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レヴオル・シオン  作者: 群青
第一部 「異世界の章」
44/375

第42話 魔宮


 本戦がスタートした。


 ザザ~~~ン


 何故か目の前には海が広がっている。

 それも夏の海だ、去年の夏みんなで行ったバカンスを思い出す。


 準備は万全だと思われたが水着の用意を怠っていた、もう一度渚の天使たちに出会えるチャンスだったのに!

 いっそみんなで裸になって泳ぐか? ジークは重りでも付けて海に沈めとけばいいだろう!

 そうと決まれば率先して脱ぐべし! 羞恥心は捨て去ろう! 大丈夫! 俺たちを見ているのは太陽だけさ!


 空を見上げると、5メートル程の高さに水晶玉が浮かんでいた。


 気が付いてよかった……危うくアルカーシャ王国全土に俺のフルヌードを披露するところだった。


「これ……本物の海だよね? 潮の香りがする……」


 そうだ……これは現実だ。何故こうなったのか思い返してみよう。



---



 本戦開始予定時刻まで1分を切った。


 参加各団体はそれぞれ指定された洞窟から迷宮に突入する。

 各洞窟前は観客で溢れていた、まるでマラソンや駅伝の沿道みたいに人が道の両端に列を作って見送っている。

 こんなに人の注目を浴びたのはいつ以来だろうか…………あ、初体験だ。ヤバイ……少し緊張する。


 沿道の観客に男が多い気がする、どうやらウチを美少女動物園か何かだと思っているらしい。

 あまりじろじろ見るな! 拝観料取るぞ!!


 結局、エルリアは金を借りにはこなかった、どうにか工面できたのだろう。彼女も無駄なプライドは捨てたみたいだったし、本当に困窮していたらきっと借りに来た。

 この一週間で勇者一行以外にも色々な団体の話は聞こえてきた。中でも一番話題になっていたのはやはりアークだ。

 つい昨日、300人余りの追加部隊が加わったらしい。どんだけガチなんだよ……


 逆に全く話題に上らなかったのはインヴェニウスだ。

 先日、買い食い中に街中で遭遇した。

 あちらも買い食い中だった。

 おねーさんに全身を(ねぶ)るように見られた。

 とても興奮した。


 てか、向こうも興奮している様に見えた、もしかしたら、ワンチャンあるかもしれない。問題があるとすれば隣にいたおにーさんにも同じような反応をされた事か……こちらは恐怖を覚えた。




『これより本戦、迷宮踏破を始めます!!』


 パアアアァァァーーーーーン!!!!


 またしても始まりの銃声が響く、まぁ今回はいいか……

 俺たちは洞窟へと足を踏み入れる、ほんの数メートル進んだ所で奇妙なモノを見つける。

 洞窟の通路いっぱいに黒いモヤのようなものが行く手を遮っている。


「なんだコレ?」


 ミカヅキが箒で突くが特に抵抗は感じないみたいだ、箒が真っ黒になっている……なんてことも無い。


「恐らく危険は無い、そのまま進んでみろ」


 ジークが言う、お前何か知ってるなら教えろよ。

 とはいえ、開始数メートルでデストラップがある筈もない、恐らくコレがこのダンジョンの仕様なのだろう。

 少々気味が悪いが入ってみる。

 すると…………


 目の前には南国リゾートが広がっていた。



---



「うむ、思い出してみたがさっぱり分からん。何だコレ?」

「驚いたな……ここは『魔宮』だったのか……」

「『魔宮』?」


 ジーク先生による「サルでもわかる『魔宮』講座」開催。 …………誰がサルだ! ゴルァ!!


「魔宮とは自然に魔力が溜まってできた特殊な迷宮の事だ。

 各階層は独立しており、それぞれ違った特性を備えている、あるいは遠くの別の迷宮に繋がっていることもある厄介なダンジョンだ。

 夏の海辺だったり、雪山だったり、砂漠だったり、ジャングルの中などもあるだろう。

 つまり階層ごとに出てくる魔物も全く別のモノになる。

 それが魔宮だ」


 振り返ってみるが、入り口が無い。もしかして……


「魔宮は完全に一方通行だ。最深部に帰還するための転移魔法陣が存在する」


 くそ、あのお姫様この情報をわざと伏せてやがったな? 納得の性格の悪さだ!


「それじゃこのだだっ広い空間で、下り階段をチマチマ探せと?」

「階段では無い、各階層は独立しているから移動用の魔法陣を探すんだ」


 うげ、てコトは地面にあるとは限らないじゃないか、もしかしたら木の上、切り立った崖の上、海の底なんて可能性もある。

 急に魔導書(グリモワール)とかどうでもよくなってきたが、始めてしまった以上リタイアはできない。


 何が「自信のない方はスタート前に辞退して下さい」だ。意図的に情報を隠しといて言う言葉か?


「ところで迷宮と言えばジーク先生」

「何だ? その変な呼び方は?」

「迷宮踏破の第一人者であるジーク先生に指示を仰ぎたいんだが」

「ふむ……一日無駄になるかもしれんが、それでもいいか?」


 全然構わない、正直このダンジョンは予想外だ。


「構わない、俺たちはダンジョン初心者だからな。任せる」

「では出来るだけ広範囲を歩き回るぞ、偶然魔法陣を発見したら、次の階層でも同じことをする。いいな?」


 女の子たちも納得してくれた。

 ため息を吐きつつ歩きはじめる、が……ハッキリ言って暑い。全員真冬の格好だ、真夏のビーチでこの格好は無いだろ? しかし夏服など用意していない、主催者が意図的に情報を隠すからこうなるんだ。ここで装備を外すと主催者の掌の上で弄ばれてる気がしてムカつく。


「第5階位級 氷雪魔術『氷冷』アイシクル × 第5階位級 付与魔術『拡散』ディフューザー」

「合成魔術『冷却空間』ゼロフィールド」


「あ……涼しい、砂漠用の冷却魔術だ」

「もしかして、カミナ様がされたのですか?」


「あぁ、何となく運営に抵抗したい気分になったんだ、これで快適に過ごせるだろ?」


 奴らの裏をかいてやった気分だ、実際は魔力を無駄に使っただけだが気分がいいので良しとする。


「おに~ちゃん……戦闘音が聞こえる……」


 開始数分にも拘らず、白の耳は異変を捉えていた。



---



 白の言葉に従い小さな谷に沿って進むと、谷底で誰かが戦闘中だった。


「あれは……明鏡止水の連中か?」


 相手は2メートル程のオークだ。しかし明鏡止水には女騎士はいない、何事も無く勝ってしまうだろう。

 好都合だ、こっちは魔宮のルールを知らないからな。モルモット代わりに観察させてもらう。


 しかし5分経っても戦闘が終わらない、ずいぶん苦戦している……妙だな? あの程度の相手ならとっくに倒せているだけのダメージを与えているのに、全く倒れる気配が無い。

 そう言えばここの迷宮はAランク相当の魔物が生息していると聞いていたが、同種の魔物でも外の個体より強力なのかもしれない。


「おに~ちゃん……あっち……」

「ん?」


 白の目線の先、谷の反対側の樹の上にインヴェニウスの二人組が俺たちと同じく下の様子を窺っていた。


 そうこうしている内に下の戦闘は決着がついていた。


 オーク1匹にずいぶん疲労を溜め込んだようだ。

 これは極力戦闘は避けた方が得策かもしれんな。




 ……などと考えていたが、甘かった。ここには結構な数のオークが生息している。

 しかし問題無い、前衛の二人があっさり片付けてくれる。弱点は炎。それだけで簡単に仕留められる。

 明鏡止水が手こずったのは、単純に物理だけで倒そうとしたせいだ。

 あいつら人間相手なら強いけど、魔物相手では相性が悪いようだ。一体なぜ肉弾攻撃オンリーの縛りプレイをしているのか? そもそも肉弾攻撃オンリーの連中が魔導書(グリモワール)を求めるのも意味不明だ。

 もしかしたら売り飛ばす為かもしれないな、だったらあいつらは敵じゃない、あいつらが優勝したら大金を積み上げて魔導書(グリモワール)を買い取ればいい。


 積極的に助ける気はないが、敵対する必要は無い。放置だな。



 結局一日掛けても魔法陣は発見できなかった。


---


 夜になった。ダンジョンの中なのに外と同じサイクルで日が落ちた。


 簡易休憩所、その屋根の上で念のため周囲を警戒していると、琉架が話しかけてきた。


「もしかしたらどこかのチームはもう次の階層に進んでるかもしれないね?」

「そうだな……たぶん、きっと進んでる」


 恐らくアーク辺りは次の階層に入っているだろう。そしてそれを追う奴らも先に進んでいるだろう。

 俺たちは見かけなかったが、500人規模で動けばさぞ目立つ、そしてそいつらが全員次の階層に移動すれば、やはり目立つだろう。


「明日は足跡を注意して探してみよう」

「え? 足跡?」

「連中は大人数の上、それぞれが大荷物を抱えている。足跡が残っている筈だ」

「そっか~、ほぼ手ぶらなのってきっと私たちだけだよね?」


 今日見かけた明鏡止水とインヴェニウスは、全員大きめのバックパックを背負っていた。恐らく結構な重さだろう。


「それじゃ明日は下も気にして歩かないとだね」


 まだ初日だ、焦る事は無い。しかしこの方法では100%勝てないのも分かっている。

 今の手法は「とにかく全てを見る」だ。RPGでは俺もマップ塗り潰し症候群だったから理解はできる。

 しかしゲームと違って実際に歩くのはダルイ……まして早いモノ勝ち競争ではどう考えても無駄な作業だ。

 探索はジークに一任してしまったが、あの筋肉は地下迷宮(ラビリンス)攻略に500年掛けたんだ。時間感覚が一般人とはかけ離れてるかもしれない……


 人選ミスだったかな?



---



 翌日、魔法陣はすぐに見つかった。

 ……てか、目印があった。巨大なオークの死骸だ。

 通常のオークと違い、肌の色は真っ黒、大きさは倍ほどある。


「う……フロアボスって事かな?」


 女の子たちの顔色が悪い、確かにこれは気持ち悪い。ボスオークは死してなお相棒を天に向けてそそり立てていやがった。誰かこの猥セツ物 燃やしとけよ!


 ジークは要するに、他の連中に露払いをさせ漁夫の利を得ようとしてるんだ。

 俺も魔王と戦う時はそれに似た手段を取るつもりだったが、この程度の相手に慎重すぎじゃないか?


「魔宮とは遺跡と同じだ。魔導書(グリモワール)以外にも何があるか分からんからな」


 ここは迷宮探査のプロに任せよう。




 ― 第2階層 ―


 そこは普通の洞窟だった。通路は狭く学校の廊下程しかない。

 そして通路の端には大量の魔物の死体。それと人の死んだ跡が見られる。結構な数の犠牲者が出たようだ。


 魔物は1メートル程もある巨大なアリ、ジルコンアントだ。

 確か魔術が効き辛い特性があったはずだ。アークや魔法王団には厄介な相手だな。


 道成りに進むと簡単に魔法陣を発見。フロアボスらしき魔物の死骸は見当たらない、ここにはいなかったのだろうか?

 魔法陣にすぐには入らず、引き換えし脇道を調べる。

 女子組からブーイングが上がったが、俺にはジークの気持ちが分かる。

 俺も全ての通路を調べないと気が済まない性質(たち)だ、もしかしたら宝箱があるかも知れないだろ?


 結論から言って、そんなものは無かった。しかし俺は満足だ。この気持ちはたぶん男にしか理解(わか)らない。


 結局その日は次の階層には進まなかった。

 簡易結界と土のかまくらを魔法陣前につくり、そこでご休憩だ。

 しかし俺たちの後からは誰もやって来ない、『D.E.M.』は現在最下位らしい。


「明日からは厳しくなると思う、そして可能であれば一気に攻略しようと思う」


 作戦部長のジークからのお達し。理由は大体分かるが、一応根拠を聞いておく。


「まず……これまでが簡単すぎた」


 現在最下位の俺たちが言っていいセリフではないが、それは俺も思っていた。


「急げば5日程度で踏破できるダンジョン、しかし第3階層までは急げば一日で来れる」


 そう……おそらくアーク辺りは初日に第3階層まで辿り着いただろう。

 もちろん第5階層だけが異常に厳しい可能性もあるが、すでにこの階層でも犠牲者が出ているのを見れば、ジークの予想は正しいだろう。


「という訳で、明日から本気を出していく、一気に第4階層まで下りるぞ」


 明日から本気出す…………俺も常々そう思っているんだ。一人だとなかなか出来ないんだよね……




 ― 第3階層 ―


 その階層に足を踏み入れると真っ白だった。

 猛烈な吹雪だ。瞬時に湯たんぽ……もと言い、白に抱き着く。


 俺たちの出現地を取り囲むように魔物が輪を作っている。待ち伏せだろうか? この寒い中ご苦労な事だ。


 ご苦労といえばもう一つ…………なんかそこら中で戦闘中だ。実にご苦労な事だ。



「炎帝の爪よ敵を切り裂け!

 炎帝の牙よ敵の喉笛を噛み千切れ!

 炎帝の息吹よ全ての敵を焼き尽くせ!

 神炎帝(ギル・ド・ブレア)!!!!」


 ゴオオオオオォォォォォーーーーー!!


 巨大な火柱が敵を焼き尽くす。敵は雪男(イエティ)だ! いつか殺そうと思ってたんだよ!


「神那!! 血糸を!!」

「分かってる!!」


 瞬時に血糸を周囲に張り巡らせる、半径5メートルの範囲で俺たちを覆い包むように。

 襲い掛かってきた雪男たちは血糸に絡まり壁を作る。こいつらミノタウロスと一緒だな。


「なんか……沢山いるけど、みんなずっと戦ってたのかな?」


 そうなるな……俺たちがたっぷり10時間も休憩していた間、戦い続けていたと……精も根も尽き果てそうだ。


 ざっと見まわしてみる。明鏡止水・アサシン・天空の騎士・魔法王団がこの場で戦っている。

 おや? 勇者と愉快な仲間たちがいない。少し意外だ……まさか俺たちの後ろじゃないよな?


 明鏡止水は前に見かけたときは12人パーティーだったのに、3人しか残ってない。彼らの周りには不自然に盛り上がった雪が積もっている、つまりそういう事だろう。


 アサシンは10人以上残っている……しかし動きにキレが無い。この振り積もる雪の足場では前衛職は不利だろう。


 天空の騎士はさらに厳しい。2人しかいない、もともと何人だったのかは分からないが、彼らの周りにも雪の小山ができている。この天候では空も飛べないだろうからな。


 今この戦線を支えているのは魔法王団だ。さっきの火炎魔法も説明会に来ていたおばーちゃんが放ったものだ。まだ15人ほど残っている。


 アークとインヴェニウスとバカ勇者達は既に第4階層へ移動したようだ。

 しかしどうやって? この振り積もる雪の下から魔法陣を見つけ出すのは実質不可能……



「い……今頃やって来たのか!? 『D.E.M.』! とにかく手伝え!!」


 命令された……いや、救援要請と受け取っておくか……

 しかし妙だ……いくら外の雪男より強くても数はせいぜい30……今は増援も無いようだ。

 よく見ると巨大な火柱から雪男が一匹這い出てくる。


「白……こいつらの弱点見てくれ」

「うん…………あ…………」

「どうだ?」

「……凍結……だった」


 やはりか。

 そう思い吹き付ける雪を手の平に受けてみた。微温い……触れれば解けるが冷たくない。

 あの見た目で寒さに弱いって詐欺だろ?


 俺は二刀一対の柄、魔導剣を取り出す。


「あれ? 神那もしかして、一人でやるの?」


 全員に驚愕の表情をされる。俺が真面目に働くのがそんなに珍しいか?

 ……まぁ、珍しいんだけどね、ミラにまで驚愕されるのは少しショックだ。俺ってそんなに不真面目に見えるのだろうか?


「第4階位級 身体強化魔術『第四強化』フォース」


 自身を身体強化し……


「第3階位級 氷雪魔術『白冷神楽』ハクレイカグラ」


 広域殲滅魔術の効果を絞って発動する。他のパーティーを氷漬けにするわけにはいかないからな。


 ビシッ!!


 俺たちを取り囲んでいた雪男を瞬間冷凍する。

 魔導剣を起動すると、透明の刀身から白い霧が溢れ出す。


 俺は軽くジャンプして氷像とかした雪男の上に飛び乗る。

 周囲に視線を走らせ数を確認する、今10匹凍らせたから残り20匹。


 ドン!!


 氷像を思い切り蹴り弾丸のようなスピードで飛び出す!


 一番近く、魔法王団に迫っていた6匹にスピードを落とさずそのまま突っ込む。

 体に回転を加えすれ違いざまに雪男の体を複数回斬り付け通り抜ける。第3階位級の魔導剣ならコレで十分。

 斬られた雪男は血液から体毛の一本に至るまで凍りつく。


 右足一本で着地し、そのまま方向転換。次の集団に向かって飛ぶ!


 ボゴン!!


 振り積もっていた雪を間欠泉のように巻き上がらせる。たぶん魔法王団に吹き飛んだ雪が全て掛かるだろうが気にしてる暇はない。


 天空の騎士に止めを刺そうとしている集団、数は8。

 地面すれすれを飛びながら全ての敵に切れ込みを入れ、アサシンの相手をしている2匹の背後へ飛ぶ。

 異変に気付いた雪男が振り向く直前に、氷刃が心臓部分を貫いた。


「残り4……」


 明鏡止水のメンバーを殴り飛ばした雪男たちがこちらに向かって突っ込んでくる。2匹だ。

 こちらも普通に走りだし、あと5メートルの距離で前方宙返り。着地の瞬間に身体強化されたパワーを足に集中する。


 ドバン!!


 大量の雪煙が視界を塞ぐ! 着地の反動を利用し、もう一度ジャンプ! 雪男の背後へウィンリーの羽根を使って静かに着地。

 全く警戒していない背後から心臓を一突きする。別に心臓でなくても良かったか……


「残り2……」


 見ると雪男は背中を向けて遠ざかる、逃げ出した……だが逃がす訳にはいかない!

 俺はこの世界に来た日に誓ったんだ「ユキオトコ・コロス!」と……


 その場で10メートル程、垂直跳び。逃げる雪男の背中に向かって魔導剣を投げつける!


「ぎゃあ……あ……ぁぁ……」


 最後の2匹は悲鳴を上げる余裕があったらしい。


「ゼロ……」


 雪男を片付けた。足場が悪かったから10秒くらい掛かったか……



 キマった! 今の俺、超カッコいい!

 さぁ美少女達よ! 俺を思う存分チヤホヤしてくれ!

 霧島神那は褒められて伸びる子です!


 振り返ると美少女達は……

 俺がスタートダッシュに使い蹴り壊した、雪男の血の色をした氷を全身に引っ被っていた。

 琉架と白の顔色が悪い……


 ハハハ……本気なんか出すんじゃなかった……




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