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レヴオル・シオン  作者: 群青
第一部 「異世界の章」
41/375

第39話 バカ勇者再び


---ブレイド・A・K・アグエイアス 視点---


 また負けた……

 いや、そもそも勝負にすらなっていない……奴は片手間で俺をねじ伏せた……

 あの悪魔は暇つぶしで俺を叩き潰したんだ……


 3ヵ月ほど前になるだろうか……俺はヤツと関わりを持ったばかりに全てを失うことになった……

 あの時ばかりは本当に心が折れた……もうダメだと思った……


 だが、たった一つの小さな出会いが俺の心に再び立ち上がるための火を灯してくれた。


 全てを失った俺は逃げる様に首都ガイアを後にした。

 だが俺はただ逃げ出す訳ではない!

 今回の事で俺はきっと強くなった。いずれここに戻り、あの悪魔を倒し、そして……あの人に……ルカさんにもう一度会いに行くんだ!



 まず俺がするべき事、それは仲間を見つける事だ。たった一人ではあの悪魔には勝てない! たとえどんなに強い光をもってしても、一人ではあの漆黒の闇の如き巨悪を照らし出すことは出来ない!


 俺は幼馴染のトラウマから仲間を持つことを避けてきた。たとえ心が通じ合っていても、ある日突然失うことがあるのだと知っていたから。


 俺は愚かだった……人一人の力などたかが知れている。


 例えどんな思惑があってもいい、信頼など後から自然と芽生えるものだ……今はただ、俺を支え、共に戦ってくれる存在が必要だった。


 俺は求め……そして出会った……



---



「くそっ!! くそっ!! くそっ!!」


ドン!!


 酒を一気に煽り、ジョッキをテーブルに叩き付ける。

 飲まずにやってられるか!!


「………………ただ今戻りました」

「おぉ、エルか、おかえり」


 場所はアルカーシャ王国、王都テセラ。そこにある安宿の一階の酒場だ。

 その隅にある丸テーブルで勇者が一人管を巻いている。そんな様子を呆れた顔で眺めている彼の仲間達。

 エルと呼ばれた少女は空いている席に腰を掛ける。今声を掛けたのは勇者の仲間の一人、炭鉱族(ドワーフ)のグレイアクス。


「おぉおぉ、寒い中ご苦労じゃったのう。で? 薬草は見つかったのか?」

「はい、ですが冬なので少量しかありませんでした」

「構わん構わん! 少量でも見つかったなら十分じゃ」


 今の会話の相手は、同じく勇者の仲間の一人、妖精族(フェアリア)のタリス・パピオン。

 そして人族(ヒウマ)のエルと呼ばれる少女。

 この三人が勇者ブレイドの今の仲間だ。


「……それで、……勇者様は一体どうされたんですか?」

「さっぱり分からん、さっきからずっとこの調子じゃ。どうやら参加申請もしてないらしい。いったいなにしに出て行ったんだ? この男は……」


「くそぅ……あの悪魔め……そんなに俺をいたぶって愉しいのかよ……ヒック……」


「悪魔? もしかして以前から勇者様が仰っていた、「魔王以上に危険な悪魔」の事でしょうか?」

「あぁ? そう言えばそんな話も聞いたな、確か「いつか必ず俺の手でヤツを葬る」とか言ってたアレか」

「もしかして……その「悪魔」がこの街にいるのではないでしょうか?」

「カッカッカッ! だとしたら実に興味深いのぅ。伝説の勇者様に「魔王以上に危険」とまで言わす人族(ヒウマ)の存在は。ちょっと会ってみたくなったぞ」


「くそぅ……くそぅ……ヒック……」


「どちらにしても肝心のリーダーがこの調子じゃなぁ、明日には復活するだろうが、もしまた街で出くわしたら またこの状態になりかねんぞ?」

「はぁ……仕方ありませんね、明日は私も付き添います。もう申請最終日ですからコレを逃したら私たちは何をしにここまで来たのか分かりませんからね」

「エルにばかり負担を掛けるのも申し訳ない。俺も付き合おう」

「これも勇者が呼び込む厄介事なのかの? わらわも付き合おう。少々興味が湧いてきた」



 勇者ブレイドは良い仲間に恵まれたようだ…………


---

--

-


 翌日……


 朝一番で宿を出て参加申請を済ませる。

 しかし申請を済ませた頃には昼の1時を回っていた。


「さすがに最終日は混んでましたね。それと勇者様、あまりキョロキョロしないで下さい。

 一緒に歩いていて恥ずかしいです」

「う……ああ、すまない……いや、だめだ! 今この街には危険な男が入り込んでいる、警戒を怠る事は出来ない!!」


 はぁ……ため息が漏れる……なんて頼りない……


 このパーティーメンバーの思惑は様々だ。ある者は強くなる為……ある者は金の為……ある者は研究の為……

 そんな歪な繋がりを持つメンバーだが、それでも仲間だ。

 しかしリーダーは昨日からこのザマだ。果たしてこんな状態で目的を遂げられるのか……

 不安だけが募る……


「はっ!!!!」


 急に勇者が声を上げた、その目には自信が戻っているようにも見える……いったい何が起こった?


「い……今のはまさか……いや!! 間違いない!! ルカさんだ!!!!」


 それだけ言うと勇者は一人で走り去ってしまった。


「なんじゃアレ?」

「…………ルカ?」

「ふむ、女の名前かのぅ? 少し面白い場面が見れるやもしれんの」


「お二人とも、追いかけましょう!」

「なんだエル、もしかして嫉妬か?」

「バカも休み休み言って下さい…………行きますよ?」


 もの凄い威圧感を放つエルに二人の仲間はただついて行くことしか出来なかった。




---




 王都テセラ メインストリート


 現在メインストリートには大量の屋台がひしめき合っている。

 本日の『D.E.M.』はメンバー全員自由行動。

 しかし、全員の行き先は同じなので結局固まって行動している。

 いや、ジークだけは用事があると言い残して別行動だ。

 あの筋肉ダルマなかなか気が利いている。お蔭で俺はハーレムの王だ。みんなでメインストリートを散策している。


 今日は昨日より暖かいので白を抱きしめてはいない。アレは心も体も満たされるのだが如何せん歩きにくい。行列に並ぶときはいいが、あのスタイルで散策したらさすがの白も迷惑するだろう。

 俺の中のシスコンの鬼は着実に成長している、白に嫌われたくは無いからな。


 今は先輩と白を引き連れて飲み物の買い出しだ。

 こんな人ごみの中で琉架とミラの美少女コンビと離れるのは不安だったが、ミカヅキが言ってくれた。

 『ナンパ男が近づいてきたら蹴り殺しますから』……と、実に頼もしい!

 有栖川流メイド術の敵殲滅スキルを遺憾なく発揮してくれ! その働きに期待してるぞ!


「おぉ! 神那クン! チョコバナナ発見! アレ食べたい!」

「いや、今両手に飲み物持ってて、手が塞がってるので後にしてくださいよ」

「大丈夫だよ! チョコバナナだったら口に咥えさせて貰えばいいんだから!」


 …………いやダメだろ! ラノベだったらそのシーンの露骨な挿絵が入るくらい絵面がダメだ!


「我慢してください。また後でくればいいでしょ?」

「むぅ~、神那クンのイケず!」


「チョコ…………バナナ…………」


 気付いたら白の目も釘付けだった。2対1今度は俺が諦める番だ。仕方ない……


 結局ベンチに座って休憩、二人は俺の買ってきたチョコバナナを食べている。

 俺の(買ってきたチョコ)バナナを…………だ。

 野獣先生がスタンドアップ! 白が噛み千切って食べてるのを見て、すぐに着席した。


「ん?」

「どうしたの? 神那クン?」

「いえ……今バカ勇者の声が聞こえた気がして……」

「勇者って…………あの時のアレ(・・)?」


 先輩が明らかに嫌そうな顔をする。


「そうです、あの時のアレ(・・)です。実は昨日出くわしたんですよ」


 今回の試練はちょっとしたイタズラレベル。すぐに立ち直れるだろうが……


「白にも聞こえた…………」


 白の狐耳がピコピコ動く、獣人族(ビスト)は耳が良いからな。


「なにか……「ルカさーーん!!」って」

「なん……だと? マズイ!! 琉架たちに危険が迫っている!!」




---




 ソースの芳ばしい香りが辺りに広がる。

 これがYAKISOBA。名前は知っていたが食べるのは初めてだ。

 佐倉センパイが「祭り飯と言ったらコレ!」と言っていた。ウソかホントか分からないが、地方によってはお祭りでYAKISOBAを食す決まりがあるらしい。

 取りあえず10人前注文して待っている。YAKISOBAを食べた事があるのは神那と佐倉センパイだけだ。他のメンバーは私と同じく初体験……好き嫌いとか大丈夫かな?


「はぁ、何かとってもいい香りがしますね」


 ミラさんは見かけによらずよく食べる、その食事量はジークさんの2倍、毎日膨大な量の食糧が彼女の口に消えていく。今回のYAKISOBA10人前も半分は彼女の分だ。

 にもかかわらず、彼女のスタイルは私とほとんど変わらない、一体どうなっているのだろう?

 もしかして人魚族(マーメイド)はみんなあんなに大食家なのだろうか?


 神秘の生命体・人魚族(マーメイド)。謎は深まるばかりだ……



「……カさー……!!」


「ん?」

「お嬢様、どうかしましたか?」

「いえ、今誰かに呼ばれた気がしたんですが……」


「……カさーん……!!」


「また……」

「あら? 本当ですね……これは……」


「ルカさーーーん!!」


「ひっ!?」

「アレは…………」


 遠くから誰かが駆け寄ってくる、大声で人の名前を呼びながらだ……恥ずかしいからやめてほしい。

 と、言うよりもちょっと怖い。一体誰なんだろう……


「お嬢様、後ろへ……」


 ミカヅキさんが私を庇うように前に出てくれる。それと同時に人垣から男が飛び出してきた。

 赤い髪の毛、青い全身鎧…………誰?


「フン!!」

「ルカさ……ベブッ!!??」


 ミカヅキさんの鞭のようにしなるハイキックが彼の側頭部に炸裂する。その足は光の粒子に覆われている。「気」を使って速度と破壊力を上げているんだ。

 メイド服の長いスカートがブワッと広がる。そのままの勢いで男の頭ごと蹴り抜く。

 あぁぁ、そんなに足上げたら下着が見えちゃいますよ!?


 蹴り飛ばされた男は近くのテーブルとベンチに突っ込み破壊する。座っている人がいなかったのでそっちのケガ人はでなかった、ミカヅキさんはそこまで考えてそっちに蹴り飛ばしたんだろう。でもテーブルとベンチは弁償しなきゃ……


「「「おぉ~~~」」」


 何故か周囲から歓声が上がる、確かに見事なハイキックだった。ミカヅキさんカッコイイ。

 それよりも気になるのは…………し、死んでないよね? あ! 動いた!

 テーブルとベンチの破片から這いずるように出てくる男…………アレ? そう言えば前にもこんな事が…………


「ルカ様のお知り合いの方ですか?」

「いいえ……ただ、似たような光景を以前にも……」


 見ていると居た堪れない気持ちになるので、倒れている男に手を差し伸べる。


「あの……だ…大丈夫ですか?」


 男はじっと私の顔を見て何も答えない。まさか今の一撃で記憶喪失とかになってないよね?

 私が反応を貰えずに困っていると、大きく息を吸い込む音がした。


「俺のパートナーになって下さい!!!!」

「ひゃっ!?」


 突然の大声に出していた手を引っ込めてしまう。その為、私の手を掴もうとしていた彼の手は空振りしてしまった。

 少し悪い事をしてしまったがしょうがないよね? だってビックリしたんだもん!



 ヒュッ


 ドゴン!!


「おわぁ!!??」


 ミカヅキさんのカカト落としが炸裂する、石畳の床を粉砕した。

 男はすんでの所で回避する。今のが当たっていたら彼の頭も石畳の床同様、粉砕されていたのではないだろうか? や……やりすぎだよぉ~


「チッ! 避けられたか……」

「ち……ちがう! 俺は怪しい者ではない! 落ち着け!!」

「変質者はみんなそう言うのよ……」


 ミカヅキさんが絶対強者のオーラを纏っている。まるで覇王だ。


 するとその時、注意喚起の声が響いた。


「あ! 危ない!! 上だ!!」


 そこにいた全員が空を見上げる、でも私にはすぐに分かった。これは神那の声だ。

 神那はいつの間にか男の真後ろに立っていた。

 そして腰を落としその場で一回転して勢いをつけ、男の足元を強烈に薙いだ。水面蹴りっていうのかな?


 バシン!!


「え?」


 男は横方向に一回転半、540°回転して頭から落ちた。

 目撃者は私だけ、神那は何も無かったって顔をしていた。あぁ、神那らしいな……


---


「さすがマスター! お見事です!!」

「ミカヅキのカカト落としも素晴らしかったぞ! あと0.5秒発動を速めればヤツの頭蓋骨を粉砕できただろう」

「はい! 精進致します!」


 神那とミカヅキさんが握手を交わしながら話している。まるで師弟のようだ。……が、今の発言は聞き捨てならない。


「やりすぎ! やりすぎ! 頭蓋骨は粉砕しちゃダメです!!」


「そうですか……では、つぎは男性としての人生を終わらせる方向で行きましょう」

「う……うむ、そうだな。そうなれば彼も(のち)の人生を邪念を捨てて生きて行けるだろう」


 神那が一瞬怯んだ、ちょっと意味が分からなかったけど、頭蓋骨粉砕よりはマシなのかな?

 少なくとも生きているだけ……




---




「うぅ……いったい何が起こった?」


 お! バカ勇者が気付いた。

 ちなみに奴は今、俺の血糸で両手両足を拘束され、道に転がされている。


「き……きさま! キリシマ・カミナ!? 何故ココに!? その女性から……ルカさんから離れろ!!」


 あぁ、なるほど、そういう事か……


「彼女はな!! お前の様な悪魔が近づいていい存在じゃないんだ!!」


 相変わらずの悪魔呼ばわり、その言葉を聞いて琉架がムッとした表情を浮かべている。それに気付けないようじゃお前にチャンスは無いよ。


「いや……近づくなも何も、琉架は……」

「呼び捨てにするなーーーーー!!!!」


 五月蠅い……ボリュームの壊れたラジオみたいに早口で捲し立てる。もう口も縫い付けて放置しようかな?

 そんな時、この場に歩み寄る二人と一匹の人影…………げっ!?



「勇者様、そちらの二人は親友同士ですよ?」



「あ……あれ? エ……エルリア……さん?」


 現れたのはエルリア・バレンタインだ。かつて琉架にしょーもない嫌がらせをしたイジメっ子だ。


「お久しぶりです。お二人のギルドのウワサはかねがね聞き及んでいました」

「う……うん、お久しぶりでごじゃいます……あれ? なんで?」


 あ 噛んだ…… いや、それどころじゃない! もう一匹見覚えのある奴がいる! かつて俺を裸に剥き辱めた正真正銘の悪魔妖精タリス・パピオンだ!


「おぉー! 誰かと思ったら、何時ぞやのダブルスペルの小僧じゃないか! 久し振りじゃのぅ!」

「久し振り……じゃねーよ! お前ら何でこんな所にいる? まさかとは思うが……」

「はい、私たちは勇者様のギルド『ブレイブ・マスター』のメンバーです」


 マジかよ……お前だって勇者のウワサは知ってるだろ? なんでわざわざ修羅の道に入るのか……

 理解の範疇を越えてる。


 当の勇者はというと…………真っ白になって凍り付いてる。おかしいな? さっきまで赤と青だったのに。エルリアの言葉を聞いたせいかな? 親友同士って。

 うん。まぁ、そうだね。俺たち親友同士だから……でへへ


「まさか勇者様が常々言っていた悪魔があなたの事だったとは……気付きませんでした」

「ム……そんなにいつも言ってたの?」

「はい、口を開けば「悪魔を倒す」「悪魔を殺す」と、一日平均10回以上……」

「ムゥ~~~!!」


 おぉ! 琉架が怒ってる! 俺の為に怒ってる! あのふくれっ面も可愛いな。


「あれ~エルちゃんじゃん! 君もこっちに来てたんだ?」

「あ……佐倉先輩! 先輩も二人と同じギルドだったんですね?」

「そうそう、私たち三人でギルド立ち上げたんだもん。エルちゃんが来てるの知ってたら誘ったのに」


 おいおい、勝手なこと言うなよ、俺は嫌だぞ? 面倒クサイ!

 てか、二人は顔見知りだったのか……まぁ、当然か。琉架が編入してくるまでは、エルリアも確か学年一位だったんだ。有名人でも不思議はない。

 そうは見えないが、先輩とエルリアは優等生という共通点がある。

 そう言えば先輩も学年一位だったんだ…………とてもそうは見えない。


「あ……あの……カミナ様、あの方が……本当に勇者なんですか?」


 ミラが何とも言えないビミョーな表情を浮かべている。

 確かにミラにしてみれば、勇者は恐怖の対象でもあり、倒すべき敵でもあり、父親の後輩でもあり、一時とはいえ頼ろうとした相手でもある。

 それがコレ(・・)じゃ、やってられないよな?


「あぁ、確か……49代目勇者……え~と……バカ勇者だ」

「おいおい、それは幾らなんでも酷いだろ。気持ちは分からんでもないが……」


 話しかけてきたのは炭鉱族(ドワーフ)の男、グレイアクスという名前らしい。コイツは知り合いじゃ無い。仮にどっかで会っていても男は覚えてない。


「いや、だってコイツ本名長いじゃん……何てったっけ?」

「ブレイド・アッシュ・キース・アグエイアスだ」

「だから名前の頭文字をとって……Blade Ash Keith Arguelles……BAKA勇者」


「「「「「………………プッ!!」」」」」


 全員が吹き出した。ヤツの仲間も含めた全員がだ……ちょっと可哀相な事をしてしまったな、憐れな奴。


「あの……カミナ様……もう行きませんか? 私ちょっと……」


 そうだな、俺たちはコレから焼きそばパーティーだったんだ。なんか同窓会みたいな雰囲気になってしまったが、俺は同窓会に呼ばれたことが無いから何を話せばいいのか分からん。

 ミラの意見を採用してずらかるとしよう。


「天下の往来でみんなで話し込むのも迷惑だから、俺たちはこの辺で……どうせしばらくこの街にいるんだから、そのうち嫌でも会うだろう」


 そう宣言して俺たちはその場を後にする……


 だが俺は忘れていた……勇者の手足を切断不能な血糸で拘束していたのを。

 まぁ、いいか……




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