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レヴオル・シオン  作者: 群青
第一部 「異世界の章」
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第16話 仮同盟


 獣衆王国(ガブランド) 王都


「見えたぞ!! まだ襲われていない! 間に合ったんだ!」


 おっさんは興奮しているが、この国には王都を守護する軍は存在しないのか? そんな筈ない、常に魔王に狙われている筈だからな。となると、現国王が動けないのが原因か。確かに跡目争いとかやってる場合じゃなさそうだ。前線に出る王様なら後継者は育てとけよ……


 小高い丘の上に造られた王都の構造は街の中心の王城から東西南北に伸びる大通りに沿って色々な商店が立ち並びそれ以外の部分が宅地になっているようだ。しかし最大の特徴は、王都を囲う20メートルはあろう巨大な壁とそこに駐留する軍の存在だ。


 城壁内に駆け込むと、その時点で馬が倒れた。お前は良く頑張ったよ、たぶんこの旅で一番頑張ってた、二番目に頑張ったのが船酔いと戦った俺、三番目が俺の世話をしてくれた琉架だ……あれ? 他の奴ら何もしてないんじゃ無いか?


「急ぐわよ! 早く王城に戻らなければ!」

「落ち着け金髪獅子娘」

「そ……その呼び方やめなさい!!」

「じゃあオルフェイリア、お前は王女だろ。慌てた姿を国民に見せるな、この後戦闘が起こるかもしれないなら、なおさらだ」

「う…ぐ! で……でも……」

「姫様、小僧の言う通りです。堂々と行きましょう。その姿がネテロへのプレッシャーにもなります」

「おっさん、部下を走らせてオルフェイリアの無事と魔族襲来の情報を伝えろ」

「おう、わかっておる!」


 俺たちが打ち合わせしている間、琉架と先輩、それに白がキョロキョロしていた。ただ珍しがってるだけじゃなさそうだ。


「どうした?」

「あ、神那。何か感じない?」

「ん?」


 始めてくる場所だから違和感は感じないが……確かに……活気が少ないかな?


「何か、街全体が緊迫している気がする」


 白の狐耳がピクピク動いている。獣人族(ビスト)は総じて耳が良いからな。


「あなた達、行きますわよ! ついて来なさい」

「お姫様がお呼びだ、行こう」


 オルフェイリアが先頭を歩き、すぐ脇におっさんが控える。俺たちも一応警戒しながら後ろをついて行く。

 大通りを堂々と歩くとすぐに注目の的だ。周囲から「姫様だ」「ご無事だったのか」と言った声が聞こえてくる。幼女の声で「姫姉さま」って聞こえてこないか注意していたが、そんな声は無かった。残念。


 そのまま何事もなく王城の門まで辿り着く、やはり街中での襲撃は無かったな。


 ゴゴゴ……と重そうな扉が音を立てて開くと、その向こう側から金髪獅子耳の髭オヤジが現れる。どうやらこいつがネテロ・バルザス・レイガルド、オルフェイリアの叔父らしい。


「おぉ、オルフェイリア! 無事だったのか! よくぞ戻った、心配したぞ!」


 想像していたセリフと寸分違わずの労いの言葉をいけしゃあしゃあと述べてくる。オルフェイリアのこめかみがピクピクしているがここは堪えろよ?


「御心配お掛けしました叔父上、私からの伝言はお聞き及びになっておられますか?」

「うむ、魔族襲撃の話じゃな。しかし既に二日前に北の大平原に討伐部隊を出しておる、案ずる必要は無いぞ」


 ん?


「は? 何を仰っておられるのですか? 私の情報は南からの襲撃ですが?」

「なに? お主こそ何の話じゃ、南からは何も情報など入っておらんぞ?」

「まさか……ご存じないのですか? 狐族の村が滅ぼされたことを……」


 白の顔が暗くなり俺の右腕に頭を寄せる。


「ば……馬鹿を言うな! 狐族は狩猟族だぞ、戦闘力なら獣人族(ビスト)の中でも上位なんだぞ! それが滅ぼされるなどあり得ん!」

「…………彼女の証言です。狐族の生き残りの……」


 白の頭を撫でてやる。いやこっち見んな俺は違うから。


カン!! カン!! カン!! カン!! カン!! カン!! 


 木の板を打ち鳴らすような音が響き渡る。どうやら来たらしい。


「叔父上! 一刻も早く王都護衛軍に指示を!!」

「そ……そうじゃ、そうじゃった!」


 そう言って城の中に入っていく、俺たちもそれに続いた。



王都防衛作戦室


 王城の高い位置に造られた防衛用作戦本部、ここからは周囲を360°見渡す事が出来る。おぉ~なかなかの絶景……ん? 何か大きいのが見えますよ? まさかまた巨人魔族か? 確かにアレは都市攻略に最大の力を発揮するだろうけど……


「なぁ白。もしかしてあれか? お前の村を滅ぼしたのって……」


 白がまだ遠くにいるソレを睨みながら頷く。そうか、仇か……


「神那、アレなんだろう? 木の大きさからして15メートル位かな? ゴーレムっぽいけど……」

「15メートルなら城壁を越えられないだろう、しかし前に見たストーンゴーレムとは全然違うな、アレきっと炭鉱族(ドワーフ)が造ったんだろ?」

鋼鉄人形(スチール・ゴーレム)の……試験運用って……言ってた……」


 白がポツリとつぶやいた。スチール? 鋼鉄製のゴーレムとかロボットかよ。そして試験運用か……ウィンリーの情報は確かだったようだ。第8魔王は戦争の準備をしている!


「1000人しか残っていない!?」


 オルフェイリアの声が作戦室に響く。


「あ……案ずるな、1000人もいれば十分王都は守れる。今、主力軍に伝令を出した。戻るまで籠城すればいい」

「二日前に王都を出た主力軍が戻るのにどれだけ掛かると思っているんですか!? 伝令がどれだけ急いでも三・四日は掛かります!!」


 街に活気が無かったのはそのせいか、自分たちを守ってくれる軍隊が不在だから、わずかな怯えが出ていたんだろう。こんな時にもし敵が現れたら…………あ、そうか。


「オルフェイリア、あのゴーレム、たぶん城壁を破壊するぐらいのパワーを秘めてるぞ」

「え? な……何を根拠にそんな……」

「鋼鉄製のゴーレムだぞ、あのゴーレムが鈍重なのは見てれば分かる。城壁は人型種族(オールセトラ)相手なら正に鉄壁の守りだろう。しかしあのサイズのゴーレムからしたら薄い鉄板程度の強度だろう。まして相手が鋼鉄人形(スチール・ゴーレム)なら障子紙を破くより容易いだろう」

「そ……それじゃ籠城策は……」

「無理だな」


 オルフェイリアの背後に『ガーン』ってオノマトペが見えた気がする。


「一番“犠牲”が少なくて済むのは王都を放棄して逃げることだな、あのゴーレムは足が遅いから周りの魔族を片付ければ犠牲者は最小限に抑えられるだろう……が」

「そんなこと出来る訳ないでしょ!! 王都には何万人のヒトが暮らしていると思ってるの!!」


 ですよね~


「そうなると……多少の“犠牲”は覚悟しないといけないか……」


 どう行動するのが正解か……考えていると、ズン!ズン!ズン! と何かが近づいてくる音がする。

 うるさい! 人が考え事をしている時にデカい音を出すな!


 バーン!! 扉が吹っ飛ぶくらいの勢いで開かれた。


「ガハハハハ!! 随分面白そうなことになっておるのぅ!!」


 入ってきたのは筋骨隆々の大男、見た目はまさにライオン人間だ。声も、態度も、体も、全てがデカい男だ。


「お……お父様……?」

「兄上……?」



 は? 今なんて!?


「おぅおぅ! これは大変なことになったみたいだな!」


 ライオンキングは二人を無視してゴーレムを眺めている。ちょっとまて! 誰か説明しろ、現国王は重傷を負って臥せっていたんじゃないのか?


「お父様……いったい何が……?」

「なんだ!? あの程度のかすり傷で死ぬと思ってたのか!?」

「兄上……上半身と下半身が離れるのは、かすり傷とは言いませんよ……」


 即死レベルでした。うん、それなら死にかけって言ってもしょうがないじゃないか。間違ってない。

 しかし、現国王がピンピンしてると予定が狂う、くそっ! 素直に……ゲフンゲフン……してればいいのに!


「ちょっと寝ている間に色々あったようだな、それで主力軍はどこ行った?」


 ネテロおじさんの顔が真っ青だ、まあ外道だしざま~みろって感想しか出てこないな。


「困ったことになったな、ワシも病み上がりであんなのの相手は流石に無理だ」


 病み上がりじゃ無かったらいけたんか!? 何だろうちょっといけそうな気がする……


「うむ、決めたぞ! お前ら二人どちらでもいいからアレを何とかしろ! 犠牲者を出さずにだ!! うまくいった方を後継者にする!!」

「そ……そんな無茶な……」

「あ……兄上じゃあるまいしそんな事、出来るわけ……」

「お前らが使えるものは何でも使っていいぞ! 主力軍は使えんがのぅ! はっはっはっ!」


 嫌味か素か分からないが、これでネテロおじさん脱落だろう、今いる手駒は王都護衛軍1000人、そいつらを使っても止められる可能性は無い、それどころか絶対犠牲者が出る。獣人族の中でもトップクラスの狐族が滅ぼされたくらいだからな……


 残るは……


「……………………………………………………」


 あ、オルフェイリアの目がレイプ目になってる。そりゃそうか、ネテロおじさんには手駒が1000人いたのに、自分の手駒は猫耳のおっさんが一人しかいないからな。


「ねぇ、神那ならどうする?」

「さっき言ったろ、犠牲を出したくないなら逃げるしかない、それ以外はどうしても犠牲が出る」

「ふ~ん……“犠牲”なんだね、“犠牲者”じゃなくて……」


 オルフェイリアの目に光が戻る。超・期待の眼差し……そんな目で見るんじゃねーよ。俺はお前がピンチになっても助けないと決めてるんだ。


「はぁ、琉架……ワザとだろ……」

「えへへ……でも、お姫様が後継者にならないと同盟の話もナシになっちゃうよ?」


 だからと言ってあのライオンキングが将来を見据えた決断を下せる脳みそがあるとは思えない。あいつ絶対脳筋だよ。目の前にシビレ生肉置いたらどんなに止められても食いつく奴だ。


「う~~~~ん」

「私も手伝うから、ね?」


 琉架のお願いを無下に断る事は出来ない。てか、分かってる。やらなきゃここまで来た意味が無い。俺は何のためにあの苦しい船旅を越えてきたんだ? しかも帰りも乗らなきゃいけない。


「くそぉ!! オルフェイリア! お前に叶えてもらう願い事は三つに増やすからな!!」


 ヤルならヤルで少しでも王都から離れた場所で始末しなければならない。俺と琉架は返事も聞かずに窓から飛び出した。


「な!? ちょっ!! 二人とも??」


 先輩が慌てて窓に駆け寄る。いや先輩だけじゃない、その場に居た全員が駆け寄った。

 俺たちは飛び降りた訳じゃない。ウィンリーの羽根を使って緩やかな放物線を描くように飛んでいる。そして城壁の見張り塔の屋根に着地した。


「それで私は何をすればいいの?」

「ここだと射程距離外になる、ゴーレムの足止めと周りに足場を作ってくれ。結構キツイと思うけど……」

「うん、大丈夫。がんばる!」


 自分を身体強化し琉架に目配せする。


時由時在(フリーダイム)・停止結界』


 ゴーレムの周囲に黒い板がいくつも発生する、それはゴーレムにも食い込み動きを止める。限定空間の時間を止めて作り出したそれは、自分の体を破壊でもしなければ動くことは出来ないのだ。

 琉架が作り出した足場に飛ぶ。左の掌から血で作り出した糸を出し、ゴーレムを縛り上げていく。


「弐拾四式血界術・拾八式『縛導陣』」


 ダサカッコいい技名をつぶやきフィニッシュを決める。この技名、実は結構重要なのだ。師匠が当時の俺に合わせて作ってくれた技名でコレを口に出す出さないで、技の威力・精度が20%(当社比)も違ってくる。自分自身を高揚させる・気持ちを昂らせる・気合を入れる、そういったものが技に影響を及ぼすのだろう。

 当時の俺はこの技名を喜んでいた……実は今でも結構好きだ。しかし人前で叫ぶのは流石に恥ずかしい。仲間に同類でもいれば吹っ切れるかもしれないが……


 ゴーレムの足元付近から魔族の魔法攻撃が飛んでくるのを避けながら城壁に戻る。


「琉架、衝撃に備えとけよ」

「うん、了解!」


 大きく深呼吸して血糸を起爆させる。


「爆導索!!!!」


 ゴーレムに巻きついた糸が連鎖爆発を起こす、すると……


 カッ!!!! 目も眩む閃光の後、王都中の建物を震わせるほどの大爆発が発生する。


「うぉぉおお!?」

「きゃぁぁぁ!!」


 ヤバイ!! 予測してたより規模がデカい!! やはり近すぎたか!?

 凄まじい衝撃波が襲ってきた。


---

--

-


 ゴーレムの立っていた場所は、直径100メートルにもなる巨大なクレーターが出来ていた。街は城壁のおかげで辛うじて無事だった。もっとも、その城壁は一部崩れてしまったが……恐らく人的被害はないだろう、軍が居なかったのは不幸中の幸いだ。

 危なかった……俺が街を破壊したらライオンキングに地の果てまで追い掛け回される所だった。


「神那ぁ~……やり過ぎだよぉ」


 琉架から非難の声が上がる、俺も同意見だ。これはやり過ぎだ……大見得切って仕留めきれなかったら恥ずかしいから、イケると思った規模の二割増しでやったらやり過ぎてしまった。しかしこれなら上出来だろう、“犠牲”も巨大な穴一つで済んだのだから、でも次からはもっと謙虚に生きて行こう。



---



 作戦本部へ恐る恐る戻ってみると、ライオンキングがご満悦だった。


「がはははっ!! 良くやったぞ! さすがは我が一人娘だ!」

「きょ……恐縮です、あの……お父様……痛いです……」


 ライオンキングが娘の背中をバンバン叩いている。アレは痛そうだ……

 それよりオルフェイリアは今回の事件で何かしたか? ただ攫われただけじゃないか、いったい何が「さすが」なのか?

 父親は高い戦闘能力から来るカリスマを持っていた様だが、娘に同じものは期待できない。この子にライオンキングが継げるか疑問だが、まだまだ元気一杯の現国王に教育してもらえば、いずれはカリスマも身に付くだろう。


「それでそこの狐族と兎族は何だ? どうも擬態しているようだが?」


 見破られた。ただの脳筋じゃないのか? もっとも俺たちは未だに学院の制服姿だ、そこから推測を立てたのだろう、狸族はノータッチだったし。


「私が雇ったAランクギルドの人族(ヒウマ)です」


 何か自慢げに言ってる……人の事を役立たず発言していた癖に、調子のイイ奴め……


「先ほど『同盟』がどうのと言っておったの……」


 聞こえてた、流石は地獄耳の獣人族(ビスト)だ。どちらにしろオルフェイリアがすぐに王位を継ぐ訳じゃないなら現国王に根回しは必要だ、俺個人のビジョンを発表しておく事にするか。


「俺たちは近々、第11魔王を討伐するつもりです。問題になるのは生き残りの魔族、そして第8魔王の存在です」

「ふむ、ウォーリアスならそのチャンスに間違いなく攻め込んでくるだろう」

「まだ交渉してないが、トゥエルヴの国軍にも動いてもらうつもりだが出来る事なら万全を期したい。つまり魔王が不在になった第11領域を第8魔王に掠め取られないよう、陸続きのこの国の力を借りたい」

「それで我々との同盟か……」


 この話だけならローリスク・ハイリターン、棚からぼた餅だろう。

 いきなり人族(ヒウマ)獣人族(ビスト)で協力し合って一緒に魔王と戦いましょう。なんて言っても無理だろうからな、半年でどうにかなる問題じゃない。


「よかろう、同盟を結ぼう」


 あれ? 即決!? オルフェイリアは毎回長考してたのに、これが脳筋の成せる業か。


「ワシも傷を負ってから、ずっと考えておったのだ。立場の近い人族(ヒウマ)との同盟を」

「お……お父様が同盟を?」

「そうじゃ、獣人族と人族にとって、第8・第11魔王は共通の敵。敵の敵は味方だろ?」


 とてもシンプルな答えだ、しかしそれだけに真理といえる。両魔王は確かに我々の敵だ。


「何よりワシはこいつらが気に入った、アレだけの力があれば、もしかすれば本当に魔王を倒せるやもしれん」

「その口ぶり……まさか……魔王と戦ったことがあるのか?」

「おぉ、ワシの身体を2つに分けたのは、ウォーリアス・アンダー・ザ・ワールドじゃからな」


 マジか? 魔王と戦って生きて戻れるとかコイツ本当に不死身か?


「後学の為にその魔王の話を……」

「まあまて、その話は後でもよかろう。まずやらねばならん事があるだろ?」


 やること? 被害状況を調べて損害賠償請求とかか? …………まずい、やはり逃げべきか?


「宴に決まっておろう!」


 何か海賊みたいなことを言い出したぞ……試験運用のゴーレムを破壊したぐらいでいちいちやる事か? いかにもそういう事が好きそうな王様だしな、素直に乗っておこう。結構血を使ったから補充したいし。

 全員、部屋を出て行こうとした時、誰かに袖を摘ままれ立ち止まる。


「………………」


 俺を引きとめたのは白だった。


「どうした? 白、行くぞ?」

「私も……行く」

「? あぁ、だから行くぞ?」

「行く……魔王倒しに……行く」

「………………は?」



---



「がっはっはっ!! そうか、トラベラーだったか! 魔導というものは大したものだのう!!」

「いや……アレは魔導じゃ……」

「がっはっはっ!! ところでカミナよ、お前たちこの国に移住する気は無いか!!」

「いや……移住したら、魔王討伐が……」

「がっはっはっ!!」


 駄目だ、こいつまるで聞いてない。この酔っ払いめ。


「がっはっはっ!! ところでカミナよ、お前に娘を嫁にやろうと思うのだが!!」

「ちょっ……お父様!! 飲み過ぎ!!」


 オルフェイリアは後継者にするんだろ? 嫁に出してどうする。


「お断りします」

「あ……あなた少しは気を遣いなさいよ!!」

「はぁ、今だったら第三夫人の席が空いていますよ」

「あ…あなた、私を誰だと思っているの?」


 オルフェイリアがマジでキレる5秒前……冗談だろ? そんなに怒るな。


「がっはっはっ!! そうかそうか、では第三夫人で予約だな!!」

「おとーさまーーーっ!!!!」


 オルフェイリアがマジギレ、だから冗談だろ。琉架と先輩も冷たい視線を送ってくる、冗談ですよ~。


 この様子じゃ魔王の話は聞けそうにないな。しかたない今夜は食うことに集中しよう。この後にハードな話し合いが待っているからな……



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