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レヴオル・シオン  作者: 群青
第三部 「流転の章」
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第122話 エメス戦役・後編


 ゴーーーン! ゴーーーン! ゴーーーン!


 鐘の音が大空洞の天井に反響し響き渡る。

 大空洞標準時で9時を知らせる鐘の音だ。ちなみに夕方の5時にも同じ鐘が鳴る。

 城下町の宿で聞いたのだが、この鐘の音が戦いの合図らしい。


 本格的な殺し合いに発展した戦いなのに、律儀に時間を守っているらしい。

 元魔王軍とは思えない律義さだ…… 特に劣勢であるブルマン派はそんな余裕あるのか?


 俺だったら引いたと思わせて後ろから攻撃するね。

 そもそもコレは暗黙の了解で、正式な取り決めでは無い。勝負とは非情なモノだ、世の中勝てばよかろう!なのだ。

 卑怯だとか言われるかも知れないが、そんなモノは糞の役にも立たん。

 勝たなければいけないのだ。特にこの一戦は大空洞の…… 炭鉱族(ドワーフ)の未来が掛かっている。綺麗事など何の意味も無い、勝った後に考えればいい、何故なら正義は勝つからだ。

 それは即ち勝ったモノが正義なのだから……


 青峰(せいほう)のブルマン…… 英雄の孫と呼ばれている彼は、堂々と卑怯な行為は出来ないのかも知れない。

 だが甘い、そんな事を気にしている場合では無い。

 負ければ大空洞に未来は無い。負ければ自分を信じ付いてきた者が皆殺しにされる。

 これだけのモノが天秤に掛けられたら、俺は躊躇なく鬼畜作戦を実行する。

 我輩の辞書に「卑怯」「卑劣」「姑息」の文字は無い。だから気にしない。


 もっとも、俺達はこれからこの愚かな戦いに介入するが、鬼畜作戦を展開するつもりは無い。

 アイツ等が滅ぼうが、迫害されようが、どうでもいい。

 この介入は炭鉱族(ドワーフ)妖精族(フェアリア)の未来のためじゃ無い。

 ハッキリ言えばアイツ等を戦争の「コマ」にしようとしてる。


 魔王という役職が板についてきた感じだ。


 結果的に彼らの為になるが、戦争に参加すれば当然死者も出るだろう。

 ならば最初から「コマ」と割り切ってしまった方が精神衛生上良い。


 下手に感謝とかされたら、居た堪れない気分になるからな。


「神那、両軍とも動き出したよ?」

「あぁ、じゃあこっちも始めるか」


「第2階位級 金属魔術『神剣・天叢雲剣』シンケン・アメノムラクモ」


 今回は実益重視で金属魔術を選択する。

 インパクトを求めるなら火炎魔術の方が良いだろうが、魔の王として高みから愚か者共を見下ろすお立ち台が欲しいからな。

 うん、実に嫌な感じだ。悪の魔王に相応しい。


「穿て!」


 両軍のど真ん中、街道の中心に神剣を突き立てた。



---



「静まれ! 愚か者共! せっかく魔王の支配から開放されたのに同胞同士で殺し合うとかアホの極みだ!」


 いきなり煽る。

 いや、分かってるんだ。彼らだって考え抜いた末の行動だと。それでも愚かな選択と言わざるを得ないが……


「か……神那ぁ、言い過ぎじゃ無い?」

「イイんだよ、俺達には魔王の威厳なんてないからな。初手から相手を威圧してかないと」

「う~ん…… そういうモノなの?」


 まあ、こんなモノ言いじゃ確実に反発するだろうし、威厳なんか出るハズも無い。



「貴様一体何者だ! いや、そんな事はどうでもいい! 貴様はどちらの陣営につくつもりだ!」


 下からデッカイ声で話し掛けられる。

 アイツが恐らく『白嶺(はくれい)のキリマンジャロ』だろう。


「はぁ? なんでお前らの下につかなきゃならないんだよ? こっちはお前らに道筋を示すために来たんだぞ?」


 何を言ってるんだ?って顔をされた。そりゃそうだ。


「鈍い奴らだな…… つまりお前らの支配者になってやるってコトだよ」


 おぉ、怒りのオーラが溢れ出した。元・第一位使途って話だが、やはりプライドが高い様だ。

 いや、プライドは関係ないか。こんな事言われたら誰だって怒る。実際戦場全体から怒りのオーラが立ち上っている。


「くっ…… くっくっくっ! 貴様等! いきなり出てきて何様のつもりだ!!

 「支配者になってやる」だと? ふざけるな!!」


 我々が魔王だという事にやはり気付かないか…… 第8魔王の力を継承している琉架なら、あるいは気付かれるかと思ったが……

 先代魔王が死ぬと使途は力を失い元の生物に戻る…… アイツは只の炭鉱族(ドワーフ)だ。


 もしかして魔王を生み出した者が死ねば俺達も元の生物に戻るという事があるのだろうか?

 もっとも『終焉の子』が未だに生きてるのか…… いや、生きて無いか。古代神族(レオ・ディヴァイア)は滅びたんだから。


 まぁいい……


「俺たちは五大魔王同盟から来た! こちらにおわすお方こそ、恐れ多くも新たな魔王様!

 新・第8魔王 “女神” 名前は匿名希望だ!」


 顔を赤くした琉架に肩をペチペチ叩かれた…… 照れてる…… 可愛い……

 例え魔王になっても琉架の可愛さは永久に不滅だな。俺も一生ゴッデスファンでいる事を誓う。


 下の方からは魔王という言葉に恐れと疑念の声が聞こえてくる。中には笑い声も……


「がっはっはっはっ!! まさか魔王の名を語る者が現れるとは、思いもしなかったぞ!」


 まぁいきなり言っても信じるワケ無いよな。

 ましてや女神を魔王と紹介してるんだ、違和感MAXだ。

 きゅうりを見せて「コレがズッキーニだ」と言うようなモノ、全く別物だ……

 …………

 うん、この例えは失敗だった。


 アイツ等が信じようが信じまいがどっちでもいい、どうせ力で捻じ伏せなきゃならないんだ。



「俺が新・第11魔王 “禁域王” だ。名前はこっちも匿名希望で」


 こちらも名前は伏せておく。

 俺を知ら無い人物なら“禁域王”から女誑しを連想する奴はいないだろう。禁域王って二つ名はちょっとカッコイイし、まぁ悪くない。


「もういい…… 魔王の名を語る愚か者に付き合っている暇は無い。殺せ!」


 不機嫌オーラが殺気に変わった。


「もぅ! 神那、相手を怒らせ過ぎだよ、これじゃ交渉なんて出来ないよ?」


 どうやら琉架は交渉で何とかなると思っていたらしい。さすが俺の女神は良い子だ。

 確かに相手に魔王だと信じ込ませる事が出来ればそれも可能だっただろう。しかしアイツ等も1年にも渡って不毛な戦いを繰り広げてきたんだ。

 落としどころが必要だ、自分たちを支配するに相応しいだけの力を持っているかどうか…… それを分からせる為には必要な行為なんだ。


「大丈夫、確かに俺たちは魔王だけど、死の恐怖でアイツ等を縛り付けて無理矢理言う事を聞かせるつもりは無い。もちろん殺す必要も無い」


 ただし、死以外の恐怖は味わってもらうが……


「それじゃ琉架、頼む」

「ホントにイイの?」

「あぁ、後は俺が何とかする」

「え~と…… 『星の御力(アステル)』重力5倍」


 過重力フィールドが展開され、範囲内に居た者たちが大地に膝をつく。

 魔王ウォーリアスのギフトだ、元魔王軍なら知っている奴もいるだろう。


「ぐおおぉぉお…… バ……バカな! この力はウォーリアス様の……!! あり得ない!!」


 どうしても信じたくなかったのだろう、力の差は歴然なのに攻撃してきた…… 実に愚かな事だ。

 当然、戦車砲は届かない。重力波の影響なんか簡単に計算できないだろう。

 ならばどうするか? 次は魔法攻撃だ。


 当然俺に魔法攻撃など通用しない。


「敵を貫け! 炎の矢(ファイヤーアロー)!!」

「炎帝より賜りし槍よ! その力を持って敵を焼き滅ぼせ! 火炎槍(フレイムランス)!!」


反魔術(アンチマジック)


 パキィィィィン!!


 炎の矢と槍は目標に届くこと無く空中で消え失せる。


「それじゃちょっと行ってくる」

「うん、その……気をつけて……ネ?」


 コレはどっちの意味の気をつけてなのだろうか?

 俺の身を心配しているのだろうか? それともやり過ぎない様に注意しろという事だろうか?

 琉架の言葉だからな…… たぶん前者だ。


 馬鹿デカい天叢雲剣から飛び降り、ウィンリーの羽根の効果で戦場に静かに舞い降りる。

 今回はデモンストレーションの意味合いが強いので、圧倒的な実力差を見せつけなければならない。

 しかし顔は見せたくないので大立ち回りは出来ない。


 ココはマンガに倣ってアレ(・・)をやってみよう。


「うおおおぉぉぉおお!!」


 幾人かの戦士系は5倍の重力の中でも立ち上がり攻撃してくる。

 炭鉱族(ドワーフ)は身体強化魔法が得意な奴も多いと聞く。それでも一歩足を踏み出す度に、地面に大きく沈み込むためにスピードは無い。


 先頭を来る戦士の背後に体重ゼロ状態を生かし軽やかに回り込む、そして首筋に手刀を当て一撃で気絶させる。

 所謂「首トン」ってやつだ。

 もちろんマンガじゃないんだ、こんな事で意識を奪う事など出来るはずが無い。

 そもそも俺にそんな技術は無い、本気でコレで相手の意識を刈り取りたかったら身体強化を掛けて全力で手刀を叩き込むしかない。

 そんな事をしたら相手の首が落ちそうだが……


 なのでこっそり『睡眠針(スリーパー)』で眠らせている。

 これなら軽く「トン」って叩くだけで良い。そのほうが強者っぽい印象を与えるのはマンガで見た。


 こちらに向かってきた5人の戦士の背後に次々と移動し、その全てに『睡眠針(スリーパー)首トン』を叩き込み戦闘不能にする。

 圧倒的な戦闘能力の差を見せつける。そして白嶺(はくれい)のキリマンジャロを睨みつける…… 目元はフードで隠れている為、ただ顔を向けただけになってしまったが……


「さてどうする? キリマン、まだ魔王に逆らい続けるのか?」

「ぐっ……ぐぐぅ…… み……認めるモノかぁぁぁああ!!!!」


 キリマンジャロは魔王ウォーリアスを彷彿とさせる巨大な戦斧を持ち上げ、こちらに向かってきた。

 この過重力フィールドの中でよくあんな重量武器を持ち上げられるな、さすがは腐っても元・第一位使途。大したものだ。

 他の戦士たちより移動速度が速い、どうやら地位だけでリーダーになった訳じゃ無く、この集団の中で一番強いからリーダーになったようだ。


「ガアアアァァァアア!!!!」


 しかし悲しいかな、5倍の重力の影響を受けた奴は遅い…… 他の奴よりは速くても、通常時に比べれば悲しい程に遅い……


 ヒラリ

 ドガアアアァァァン!!!!


 攻撃自体は重力の影響で威力を増しているだろう、小さなクレーターが出来た。


「ぐっ…… くそぉ!!」


 もう一度、巨大戦斧を持ち上げようとしているが持ち上がらない…… 今の攻撃で腕をやってしまったのではないだろうか?

 過重力で重くなった戦斧を無理やり持ち上げた影響で筋繊維が切れたか、今の攻撃の衝撃で骨がイカレたか……

 考え無し過ぎるだろ…… マジで愚か者だな。


「はぁ…… まだ分からないのか? 元使途如きが魔王に勝てるワケ無いだろ?」


「くっ…… 舐めるなぁぁぁ!! 岩石魔法『岩石挟み(グランドプレス)』!!」


 両脇の地面が急に持ち上がり、俺目掛けて超高速で迫ってくる。

 要するに岩石サンドウィッチだ。


 ドゴオオォォォン!!!!


「ハァ、ハァ、ハハハハハハッ!! お前のような細い子供にこの重圧攻撃が耐えられる訳が無い!!

 どうだ!? もし本当に魔王だというなら反撃してみろ!!」


「言われなくてもそうする」

「!?」


 背後から声を掛け、振り向いた所へ顔面にカカト落としを叩き込んでやる。当然カカト部分は金属魔術で補強済みだ。


 ドゴン!!!!


 この一瞬だけウィンリーの羽根の効果を解除し、重さと勢いを最大限に乗せた一撃!

 キリマンジャロの足元の大地がひび割れ砕けた。

 もちろん砕けたのは大地だけじゃ無い、こりゃ鼻の骨もイッたな。


 キリマンジャロは大地に倒れ伏した。


 緋色眼(ヴァーミリオン)のおかげでコイツが魔法を使ってくるのはバレバレ。

 後は跳躍衣装(ジャンパー)で背後に回って一撃を加えるだけ…… なんか弱い者イジメをしている気分になった。


「さて…… 他に大空洞の支配者になりたい奴はいるか?」


「……………………」


 誰も何も答えない……

 よろしい。ミッションコンプリートだ。死亡者を出さずに圧倒する事が出来た。


「お~~~い! 女神様~~~! 過重力解除していいぞ~~~」

「め……女神様って言わないで~~~!」


 後にエメス戦役と呼ばれる大空洞の最終決戦……

 その最終日の犠牲は鼻の骨一人分だけだった。


---

--

-


 魔王城・エメス


 大変革(レヴオル・シオン)以降、誰も足を踏み入れることの無かった城に入る。

 ホコリまみれだ…… 女神様をお迎えするには相応しくない……


 もっともココに住む訳じゃ無いからどうでもイイか、謁見の間だけ空圧(コンプレス)でホコリを払い玉座に琉架を座らせる。

 眼の前にいるのは今回の戦争の責任者、鼻が潰れたまんまの『白嶺(はくれい)のキリマンジャロ』とエメラルドマウンテンの孫『青峰(せいほう)のブルマン』だ。


 玉座に座らされた琉架は、非常に居心地が悪そうだ。


「ねぇ、か…… 禁域…… うぅ…… な……なんて呼べばいいのかな?」

「ん?」


 本名を呼び合う訳にはいかないし、適当な偽名でイイだろう。


「ダーリンでイイんじゃね?」

「うん、分かった。ねぇダーリン、私がココに座って……て……///」


 琉架の顔が一気に真っ赤になった。そして腕をペチペチ叩かれた…… ヤバイ…… キュンとキタ! 超可愛い!


「おい…… 真面目な話をするのではなかったのですかな?」


 おぉ、イカンイカン、思わず思春期フィールドを展開してしまった。明らかに生涯独身って感じの二人に俺達のイチャイチャを見せつけてしまった。

 本来なら邪魔すんなって叱りつける所だが、彼らにとっては今後の運命を左右する大事な話し合いの場だ。自重しなければ。


「何故…… 今頃現れダ?」

「あん?」

「我々が道に迷っデいダ時には現れず…… 何故今頃現れダのダ?」


 聞き取りにくい…… 鼻が詰まってる感じか、そんなキリマンジャロに恨みがましい視線を向けられた。そんな事言われても……


「こっちにも事情があったんだ、大空洞で内戦が起きている噂を聞いたのも一ヵ月前だ」


 本当はお前等なんか、どうなろうと知ったこっちゃ無かったんだが…… まぁ、それは置いておこう。


「噂によれば、炭鉱族(ドワーフ)は大空洞に閉じこもって殺し合いをしてるとか言う。

 お前らがするべき事はそんな事じゃないだろ?」

「ではどうするべきだったと言うのですかな? 我々は多くの種族から恨みを買い過ぎている……」


 今度はブルマンに縋るような視線を向けられた。


「だから迫害を恐れて閉じこもった…… はぁ…… まず前提から間違ってる。

 それはただの逃げだ。

 お前らは好き放題暴れて、ボスが居なくなったら途端に逃げ出した」

「違う! 我々は好きで他種族を……!」

「違わないよ、少なくとも炭鉱族(ドワーフ)から被害を受けた種族にしてみればな」

「……ッ」


「お前達がするべきは責任を取る事だ」

「責任?」

「そして今を逃せば、お前たちは永遠に太陽の元に出るコトが出来なくなる」


「ッ…… 我々に……一体何をさせるつもりですかな?」

「うむ、そこが本題だ。さぁ女神様?」

「だっ……だから女神って呼ばないでよ! もう…… ダーリンのバカ……///」


 ズキュゥゥゥン!!


 俺のハートは琉架に見事に打ち抜かれてしまった……!

 恥ずかしがってるのに、律儀にアホな偽名で呼んでくれるとは…… さすが純真無垢な俺の女神!!

 俺もダーリンに倣って琉架の事をハニーって呼ぼうかな?

 想像しただけであまりの甘ったるさに身悶えたくなる! キリマンとブルマンの所為かな? ブラックコーヒーが飲みたくなった。 


「だ……大丈夫? ダーリン?」

「あ……あぁ…… 話しを続けてくれ……」


 この破壊力はヤバイ! 萌え狂う!


「えっと、皆さんは戦力を整えて中央大陸北部戦線に参戦してください。連合軍側で」

「!?」

「連合軍は第10魔王軍との戦争で常に苦しい状況の戦いにあります。これに参戦し、連合軍に味方する事は炭鉱族(ドワーフ)の皆さんの風当たりを良くする効果もあります」

「ま……魔王を敵に回せと言うのですか?」

「はい、強大な敵に手を取り合って戦う仲間には強い信頼関係が生まれます。ってダーリンが言ってました」


「そ……そう、連合軍が苦しんでいる今こそが友好のチャンスだ。この隙に他国に戦いを挑むとか、未来永劫クズ種族って呼ばれるぞ? それでイイのか?」


 戦略的には間違ってないけど、そういう事が好きな魔王はもういないんだ。わざわざ嫌われ者の道を選ぶことも無い。今なら先代・魔王ウォーリアスに責任を被せて被害者面もできるからな。


「どうする? この案を受け入れるならお前達には色々やってもらわなければならない。拒否するなら別の人材を探さなけりゃいけないが……」

「何を…… させるつもりですかな?」


「うむ、まずキリマン、お前には新・第8魔王軍を率いて中央大陸北部戦線に参戦してもらう。お前の裁量で全て決めてイイ!

 そしてブルマン、お前は大空洞の暫定統治者なってもらう。民を導き他国との友好を目指せ!」


「な……なに?」


「えっと、私が大空洞の支配者をするのは第二次魔王大戦終結までとします。その後は民主的な選挙を開いて、新しい代表を選び、新しい国を作って下さい」


「お前達が選挙に出馬してもイイ、その後他国へ戦争を仕掛けるのも自由だ。その時点で我々は大空洞に一切関与しない。

 ただし責める領域によっては五大魔王同盟から報復されるかも知れないから気をつけろよ?」


「ワ……ワシはもう一度、魔王軍の大将になれるのか?」


 あぁ? コイツはそんなのになりたかったのか? そういえば第一位使途をバカにしたら随分怒ってたっけ?


「そうだな、第二次魔王大戦終結までだが……」

「そうか…… そうか……!」


 あぁ…… コイツ脳筋だ。ウォーリアスにはお似合いの右腕だったんだ…… 類友だな。


「それで? ブルマン、お前はどうする?」

「全て魔王様の御心のままに…… その役目、謹んで拝命いたします」


 乗って来たか…… コイツは元々炭鉱族(ドワーフ)の未来を憂いでいたみたいだからな、喰いつくと思った。




 こうして大空洞は名目上、新しい第8魔王の元、新体制が発足。

 第二次魔王大戦への参戦が決定した。




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