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レヴオル・シオン  作者: 群青
第六部 「神の章」
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第347話 執行官断罪剣 ― エクスキューショナー ―


鏡界転者(レプリカント)、『十重奏(デクテット)』」


 ミカヅキさんが10人に分かれて魔人を倒していく、いつの間にか最大分身を会得してたんだ。

 『偽ガルドラボーク』で属性付与した角気弾を色々飛ばしている…… 多分、一番効果的な属性を探っているんだろう…… ただ…… 見た感じ、何も付与せずに撃った角気弾が一番威力が高く見える……

 あっちのミカヅキさんは『魔女のホウキ(ウィッチブルーム)』で魔人をまとめて掃き飛ばしている、反重力制御能力と空圧制御能力を使っているんだろう…… 正直意味がない、角気弾で処理したほうが手っ取り早い。

 そもそもミカヅキさんがメイド服を着用しているせいだろうか? 沢山のメイドさんがお掃除しているようにしか見えない、実家に帰ってきたようで少し落ち着くのは内緒だ。


 一方ジークさんの方は動きに精彩を欠く、しかしそれも仕方のないことだろう。

 まだ数時間前に魔王の力を継承したてだから、緋色眼(ヴァーミリオン)化の副作用で左目はまだ塞がったままだ、それでいつも通りにやれってのが無理な話だ。

 けど、そんな状態にも関わらず魔人を次々と屠っていく…… あの神器、神剣『素戔嗚(スサノオ)』のおかげだろう。


 伝説の三刃が一振り、神剣『素戔嗚(スサノオ)』……

 私の『天照(アマテラス)』と同格の神器…… 星をも砕く力があるとかどうとか…… アレで一撃を神星に叩き込めば簡単に破壊できるんじゃないだろうか? もちろん神星に行ければの話だが……

 ただ魔人狩りには大いに役立っている、なにせ刀が掠るだけで魔人の身体は全て消し飛んでるんだから……


 とにかくあちらは2人に任せておけばいいだろう。

 むしろ最大の問題は神星の破壊だろう。


「よし、術式完……成!」


 そうこうしている内にリリスさんの魔術創造が終わったらしい、さすがの速さだなぁ、普通なら第7階位級だって数カ月掛かるって話だ、私じゃ一生かけても創れないだろう。


「それじゃあ私がこれから術式を展開するから準備よろしく」

「リリスよ、勝手に話を進めずに説明せんか? 我らはナニを準備すればよいのじゃ?」


 私も同じ事を聞きたかったけど言い出せずに居ると、ウィンリーちゃんが代わりに聞いてくれた。

 さすが先輩! 頼りになる!


「こほん、それもそうね、これから私が仮想砲塔創生魔術を使うわ、それと並行して『執行官断罪剣(エクスキューショナー)』を展開する。

 みんなにはコレに魔力を注いで欲しい」


「ふむ、つまり魔力タンクじゃな」

「魔力タンク扱いするんだ…… へぇ~……」

「魔力…… タンク……」

「魔力タンク代わりですか……」


「うぅっ……」


 みんなタンク代わりは嫌なのかな? まぁ私だってハッキリ言われたら嫌だけどね。


「ま、カミナの頼みじゃ、今回だけはリリスに従ってやろう」

「カミナ君の頼み…… 命令してくれればよかったのに……」

「おに~ちゃんの頼み……」

「カミナ様の頼みを無下にすることはできませんよね」


 さすが神那、女の子からの信頼度が高い。


「そ……そうね…… ヨロシク」


 そしてリリスさん笑顔がヒクついてる…… コレも日頃の行いの差……かなぁ?


「ただ注意して欲しいのだけど、この『執行官断罪剣(エクスキューショナー)』はもともと純粋魔力を併用する前提の魔道具なの、必要魔力量に関しては問題ないと思うけど、負担は掛かると思うから…… その覚悟だけはしておいてね?」


 リリスさん言うのが遅いよ……

 今さら聞かされても「じゃあやっぱりや~めた」ってワケにはいかない。

 だって神那のお願いだし……


「育ち盛りの少女に負担を強いるとは…… リリス、お主悪魔じゃのぅ」


 ウィンリーちゃんは育ち盛りなのかな? 3年前から姿が少しも変わってないけど…… 多分2400年前から変わってないよね?


「負担……やだぁ~…… 働きたくないぃ~…… ウチに帰りたいぃ~……」


 アーリィさんの心は既に折れ掛けてる、きっと神那が命令しないとやる気は出ないだろう。


 それに比べて白ちゃんとミラさんは静かだ、きっと精神集中してるんだろう。

 私もしておこうかな?


「後は…… レビィは引き続きエネ・イヴ様の守護をよろしくお願い」

「えぇ、任せなさい」


 ムギュッ!


 そう言うとレビィさんはエネ・イヴ様を後ろから抱きしめた、もしかして攻撃が来たら盾になって守るつもりだろうか? どう見ても避けることを考えてないスタイルだ。


「それじゃ…… 今度こそ始めるわ、みんなよろしく」


 リリスさんは右手に『執行官断罪剣(エクスキューショナー)』を……

 左手に『魔力微細制御棒(アマデウス)』を構える!


「第0階位級 創生魔術……」


 第0階位級? そんなカテゴリーが存在したの?


「『仮想砲創生』クリエスカノン!!」


 その瞬間、リリスさんの目の前に直径3メートルを超える巨大な魔法陣が現れた。

 その魔法陣から色とりどりの魔法文字の帯が何本も伸び、螺旋を描くように絡まり合いながら神星に向けて真っ直ぐ伸びていった。

 これが仮想砲身……?


 魔法文字はゆっくりと伸びていく…… この位置からだと長さが分かり難いけど、かなりの長砲身らしい…… 結構時間がかかる。

 魔人はミカヅキさんとジークさんが完璧に抑えてくれてるから問題無いが、他に妨害は入らないのだろうか?

 念の為、予知で警戒だけは怠ら無いようにしているけど、妨害が入る兆しは無い……




「よし!」


 時間にして数分だろうか? どうやら仮想砲身が完成したらしい。

 魔法文字のスピードと時間から考えると、砲身の長さは1km前後と言った所だろうか?


 でも…… それ以前に…… なんと言いますか…… スカスカだ。

 文字と文字の間に隙間があって全然埋まって無い、横から見たら向こう側の景色がしっかり見えるレベル、要するにスカスカだ。

 アレでちゃんと砲身の代わりになるのだろうか? 少なくとも魔王城オルターの砲身は直径何百メートル、1000人くらいは入れそうな広さがあった、内側も対魔術コーティングのピカピカ仕上げ、長さはともかく大きさでは比べ物にならないほどの差だ……


 あまりにも違い過ぎる…… 物質と仮想物質の差なのだろうか?

 ハッキリ言ってちょっと頼りない、この砲塔で『執行官断罪剣(エクスキューショナー)』を撃ったら隙間からエネルギーが漏れ出たりしないよね? 大丈夫だよね?


「みんなお願い!」


 やはり作業は完了しているらしい、これ以上手を加える気は無いのか……

 私は魔導にそんなに詳しくない、でも大丈夫なんだろう、リリスさんは「魔導の祖(オリジン・ルーン)」と呼ばれるほどの人だし、なんと言っても神那の指示だし!


「うむ、いっちょやってみるかのぉ!」

「はぁ…… リリスのお願いじゃモチベーションが上がらない…… カミナ君のお願いだからやるけど…… はぁ……」

「おに~ちゃんの…… お願い…… うん」

「そうですね、全力でいきます」


 みんな心持はそれぞれだけど、『執行官断罪剣(エクスキューショナー)』への魔力注入を開始した。

 てか、私も見てないで参加しなきゃ…… でも一応、予知による警戒だけは継続しよう、エネルギー充填中って無防備になりやすいから。



 キュイイィィィィィィィン



「おぉ! これスッゴイ魔力を吸い取るのぉ! ふははっ♪ 何じゃコレ? こんな感覚初めてじゃ♪」

「うわっ! ナニコレ? メチャメチャ魔力使うじゃない! エネルギー効率悪すぎ! 私が先に改造しておけば良かった!」

「うっ…… スゴ……」

「あ~…… なにか神曲を唄った時の感覚に近いです、あれよりも勢いは強いけど……」


 うん…… なにかズルズルと魔力を吸い出されている感じ…… 私はこんな感覚初体験だなぁ。


「…………」


 リリスさんは制御に集中してるから何も言わないけど…… まだかな? もう結構な量吸われてると思う。



 ―――ィィィィィィィン!!



 音が大きくなる…… その音に共鳴する様にリリスさんの手に握られている『執行官断罪剣(エクスキューショナー)』が強い光を放ち始める。

 熱は感じないけどすぐ近くにいるリリスさんが歪んで見える…… これは空間が高密度のエネルギーで歪んで見えるのかな?


「対ショック、対閃光防御!!」


 え? いきなり言われても!? 事前に教えといてよ!?

 取りあえず魔力供給を緩め全員に重力制御を行う、目は自己判断で閉じてもらおう。



「『執行官断罪剣(エクスキューショナー)』……発射ッ!!!!」



 その瞬間、目を閉じているにも拘らず、視界は真っ白な光に包まれた……




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