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レヴオル・シオン  作者: 群青
第六部 「神の章」
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第313話 集結


 崩壊の危機だ! ……と、行ってみたモノの……

 取れる手段は何一つない、次元トンネル発生が自然現象なら原因を突き止めて力技で止めることも可能だろう。


 ウィンリーの協力があればエルニーニョだって止められる!

 魔王が8人もいればどんな自然災害だって止められる……気がする!

 台風だって! 地震だって! 巨大隕石衝突は厳しいかもしれないけど……


 しかしこの次元トンネル発生が“超”自然現象だったら話は別だ、超常現象とも呼ばれる事もあるアレだ。

 明確な原因がある自然現象とは異なり、原因も、前触れも、フラグ建ても無しに突然発生する超自然現象は魔科学を持ってしても解明不能だ。

 原因が無ければ事前に止める事など出来っこない


 出来るコトといえば、起こってしまった現象を無理矢理止めるだけ…… その方法も今のトコロは白の『事象破壊(ジエンド)』で現象そのものを破壊する……

 琉架の『両用時流(リバーシブル)』で現象が発生する前に時間を巻き戻す……


 これだけだ…… 出来るワケ無い、2000箇所だぞ?


「セリーヌから送られてきたデータがコレね」

「…………」


 うん、無理だ、世界中に分布している。

 わざとらしいくらいに世界中にバラ撒かれている、まるで「止められるものなら止めてみろ!」と言われてる気分だ。

 一つ一つ対処するのは無理だ。


 だったら出来る事はただ一つ! ティマイオスの守りを固めて放置する! もう知ったコトか!

 俺の努力の結晶である異世界間転移ゲートは1年を待たずにお役御免になってしまうが、そのシェアを維持するために更に働くなど御免こうむる!


 さすがにリリスも手の施しようがないと思ったのだろう、放置案に反対しなかった。

 もし反対してきたら「じゃあお前が独りでヤレ!」って言い返してただろう。


 …………いや、待てよ?

 ウチには魔王様の叡智の結晶がおられるじゃないか! あまり期待は出来ないが帰ったらウィンリーに聞いてみよう。



---



 ティマイオスへ戻るとすぐに妹に捕まっている囚われの魔王を救出、嫁魔王を我が手に取り戻した!


「おにーちゃんズルイ!! この間ウィンリーちゃんと白ちゃんの両手に花を堪能したでしょ!? 次は私のターン!!」


 いやいや、ウィンリーも白も俺のモノだ、お前の番など回ってこない、ずっと俺のターンだ!


「うぅ~! おにーちゃんのバカ!! このドーテー!! おにーちゃんの悪い噂を有る事無い事デクス世界に広めてやるぅ!! ぅわ~~~ん!!」


 伊吹は泣きながら走り去っていった…… いや! ちょっと待って!! 悪い噂をバラ撒くのは止めて!? 長い目で見れば実の兄妹であるお前にもダメージが入るぞ!


「のうのうカミナよ、ドーテーってなんじゃ?」


 ほらぁ! ウィンリーが余計な言葉を覚えちゃったじゃないか!



---



「次元トンネル発生のめかにずむ?」


 伊吹が去った後、改めてウィンリーに質問する。

 ちなみにドーテーに興味津々だったからピュアボーイって意味だと教えておいた、間違ってないよな? 但しこの言葉は使わないようにきつく注意しておく。


「あぁ、有翼族(ウィンディア)…… 即ち天使は元々次代神族(ネオ・ディヴァイア)陣営だったんだろ? それがシニス世界へ侵攻する為に用いたのが次元トンネル、だったらもしかしてウィンリーならそのメカニズムを知ってるんじゃないかな~って思って……」


 なんと言っても当時から生き残っている唯一の天使だからな。


「うむ、わからん!」

「やっぱり駄目か……」

「余がトンネルをくぐった時には常時開きっぱなしじゃった、生憎と開かれる現場には立ち会っておらんからのぅ」


 考えてみれば当たり前だった、終末戦争は1000年以上戦ってたんだ、ウィンリーに限らず、リリスやアーリィ=フォレスト、旧世代の魔王の殆どは戦争末期に生まれたんだ……

 例外があるとすれば上位3種族くらいか…… 聞く相手を間違えた、ウィンリーと同じく次代神族(ネオ・ディヴァイア)陣営だった魔王グリムなら知ってる可能性が高い。


 でも今は借りを作りたくないな、奴らの最終決戦に巻き込まれそうで……

 やはり放置が一番か……

 最終決戦が終わり、その時に事態が収拾していなければ、その時改めて聞きに行こう。


 まさか最終決戦で双方ともに全滅! なんてコト無いよな?

 もしそうなったらティマイオスは永遠に不可視化しよう、本当は魔王のシンボルにしたかったんだけど……


「カミナよ、そういうコトはアーリィに聞いてみればイイのではないか?」

「いや、俺もそれは考えたんだけど神代書回廊(エネ・ライブラリー)は2400年以上前の記録が原始神代言語で保存されてるんだ、これの翻訳は恐ろしく手間が掛かるらしい、アーリィ=フォレストがソコをピンポイントで調べているとは思えない」

「そうなのか…… しかし聞くだけならタダ……じゃ無いかもしれんか。

 前の時はミューズを倒してくれと言われたからのぅ」


 確かに……

 以前のアーリィ=フォレストなら交換条件を出してきただろう、しかし今は違う!

 隷属魔王として生まれ変わったアーリィ=フォレストは強めの口調で命令すれば逆らえない!

 てか、普通にお願いすれば聞いてくれる……


 確かに聞くだけならタダだな…… ふむ、だったら聞いてみるか。


「よし、さっそくアーリィ=フォレストを拉致ってこよう」

「……? 拉致?」



---



 O.A.O.図書館に入り浸っていたアーリィ=フォレストを強制連行。

 多少後ろ髪引かれる感じだったが素直に従ってくれた……

 なんでも言うことを聞いてくれる女の子…… ういやつめ。

 きっと悪い男に引っかかってたら借金の連帯保証人にされて今頃は風俗送りされていただろう、良かったな? 俺のような紳士に出会えて。


「おお! ココが私達の愛の巣……!」


 あれ? なんで俺の脳内設定を知ってるの?


「ちゃんとアーリィ=フォレストの部屋も用意してあるからな?」

「え? 私はカミナ君の部屋の隅っこの床にケージでも作ってくれれば……」


 んなワケいくか、室内犬じゃないんだから。

 いくら俺でも常時そんなプレイで女魔王を飼おうとは思わない。

 部屋の隅で縄で繋がれ、身に着けるのは全裸に首輪のみ…… いや、黒のニーハイを着けさせるのも悪くない……


 いやいや! やらないって!

 危ないトコロだった、そんなことをしたら他の嫁が全員実家に帰ってしまう。


「ふぅ…… んじゃ行くぞ」


 アーリィ=フォレストの手を掴み歩きだす。


「え? あの……ちょっと待って下さい! 建物の中に沢山の人がいますよ!?」

「心配するな、全員顔見知りだ」


 引きずる様にして、半ば強引にアーリィ=フォレストを俺の城へ連れむ、まるで彼女を強引にラブホへ引きずり込むカレシの様に……

 違うぞ? 決して禁域王宮(ハーレムパレス)がラブホっぽいワケじゃ無い、どちらかというと老舗洋風ホテルっぽい。


 大丈夫、大丈夫、何にもしないからさ♪ マジマジ♪ オレ嘘ついたことない♪



---



 リビングに足を踏み入れると琉架が真っ先に反応してくれた。


「あ、神那おかえり、それとアーリィさんもお久しぶりです」

「おっ…お久…………」ゴニ ョゴニョ


 なんかゴニョゴニョ言ってアーリィ=フォレストは俺の後ろに隠れた……

 なんでだよ? 前にも会ってるだろ?


「おぉアーリィ=フォレストよ! 久しぶりじゃのう……と言うほどでもないか、ついこの間会ったばかりだったな!」

「…………」


 ウィンリーはフレンドリーに接し、リリスは視界の隅へと音もなく移動する、実に対極的だ。


 俺の帰還を知り女の子たちが次々と集まって来る…… これも俺の人徳だな、ハーレム特性かも知れないが。

 都合が良い事に伊吹と筋肉が居ない、そしてここに八大魔王同盟が一堂に会した!


 8人全員が集まったのって初めてだよな……

 見てくれよ! ココにいる娘たちって全員俺の嫁なんだぜ? 地球に生まれて良かったぁぁぁ!


「私、アーリィさんにお礼を言いたかったんです、第3魔導学院を守って頂いてありがとうございました。

 伊吹ちゃんやサクラ先輩も助けて頂いたようで、本当に感謝してます」

「うぇっ!? いや…… その…… 別に…… あの……」


 アーリィ=フォレストはしどろもどろだ、普段 感謝され慣れてないからなぁ。


「あの…… アーリィ様?」

「ッ!!」


 ミラが話しかけるとビクッてなる…… やはりまだ駄目か。


「あーッ えーッ う~ッ!」


 アーリィ=フォレストは右へウロウロ、左へウロウロ、そして逃げ出した……

 魔王からは逃げられないって聞いてたんだけど、逃げられるんだ……

 そして逃げ込んだ先は彼女用に用意していた自室だ、どこの世界でも引きこもりは自分の領域に逃げ込むんだな。

 つーか、まだ教えて無かったのに何故そこが自室だと気付いた? 引きこもりと自室は惹かれあう運命なのだろうか?

 まったく迷惑な運命だ。


「あぅ…… 逃げられてしまいました……」

「大丈夫だよミラ、人の多さにテンパっただけだから」

「そうでしょうか? 明らかに私の顔を見て逃げ出しましたよね?」


 確かに引き金はミラだ、でも逃げ出すエネルギーは120%充填済みだった。

 だからミラは悪くない、悪いのは淫乱糞ビッチだ。


「私…… この先、彼女と上手くやっていけるでしょうか?」

「きっと大丈夫だ、アーリィ=フォレストは常にあんな感じだけど少しずつ変わって来てる、心配いらないよ」

「はい…… ありがとうございます」


 嫁同士は仲良くしてて欲しいからな、修羅場ハーレムとかマジ勘弁。


「アーリィ様にも協定に調印して頂かなければなりませんからね……」


 ん? 協定?




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