、特別生の特集記事を書くことになったのですが、霧島神那先輩の情報が不足しておりまして、そのリサーチに協力していただきたいと……?」
「霧島……神那……だと?」
あ…あれ~? さっきまで青空が広がってたのに急に雲行きが怪しくなってきた?
全身から不機嫌感が溢れ出してる、隠そうともしていない所を見ると余程の確執があると見える!
「あの男に関して言えることは唯一つ! あの男は悪魔だ!!」
「あ……悪魔!?」
先輩は怒りを露わにしている、このままでは折角セッティングした取材の席を打ち切られかねない。仕方ない…… あまり興味はないけど運命先輩の事も取材しよう。機嫌を直してくれると良いんだけど……
機嫌はアッサリ直った…… 運命先輩は自分のことを話している時は終始ご機嫌、霧島先輩のことを聞くと不機嫌になった。実に分かりやすい……
我慢しながら無駄な質問を続ける、得られた情報の九割は運命先輩のプライベート話だった、本当に無駄な時間を過ごした……
最後に機嫌を良くした運命先輩に、チーム・デスティニーのメンバーの取材許可を取り付けて別れる。
時間がかかった割には得るモノの少ない戦いだった……
―― リョーコ・レポート vol.006 ――
『霧島神那先輩は悪魔?』
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チーム・デスティニーのメンバー3人娘……
中等部1年 女子 春日つぐみ
高等部2年 女子 宮園真希
高等部3年 女子 和泉優理香
以上3名に取材する。
と、思ったら高等部3年の和泉先輩はもうすぐ卒業のため学校に来てない。今頃受験に大忙しだ。
仕方ないので巨乳の後輩と貧乳の先輩、二人にインタビューする。
「はぁ? 霧島神那? 悪いけど私ほとんど接点ないわ」
「わ……私もほとんど話したことないです……」
流石は孤高の存在、そもそも霧島先輩と深く付き合っている人物が全然いない!
「むしろ私はあの女と付き合ってる事のほうが驚きよ、信じられない」
あの女とは例の有栖川先輩の事か…… ふむ…… 彼女の方から彼を探ってみるのもアリかもしれない…… 予定変更、有栖川先輩のリサーチをしてみることにする。
しかし出てくるのは悪口ばかり、しかも内容が浅い…… 恐らく有栖川先輩の事もよく知らないんだ、要するにどちら共、接点が少ないんだ。
「あの…… でも私は有栖川先輩に助けられました。命の恩人です」
つぐみちゃんの話では、テリブル襲撃事件の際、絶体絶命のピンチを救ってくれたのが有栖川先輩だったそうだ。
あの事件の噂の大部分が霧島先輩に関することで、有栖川先輩の活躍についてはあまり知られていない。
しかしその時見せた強さは圧倒的だったという。事件時に崩壊した渡り廊下は彼女のドロップキックによるものだったとか…… いやいや、それはいくらなんでも…… 確かにそんな噂もあったけど…… それってホントなの?
しかし今の話を聞く限りでは宮園先輩にとっても彼女は命の恩人では無いのだろうか?
特別生ってそんなに特別じゃないのかもしれない、本当に特別なのは極一部だけ?
ま……まさか…… 魔王である霧島先輩と付き合える人は…… もしかして有栖川先輩も…… 魔王?
―― リョーコ・レポート vol.007 ――
『霧島神那先輩には魔王の彼女がいる?』
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なんかインタビューにも慣れてきた、ここまで来たら特別生全員に取材させてもらおう。
チーム・レジェンドには中等部1年の男の子がいるらしい、年下の男の子なら私の魅力で籠絡できる! 早速取材だ!
「それで? 我に訊ねたい事とは何か? その対価に貴様は何を差し出す?」
目眩が…… これは中等部1年・特別生 朱雀院武尊くんの第一声である。
私のクラスにも同じような症状の男子生徒がいるが…… 正直比べ物にならない威力だ! 確か暗黒病とか言ったっけ?
こういうのは話しに付き合ってあげれば良いのかな?
「私が求めるのは学院最強の男、霧島神那のパーソナルデータだ。その対価に…… 私の魂を捧げよう!」
「フハハハハ!! 良い度胸だ女ぁ!! 気に入ったぞ!! 質問を許可しよう、あの方の何が知りたい?」
もちろん魂を捧げるつもりはない、そもそも捧げ方を知らない…… コレはあくまでごっこ遊びに付き合っている感じだ。しかしいい感触だ、このまま色々聞き出そう。
「あの方は我が尊敬してやまない「闇の剣聖 シルヴィア・グランデ」の愛弟子だ」
「シルヴィア・グランデ?」
「うむ、一般人では知る術もないが…… かつての世界最強の名を手にした魔界4大貴族の一角! 『美しき悪魔の魂』の異名を持つ剣士の名だ!」
でぃあぼりかの異名? 闇の剣聖はどこに行った? そのシルヴィア・グランデなる人物は実在するのだろうか? しまった…… この聞き取りでは真偽の確かめようがない……
「あの方は我々が想像もつかない遥高みに若くして辿り着いた、常人ならば一生を費やすほどの高みだ! 数年の内に我もそこに立つつもりだが、その時にはあの方は更に先へ進まれていることだろう。
我もいつの日かあの人と肩を並べ、同じ景色を眺めてみたいものだ!」
べた褒めを通り越して崇拝の域に達している。
彼はアレだ、魔王信者だ。要注意人物だ。
魔王が本格的に世界征服に乗り出した時、その右腕となる存在だ。
霧島先輩の評価についてアンケートを取ると、高等部の生徒からは蛇蝎のごとく嫌われているが、下級生の一部には尊敬の眼差しで見られている。
確かに彼はそれだけの働きをし圧倒的な力を見せつけた。年上と年下で反応が違うのも納得できる。
もしかして霧島先輩はすでに学院内に自らの私兵たる手駒を用意しているのではないか? このまま放置しておくと、いずれ反乱を起こし生徒会を乗っ取るんだ! その手始めに総合生徒会長を亡き者にして力を削いだんだ! 辻褄が合う!
あれ? だったら最初っから生徒会の誘いに乗り内側から切り崩したほうが手っ取り早いんじゃ無いかな?
辻褄は合ってなかった…… そもそも魔王の考えを一般人が推理しても当たる筈がない。
―― リョーコ・レポート vol.008 ――
『霧島神那先輩はすでに軍を用意している!』
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今私の目の前には黒田先輩と加納先輩がいる。
学院奇人ランキングでも上位に入るであろう二人の先輩だ。
特に黒田先輩は“殺人ヘッドバッター”の異名を持つ学院の番長格だ…… 私はどうしてこの人達に取材を申し込んだんだろう…… 怒らせないよう気をつけよう、私の可愛い顔に傷でもついたら大変だ!
「あぁ? 霧島神那? チッ!」
舌打ちされた…… もしかしていきなりNGワードだったかな? マズイなぁ…… 私の貞操の危機はこんなところにも転がってたのか……
「訳が分からん! 強いのは認める、それも圧倒的にだ! にも拘らず女の尻に敷かれてる…… 何なんだアイツ等は?」
ん? その情報は初めて聞いた、フェミニストってことじゃなくて?
私は今まで勘違いしていたのかもしれない…… 学院全体でウワサされるのはバケモノカップルでも霧島先輩の方だ、有栖川先輩は影に隠れがちだ。
もしコレが作為的に操作された情報だとしたら…… 魔王を操る存在が居る!?
当然だ、魔王と付き合える女の子がいるとしたら、同じ魔王以外には有り得ない!
―― リョーコ・レポート vol.009 ――
『霧島神那先輩は大魔王の手下?』
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チーム・レジェンドのリーダー、二宮伝説。
バケモノカップルと同い年の彼なら一番詳しく魔王のことを知っているはず! もしかしたら私同様、あの二人が魔王であると気付いているかもしれない!
「俺が初めて霧島神那に出会ったのはオリジン機関でだった」
思ってたのと違う…… でも、この学院に来る前の話が聞けるのは有難い、伝説先輩はあの噂のオリジン機関で同期生だったのか…… 同い年なら当然か、しかし世界中から相当な数の子どもが集められるって噂だ、よく憶えてるなぁ。
「向こうはこっちの事など全く覚えていなかったがな……」
あぁ…… それはちょっと可哀想だな。
「あの二人は当時からちょっと異常だった。訓練が始まる前から、誰に教わったでもなく戦い方を知っていたようだった……
霧島は高度で繊細な魔力コントロール技術を有し……
有栖川は世界一の能力値を誇っていた……
その規格外の才能は同年代という枠に収まらず、当時すでに世界最高クラスだった」
何と言うか…… 伝説先輩の証言はとてもリアルに感じる。今までの証言者がイメージだけで適当に喋っていたのがよく理解る。
「分不相応にも嫉妬したものだ。俺自身周囲から天才やら神童やらと呼ばれていたが、所詮は凡人の中のトップクラスだったんだ」
自虐なのか自慢なのかよく分からない…… 本人は自虐のつもりらしいけど、私からしたら自慢にしか聞こえない。
「真の天才や神童とはアイツ等の事を指すのだろうな」
あれ? 今の話を聞く限り、先輩達は魔王ではなく天才だったのかな? 確かにソッチの方が信憑性があるというか…… 少なくとも荒唐無稽ではない。
―― リョーコ・レポート vol.010 ――
『霧島神那先輩は天才?』
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今まで知らなかったが、特別生の中に霧島先輩の妹がいるらしい!
その名も霧島伊吹!
昨年末に転校してきたらしい、私が見た名簿はファイルから外された古いモノだったようだ、おかげで見落としていた。
兄妹揃って特別生! もしかしてトンデモナイ血筋の生まれだったのか? 父親が忍者の頭領だったとか! 母親がかつて魔法少女だったとか! 先祖が陰陽師だったとか!
確かに漫画の主人公は偉大な血筋である場合が殆どだ! 私の可愛さも遺伝子がいい仕事をした結果だ。もしかしたら霧島先輩の奇跡なような才能も遺伝子のイタズラだったのか?
噂の妹に接触を試みる!
「はぁ…… おにーちゃんの事ですか? う~ん…… 至って普通のおにーちゃんですよ?」
「何か気になる事は無かったですか? こちらの世界に戻ってきた時、まるで別人のように変わってたとか?」
「別人? 特には…… 昔からあんな感じのアホな…… あ!」
「な…なにか変化があったんですか!?」
やはり何かあったんだ! きっと魔王化したことによる人格の変化が!
「すごく…… シスコンになってました」
「へ?」
「昔はあんな感じじゃなかったんだけど…… 何と言うか…… 大事にされるのは嫌じゃないんですけどね? ちょっと…… 恥ずかしい……かナ?」
「…………」
私は間違っていたのだろうか? 彼は魔王ではなく、才能あふれるただのシスコンだった?
正直こっちの方が納得できる…… ヘタレ部長の言う通りだったのか?
間違いを認めるのも一流のジャーナリストだ! でも…… でもぉ……
―― リョーコ・レポート vol.011 ――
『霧島神那先輩は天才的なシスコン?』
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私の取材活動もいよいよ佳境に入る!
今回のターゲットは霧島先輩の彼女、有栖川琉架先輩だ!
恐らくこの学院で誰よりも霧島先輩に詳しい! 何せ彼女なんだから!
「えと…… 始めまして、有栖川琉架です」ペコリ
「あ、コレはご丁寧にどうも…… 高槻涼子です」ペコリ
すごく礼儀正しい、それに立ち居振る舞いに気品のようなモノがある…… 流石はお嬢様! それにこの先輩…… スゴイ美人だ!
私程じゃ…… 私に匹敵…… 私より…… えぇそうですよ! 私より美人ですよ!
今まで色々な人から悪口を聞かされてきたが、どこにも該当する部分が見当たらない。私の中の何かが負けを認めている。
「あの…… ご気分でも優れませんか?」
「あぁ! すみません! 何でもないです!」
確信が持てる! この人は魔王じゃない! こんな清廉な魔王がいるはずが無い!
「こほん、えぇと、今回有栖川先輩に聞きたいのは…… ズバリ! 彼氏さんの事についてです!」
「………… ? 彼氏?」
「ん? はい、霧島先輩の事です」
「!? か……かか…神那って彼女がいるの!?」
「はい? え~と…… 有栖川先輩が霧島先輩の彼女なんですよね?」
「へ…… え…… えええぇぇぇえええ!!??」
「わ!? せ…先輩? だ……大丈夫ですか?」
「わっ……わたっ……私は!! かの……彼女……!! 彼女……で……
うわあああぁぁぁぁぁん!!」
有栖川先輩が逃げ出した……
もしかして…… 彼女じゃないの? 今までの証言の信憑性が一気に無くなってしまった……
―― リョーコ・レポート vol.012 ――
『霧島神那先輩の情報は錯綜している!』
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もはやどの情報が正しいのか分からなくなってしまった……
最後の勝負に出る、霧島神那先輩との直接対決だ!
いつもの学内カフェで待ち合わせる。相手の顔がよく分からないので先に赴き決戦の時を待つ!
私は目印に真っ赤なバラを胸に刺している…… 霧島先輩の指示だ…… こんな時代錯誤の格好をした学生は他に存在しないのは確かだ…… これなら間違えようがない…… しかし! 恥ずかしい!
みんなが見ている気がする…… 只でさえ可愛い私がこんな目立つモノを着けていたら衆目を集めるのも当然だ! てか早く来て!
「あ! いた。君か…… お待たせしました」
「あ!いえ! 私の方こそお呼び立てして…………」
!!
初めてちゃんと顔を見た…… 心臓の辺りで銃声がした気がする…… オノマトペ風に言うと「ズキュゥゥゥン♪」って感じの音が……
「それで? 新聞部って話だけど要件は?」
「…………」
「? もしも~し?」
「ハッ!?」
どうしたんだ私!? しっかりしろ高槻涼子!! 機能不全を起こしている場合じゃないぞ!!
ただちょっと、予想と違っただけだ! もっとヒャッハーな人が来ると思ってた、まさかこんな線の細い女の子みたいな人が来るとは思って無かっただけだ!
でも…… なんだろう……
この人を見てると胸が高鳴る……
この人を見てると…… この人を見てると……
無性に筋肉質の男をけしかけたくなる!
この人と運命先輩・伝説先輩の絡みが! 三角関係が無性に見たい!!
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ゾク―
新聞部の後輩に取材したいと言われ呼び出された学内カフェで、おぞましい感覚に襲われる!
な…… なんだ? 今の寒気は? この店別に暖房が弱いワケでも無いのに…… 悪寒がする!
何だろう…… 以前にも感じた事のある嫌な感覚…… どこかから腐臭が漂ってくる気がする……
目の前の新聞部員の女の子、さっきはピンク色の可愛らしいオーラを纏っていたのに、今は紫色の毒々しい色のオーラに変わっている…… 頬が紅潮し鼻息も荒い!
間違いない! 腐臭の発生源はコイツだ!!
コイツ! よりにもよって俺を見て汚れた花園を想像してる!
ダメだコイツ、腐ってやがる!!
「ハァ…… ハァ…… ハァ…… ハァ……」
もはやインタビュー所じゃ無いな…… 適当にあしらって逃げよう!
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今日、新しい扉が開きました!
知識としては以前から知っていたが、まさか腐りかけの果実がこれほど甘美なモノだとは…… 世界って広いんだな、まだまだ知らない事だらけだ。
この感動を今すぐ記事に纏めよう! そして世界へ発信するんだ! 全人類に知って欲しい事がある!!
―― リョーコ・レポート vol.012 ――
『霧島神那先輩は新世界からの伝道師!』
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新聞部・部室
『以上の事から新聞部で一番可愛い私が導き出した答え…… それは……! “霧島神那先輩はウケである!!”』
「どうですか部長! 私の渾身の記事は? 今度こそピュー○ッツァー賞も狙える会心のデキでしょ?」
「あぁ…… うん…… ボツ!」
「はぁ!? ふざけんな無能部長!!」
「ふざけんなはこっちのセリフだ!! どこの世界に学院新聞の一面にBL特集を乗せる奴がいるんだ!! なにが『愛の伝道師』だ!! ちょっと前まで魔王だなんだと騒いでたじゃねーか!! お前の脳みそ完全に腐ってるぞ!!」
この部長、全く分かってない!! 読者のニーズに答えるのが商売のコツだろ!!
今まさに新しい時代が始まろうとしているのに!!
「部長! この記事なら確実に売れるんですよ!?」
「それは商業誌でやる事であって、新聞部の仕事ではない! そもそも実名を出して勝手に男同士のカップリングとか…… 殺されても文句は言えんぞ?」
「何言ってるんですか部長! 全校生徒の半分は私たちの味方になってくれます! 昔から言うでしょ?「美少年の絡みが嫌いな女子なんかいません!!!!」って!」
「それはただの伝説だ……」
くっ! ダメだ、この新聞部では私の野望は叶わない!
「忘れてたよ、涼子は可愛いだけで、とてつもないバカだって事を……」
「ふん! 無能部長に褒められても嬉しくありません!」
「バカって言ったの聞こえなかったのか?」
私は諦めない! この学院に汚れた楽園を創るのだ!
彼女は後に学院非公式の裏新聞部を創り上げ、多くの同志を得たのだった。
そして広く、そして深く、脳みそから心根まで、じっくりと腐らせ第三魔導学院に『腐海』という名のBL愛好家の集う一大組織を生み出していくのだった……