第16話 強者と弱者
王は絶望をその体で表現していた。
第1防衛戦が突破された。
即ち、もう時期この都市へソルド国軍隊が到着することを意味する。
何故、第3防衛線に軍隊が来た時に連絡しなかったのかを問えば、
「何者かに、通信網が破壊されていました。経由地の人間が殺され、連絡出来なかったために、急いで都市の近くまで来て連絡を繋げました」
その男はそう返してきた。
だが、だとしても報告が遅すぎる。
第3防衛線から馬で走ってきたとするならば、ソルド国の軍隊はまだ第3防衛線で戦っていてもおかしくはない。
だが、その理屈はソルド国の軍事力を知らないから言えるものであった。
「第3防衛は、無数の"ホーリーレイン"の餌食となり、一瞬で崩壊しました」
「無数の"ホーリーレイン"だと!?、空から光の光線を何発か降らせるあの中級範囲魔法は、そんな連発して打てるものでもないはず。なのに、それが無数にだと…」
王は驚くしか無かった。
恐らく、もう時期奴らが来てしまう。
そう考えた王は、即座に作戦を実行に移すよう悠真に伝えた。
「分かりました。急いで空母へと向かい作戦を実行します」
悠真は迅速に準備を整え、炎龍と魔物に気をつけつつ、空母へと一目散に向かうのであった。
───アニャたちは、絶望の淵に立たされていた。目の前で鎌首をもたげる炎龍の熱気だけで、喉が焼ける。
「一気に畳み掛けます! 」
後衛でヒストが杖を掲げた。流麗な詠唱と共に、幾重もの魔法陣が重なり合う。
「ありったけの強化を!!"七色の加護"」
七色の光が降り注ぎ、アニャたちの身体が虹色に輝き出す。
「サンキュ、ヒスト!任せて」
アニャは最大火力の呪文を叩きつけた。
「焼き尽くせ! "獄炎の焔"!」
爆炎が炎龍の顔面を直撃し、視界を赤く染める。だが――。
「……嘘、でしょ? 鱗すら焦げてないなんて」
爆煙を切り裂き、無傷の炎龍が咆哮した。
「アニャ、怯むな」
そう言いながら、ソルドスが地面を蹴り巨大な剣を振りかぶる。
「"大陸を割く一撃"!」
大地を両断せんとする一撃。しかし、炎龍はそれすらも対処する。
「"龍ならば鋭き爪を"」
鋼と爪が激突し、凄まじい衝撃波が周囲を薙ぎ払う。ソルドスの一撃は、龍の膂力によってあっさりと相殺された。
「火属性の私じゃ分が悪すぎる。かといって、苦手な水魔法じゃあいつを貫くのは無理…」
苦い顔をするアニャに、ヒストが鋭く指示を飛ばした。
「アニャは後援に! ソルドスの一撃さえ通れば勝機はあります。私たちが龍の意識を引き付けます!」
「……わかった!」
アニャは杖を構え直した。不得手な属性に意識を集中させ、魔力を絞り出す。
「こっちを向きなさい! "ウォーターアロウ"!」
"ウォーターアロウ"は水属性の中級魔法である。火属性のアニャがそれを使いこなしているだけでも相当凄いことであった。
しかし、威力が足りない。
放たれた水の矢が龍の鼻先で弾ける。
低威力の攻撃は死神を招く合図であった。
炎龍の巨躯が、物理法則を無視した速度で加速する。
「"龍ならば素早き一撃を"」
「しまっ――!?」
反射的に防御魔法を展開したが、紙細工のように粉砕された。
「がはっ……ぁ!」
鈍い衝撃と共に、アニャの身体が民家の壁にめり込む。石壁が砕ける音と、少女の短い悲鳴。
「アニャ!」
駆け寄ろうとするヒスト。だが、それを嘲笑うかのように龍の喉元が深紅に染まった。
「"龍ならば激しい咆哮を"」
全てを塵に帰す紅の息吹。
だが、炎のカーテンを切り裂き、一人の男が立ち塞がる。
「行け、ヒスト。 アニャを頼む」
ソルドスがその大剣を盾にし、猛火を真っ向から両断していた。
「……お前の相手は俺だ」
焦げ付く鎧のまま、ソルドスが再び剣を構える。その瞳には、反撃の火が灯っていた。
「今度こそ、その首を貰う。《大陸を割く一撃》」
ソルドスは地を蹴りあげるのだった。
───今回の作戦の指揮をとる、自衛隊隊長田中将大は、炎龍と勇者パーティが戦っている姿をじっくりと観察していた。
「ふむ。規格外だな」
そう言う他なかった。
あのアニャという少女が放った一撃。
あれは、自衛隊の所有するロケットランチャーの10倍程度の威力があったであろう。
「確かに、ロケットランチャーを1つ打ち込むだけではまともなダメージは与えられぬだろうな」
そう、ロケットランチャー一つだけでは。
「異世界の国々よりも我々が優れている点。それは物量だ」
目の前には、総理がオスプレイに乗り込む前に置いていった"通信水晶"がある。
「あやつの弱点は、恐らく首と目。先程から首への攻撃は翼で防ぎ、顔の位置はいつも戦闘から離れた位置にある」
ならば、やる価値がある。
陸軍大将は、無線と"通信水晶"を起動させたのだった。
───ヒストは、壁にめり込み項垂れるアニャへと駆け寄った。
「……生きていますね。この程度なら軽傷です。"ハイヒール"」
アニャの身体を柔らかな緑の光が包み込み、傷を塞いでいく。
「いや、どう見ても重傷でしょー!? 死ぬかと思ったんだから!」
「あれだけの突進を喰らって、文句を言う元気がある。それだけで十分です。さあ、立って。ソルドスが限界を迎える前に戻りますよ」
二人が戦場へ取って返そうとした、その時だった。
ヒストの懐で、"通信水晶"が脈動するように明滅した。
『――こちら日本国陸上自衛隊、指揮官の田中将大。聞こえているなら応答求む』
突然の声にヒストは足を止める。
「……聞こえています。何の用ですか?」
『承知した。通訳を介した遠隔対話ゆえ、多少の遅延は容赦願いたい。……単刀直入に言おう。我々も今から、あのドラゴンとの戦闘に参加する』
ヒストの眉が跳ねた。
「正気ですか? 朝倉さんによれば、あの龍を撃ち落とす決定打は持たないと言っていたはずですが」
『肯定する。一撃で屠る手段は、今の我々にはない。だが――』
通信の向こうで、慌ただしく誰かが動いている音が聞こえてくる。
『……"隙"を作る程度ならできるかもしれない。こちらの作戦を伝える。よく聞いてくれ。まずは……』
田中大将が告げる、異世界の作戦。
それは何とも脳筋なものであった。
「……なるほど。悪くありませんね。私たちもそれに合わせましょう」
『感謝する。準備が完了次第、再度連絡する。――武運を』
通信が途絶え、静寂が戻る。
「ねえ……本当にその作戦、上手くいくのかな?」
不安げに杖を握りしめるアニャに、ヒストは不敵な笑みを返した。
「分かりません。ですが、日本は我々が思うよりもずっと強いです。今は、日本という国を信じましょう」
二人は顔を見合わせると、砂塵が舞うソルドスの背中を目指して、再び駆け出した。
───炎龍との死闘が始まって、10分。
だが、その10分は永遠にも感じられた。ヒストの支援を受け、アニャが牽制し、ソルドスが渾身の一撃を繰り出す。しかし、龍の超常的な反応速度の前に、決定打は虚しく空を切り続けていた。
その停滞を打ち破ったのは、懐で震える"通信水晶"だった。
『――準備完了した。そちらの合図で実行する』
三人は一瞬、視線を交わす。意志は決まっていた。
「こちらも準備完了です。カウント『ゼロ』でお願いします!」
ヒストの叫びと共に、アニャが全力の"ウォーターアロウ"を放った。
「3!」
龍は羽ばたき一つで、水の矢を嘲笑うように回避する。
「2!」
ソルドスが踏み込み、大地を蹴る。
「1!」
しかし、龍の尾がそれを鋭く弾き返した。ソルドスが後退し、炎龍の周囲に広大な「空白」が生まれる。
今だ。
「ゼロ!! お願いします!」
瞬間、周囲の民家の屋根から、無数の「ロケットランチャー」が火を噴いた。
炎龍の反応が、初めて遅れる。
「魔法ではない兵器には、魔力探知が反応しない。それ故に、反応は一拍遅れる…!!」
ヒストの断言を裏付けるように、弾頭が龍の鱗に直撃し、爆炎が狂い咲いた。
ドォォォン!!と腹に響く爆発音が連続し、視界が真っ黒な煙に覆われる。さらに、
バババババババッ!!
空気を引き裂くような機関銃の掃射音が重なる。鉛の雨が龍の目を、喉を、執拗に狙い撃つ。
「落ちろ……ッ!」
爆風と衝撃に耐えきれず、天空の覇者が無様に地面へと墜落した。
この好機、ソルドスが逃すはずがない。虹色のオーラを纏った彼が、流星のごとく肉薄する。
「お終いだ "大陸を割く一撃"」
勝った。
誰もがそう確信した。
だが、墜落した龍の瞳は、絶望の淵にあってもなお、冷酷に、そして紅く燃え上がっていた。
「"全てを焼き尽くす業火"」
龍の独白が響いた瞬間、世界が反転した。
炎龍を中心に巨大な火球が膨れ上がり、次の刹那、全てを飲み込む超爆発を引き起こしたのだ。
ソルドスは吹き飛ばされ、アニャとヒスト、そして展開していた自衛隊の隊員たちまでもが、猛烈な熱波によって木の葉のように舞った。
後に、現場にいた自衛官の一人はこう述懐している。
「――市街地のど真ん中に、太陽が産まれた」と。
地面に叩きつけられたアニャは、ボロボロになりながらも立ち上がった。
流石に、これぐらい耐えれるようでなくては勇者パーティをやってげない。
だが、彼女が空を見上げた瞬間、その顔は恐怖に凍りついた。
「嘘……でしょ……?」
暗い夜空を埋め尽くしていたのは、星ではなかった。
無数の光の礫。光属性中級範囲魔法"フォーリーレイン"。
一つ一つは致命傷にならずとも、それが「都市全体」を覆い尽くすほどの数であれば、話は別だ。
それは皮肉にも、先ほど自衛隊が行った数で押し切る作戦と、全く同じ思想のカウンター。
絶望的な輝きを放つ聖なる雨が、逃げ場のない勇者パーティ達に、そして自衛隊に向けて、無慈悲に降り注ぎ始めたのだった。
───時は少し遡る。悠真を乗せたオスプレイは、夜の帳を切り裂きながらソルド国の王城へとひた走っていた。
準備は万全である。
"闇の支配者"を防ぐための馬鹿でかい懐中電灯。
職業アーチャーの自衛隊数名。
そして、職業剣士になった俺。
悠真はステータスオープンと言い、自身のステータスを確認する。
【テテテテーン!シルゼクルーケン】
《名前:朝倉悠真
︎ ︎ ︎ ︎ ︎ ︎職業:剣士
レベル:12(+2)
体力:42 (+3)+100
魔力:0
攻撃力:53(+2) +200
知力:25 (+4)
敏捷:20 (+2)
幸運:30 (+3)
スキル:鑑定Lv2 剣術Lv1》
どうやら、都市内での魔物との戦闘によってレベルが上がったようだ。
割とまともな数値になってきたのではなかろうか。
ちなみに、職業剣士は体力と攻撃力にバフがかかるらしく、ほかのステータスと比べ数値が高い。
また、職業ボーナスとして剣術Lv1がついてきた。
戦闘スキルが増えたのはとても有り難いことである。
まぁ、この世界においては雀の涙程度のスキルでしかないのかもしれないが。
悠真はヘッドホンを指で押さえ、機内の自衛官たちへ最終確認を行う。
「もう一度だけ確認を行っておくぞ。後から来る戦闘機が城を破壊した後、その懐中電灯で城全体を照らす。俺らはその間にパラシュートで降りて、この"魔障の紐"でシルドを捕獲する。その後、速やかにオスプレイ内へと戻り、アンファング王国へ向かう。いいか?」
「了解!」
それぞれが威勢よく返事した。
この作戦の肝は、シルドがどれ程の力を持つかにかかっている。
どの文献を読んでも、シルドの実力を示した物が見つからなかった。
もし、シルドがドンクス程度の力を有していた瞬間、我々の負けは確定して、みんな死ぬ。
全てはシルドが弱いことにかかっているのだ。
しかし、国のトップに立つものは総じて武力としても強いと聞く。
悠真はシルド最弱説を祈りながら、一時間半の揺れに耐え続けた。
やがて機長から、城への接近を告げる報告が入る。
「戦闘機、間もなく到達。総理、いつでも行けるよう準備を」
「承知いたしました」
悠真は心を落ち着かせるため、ここまでの道のりを振り返った。
急に内閣総理大臣という重責を背負わされ、人生の歯車は狂い、命の危険にさらされている。
だが、後悔はなかった。
自分の若さと即決力が、この異世界で日本を守る唯一の武器になると信じていたからだ。
「始まります」
機長の言葉と同時に、夜空を切り裂く轟音が響いた。
先行していたステルス戦闘機が精密爆弾を投下。城の尖塔が、そして重厚な石壁が、高性能火薬の連鎖爆発によって玩具のように弾け飛んだ。
「今だ! 降下!」
悠真は叫び、炎に包まれる城へと飛び出した。城下では、周囲の軍隊を制圧するための爆撃が続いており、地上は文字通りの地獄絵図だ。
悠真達がパラシュートを展開し、瓦礫の山に着地したことを確認した機長は、即座に巨大な懐中電灯を起動させた。
暗闇に包まれていた廃墟が、一転して昼間のような白光に照らされる。
悠真は"魔障の紐"を構えながら、瓦礫の上を散策しようとした。
その時、とある場所に集まっていた瓦礫が爆発したかのようにに四方八方へと散らばったのだった。
恐らく、そんなことができる人間はシルド独りだ。
自衛隊に銃を構えるように指示し、砂煙の中を歩いて進んでゆく。すると、
「グリシレーレングルスタ!!」
砂煙の向こうから、怒りに満ちた咆哮。間違いない、シルドだ。
「そこだ!」
悠真は声の主を目がけ、魔障の紐を投げ放とうとした。しかし、
「ツルケーセビネ」
異世界語が聞こえた瞬間、悠真の視界が跳ねた。不可視の衝撃波が胸を直撃し、彼は瓦礫の上を何メートルも転がった。
視界を覆う砂煙が晴れ、その姿が露わになる。
ボロボロの黒い軍服に、これ見よがしな宝石をいくつも身につけた小太りの男、シルドだ。
自衛隊は銃を構えて即座に打つ。
これは事前伝えていたことで、爆撃にも耐え、"魔障の紐"でも捉えられなかった場合は、即座に発砲して良いとしていた。
銃声が響き、シルドの肩や脚に銃弾が炸裂した。
血が飛び散り、シルドの顔が苦痛に歪む。
…銃が効く!
勝機が見えたと思った、その刹那だった。
一人の隊員の銃が、まるで目に見えない巨人に握りつぶされたかのように、真ん中で無残にへし折れた。隊員が愕然とする間もなく、彼は目に見えない力で弾き飛ばされ、瓦礫の壁に激突した。
他の隊員も同様だ。次々と目に見えない暴力に晒され、虚空へ吹き飛ばされていく。
悠真は悟った。
俺らが勝てる相手ではなかった。
その男、シルドは勝ち誇ったかのように、転んでいる悠真に対してゆっくり歩いてきた。
そして、シルドの隣に落ちていた瓦礫が急に持ち上がり始める。
それは懐中電灯の方へ向かい一直線へ飛んで行った。
光は消え、周囲が再び重苦しい闇に包まれる。
不味い、殺される。
そう判断した悠真はポケットから何か取り出そうとするが、
「動けない…!!??」
体が言うことを聞かなかった。
それどころか、
「く、苦しい」
首が締められている感覚がする。
そして、悠真は抵抗できぬまま、体が地面から離れ宙へと浮く。
その男は、悠真を眺めたまま、"通信水晶"を取り出したかと思えば、何かを話し始める。
すると、
「あぁ、こりゃ酷い状況でございやすね」
半目の暗い男、ドンクスが虚空より出現したのだった。
───悠真を送り出した後、アンファング王は独り、暗い宝物庫の棚を漁っていた。
炎龍が暴れ、都市が悲鳴を上げているというのに、王は戦場へ向かわず、埃を被った薬瓶を必死に探す。
「ふむ……デバフ解除のポーションは、これだけか。二十本程度とは心もとないな」
王は小さく溜息をついた。
王都の兵士にかかっているデバフ。これを解けば、眠らされた兵士たちを前線に戻せると考えていたが、この数では戦況は変えられない。
「……ならば、ワシが行くしかあるまい」
王は一人、戦地へと赴く。
狙いは、炎龍と死闘を繰り広げている勇者たちや日本軍に対し、背後から横槍を入れようと迫るソルド国軍の足止めだ。
王が城門を抜け、敵の気配が漂う荒野へと足を踏み出すと、そこには既に敵の軍勢が迫っていた。予想以上の進軍速度に、王の頬がわずかに引き攣る。
王は大剣を抜き、単身で突撃しようとした。
だが、その時。
(……おかしい。何故、足を止めている?)
敵軍は都市を攻め落とす距離でもない場所に陣を敷き、一斉に足を止めていたのだ。そして、魔法を練り上げる不気味な魔力の脈動が空気を震わせる。
あの距離では、まだ王都の防壁には届かないはずだ。
ならば、
「……なるほど。城から逃げ出したワシを、最初から狙い撃ちにするつもりだったか。本当に頭の回る国だ」
王は覚悟を決め、大剣を構えた。
だが、放たれようとしている魔法の魔力を、王は近くで探知することが出来なかった。
一体どういうことであろうか。
王は魔力探知の範囲を最大まで広げ、そして気づく。
「後ろだと…!?」
あろうことか真後ろから魔法の魔力を感じ取った。
(これか……。第1、第2、第3防衛線が呆気なく崩壊したのは、この超遠距離からの虐殺のせいだったか!)
道理で戦いにならぬわけだ。姿も見えぬ距離からの蹂躙。まさに非道。
王は、魔法の発生源を叩こうと全速力で駆けるが、間に合わない。老いた肉体は、無慈悲な魔法の発動時間には遠く及ばなかった。
(……済まぬ、命をかけて戦い続けてくれた者達よ。ワシの力不足じゃ)
王は、背後で魔法が発動する無慈悲な音を聞いた。
もはや守る術はない。ならば、せめてもの敵討ちを。王は後悔を怒りに変え、眼前で不敵に魔法を唱え続けるソルド軍へと、全魔力を注ぎ込んだ。
「アンファングの威光、その身に刻むがいい……!」
王は、その黄金の大剣を高く掲げた。
王家の血脈のみが許される、魂を削るほどの一撃。
「"王家の秘技"――ッ!!」
闇夜を切り裂き、夜空を黄金色に塗り替えるほどの奔流が、敵軍の陣地を真っ向から飲み込んでいったのだった。




