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レヴオル・シオン  作者: 群青
第二部 「魔王の章」
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第63話 二度目の編入


 第三魔導学院……


 世界に七校しか無い魔導学院の一つだ。

 魔導の資質の高い子供が強制的に入学させられる…… 前は何とも思わなかったが、強制収容所みたいだ。


 国に一つしかないこの学院は、いわゆる中高一貫校で生徒数は実に8000人以上、東西南北の校舎に分かれており、その周囲には大半の生徒が暮らす寮が数多く立ち並んでいる。俺や琉架みたいに自宅から通ってくる生徒はごく少数だ。


 俺はスパルタ教師Ver.の琉架に助けられどうにか進級を果たし、およそ一年振りにこの学院に戻ってきた。

 俺達は現在中等部三年だ。この学院には2ヵ月ちょっとしか通った事が無いんだがイイのだろうか? さらにこの学院では将来魔王を倒すために若者たちが勉学に励んでいる…… なおさら魔王が来ていい場所じゃ無いだろ……


 もっとも俺たちがこの学院に戻ってきたのは別の理由がある。


 神隠しの解明だ!


 もうじき魔王討伐から3ヵ月経つ…… しかし未だに神隠し被害者は戻らない…… 何かあったのは確実だ!

 このままではいつになっても俺の『絶対天国計画(オペレーション・オブ・ヘヴン)』が発動できない。

 てか、向こうの事が…… D.E.M.のみんなの事が気になる。


 白は泣いているんじゃないだろうか?

 ミカヅキが心配してるんじゃないだろうか?

 ミラは不安に震えているんじゃないだろうか?

 先輩が…… 先輩は大丈夫な気がする。


 あれ? もう一人誰かいた気がするが…… あ! アルテナか! 若いメンズが消えて欲求不満になってるかもしれないな……


 とにかく二つの世界を行き来する方法を探すのが目的だ。


 もちろん何百年も研究されて、未だに原因の特定にも至っていない現象だ。中学生がちょっと調べただけで分かる筈もないが、もう一つの目的の為にも重要な案件だ。


 もう一つの目的は魔王についてだ。


 これについてはデクス世界では調べようが無い。自分たちの力を自分たちで調べる程度だがやる価値はある、もっとも派手にやるとバレる危険性があるので注意が必要だ。

 それでも『跳躍衣装(ジャンパー)』と『星の御力(アステル)』は使えるようになっておこう、流石は魔王専用スキルとでも言おうか…… 非常に便利な能力だからな。


 それと『緋色眼(ヴァーミリオン)』だ。


 もしこの眼でトラベラーが被害に遭う瞬間が見れれば原因究明に繋がるかも知れない。これは今まで見えなかったモノが見える様になるが、他にも色々と応用が利く、例えば……

 今、俺と琉架は教頭先生に案内され学院内を歩いている、編入した時も同じように教頭に案内してもらったが、その時は気付かなかった……


 教頭先生が帽子をかぶっている事に……


 実に良くできている、とても自然だ。しかしオーラが無い! 今の俺には一目瞭然だ!

 もし以前から緋色眼(ヴァーミリオン)を保有していたら、先輩に会った瞬間に偽物(ニセチチ)だと見破っていただろう。


 もちろん人の物理的な弱みを握っても、特に何もしない。余計な波風は立てたくないからな。


 しかし教頭ともあろう者がたとえ客の前でも帽子を取らないとは嘆かわしいな…… 俺は将来こんな(常時帽子着用の)大人にだけはなりたくない……

 そういえば、魔王の自己再生能力は衰えた毛根にも効くのだろうか? 現状17歳以上年は取らないつもりだ、俺の戦線はおでこの上で永久に維持される!


「お二人は以前、短い間でしたがこの学院に在籍しておりましたので、細かい所の説明は省かせてもらいます。

 そのかわり、新しい施設を案内させてもらいます」


 新しい施設? この学院は広すぎて一度も足を踏み入れた事のない施設の方が多いんだが……


「こちらです、お二人はきっとご存知でしょう」


 ここは中央校舎、東西南北の校舎の中央に位置し、高さ100メートルにも及ぶ大時計塔や、収容人数10000人にもなる大講堂、学院運営に関わる部屋などが集約されている建物だ。


 かつて一度だけ入った事のある大講堂が別物に変わっていた……


 ネットカフェの様な小部屋が大量に並んでいる。数は500位あるだろうか…… 天井付近には超大型ディスプレイ…… これは……


「これって仮想訓練装置(デイトリッパー)…… だよね?」


 そう、俺達もオリジン機関で何百時間と使った仮想訓練装置・デイトリッパーだ。コレの名付け親はなかなかのセンスをしてると思う、師匠とはワケが違う。

 しかしこの数はなんだ? とんでもなく高価な代物なのに何でこんなに大量にあるんだ?


「これだけでなく、各校舎にも70機ずつ配置されてます。これにより、より高度な戦闘訓練が行えるようになりました」


 帽子の教頭が自慢げに話す…… コレ一機でアンタの生涯年収に匹敵するほど高いはずだぞ? 俺達がいない間に値崩れでも起こしたのか?


「教頭先生、何でこんな事になってるのか教えてもらえますか?」


「えぇ、もちろん。ただ私共も上の人の考えてることまではよく分かりませんが……

 昨年末、導入が決定されると次々と送りつけられてきたのです、出資はレイフォード財団でした。

 専用の建物を建てる暇も無く、大講堂はご覧の通り埋め尽くされてしまいましたよ」


 レイフォード財団? 昨年末? どういうことだ?


「生徒には非常に人気がある装置で、皆遅くまで残って訓練しています。なんでもゲーム感覚らしいですね。

 秋には校内ランキングの大会まで開かれるんですよ、よかったらお二人もご参加ください」


 俺達が帰って来た日、テリブル事件から世界が変わったように感じてたんだが、それ以前からこの流れは存在してたのか? まさかテリブル襲来を予見してたのか…… あるいは……

 陰謀論は考えてると楽しいがハズレると恥ずかしいんだよな…… 考え過ぎか……


「それではあなた達の専用の教室へ行きましょう」


 専用…… そういえば説明を受けたな。



 ― 特別才能クラス ―


 何て名前を付けるんだ……


 確かにこのクラスはギフト持ちだけを集めた正しく特別な才能を持つ人専用クラスだ、しかしこれでは他の生徒は才能など無い落ちこぼれだと言わんばかりじゃないか!

 いくらギフトを持ってても、魔術の才能が無い奴だっているんだぞ。もう少し名前考えてつけろよ!


 さらに言わせてもらえば、このクラスにいる奴は全員オリジン機関の出戻りだ。最後まで勤め上げたのは俺と琉架しかいない筈だ。

 要するに全員落ちこぼれと言えないことも無い……


 おいおい、真に才能に溢れる俺たちを落ちこぼれと一緒にするなよ。

 何が言いたいかというと、俺と琉架の二人の専用教室を作れ! って事だ。狭くてもイイぞ! むしろそれがイイ!

 などと叶えられる筈の無い望みを考えてみる。


 魔王だとバレたら専用の独房が貰えるかもな。



「こちらが特別才能クラスになります。ただし一つだけ注意を……」


 大体予想がつく……


「こちらのクラスに集められた生徒は皆、何と言いますか……全員クセが強いです。

 えーと…… お気を付け下さい……」


 この様子だと、教師もお手上げって感じだな。


「ねぇ神那…… この教室って高等部の先輩とかもいるんだよね…… ちょっと怖い……かな?」

「まぁ大丈夫だろ、俺たちは一人じゃないし」

「! そっか…… そうだね!」


 琉架を勇気付けつつ帽子の教頭に連れられて教室へ入る。編入した時もこんな感じだった…… 結構緊張する。



---



「……と、言う訳で本日より復学する……」


「霧島神那です」

「あ……有栖川琉架です」


 教室には5人しかいない、確かクラスメイトは8人だった筈だが…… サボりか?

 しかしこの5人…… クセが強いというか、キャラが濃いというか、ハッキリ言って普通じゃない。


 一番前に座っている男が超睨んでくる、いやん。見覚えは無いんだがどこかで会った事があるのだろうか? しかしこう無遠慮に殺気をぶつけて来られると勇者を思い出す。ただしこいつがこの中で一番見た目がまともだ、殺気を撒き散らす奴だがきっと一番の常識人だろう。


 ひな壇教室の廊下側前列に座る女生徒、制服からして中等部。しかし顔が見えない…… 某ホラー映画の人気キャラみたいに1メートル近い髪の毛で上半身を覆い隠してる。アレなら髪の毛の中でゲームやっててもバレないかもしれないな……

 しかしオーラが黒い、まだサンプリングは少ないが今まで見た中では断トツの黒さだ。だがこの子は期待が持てる、顔を見せたら美少女展開は鉄板だからな。


 その黒い塊の二つ後ろの席、何故か一人だけ白衣を着用している人物…… 牛乳瓶の底みたいな眼鏡をかけぼさぼさの長髪を後ろでまとめている。制服が見えないので判断しにくいが恐らく高等部男子だろう、如何にもマッドな感じだ。


 そして教室の真ん中の席に座る高等部の男女、女の方は化粧が濃すぎて顔面がガチガチになってそうだが、それよりも男の方がもっとヤバい、何故か半袖Yシャツの袖を肩口まで捲り上げてる…… お前はどこのエースストライカーだ? 髪型もとても立派なトサカだ、全ての頭髪を前方向へ持ってきて固めてる、まるで黒い大根でも載せてるかのようだ……


 ……ろくな奴がいない、この学院にはギフトユーザーは奇抜な格好をする決まりでもできたのだろうか?


「教頭、先ほど8名いると仰ってましたが?」

「残り3名はチームを組んでいるのですよ、授業にも顔を出さず訓練に明け暮れてるんです」


 いいのかそれで? さすが特別クラス。俺も琉架と二人だけの特別授業してようかな?


「午前はなるべく個々のカリキュラムを受けて下さい、午後は学内施設を自由に使っても構いません。

 要望があれば専用の研究室や訓練施設も用意します」


 一般の学生とは明らかに違う待遇、かなり特別視されてるんだな。


「それでは仲良くやっていってください。では……」


 帽子の教頭はそれだけ言うと去っていった。まるで逃げ出すように……


「えっと…… これからどうしようか? 神那」

「今度、俺達も研究室でも用意してもらおう」


 人目があると研究しづらい事もある。学内に俺たちのスウィートルームを作るんだ! そこに入り浸るのも悪くない。秘密の実験をする為に! エロ目的じゃ無く魔王研究の為だ。人に見られるわけにはいかないからな。


「霧島神那……」


 ?


 声を掛けられた、さっきからずっとこちらを睨んでいた男だ。誰だっけコイツ?


「なるほど……顔すら覚えていない訳か……」


 お怒りの様子だ、ヤバイないきなりトラブルは困る。

 向こうはこっちを知ってるようだし、ここは以前聞いた自然に名前を聞き出すテクニックを使ってみよう。


「いや、覚えてるよ。え~と……名前は………………」

「二宮だ」

「うん二宮、苗字は覚えてるんだけど、下の名前が出て来なくって…………」

伝説(レジェンド)だ」


「……………… え?」


伝説(レジェンド)だ」


「ぶふぅっ!!!!」


 に…二宮伝説(レジェンド)!? しくじった!! こんな名前一度聴いたら忘れられない!!

 DQNネームにこのテクニックは通用しない!! やってしまった!!


「見え透いた嘘つきやがって…… おい!! 笑うな!!」


 俺の中で彼は伝説になった。もう何か負けた気分だ。俺は一生かけても彼の伝説(レジェンド)には追いつけないだろう。それ程の衝撃、ご兄弟に運命(デスティニー)君とかいない?


「きさま! 笑うな!!」

「す…すまん、嘘ついたことも素直に謝る……! だからちょっと待ってくれ…… 伝説(レジェンド)! ……ぶっ!!」


 名前は親が付けるモノ、伝説(レジェンド)君自身に悪い所は無い、むしろ彼も被害者だろう。しかしコレは…… 危ない所だった、もし戦闘中に彼の名前を聞いたら戦い所じゃ無くなるぞ!


「き……さ…ま……!!」

「ひーーはーーふ~~~…… コホン、済まない…… 大変失礼した伝説(レジェンド)く…ブフッ!!」

「貴様!! 絶対に許さん!!」

「ゴメ……本当にゴメン!! 明日には慣れるからちょっと待ってくれ!! 今日は勘弁して下さい!!」


 人の名前で笑うとは失礼極まりない、本当に申し訳ない…… でも、止まらないんだ!

 昔は俺の神那って名前も少しキラキラしてる気がしてたが、今確信した! 神那は良い名前だ! パパママありがとう! 少なくとも伝説とか付けないでくれて。


 そんな訳で今日は伝説(レジェンド)君をスルーする。

 こんな調子じゃまともに会話も出来ない、見た目は一番まともなのに彼の両親も酷な事をする。


 琉架を連れて一番後ろの窓際の席へ移動する。ここなら後ろから嫌がらせを受けることも無い、窓際に佇む美少女の構図も素晴らしい。


「おい餓鬼共、誰に断わってその席に座ってやがる!」


 今度は黒大根が絡んできた。


「はて? 教頭の説明では席は自由に選んでいい筈でしたが?」

「中房がそんな特等席に座れるわけねーだろ!」


 だったら先に言えよ、だがもう遅い、俺はこの席が気に入った。誰にも譲る気は無い。


「だったら座る前に言えば良いのに、わざわざ座ってから絡んでくるあたりが不良というよりも小悪党って感じですよ。黒大根先輩」

「糞餓鬼が…… んだその黒田イコンってのは?」


 黒田イコン? 妙なイントネーションだな。


「か……神那、席移ろ? わざわざケンカする事ないよ」

「…… 琉架がそう言うなら……」


 あぁ、魔王になっても琉架は奥ゆかしいな、本当に良い子だ。

 舐められる前に一発噛ましとこうと思ったんだが、女神が言うなら信者は素直に従うまでだ。


 二つ前の席に移動する、コレで文句は無いだろ?


「なんだぁ? 女の尻に引かれてるのか? 情けねぇ男だ」


 琉架の尻に引かれるなら俺の来世はマットレスでも構わない。コレは我が宗教の名誉職だぞ。


「ねぇ大、アイツら……」ヒソヒソ


 化粧が濃すぎる女、仮面の先輩がこちらを見ながらヒソヒソ話をしている、ワザとらしい……


「おい、お前ら、ちょっと模擬戦でもしないか?」

「模擬戦?」

「お前らもオリジン機関に行ってたなら知ってるだろ? 仮想訓練装置(デイトリッパー)だ」



---



 仮想訓練装置(デイトリッパー)……


 オリジン機関謹製の様々な戦闘訓練が行える万能シミュレーターだ。

 いくつか問題点もあるが非常に優れた性能を持っている。


 使用者は特殊な入力装置を身に着け、自身の魔力で作り出した仮想体に意識を飛ばし、仮想空間内で自由に動き回る事が出来る。最大の特徴は仮想体を本体と寸分違わず再現できるところだ。

 これにより安全に擬似戦闘訓練が行えるため、オリジン機関でも何百時間も使い続けた。

 正直VRMMOのゲームをやってる気分になれる為、結構楽しい。


 しかし問題点も多い。


 まず仮想体は何をするにも魔力を消費する。仮想空間内では魔術の使用も可能だが、使えば当然魔力は減る。コレは当然なのだが、実は歩くだけ…… ただその場に立ち尽くしていても魔力を消費するのだ。

 当時の俺は能力値が低く、試合形式の対戦はとにかく不利だった。


 さらにシミュレーターは攻撃を喰らった際の痛みをフィードバックしない為、あまりこれに慣れ過ぎると良くないクセが付いてしまう。その辺は気を付けるよう師匠にも言われていた。


 さらに最大の問題はギフト能力が再現できないところだ。確かに実際の血を使用する『血液変数(バリアブラッド)』や琉架の時間を操る『時由時在(フリーダイム)』を再現するのは無理だろうが、オリジン機関の訓練でギフトが使えないとか意味が無い。


 これはあくまで初心者用の体の動かし方を学ぶための装置だ。


 しかし中高生がこんなオモチャを手に入れればハマるのは間違いない。実際俺もかなりハマった。



 特別才能クラスの隣りの教室に、特別生専用に一人一機ずつ全十機の仮想訓練装置(デイトリッパー)が設置されている。一番新しいのが俺と琉架専用の装置だ。ちなみに三機が使用中だ、チームを組んでる特別生だろう。


「直接戦闘は認められてないからな、模擬戦はコレで行う。どうだ?」


「ふむ…… 琉架?」

「訓練なら私はイイよ」


 お許しが出たし、久しぶりにやってみるか。



「黒田先輩、今はまだ……」

「心配すんな、ちょっと遊んでやるだけだ」


 伝説(レジェンド)君が黒大根先輩に話し掛ける、てか黒田先輩っていうんだ…… だからイコンに引っ掛かってたのか。


「おい、観戦フリーで構わないか?」

「お好きにどーぞ」


 観戦フリーは仮想空間内を外から見る事が出来るシステムだ。オリジン機関では観戦フリーが変更できなくなってたが、ここでは違うらしい。

 中でエロい事する生徒が出ないとイイんだが…… まぁ、何かしら対策が取られてるのだろう。


 仮想訓練装置(デイトリッパー)に入る。機械自体は新しいが見た所 特に変更点は無いようだ。

 せめて痛みのフィードバック機能くらいはつけるべきなんだが……


 対戦者情報を見る。


 高等部二年・特別生 黒田大輔(クロダダイスケ) A

 高等部二年・特別生 加納恵(カノウメグミ) A


 黒大根先輩が黒田大輔、仮面先輩が加納恵か…… Aってなんだ?


「先輩、名前の後ろについてる「A」って何ですか?」

『魔力戦闘測定値だ、能力値とは違ってどれだけ魔術が使いこなせるかが分かる、「F」が最低ランクで優秀な者が上にランクされる』


 シニス世界のギルドランクと一緒か…… てことは、最上級が「S」かな……?

 あれ? ギフト無しでこのランクって、この先輩たち結構すごくね?


 システム起動の間、模擬戦のルールをざっと読んでみる。


 HPゲージがゼロになった時点で負け。

 オリジン機関ではそんなモノは無く、相手の魔力を規定値まで下げる事が勝利条件だった。これは能力値に差がある生徒が不公平にならない為の設定だな。

 ただし一切攻撃を受けなくても、魔術の使いすぎ等で魔力が規定値を下回ればその時点で負け。


 ………… なんだ、結局能力値が高い奴が有利じゃないか。


 後、離脱機能もついている。要するにギブアップだな。当然使った奴の負けになる……と。

 他には特に新機能は無いようだな。


 後は以前と同じ、一人最大二つずつ魔器を持つことが許されている。全部で数十種類あるがどれもシンプルな能力が付与されている。個人の資質を見るためだったな。


 昔、巨大なバスターソードを使って師匠にダメ出しされたっけ…… まったく合わなかった。

 次にハマったのが片手剣二刀流、少しマシになった程度だった。

 二丁拳銃はそこそこだったが、魔術を使った方が威力も高く調節も効きやすかった。

 結局、片手ショートソードと片手銃に落ち着いた。今回もそれで行ってみるか…… 使えるかどうかは分からんが。


『準備は良いか?』

「OKです、いつでもどうぞ」


 久しぶりの仮想訓練装置(デイトリッパー)だ。

 愚かにも俺と琉架の魔王コンビに挑んだ事を後悔させてやる。




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