表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レヴオル・シオン  作者: 群青
第一部 「異世界の章」
1/375

プロローグ


レヴオル・シオン


第1章 シニス世界



プロローグ



「神隠し」最古の記録は1000年以上昔から年間数千人もの被害者を出している災害。

ある日突然、何の前触れもなく人が消える失踪事件。その原因は300年程前にようやく究明される。


「生還者」が現れたのだ。


「生還者」グレイ・レイフォードの証言により世界が二つ存在することが明らかにされ、「神隠し」被害者たちが通称「シニス世界」に飛ばされたことが判明した。

12人の魔王が支配する「シニス世界」。その第12領域(トゥエルブ)と呼ばれる大陸に飛ばされた被害者たちは帰る術もなくそこに根を張り暮らしてきたが、高い魔導資質と特殊な才能を持つグレイ・レイフォードは「来ることができるなら戻ることもできるはず」と考え、帰還方法を探し始めた。

そして20年以上の歳月を費やしついに発見したのである、第11領域を支配する魔王の居城の地下深くで世界を渡る『ゲート』を。

またこの事実から長年謎とされてきた世界の生態系から外れたいわゆる「魔物(モンスター)」がどこからやってくるのかも判明した。


英雄と呼ばれるようになった最初の生還者グレイ・レイフォードは、シニス世界から持ち帰った古式魔法・情報・技術を使い巨万の富を得、その資金で「レイフォード財団」を設立、「神隠し」被害者家族の救済の他に、もし「神隠し」に遭遇した場合の生還方法やシニス世界で生き残る方法などを世界へと広めた。

それと同時にグレイ・レイフォードは秘密組織「オリジン機関」を作り上げた。


その最終目標は…魔王の排除である。




---霧島神那 視点---


 ここは「デクス世界」の大和国。

 治安が良く世界一安全な国と云われている。


 世界が二つあると判明した時、この世界を「デクス世界」と呼び、異世界の方は「シニス世界」と呼称した。

 なんでも右と左と言う意味らしい。

 ずいぶんと単純だが、もし3つ目が見つかったらどうするのだろう?



 霧島神那(オレ)は大和にある「第三魔導学院」の中等部2年に編入してきた。


 魔導とは魔術資質の低い人族が生み出した技術で、「魔法科学(ソーサリーテクノロジー)」により、魔術によって引き起こされる現象を科学的に分析・解明し、威力・効果範囲・発動速度などあらゆる面で魔法を一段上のレベルで行使する技術である。

 この技術を一番最初に生み出した奴は本当に天才だと思う。魔導によって最弱の存在だった人族は他種族と渡り合う術を得たのだから。


 ただしその天才は生まれる世界を間違えた。なぜならここデクス世界には人族以外の種族は初めから存在していないのだから。 


 本来、魔導の資質のある子供はこの魔導学院に強制的に入学させられるため、編入生というのはあり得ないのだが俺は事情があって2年生からこの学院に通うことになった。


 はっきり言って目立って困る。


 この学院には数年に一度、俺のような編入生が一人か二人やって来るそうだ。そいつらは例外なく優秀で編入後の最初の魔術テストで学年1位になるのだ。

 なんて偉大で迷惑な先輩なんだ。


 しかも今年は俺の他にもう一人編入生がいる。彼女も御多分に漏れず優秀で前回のテストで1位を取っていた。


 だが別にムカつきはしない、彼女の事は俺もよく知っている、確かに優秀だし…いやそれはどうでもいい。

 問題なのは俺の成績が…それもどうでもいいか。


 問題なのはもうじき1学期も終わるというのに未だに友達が一人もできないことだ。



 俺はかつて過ちを犯した…



 小学5年生で“特別な才能”に目覚めた俺は同時に暗黒の病を発症した。バカなことを言って笑い者にされる程度ならよかったのに、よりによって自分は大人で周りの連中が子供でどうしようもなく愚かだと見下し始めた。

 そんなやつがクラスに一人いたらどうだろう、まあ嫌われるよな。俺だってそんなやつと仲良くしたいとは思わない。


 しかも編入先のクラスの半分が俺の過去を知るかつての同級生ときたもんだ。


 国に一つしかない魔導学院は、東西南北で学区が分かれるほどの超マンモス校だ。にも拘わらずクラスの半分が元同級生。どうやら出身地域ごとに纏めているようだ。

 なんて余計なことをするんだ! 分けろよ! しかも編入生で余計に目立つ。あっという間に噂は広がりボッチ決定。


 あぁ引きこもりたい。


 自衛手段は小学5年生の頃から続けているクールキャラ気取り。とりあえず虚栄心は満たせるが何の解決にもならない。このまま夏休みになれば俺の夏休みはもう二度と明けることはないだろう。


 たった一人だけいる友達にも頼れない。


 例のもう一人の編入生だ。

 彼女は家庭の事情で非常に浮世離れしている。オリジン機関で一年一緒に過ごしたが、俺のクールキャラを全面的に受け入れてくれた女神のような存在だ。単純に常識を知らなかっただけかもしれないが…


 本人は気付いていないが彼女は女生徒達に嫌われている。理由は簡単、彼女が可愛い上に優秀だから…… つまり完璧ってコトだ。それに“特別な才能”を持っている事への妬みもあるだろう。

 そんな彼女に近づけるのは、同じく特別な才能が有り友達がいない俺だけ、今度相談してみようかな、もちろんこっちが相談に乗ってあげる形で。


 そんなボッチ仲間の俺と彼女にはある使命が与えられている。例の特別な才能のためだ。


 この世界でも異世界でもある一つの種族を除いた11種族は、資質の差はあれど魔法・魔導などは後天的に覚える技術だが、極まれに生まれながらに使える先天的な特殊能力が存在する。それが「ギフト」と呼ばれる天から与えられた才能である。

 ギフトとは魔法・魔導では再現できない特殊能力で、その効果は個人によりピンキリであるが、最上位能力は神の御業と呼ぶにふさわしい力があるらしい。

 デクス世界のオリジン機関は全世界の12歳になる子供が受ける決まりになっている一斉能力値検査でギフト能力者を見つけ出し、対魔王の戦力として育てることを目的としている。


 魔王…荒唐無稽なおとぎ話のような存在だが、シニス世界には確かに12人の魔王が君臨している。


 グレイ・レイフォードが発見したこちらの世界へ帰還するための「ゲート」が第11魔王の居城に存在する。つまりその魔王を倒し、シニス世界で暮らしている帰還希望者たちに帰る術を与えろ…ということだ。


 確かに俺達には才能(ギフト)がある。これは勘違いでも何でもない。

 手を抜いても同世代の中でトップになれる程だ、少しぐらい自惚れたっていいだろ? いやだからと言って見下すのは良くない。そこは反省してる。


 とにかく俺はこんな才能を持って生まれたため不幸になった。自業自得だが…さらに大人たちは魔王を倒す勇者役をやれと言っている。

 個人的には魔王の方がイイ。何か黒っぽくてカッコイイ…しかし俺には職業選択の自由はすでに無い、何もしてなくても給料が貰えるのはいいが、事が起これば勇者宜しく魔王討伐の旅に出なければならない。


 理不尽だ。いくら世界最強クラスの才能があろうともまだまだ傷つきやすいガラスの十代だ。魔王討伐とか死亡フラグが乱立していそうなイベントはご容赦いただきたい。


 もう祈るしか無い「神隠し」に会わないことを。まあ「神隠し」に会うのは宝クジの一等に当たるより低確率、本来なら気にする必要など無い…2ヶ月前の事件がなければ。



 2ヶ月前……



 一度に1万人もの人が消えた。過去に例がない大規模な神隠しだ。しかもこの学園の生徒も100人以上巻き込まれている。俺の同級生も1人消えた。


 嫌な予感がする。何かが大きく変った、何かが動き出した…


 最近そんなダサカッコいい言葉ばかり頭に浮かんでくる。

 人がどの様にして「神隠し」に巻き込まれるのかは解っていない。だが大丈夫だ。俺はクールだ。何があっても冷静に対処できるよう脳内シミュレートも万全だ。

 突然足元に魔法陣が現れても瞬時に離脱する準備は出来ている。突然トラックに突き飛ばされない為に周囲の気配には常に気を配っている。空から降ってきた美少女が俺を異世界に誘おうともきっぱり断る妄想も何度も繰り返してきた。



 そんなことを考えながら廊下の角を曲がると目の前にソレがいた。



「?」


 目の前に1人の女がいる。まったく気配を感じなかった。

 長く美しい銀髪、後ろ髪は足首のあたりまで来ている。

 目元は前髪で隠れてよく見えないが間違いなく美人だ。

 歳は俺よりも少し上だろう。余りにも美しく現実味がない、前髪が揺れ右眼だけが僅かに覗く。その目は何かを訴えているような気がした。


 そこでようやく思い出す。


「まずっ…」


 そこから飛び退こうとした瞬間、視界に移る景色が一瞬で変わる。



 俺は神隠しに遭った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ