第74話 第三魔導学院2 ~殲滅編~
「アイツらは今まで確認されたβテリブル4種の全ての能力を兼ね備えている。今までの小型種とはワケが違うぞ!」
「突撃種の剣と砲撃種の魔砲、装甲種の鎧と飛行種の羽……か」
今まで昆虫や獣に近い形態をとっていたのに、急に二足歩行に進化しやがった。
二足歩行に進化したと言う事は脳みそも巨大化して知能も…… 頭ねーじゃん。くそ、コイツ等は何でこんなに不自然なんだ? 生物として違和感しか感じない。本当に「魔王によって生み出されている」って説も信じられる気がする。
いや、少なくとも俺には改造生物を作るスキルは無い。魔王は決して万能ではない。
「お前たちは中央校舎へ向かった人型種を追いかけて始末しろ! 教師や学生が束になっても敵う相手じゃ無い!」
そう指示を出したザック先輩はすでにボロボロだ、そしてこの場には人型種が3匹残ってる。自分のことより非戦闘員の心配をするのは立派だが、だからと言ってココを放っておく訳にはいかない。
この場には息絶えた天瀬先輩と真夜もいるんだ。
「ザック先輩は3匹相手に出来るんですか?」
「ぐ…… 俺より一般生徒の方が危機的状況なんだ! 殆どの生徒が大講堂に集まっている、あそこに入られたら一瞬で何百何千って犠牲者が出るぞ!」
それほどまでに厄介な相手なのか、人型種ってやつは……
「それじゃココをちゃっちゃと片付けて、中央校舎へ向かいましょう。αは今のところ沈黙してるから後回しで。
琉架、右のヤツお願い。俺は左側。ザック先輩は真ん中のヤツの牽制を」
「りょーかい」
「は? いや……ちょっと待て……!」
俺と琉架が攻撃目標に向かって歩き出すと、人型種はそれぞれ迎撃を開始する。
人型種が先制攻撃として魔法弾を山程撃ってくる、その全てが着弾と同時に爆発する爆裂魔術だ。
しかしどんなに数が多くても一種類ならキャンセルは容易い、大量に飛んでくる魔法弾を端から無効化しつつ距離を詰める。
魔法攻撃が効かないと見ると直ぐに大剣による直接攻撃に移る。
やはり他の小型種と違って知能がある? 少なくとも本能だけで動いている様には見えない。頭無いくせにドコに脳みそあるんだヨ?
魔神器から刃渡り30cm程の大型のナイフを取り出す。
見た目はボウイナイフに近いが、普通の物と決定的に違うのが引き金が付いていることだ。遠目では指一本分だけのナックルガードに見えない事もない。
人型種が大剣を振り下ろす直前、3メートル程の距離だがショートジャンプでその懐に飛び込みナイフの引き金を引く。
カチ! ヒィィィィィィィ!!
甲高い音が鳴り響く。
そのまま身体を回転させるようにナイフを大きく一振りする。
ナイフは剣と一体化している右腕を安々と切り落とし、左腕を二の腕の辺りで切断し、鎧に覆われた身体に苦もなく侵入し腹の辺りまで切込みを入れて抜けていった。
このナイフは『単分子振動ナイフ』、俺自らが監修して『単分子高周波振動剣』を機械的に再現した武器だ。威力や射程など極端に劣化しているが、バッテリー式にして魔術が封じられた時や魔力枯渇時にも使えるよう設計してある。
遊び心で柄頭に付いているバッテリーパックをパージする時、「ブシュ」って音と共に外付けバッテリーが飛ぶ仕組みになってる、ちょっと気持ちいい。
開発者として命名権が与えられたので、その時の気分で『愚か成り勇者よ』と名付けてみた。特に意味は無い。
まだ試作品だが…… 悪くない、なかなかの切れ味だ。近い将来『愚か成り勇者よ』が創世十二使に標準配備される日が来るかもしれない。
「……ッ!!」
普通の人間なら致命傷に近い傷を負わせたのに悲鳴の一つも挙げない…… 痛覚がないのか…… もしくは声帯がないのか…… 多分後者だ、グラついてる。
攻撃手段も奪ったし放っておいてもその内死ぬだろうが、止めを刺してやるか。
直ぐ側に転がっている焼け焦げた人型種の死体に倣って火炎魔術を選択する。
「第4階位級 火炎魔術『皇炎』ラヴィス・レイム」
傷口から大火炎を注ぎ込んで内側から焼き殺す…… 何気にエグい殺し方だったな。
しかしここまでやれば死ぬか…… 見た目がロボっぽいからオートマタの一種かとも思ったが、生物だったようだ。
あ~…… ここまでやれば機械仕掛けでも壊れるか……?
さて、琉架の方はどうなった?
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人型種が魔法弾を次々撃ってくる、この校庭は校舎より低い位置にあるから避けても魔法弾は土手で爆発する。
なので遠慮なく避けさせてもらう。私には事象予約があるから、この程度のスピードの攻撃は当たらない。
私もサクラ先輩みたいに龍紅珠輪を持ってれば良かったんだけど、星の御力で魔法弾の反射って出来ないのかな? 今度神那に相談してみよう。
敵から放たれる魔法弾を全て回避しながら距離を詰めると、残り10メートルの地点で魔法攻撃が止む。
右手の大剣を担ぎこちらに飛びかかるような体勢を取る、遠距離戦は無駄と悟り近距離戦に移行したんだ。
「星の御力、重力10倍」
周囲に巻き込む人が居ないのを確認して、自分を中心にした半径10メートル範囲内の重力を10倍にする。この過重フィールドは私には影響しない、私は重くならない、良かった。
ズズン
人型種はあの大きな大剣に潰されるような形で崩れ落ち小さなクレーターを作った。
うん、あの剣は見るからに重そうだし……
チラリと神那の方を見ると炎を使って倒しているのが見えた、じゃあ、私も……
「第7階位級 火炎魔術『炎弾』ファイア・ブリッド チャージ30倍」
重力波の影響を考えて少し高め、放物線を描くように炎弾を放つ。
ドガァァァァァァン!!
良かった上手く当たった。でもこのコンボは加減が難しい、今後の課題かな?
神那の方も無事終わったみたいだけど、ザック先輩はどうなったかな?
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俺と琉架が人型種の退治を終える、残り一匹はというと……
ザック先輩も人型種も動いていなかった。
え? ちゃっちゃと片付けようって言ったじゃん。何で固まってるの?
「ザック先輩、何やってんですか?」
「お……お前ら…………」
恐怖とも尊敬とも違う、異質なモノを見る目だ。まるで魔王でも見ているかの様だ…… その認識は間違ってないが……
「そ…そうだ! ここはいいから早く大講堂へ向かえ! 1対1ならこんな奴らに後れは取らん!」
ザック先輩は既に満身創痍って感じだ、とは言え先輩のいう事も尤もだ、向こうの状況も気になる。
「真夜、ザック先輩をサポートしてやってくれ。戦闘はザック先輩がやってくれるから」
「………… わかった」
「は? え? この子が?」
ザック先輩は慌てているが、これでココは大丈夫だろう、真夜のギフトは誰かとコンビを組むことで真価を発揮する。正に鬼に金棒の金棒ポジションだ。
「行こう琉架、それと校舎の近くで攻撃魔術は控えた方が良い、どこに誰がいるか分からないし地下が崩れたらマズイからな」
「うん、りょーかい」
「第4階位級 身体強化魔術『第4強化』フォース」
「第7階位級 身体強化魔術『第1強化』ファースト チャージ30倍」
自らに身体強化を施し、緋色眼で敵の位置を確認する。東回りと西回りのルートで1匹ずつ中央校舎へ向かっている様だ。
「俺は東側へ行く」
「じゃあ私は西側だね」
必要最低限の打ち合わせだけして飛び出した。
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中央校舎・南東位置
そこでは数名の教師と戦闘能力上位者が人型種と相対していた。
その中にはチーム・レジェンドの姿もある。
「とにかく接近戦は避けろ! 俺達に未知の敵と近接戦闘をするスキルは無い! 相手を近寄らせるな!」
戦闘を指揮しているのは二宮伝説。
場所が場所だけに高威力の魔術が使えないが、相手からの遠距離攻撃を防ぎつつ敵に接近させる隙を一切与えない手堅い戦闘を展開していた。
現在戦力は1対20、少しずつではあるが敵に傷を与えている。
個々の戦闘能力は人型種より低くても、20人という数の力で戦況をコントロールしている。
このままイレギュラーさえ起こらなければ勝てる! そう確信した時だった……
人型種が羽を展開した。
「なっ!? ま…まずい!! 羽を撃ち落とせ!! ヤツを飛ばすな!!」
しかし相手もこの状況を覆すために出した切り札だ、当然最優先で羽を守る。
羽を広げて僅か数秒……空へと舞い上がってしまった。
角度が付くと自分たちの攻撃で校舎に被害が出てしまうかもしれない…… いや! そんな事を気にしている場合じゃない!
「くっ!? は…速い!?」
「マズイぞ!! 撃ってくる!!」
「魔術障壁を……!!」
ドドドドドドッ!!
上を取られ一方的に蹂躙される、今はまだ耐えられるが何時まで持つか分からない。遠距離攻撃が効かないとなれば接近戦に移行するかもしれない、本物の戦闘経験が無い自分たちではきっと勝てない。
さらに最悪のケースは自分たちを無視して大講堂へ向かってしまう事だ。それだけは絶対に避けなければ!
しかしどうやって?
そんな時だった……
「ゴ○ブリみたいな羽を生やすんじゃねーよ!」
少しも目を離さなかったにもかかわらず、人型種の背後にいつの間にか霧島神那が現れていた。
一瞬のうちに事態が動く。
大型のナイフを逆手に持ち、瞬時に人型種の羽を切り落とす。
そしてサッカーのオーバーヘッドキックでもするかのような動作で、体を縦方向へ一回転させ敵に強烈な蹴りを叩き込んだ。
数メートルの高さから勢いよく錐もみ状態でけり落とされた人型種は歩道に背中を激しく打ち付ける、その反動で体が少し浮き上がった所へ、同じく勢いよく降りてきた霧島が交差するようにナイフを敵の胸に突き立て、そのまま歩道に縫い付けた。
そしてすぐさま立ち上がり、油断することなく右手の平を敵に向け、魔術を撃ち込む体制を整えた所でその動きが止まる……
「………… 死んだか」
そうつぶやいた。
正に一瞬だった。
ほんの数秒の出来事だったがその圧倒的な強さに不覚にも目を奪われた……
嫉妬の心など湧き上がる余裕も無い、只々格の違いを見せつけられた。次元が違う……
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「コイツはサンプルとしてオリジン機関に引き取ってもらおう。
人型種は今までの小型種とは比べ物にならないくらい戦闘力が高いからな、解析してもらわないと」
「ス…ス…… スッゲーぜ!先輩! さすがシルヴィア師匠の愛弟子!」
「だから俺を師匠とセットで語るな」
確かに“当時”は愛弟子だった、それは認めよう。若気の至りってヤツだ、黒歴史とも言う。
「せ…先輩! どうすればそんなに強くなれるんだ? 後2年もあれば俺もその高みまで辿り着けるのか?」
「はぁ? 高み? ……高みかどうかは知らないがお前らは確実に進歩してるよ」
「え?」
「初めての実戦で負傷者ゼロだ、ちなみに俺の初実戦訓練は師匠にボコボコにされた、あの女いつか殺……コホン、後2年で高みとやらまで到れるかは分からんが、とにかく確実に進歩している。今日の実戦だって糧になる」
随分と上から目線のアドバイスをしてしまった。みんな黙ったままこっちを見てる、やはり少々偉そうに語り過ぎたか? しかし吐いた言葉は戻らない、感じ悪いけどまぁイイや。
「俺はもう行くぞ、まだデカイのが残ってるからな。アイツが小型種を出す可能性があるから警戒だけはしといてくれ」
大勢に無言で見つめられるのは苦手だ、逃げ出すようにその場を去る。
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中央校舎・南西位置
琉架がそこについた時には戦闘は終わっていた。
十数名の教師と生徒は全員が倒れ伏している、みんな負傷しており出血も見られる、中には腕や足が失くなっている人までいる……
オーラを見る限りまだ死者はいないようだが、時間の問題だ。
治療せず30分も放置すれば全員死亡するだろう。
そしてこの惨状を作り出した元凶は……
今にも一人の女生徒に止めを刺そうとしていた。見覚えのある顔…… 神那が「L」って呼んでいた春日つぐみちゃんだ、1年生のクラスメートだ!
その瞬間冷静な判断ができなくなった、とにかくアイツを引き離さないと! 敵は背中を見せ、こちらにはまだ気付いていない!
星の御力を使いその無防備な背中に両足で蹴りを放つ! 所謂ドロップキックだ。以前の教訓からスカートは押さえて……
身体強化と星の御力の重力負荷で隕石衝突みたいな衝撃を再現してみた、その結果……
バキバキバキ!! ズドオオォォォォォォオン!!!!
「あ……」
西校舎と中央校舎を繋ぐ渡り廊下が崩壊した。
や……やりすぎた? 神那に注意されてたのに、攻撃魔術以上の威力を出してしまった。
大丈夫! 人は居なかった! それは緋色眼で確認済み! でも…… 弁償かな?
ガラ
! ビックリした、人型種が起き上がってきた。すでにボロボロだけどまだ生きてた。炎弾の30倍より威力があったと思うけど…… そうか、後ろの吹っ飛んで威力が逃げちゃったんだ。
人型種は飛行能力を持ってる、私みたいに重力制御をして飛んでいる訳では無いから、あの体は見た目よりもずっと軽いんだ。なんて羨ましい…… あんな重そうな大剣持ってるクセに……
「なに? 今の轟音?」
大講堂から人が出てきた!? 今の音を聞きつけたんだ! しかも人型種は大講堂出入り口のすぐそばに居る!
先ほどのドロップキックを再現して、もう一度隕石の様なスピードで敵の足元に飛び込む。
「星の御力、大斥力!」
人型種を真上に弾き飛ばし……
「第7階位級 光輝魔術『閃光』レイ チャージ30倍」
空へと放たれた光の柱は人型種の全てを飲み込んでいった。
…………
おもわず閃光を使ってしまった…… 真上なら大丈夫だよね? まさか人工衛星に当たったりは…… うん! あり得ない!
「…………」
「…………」
大講堂から出てきた女子に穴が開くほど見られている…… あの制服は高等部の先輩だ、少し恥ずかしいけど今は好都合。
「せ……先輩! 負傷者がいっぱい出ました! 治癒魔術を使える人を出来るだけ集めて下しゃい!」
「え? ………… しゃい?」
「うぐっ! ま……まだ全員生きてます! だから急いで下さい! ここはお願いします!」
また噛んじゃった、恥ずかしぃ! 逃げ出すようにその場を去る。
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「五感禁止印 視覚封印」
「おおおぉぉぉぉおおぉ!!」
ザックが両槍を回転させ、炎熱と冷気を交互に叩き込む、それにより人型種の鎧を破壊する。
心臓の位置は人と同じ左胸…… そこだけを冷槍で突き心停止させて仕留める。この死体もサンプルにする為になるべく原形を留めて……
「ふぅ…… こんなモノか…… えっとキミ、ありがとう。マジで助かったよ」
「………… 別に……気にしなくていい」
残る問題は空の上のアイツだけ…… しかし現状では手の出しようがない。援軍が到着するのを待つしかないか。
ブ~~~ン
「? なんだ? 何か羽虫の飛ぶような音が……? まさか!?」
上空に留まっていたαテリブルの前面開口部から大量の飛行種が飛び出し始めた。
飛行種はランダムに装甲種、突撃種、砲撃種を運び、地上付近でそれらを落とす。
「ぐあっ!! とうとう始まりやがった!! どうする……ヤバいぞ!!」
そんな時、背後から声がする。
「ザック先輩が最後の1匹を仕留めるのを待ってたみたいですね、もしかするとテリブルも新型・人型種の実戦テストを行っていたのかもしれませんね」
「うぉっ!? き…霧島神那!? お前どうしてここに居る!? ま……まさかもう終わらせてきたのか?」
「はい、人型種を全て倒した時点でこうなる予感がしてたんですよ」
「お~い、神那ぁ」
「お! 琉架だ」
南校舎の方角から琉架が文字通り飛んできてゆっくりと着地した。
(なんだ今の? 飛んできた? 飛翔魔術か? そう言えばこいつら全員隕石みたいな勢いで飛んできてたな…… あれ? 有栖川琉架は第7階位級の魔術しか使えないんじゃ無かったか?)
「それじゃそろそろ終わらせるか、もうじき下校時間だし。琉架はβの方を頼む」
「わかった、でも神那、あのおっきいの街に落としちゃダメだよ?」
「分かってるよ。校庭に刺すから」
(待て、刺すって何だ? 何するつもりだ?)
ザック先輩が狼狽えている間に琉架は魔神器からマスケット銃を取り出し眼鏡を掛ける。以前はメガネ琉架が降臨すると心の中で喜んでたが、最近ではスパルタ教師のイメージが強い。
もちろん今は勉強中では無いので素直な気持ちでメガネ琉架を眺める事が出来る。
「第7階位級 雷撃魔術『雷撃』サンダーボルト チャージ30倍 拡散誘導」
通常ではあり得ない威力の12本の雷撃が次々とβテリブルを焼き払っていく。大量に居た敵はあっという間に数を減らした。
琉架が雑魚を片付けてくれてる間に魔力微細制御棒を取り出し、しばし考える。
折角久しぶりに現れたαテリブルだ、消滅させるよりサンプルに出来る形に留めるべきか…… そもそも今までのαテリブルとは形態が全く違う、研究素材は必要……だよな?
仕方ない、本当は別の属性も試してみたかったんだけど、氷漬けならサンプルに使えるからな。
「第2階位級 氷雪魔術『神剣・聖天白氷』シンケン・セイテンハクヒョウ」
「なっ!? だ…第2階位級だと!?」
上空に佇むαテリブルの更に上にビルよりも大きな巨大な剣が現れる。その異常な光景は学院の生徒に留まらず町中の人の目に触れる事になった。
「穿て!!」
巨大な氷の剣はαテリブルを容易く串刺しにすると、そのまま斜め下に落下…… 南校庭の隅に突き刺さる。
パキパキパキ……
ディープ・ブルードラゴンの時と同様に威力を極限まで弱めてあるので、全身氷漬けの状態で止まる。
第三魔導学院の一角に、巨大な氷の不気味なオブジェが完成してしまった。
「やべ…… 目立つなコレ……」
やはり消滅させるべきだったか…… こんな悪趣味なオブジェを作るつもりは無かったんだが……
その頃には琉架のβ駆除も終わっていた。
「ねぇ神那、あの氷の剣は消えないの?」
「あぁ、今はもう俺の制御を離れてる、ただの馬鹿でかい氷の剣だ。
そうだな…… 隔週で魔力を注げばずっと残り続けるだろう。
そのうちオリジン機関がサンプル回収に来るだろう」
そんな風に思っていた時期が俺にもありました……
俺の予想に反してあの不気味オブジェはその後3ヵ月間も校庭の隅に飾られることになった……