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レヴオル・シオン  作者: 群青
第二部 「魔王の章」
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第58話 帰還


 目の前には見慣れない風景が広がっていた…… 山の中だ。

 しかし木が生えていない…… 昔テレビで見た海外の高原のイメージだ。

 大和の山とは明らかに違う、高い木が無い草だらけの山…… アルプスっぽい感じか。どこかにリンゴ病を彷彿とさせる赤いほっぺの少女でもいるんじゃないか? もしくは車いすの弱虫少女…… ヤギ飼いの少年はどうでもイイや、ウザそうだし。


 つい数秒前まで大量の死体が溢れる地獄の一丁目の様な場所にいたのに、何故こんな風光明媚な所にいる?

 それに前にもこんな事があった…… そう、神隠しに遭った時だ。

 あの時は学校の廊下にいたのに、気付いた時には目の前で男がクマに食われそうになってた…… そのクマには角が生えてたのですぐに神隠しに遭ったと理解できた。


 今回はどうだ? 周囲を見渡すと遠くの山肌に白い生き物がぽつぽつ見える。ヤギかな? ヤギはシニス世界で見た記憶が無い。しかし決定打に欠ける……


「痛っ!」


 隣に立つ琉架が顔を押さえている! 大変だ! 琉架の美しい顔に傷が付いたら世界の損失だ!

 抑えた手の隙間から血が流れている!


「大丈夫か!? ちょっと見せてみろ」

「う……うん」


 琉架は左眼から出血している。まるで聖母像が血の涙を流しているような感じだ……て、アレ? この症状は…… 俺と同じ?


「痛むか?」

「閉じていればそんなに…… 開けようとするとすごく痛い」


 同じ症状…… ちょっと嫌な予感がしてきた……

 脳裏に浮かんだキーワードは当然「魔王」。

 今まで聞いた色々な言葉が頭の中で渦巻いている。所謂リフレインが叫んでる!状態だ。

 叫ぶな!ウザい! 今はこの懸念には文字通り目を瞑っておこう。


「どうしよう神那ぁ、な…なにかすごく不安になってきちゃった……」


 俺も完全に同じ気持だが、不安がってる所を見せるわけにもいかん! 男の子なもので!


「とにかくココがドコか調べよう。いつ迄も山の中にいるわけにもいかないからな」


 とにかく山を降りて人里を探す…… つもりだったが、いきなり俺が足を引っ張った。

 忘れてたけどオレ今まともに歩けないんだった。100メートルほど歩いたら足がガクガクいって動けなくなった。その姿は生まれたての小鹿みたいだ。格好悪り~!


「だ……大丈夫! 神那は魔王を倒した名誉の負傷なんだから!」


 琉架は慰めてくれたけど、魔王殺しという意味では琉架も同じ条件なんだよな…… アッチはピンピンしてるのに、こっちはガクガクしてる。情けない!

 どちらにしても二人揃って遠近感が掴めない状況で山を降りるのも難しいだろう。まずは体力回復に努める。主に俺の。


 魔神器を置いてきてしまった為、大変な苦労をするハメになる…… 携帯もあの中だ……

 あんのグレムリン小僧! 死して尚、俺達を苦しめるとは!


 水は魔術でどうとでもなるが、問題は食料だ。こうなったらそこら辺でヤギでも捕まえて捌いて食うか? 1年近く向こうで過ごせばそれくらいの技術は身につく。

 もちろんコレは最終手段だ。野生のヤギじゃあるまいし誰かが飼っているのだろう、もし間違ってユキちゃんを犠牲にしてしまったら一生モノのトラウマだ。


 その夜、晴れていたので天測を試みる…… するとすぐに見覚えのある星座を沢山見つけた。やはり帰ってきたのか……




― 帰還2日目 ―


 琉架に支えられながら慎重に山を降りる。

 夕暮れ近くにようやく一軒の小屋を見つける。煙突から煙が上がっているので人がいる。

 訪ねてみると中から一人の老人が出てきた。首から上が毛むくじゃらだった…… アレ? 何か既視感が……?


「なんだ? 何でこんな山奥に子供がいる?」


 当然の疑問だ、しかしここでシニス世界からの帰還者である事を明かすと、レイフォード財団とオリジン機関へ連絡がいく、今はまだ調べたいことがあるので嘘設定で乗り切る。


「実は僕たち駆け落ちしてきたんです。

 彼女の祖父が僕と彼女の結婚を認めてくれなくて逃げてきたんです!」

「か…か…神那? か……駆け落ち!?///」


「彼女は大財閥のご令嬢、僕は一般家庭の生まれ…… 確かに釣り合わない存在だけど…… でも僕たちは愛し合ってるんです!!」

「……っ!! ……っ!!///」


 全てを嘘で塗り固めると必ず(ほころ)びが生まれるから、適度に真実を混ぜて迫真の演技で訴えかける!


「うっ…… そうか…… 若いのに苦労したのぅ…… ワシが二人の味方をしてやる! だからゆっくりしていきなさい!」


 信じちゃった…… 刀を所持している見るからに怪しいカップルなのに、しかも俺達まだ結婚も出来ない年なんだけど…… まぁ東洋人は若く見られるらしいし、未成年の駆け落ちもフィクションではよくあるしな。

 こんな人の良いジーサンを騙すみたいで気が引けるが、折角なので存分に利用させてもらおう。

 実際ゴリラの追手よりヤバイ事態が進行してるかもしれないし。


 隣に座っていた琉架は気絶(ショート)してた。この子 純情すぎる。



 それから一週間、ジーサンの家に厄介になった。



---



― 帰還8日目 ―


 もちろんニート生活してた訳じゃない、体力が回復したら色々とジーサンの仕事の手伝いをした。

 実は財布も魔神器の中なので無一文なのだ。街に行くための旅費を稼がせてもらっている。


 そしてその日の夜、たった二人の第六回定例会議を行う。


 議題は今まで目を反らし続けてきた、俺たちの体に起こった異変について……


 およそ一週間ぶりに左眼の包帯を外す……

 俺と琉架の左眼は朱くなっていた……


 充血してる訳じゃない、黒目の部分が緋色になってるのだ。レイドやウォーリアス、それにウィンリーと同じ色だ。正直そんな予感はしていた。

 俺たちの左眼は緋色眼(ヴァーミリオン)になっていたのだ。


 深刻な事態だ…… にも拘らず、俺は内心喜んでいた。


 だってオッドアイだぜ? 暗黒の病を患った者なら誰しも憧れるオッドアイだ!

 特に琉架のオッドアイが素晴らしい! 美少女にオッドアイ! その価値は地球一個分はくだらない!

 しかし手放しで喜んでる訳にはいかない。


 緋色眼(ヴァーミリオン)を手に入れた以上、アレ(・・)の可能性も考えなければいけない。


「神那…… コレって緋色眼(ヴァーミリオン)…… だよね?」

「あぁ…… そうみたいだな……」

「なにか…… 前がすごく見辛いんですけど……」


 そう、今現在俺たちの視界の半分には、あらゆるモノから発せられるオーラが映っている。それが邪魔で前が良く見えないんだ。


「もしこれが本物の緋色眼(ヴァーミリオン)なら、魔力で制御ができるはずだ」

「う~~~ん」


 魔力でカメラのピントを合わせる感じだ…… すこし練習が必要だろうが、何とかなりそうだ。


「うぅ…… 全くできる気がしない……」


 魔力コントロールが苦手な琉架は、かなりの練習が必要だ。


「しかしウィンリーの話を聞いた時から思っていたが、これはかなり便利そうだ」

「えぇ~? 何か酔いそうだよ?」


 窓の外を見てみる、完全な暗闇にも拘らず木に丘に岩、そこに住む虫たちまでも、どこに何が有るのか手に取るようにわかる。オーラが教えてくれる。

 部屋の扉、廊下の方へ眼をやると…… ジーサンが扉の前に張り付いて中の様子を窺っているのが丸判りだ。


 アレは出歯亀だな。困ったジーサンだ。


 確かに俺と琉架は、嘘とはいえ結婚を約束した恋人同士。夜な夜な結婚を反対したゴリラへの反逆行為をしていても不思議じゃない。むしろ無い方がおかしい。

 仕方ないな、ジーサンにはかなり世話になっている事だし…… ならばここは一丁、駆け落ちカップルゴッコでもしてジーサンに青春時代を思い出させてやろう。


 俺は琉架に小声で話し掛ける。


「魔力の流れを良くするマッサージをしてやるよ」

「え? そ……そんな事できるの? じゃ…じゃあちょっとだけ……」


---

--

-


『あっ! か…神那…… そこ、ちょっとキツイ!』

『あぁ、じゃあコレはどうだ?』

『ん! そ…それ! すごくイイ!』

『はぁはぁ じゃあ…… コレは?』

『はぁはぁ ぁう! うん…… 気持ちいよぉ 神那……』


---

--

-


 ヤバイ…… 琉架の艶めかしい声を聴いてたら、本当にイケない事してる気分になってきた。


「神那大丈夫? はぁ…… 息が荒くなってきたよ? 疲れたなら私と変わる? はぁ…… 私も神那にしてあげたい」


 有り難い申し出だが今日は遠慮しておこう、久しぶりに野獣先生が召喚されてしまったから。

 これ以上ヤツとシンクロ率が上がったら、暴走状態を通り越して覚醒してしまう! アレは装甲板ではない、野獣本来の力を抑えるための拘束具だ! その戒めが解かれたらもう誰にも止められない! 始まってしまう…… ジャイアントインパクトが!! このシナリオはマズイ、ゴリラが黙っていませんよ?


 よくよく見たらジーサンは扉の前で倒れ伏してる。お年寄りには刺激が強すぎたのだろうか? この程度で落ちるとは、ジーサンひょっとしてDTか?


 その日の定例会議は琉架が寝落ちしたのでそのままお開き、俺は自家発電で余剰電力を発散して眠りについた。

 一番肝心な事案には触れずに……




 俺は2日ほどで緋色眼(ヴァーミリオン)の制御に成功した。


 自分で使ってみて初めて分かったが、この眼はやはり便利だ。

 色々な人のオーラをサンプリングすれば、壁の向こうに誰がいるのかも分かるようになるだろう。特にこの眼は魔力を見るのに優れた性能を発揮する。

 コレは反魔術(アンチマジック)を使う際に非常に有効だ。オーラを見る事で次の行動の先読みが出来る様にもなる。


 緋色眼(ヴァーミリオン)もいわゆる「魔眼」の一種なのだろう。流石は世界で12人しか持つことが許されない魔王専用スキルだ。その利用価値は大きい。

 レイドもウォーリアスもあまり有効活用していなかった様だが、無限の可能性を秘めている気がする。


 そう…… 魔王にのみ許された力だ……


 ちなみに琉架はやはり制御に苦労している。しかし制御できなければ日常生活にも影響が出るだろうから頑張ってもらうしかない。

 それまでは眼帯でもしててもらおう。


 美少女と眼帯…… コレは良いモノだ。


 だが俺はオッドアイ琉架が見たいので、眼帯琉架が見れるのは今だけだ。後でジーサンからカメラを借りよう。


 そんなこんなで琉架の緋色眼(ヴァーミリオン)制御訓練をしつつ、さらにもう一週間お世話になった。




― 帰還15日目 ―


 ようやく金が溜まった。かなりの安日給だったが、宿と食事付きだ文句は無い。

 明日にはここを出るつもりだ。ずいぶん世話になったしいずれ機会があればお礼をしにこよう。


 琉架の緋色眼(ヴァーミリオン)制御訓練はようやく終わりが見えてきた。後2~3日もあれば何とかなるだろう。


 そこで今夜は第六回定例会議・延長戦だ。

 前回、目を背けたまま放置していた件について話し合う。


 今日は俺らしからぬ働きぶりを披露した。とにかく働きまくってそれに付き合わされたジーサンもへとへとだった。すでに一階で就寝してる、その様子がココからでもオーラで分かる。

 この間みたいに聞き耳を立てられる事は無い。


「始める前からこんなこと言うのもなんだけど、覚悟だけはしておいてくれ」

「うん…… 大丈夫…… 私もずっと考えてたから……」


 とは言うモノのどうやって切り出そう。いや……もう分かってるんだ、いきなり核心をついても大丈夫か?


「あのね神那…… 気付いてるかな?」

「え?」


 琉架から振ってきた…… 気付いてる? 何に?


「こっちに戻ってきてから二週間は経ってるけど、爪がね、全然伸びないの」


 そういって琉架は手を差し出す…… 思わずキスしたくなる綺麗な手だ。

 だが問題は爪の方だ…… 思わず舐めたくなる綺麗な爪だ。


「今朝ね、爪割っちゃったんだ…… その時に気付いたの。全然伸びてない事に」


 今は真面目な話をしている…… ペロペロは自重しよう。


「普段は『両用時流(リバーシブル)』で治しちゃうんだけど、気になってそのままにしておいてみたの……」


 しかし琉架の爪に割れた跡は見られない……


「つ……爪がね……? 自己再生しちゃったんだよ……? こ……こんなのおかしいよね?」


 琉架の手が震えている、顔も無理やり笑顔を作っているが今にも泣き出しそうだ。

 俺はこの2週間、何をやってたんだ? 琉架の心のケアを怠っていた! オッドアイに喜んでる場合じゃなかった、琉架は俺みたいなナンチャッテナーバスとはワケが違う。本当に繊細な心を持ってるんだ。


「わ…わた…… 私たち…… ヒトじゃ無くなっちゃった……のかな?」


 琉架が泣きながら俺の胸に飛び込んできた……


 ヒトじゃ無くなった……か。

 分かってはいたがハッキリ言われると少しだけショックだ…… だが少しだけだ。何で俺はこんなに冷静なんだ?

 琉架を落ち着かせるように撫でながら考える。


 色々と思い出してみると合点がいった。特にウォーリアスの言動だ。


 アイツは俺がレイドを仕留めたと一目で見抜いた。あの時既に俺は魔王の力を宿していたのだろう、それを緋色眼(ヴァーミリオン)で見たんだ。

 アイツが必要以上に俺を殺すことにこだわったのもコレが原因だったんだ。



 ――― 魔王を殺した者は、その力を継承する ―――



 あのブサイク大魔王は漁夫の利を得ようとしてたんだ、恐らく討伐軍と戦って消耗したレイドを討つつもりだったんだ。まさか魔王が敗れるとは思っていなかったようだが……


 レイドとの戦いで消耗した俺を殺して俺の力…… と言うより、第11魔王の力を奪うのが目的だった。

 もっともその目論見は破れ、琉架の返り討ちに遭った。ザマァ!


 そして琉架も俺と同じ目にあったわけか……


 ミラから聞いた第6魔王の言葉…… 勇者のギフト『魔王殺し(ホワイトアウト)』の能力……

 『魔王を完全に滅ぼせる唯一の力』はこういう意味だったんだ。


 魔王殺し(ホワイトアウト)だけが魔王の力を消す事が出来るんだ。

 勇者があまりにも役に立たなかったため、俺と琉架が魔王の力を継承する羽目になったんだ。



 しかし何故、俺がこんなに落ち着いていられるのか…… 理由は簡単だった。


「琉架」

「っ……すんっ……神那ぁ」


 めっちゃ泣いてる…… 滝みたいに涙が次々溢れ出てくる。それでも鼻水が出てないトコロは流石女神だ!

 とにかく琉架を落ち着かせないと、どう話そうか? いや…… 小細工は要らない、俺が今感じていることをそのまま伝えればいいんだ。

 イケる!

 目指せグッドコミュニケーション!


「琉架、きっと俺達はこれから色んな事に巻き込まれると思う、先のことを考えると胃が痛くなる」

「ぐす……うん……」

「でも、救われた気分もある」

「救われた?」


「もし俺が一人だったら逃げ出してたかもしれない。流石にこの状況はキツい」

「一人……ぁ……」


「だが俺達は二人だ。俺には琉架がいるし、琉架には俺がいる」

「ぁ……ぁぅ……ぁ……」


 琉架が小声であうあう言ってる、歯の浮きそうな言葉だが俺の正直な気持ちを直球でぶつける。本気で琉架がいてくれて良かったと思ってる。

 琉架は顔を赤くしながら俺の目を見てる。頭から湯気が登っているように見えるのは気のせいだろうか? しばらくすると倒れるように俺の胸に顔を埋めた。


 琉架を打ち取った!


 勝利者権限でしばし琉架の温もりと柔らかさを堪能する。香りについては言及しない、俺はゴリラとは違う!

 時間にして10分程だっただろうか? 幸せな時間だった。永遠に続けばいいのに……

 泣き止んだ琉架が、顔を埋めたまま話しかけてきた。


「神那……えっと、第8魔王と戦う前に言ったこと憶えてる?」


 対ウォーリアス戦…… あぁ、お願いごとか。


「願いは決まったのか?」

「う…… ん……えっと……」


 余程言いにくいことなのか、なかなか踏ん切りが付かないようだ…… まさか……

 まさか、この空気で「二度と私に近づかないで」とか来ないよね? し…信じてるからな!



「ずっと…… 私とずっと一緒にいてください……」



 …… 真逆のことを言われた。まるでプロポーズみたいな言葉だ。

 だが今の俺達にとってはプロポーズ以上の意味がある言葉だ…… 何故なら俺達は何千年と生き続ける事になるかもしれないのだから……


 望むトコロで御座います!


 向こうの世界ならウィンリーもいるが、この世界で俺たちはたった二人だけの存在。今まで以上に互いの存在が大切に思える。

 琉架からお願いされなければ、俺から同じ事を頼んでたかもしれない。


 だから……


「琉架…… これからもよろしく。 ずっと……」

「!! うぅ…… はい…… こちらこそ末永くよろしくお願いします……ぐすっ……」


 何か本当にプロポーズみたいになってしまった……


 まだまだ課題も多い、どんなトラブルに巻き込まれるか分かったもんじゃ無い。それにもしかしたら人間に戻る方法もあるかも知れない。ゲームやマンガじゃ用意されてるケースもある。

 俺達は言ってみればこの世界にたった二人しか残ってない絶滅危惧種みたいなもの、お互いに助け合っていかなければならない事もあるだろう。


 気が付けば琉架は俺の胸で小さな寝息を立てていた。泣き疲れたのだろう……

 恐らく琉架の俺への信頼度はMAX状態だ。

 故に思春期真っ只中!頭の中でエロい妄想ばかりしている俺の胸で、あどけない寝顔を見せられるのだ。

 ジレンマだ! こんなに近くにいるのに手を出せないとは…… 琉架の信頼を裏切る事は出来ない!


 しかもこんなに密着していては自家発電も出来ない!

 なんてこった! こんな事ならジークに賢者タイムの極意でも習っとくんだった!


 今日もまた、眠れない夜になりそうだ……



 こうして霧島神那と有栖川琉架は……


 新たな魔王になった。




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