彼女と死んだ
生きることへの執着を、彼女は捨てた。何を残し、どう思われようと、それでも構わないと決めたから、生から乖離した。
千早が死んだ理由を、僕はわからない。それは知らないとも言えるが、やはりわからないが的確だろうと思う。わからないことは、考えてもわからない。
親も祖父母も健在な僕にとって、人が死ぬという感触は、未知のものだった。穴があいたとも、無感覚になったとも違う。千早の死は、僕ではなく世界に変化をもたらした。そういうことなのだと思う。
幼少からともに過ごした桝谷も、彼女に血を分けた千早の母も、今、暗闇の中にいるのだろう。僕は、千早にとってはつまり他人だ。どれだけの時間を過ごしどれだけ距離を詰めようと、そこに変わりはない。彼女の歴史のほんの上澄みを掬っただけの人間なのだ。
思考が回廊を成して、ある一点について巡る。
彼女が死んだ。
彼女は死んだか。
彼女は死んだ。
彼女は死んでいない。
角にぶつかり、また歩き出し、違う角にぶつかり、また歩き出す。
回廊を外れ、真ん中の空虚に飛び込む決心を、先送りにしているだけだ。この回廊にいる限り、その虚ろに飛び込むのは、時間の問題でしかない。結論は何一つの狂いもなくそこにあり続ける。
彼女が死んだ、そのどれくらい後か、僕は、彼女と死んだ。
午前二時ごろ、深夜のテンションで書きなぐったものです。
意味もなければ理由もわからない。けど、生きるってそんなものですよね。




