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レヴオル・シオン  作者: 群青
第三部 「流転の章」
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 閑話 王連座談会


 魔王討伐戦出発前夜……


 北方砦の中央要塞の一室、そこに世界的に有名な人物が集まっていた。


「よ~っす、久しぶり」


 入ってきたのは王連授受の一人、剣術を極めし者『剣王』レヴィン・C・シルバーソード。


「遅い! なんでお前はいつもいつも時間を守れないんだ!」


 そんな剣王レヴィンを非難しているのが王連授受の一人、弓術を極めし者『弓王』シルヴィア・G・スナイプアロー。


「別に久しぶりでも無いだろ、3ヵ月前にも一堂に会している」


 冷静に返したのは王連授受の一人、槍術を極めし者『槍王』シュタイナー・A・アッシュランス。


「とは言え時間は守って欲しいモノだねぇ、アタシはあんた等と違って残された時間が少ないし、夜更かしは美容の大敵さね」


 ナチュラルにボケを挟んできたのが王連授受の一人、魔法を極めし者『魔法王』ラケシス・W・ネクロノミコン。


 王連とは戦闘に関する一つの技能を極限まで鍛え上げた人に与えられる称号であり、王連授受とはその称号を持つ者の総称である。

 世の中には『拳王』や『盗王』なんてのもいるが、この四人こそが王連授受の中でも特別な存在と言われる『四天王』だ。


「はっはっはっ! 相変わらずだなバーサン、心配しなくたってバーサンは俺達よりも長生きするし、肌も瑞々しくってキメ細かいよ」

「イヤだねぇ、最近は本気で乾燥を気にしてるってのに、あんまり乙女の肌をジロジロ見るもんじゃ無いよ!」

「はっはっはっ! 大丈夫!大丈夫! これっポッチもカサカサしてないから」


「ハァ…… ラケシス殿…… このバカにいちいち付き合わないで下さい」

「なんだとぉ?…… あれ? シルヴィア……お前、目尻の辺りに…… なんかシワっぽいのが……」

「表に出ろ!この飲んだくれがぁ!! 私の老化が始まるのはまだ100年以上先だ!!」

「おもしれぇ!! 剣術が弓術より優れているって事を教えてやる!!」


 一発触発の空気が部屋に充満する。


「落ち着け二人とも、レヴィン、悪ふざけが過ぎるぞ?

 シルヴィア、貴女の目尻にシワなど無いから安心しろ。貴女が乗せられてどうする?」

「ぐっ……! し……失礼しました……」


 槍王シュタイナーのおかげで激突は回避された。


「二人は相変わらず仲が悪いのぉ…… 若いころは同じギルドに所属してた事もあったんじゃろ?」

「ははっ、大昔に半年程度だけどな。あの頃のシルヴィアは可愛かったのになぁ……」

「だまれ! 私の見た目はあの頃から変わっていない! お前はオッサンになったがな!」

「ヤレヤレ……」


 どうにか落ち着いてくれたようだ、決戦前だというのに……



---



「それにしても魔王城にコッチから仕掛ける事になるとはなぁ…… 第10魔王か…… どんな奴なんだろうな?」

「アホか貴様? そんな事も知らんのか? 第10魔王とは機人族(イクスロイド)出身の魔王で、1200年間一切表舞台に出てこなかったヤツだ」

「んなこたー知ってる。俺が聞きたいのは見た目は? 性別は? そしてどんな能力(ギフト)を持ってる?」

「そ……そんな事を知ってる奴がこの世に居るハズ無いだろ! それこそ第10魔王本人以外にはな……」

「そーなんだよなぁ…… こんな事言っちゃぁ何だけど、大丈夫なのかねぇ?」


 …………


 部屋の中が沈黙に包まれる…… この世界に暮らす者ならば誰もが思う、本当に勝てるのか?

 そんな重苦しい空気の中、槍王シュタイナーが口を開く。


「魔王は無敵じゃ無い、それは既に証明されている。人の力で倒しうる存在だ」


「………… まぁ確かにな……

 既に第11魔王レイド・ザ・グレムリン・フォースが……

 そして第8魔王ウォーリアス・アンダー・ザ・ワールドが倒されている。

 更に最近、第6魔王ミューズ・ミュースまで討たれたって言うし……」


「えぇ…… しかもその三魔王を倒したのは全て一つのギルド、噂のSSランク『D.E.M.』」


「そう! D.E.M. ! 前に一回、古来街道での防衛任務で会った事があったんだが、今日見たら知ら無い顔が三人も増えてたぜ? しかもギルマスとして紹介されてたのが、その初めて見るガキ!

 あの賢王のデッカイのがギルマスじゃ無かったのか?」

「ヒェッヒェッヒェッ、ジークはあくまでも代理じゃよ、あの性格の悪い小僧こそがD.E.M. のギルマスじゃ」

「おうバーサン、相変わらず妖怪っぽい笑い方だな? てか、あいつの事知ってるのか? そう言えばさっき話し掛けてたが……」

「以前アルカーシャ王国でのぉ、性格は悪いがとにかく強い。

 大変革(レヴオル・シオン)後に魔王討伐軍の生き残りに聞いたんじゃが、あの小僧が第11魔王を倒したそうじゃ。

 ちなみに長い黒髪の娘が居たろ? あの娘が第8魔王を倒したらしい」

「アレが…… 魔王殺し?」


 D.E.M. のギルマス、キリシマ・カミナの姿を思い出す…… 正直、強そうには見えなかった。


「D.E.M. のキリシマ・カミナ…… そう言えば良くない噂を何度か耳にしたことがあるな……

 確か…… 人間の皮を被った悪魔だとか……」

「へぇ…… 悪魔ねぇ…… 面白い奴だな」

「ちょっかい出すのは止めておいた方がいいぞ、悪魔かどうかは知らんが、少なくともアタシは絶対に御免だね、魔法使いではアイツに絶対勝てない、何せ魔法無効化術が使えるんだから」

「なるほど…… 魔法王たるバーサンの天敵みたいなヤツだな。尚更興味が湧いてきた!」


「このバトルマニアのバカは…… せめて魔王討伐作戦が終わってからにしなさいよ?」

「確かに面白い奴であるのは認めるが、やはりおススメはしないねぇ。あのボロっちい勇者がアルカーシャ王国で小僧に挑んで酷い目に遭ってたらしいからな」

「勇者が? てか、勇者が二人いたな、ありゃ一体なんだ?」


「勇者ネヴィルってヤツは初めて見たが、勇者ブレイドはある意味有名人だな」

「なんだシュタイナーはあのボロっちいのの事知ってるのか?」

「むしろなんでお前は知ら無い? 1年半くらい前にお尋ね者になってただろ。

 ウチの団員の目撃証言によると、キリシマ・カミナに挑もうとして街中で抜刀したのが原因だとか……」


「あぁ、そりゃきっとあの小僧にハメられたんだね、同じ目に遭いたくなければ迂闊なマネはしない事だね」


 しかし剣王レヴィンの顔には笑みが浮かんでいた。


「このバカは一度痛い目に遭った方がイイわね。私は噂のキリシマ・カミナ君に期待させてもらうわ」

「もしかしたら王連授受・四天王の席が一つ空くかもねぇ…… どうなってもアタシャしらないよ? 一応止めたからね?」

「キリシマ・カミナ……か」


 王連座談会は第10魔王との決戦を目前に控えながら、何故か新・第11魔王の話題で持ちきりだった……




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