真っ赤な、、
誰かにいらぬと言われても
わたしにとっては大切なわたしの心臓
ナイフが刺さった心臓でも静かに動きだす
そろそろと深夜に起きて
冷蔵庫の明かりに自らの顔を照らす
冷気とホの白い灯りが暗い部屋に忍び入る
真っ赤な林檎、わたしの心臓、と言いながら
雪の中でみつけたように大切に両手に取って
ナイフでゆっくりと半分に切り分け皮を剥く
白い実に白い歯を剥いてガブリと食べる
果汁が口の中いっぱいに広がってゆく
シャリシャリとたべる
真顔で食べる
真っ赤林檎、わたしの心臓、と言いながら
細く切った赤い皮も口にくわえて
ロールカーテンを巻き上げるようにして食べた
真っ赤な林檎、わたしの心臓、と言いながら
半分のつもりが丸々1個食べてしまった
真っ赤林檎、わたしの心臓、と言いながら
芯だけはゴミ箱に捨てた
お腹いっぱいだからもう、眠れそうだよ
真っ赤な林檎、わたしの心臓
ごちそうさま、美味しかった