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エピローグ.青信号のその先へ
あれから、三年。
春。
俺たちは高校を卒業した。
校門の前で写真を撮り終え、自然とあの交差点へ足が向く。
桜は、あの日と同じように舞っていた。
違うのは――
俺たちが、手をつないでいること。
「懐かしいね」
凛が呟く。
「あの日、ここで全部変わった」
「うん」
赤信号。
止まる。
でも、もう怖くない。
凛は俺の隣で笑っている。
「もしあの時、あんたが庇ってくれなかったら」
「言うな」
凛は小さく首を振る。
「違う。後悔じゃない」
そして、俺を見上げる。
「ありがとうって言いたいの」
信号が青に変わる。
俺たちは、同時に一歩踏み出す。
歩きながら、凛がぽつりと言う。
「これからも、隣にいる?」
「いるに決まってる」
「ずっと?」
「ずっと」
凛は満足そうに笑った。
「じゃあ約束、更新ね」
小指を絡める。
あの日と同じ仕草。
でも、今は涙はない。
あるのは、未来だけ。
交差点を渡りきる。
もう振り返らない。
赤信号の向こうで始まった恋は、
今も続いている。
塩対応だった幼馴染は、
今日も隣で、少しだけ照れながら笑っている。
そして俺は思う。
春は、残酷なんかじゃない。
大切なものに気づかせてくれる、
優しい季節なのかもしれない。
――終わり。




