七魔法王、舌馬鹿王決定戦〜味音痴は誰だ?〜
お正月の定番といえば、おせち? お年玉? それとも?
「いいえ、どれも違います。今年は七魔法王の格付けチェック、題して『舌馬鹿王決定戦〜味音痴は誰だ!?〜』を開催します!!」
「聞いてないよ!?」
「言ってないですもん」
ヴァラール魔法学院の大講堂に、歓声と笑い声が同時に響き渡る。
大講堂の壇上に並べられた椅子に括り付けられているのは、世界で神様のように崇め奉られている偉大な7人の魔女・魔法使い――七魔法王の面々である。ご丁寧にも胴体を縄で縛られ、椅子の足と自分の足が手錠で繋がれて逃げられない状態にされていた。
絶望の表情を見せる七魔法王に笑顔を振り撒くのは、用務員の中でも最近目立って頭の螺子の行方を心配されている女装メイド少年のアズマ・ショウである。桃色の着物の上からエプロンドレスを身につけ、足袋と漆塗りの下駄を合わせた着物メイドさんとして正月のイベントを彩っていた。
ヴァラール魔法学院の学院長、グローリア・イーストエンドはガタガタと椅子を揺らして叫ぶ。
「今すぐこれをどうにかして!!」
「聞こえませんね」
「ショウ君の馬鹿!!」
「学院長の料理だけは泥団子に変えておきますね。震えて眠れ」
「鬼!?」
きゃんきゃんと喚く学院長を相手にしてもどこ吹く風で応じるショウ。その態度はなかなか堂々としていた。
「さて今回のイベントの趣旨ですが、七魔法王の皆様には目隠しをしていただいて食べたものの食材を当ててもらうという簡単なクイズを出題します。世界中から羨望の眼差しを向けられ、時には命まで狙われる大人気な七魔法王ですから正解できて当然ですよね?」
「ショウ坊、それと椅子に縛り付けられるのは何か関係があるのか?」
「貴女の縛られている姿で俺が興奮するだけだ、ユフィーリア」
「そっかぁ、聞きたくなかったなぁ」
椅子に縛られた状態で虚無の表情を見せるユフィーリアは、小声で「ショウ坊ってば逞しくなって……」と感動の涙を流していた。
「でも何でこんなおかしなイベントを開催したんスか?」
「わざわざ椅子に括り付けてまですることですの?」
副学院長のスカイ・エルクラシスと、魔導書図書館の司書であるルージュ・ロックハートがそれぞれショウに非難の視線を寄越してくる。
もちろん椅子に括り付けたのは、何も縛られたユフィーリアに興奮する為ではない。あれはほんの新年1発目の冗談である。当の本人はそれが冗談と思っていないようで、顔を青褪めさせて大人しく椅子に座っていたが。
ショウのやろうとしていることを聞いて、学院長や副学院長などは逃げ出すというか拒否する可能性があったのだ。せっかく面白い異世界文化を用意したので、この優秀な魔女・魔法使いたちに体験してもらいたいものである。
ショウは「よくぞ聞いてくれました」と言い、
「俺の元いた世界では、正月にとあるイベントをやるのが通例でした。それが審美眼を競うゲームでして、最初は一流からスタートしていくんですよ」
「それ、不正解だった場合はどうなるんですの?」
「一流から普通、二流などに転落していき、最終的にはこの世から消えます」
「クイズに不正解すると死が待ち受けるとかどういう修羅の国なんですの!?」
ルージュが目を剥いて驚く。
その隣に大人しく座る父親のアズマ・キクガはショウの言わんとする番組を理解しているようで、必死に笑いを堪えていた。笑いを堪えるあまり椅子がガタガタと揺れ、保健医のリリアンティア・ブリッツオールが「局所的な地震ですか!?」と叫んでいた。
ショウは咳払いをし、
「今回は葡萄酒や楽器などの審美眼を見極めるクイズは止めます。誰でも持ち得る味覚で勝負をしていただきましょう」
「それは具体的に何をやるんだ? 食材を当てるだけって言ってたけど」
「よくぞ聞いてくれた、ユフィーリア。頭のいい貴女ならば簡単に解けてしまうかもしれないが」
ちょいちょい最高の旦那様を持ち上げるショウは、
「今から皆さんには3種類の肉を使った料理を食べていただきます。その料理に使われているお肉で、1番高級だと思うものを選んでください」
「へえ、簡単だな」
「確かに内容は簡単だけど、自信ないなぁ」
「ボクもあんまり……」
「わたくしは自信ありますの」
「嘘を吐け味覚馬鹿の筆頭」
「儂もそこそこ自信あるのぅ」
「身共は残念ながら……あの、お野菜なら自信はあるのですが……」
七魔法王でも味覚に自信がある者とない者が分かれた。料理上手なユフィーリアと料理上手の奥さんを持つ八雲夕凪、それから味覚馬鹿の筆頭で謎の自信に満ち溢れているルージュ以外は味覚の格付けに難色を示していた。普通はそんな反応が常識である。
とはいえ、ショウもいきなり初心者の全員に難しい問題を吹っかけて笑おうとは思わない。あくまで異世界文化を楽しく経験してもらおうと今回のクイズを用意したのだ。
ショウはクイズの紙を確認し、
「それでは、使われているお肉を発表します」
「あれ、教えてくれるの?」
「発表されるお肉で同じ肉料理を作っていますので、高級な肉を使っていると思うものを選んでくださいね」
不思議そうにするグローリアをよそに、ショウはクイズの選択肢に使われている肉を発表する。
「まずは1キロル(キロ)10万ルイゼの『黄金鶏』のお肉です。アーリフ連合国のカーシムさんにお願いしたらご用意してくれました」
と言っても、ショウは知り得る金持ちの中で最もノリが良さそうな相手を選んで「鶏肉で1番高級なものを格安で用意してほしい」とお願いしただけだ。アーリフ連合国のカーシム・ベレタ・シツァムに頼んでみたところ、黄金鶏という黄金色に輝く鶏を提供してくれたのだ。
これでお肉料理を作ってもらおうと先輩用務員のエドワードのところに持ち込んだら、彼から言葉にならない悲鳴が聞こえてきたのだ。その反応だけでどれほど高級品だとか理解した。
まず1つ目の食材を発表したら、七魔法王から揃って「ふひゃあ」という情けない声が漏れた。
「あれ凄え高くて手が出ねえんだよな」
「え、高級品じゃん」
「ボク食べたことないッスよ」
「あら、簡単な食材ですの」
「よく用意できた訳だが」
「樟葉の料理でもあまりお目にかかれんのう」
「身共も食べたことないですね……」
「この程度で騒がれていたらあとが困りますよ」
ショウは次の食材を発表する。
「次は購買部で売られている『モゲ鶏』のお肉です。一般的ですね」
次の食材を発表すると、七魔法王からは口々に「ああ」とか「これは納得だね」とかの反応が見られる。
モゲ鶏とはこの世界では代表的な鶏であり、弾力のあるぷりぷりのお肉の食感と手に入りやすい安価な食材として有名だ。唐揚げやフライドチキンなど様々な肉料理に使われる。しかも低カロリーでタンパク質も多く含まれており、身体を鍛えたい人にお勧めされている。
これは購買部の黒猫店長に頼んで、質のいいものを選んでもらったのだ。さすがに黄金鶏の味には勝てないかもしれないが、騙せるのであれば何でもいい。
そしてショウは、最後の食材を発表した。
「最後はダイオウヌマガエルです」
「鶏肉じゃねえ!?」
「蛙じゃないか!?」
「しかも見た目がまあまあヤバい奴!!」
「あら美味しいお肉ですの」
「確かに蛙の肉は鶏肉に似て美味しいと聞く訳だが……」
「見た目がやべえのじゃ!!」
「か、蛙を食べるんですか!?」
「わあ、千差万別の反応ですね。楽しい」
ダイオウヌマガエルとは、ボコボコと凹凸が特徴的な皮膚とギョロリとした目玉の巨大な蛙だ。「グゴゴゴゴゴ」と地響きのような鳴き声は、昼寝中のユフィーリアの横で鳴かせたら飛び起きたぐらいだ。
ただ、あの気持ち悪い見た目をしていてもダイオウヌマガエルは食用のようだ。蛙の肉は食べると鶏肉のようにあっさりとしているので、鶏肉の代替品として有名だ。
ショウは「それでは」と笑顔で、
「目の前にあります目隠しで目を覆ってくださいね。魔法を使うのは禁止ですよ」
七魔法王を縛りつける椅子の前には小さな机があり、机には眼鏡の形をした目隠しが置かれている。女性には桃色の目隠し、男性には水色の目隠しを用意した。
目隠しには魔法を封じる為の魔法がかけられている以外には何もないので、七魔法王の全員は何の疑いもなく眼鏡型の目隠しをかける。「お、何も見えない」とか「凄いッスねぇ」などと感想を抱いているが、ショウはそれどころではなかった。
その眼鏡型目隠しには厳つい太眉の三白眼とか、瞳孔の中に星が散っているキラキラした瞳とか様々なものが描かれていた。もうこれだけで楽しくて仕方がない。美男美女で有名な七魔法王の目元だけが途端にブスに早変わりである。
「さて、ぶッ、お料理を食べてもらいましょうねふふふ」
「ショウ坊、笑ってる?」
「笑ってない」
吹き出しそうになったショウは、最愛の旦那様の目隠しを見やる。人形めいた美貌を持つユフィーリアだが、面白い目隠しの影響で背後に立った人間をぶっ殺しそうな殺し屋の様相をしていた。太眉の三白眼である。美人が台無しだ。
「まずは1番目の料理です。使われている食材は言わないでくださいね」
ショウが合図を送ると、舞台袖から姿を見せたのは南瓜のハリボテが特徴的な美女のアイゼルネである。その手にはお盆が握られており、お盆の上には大きめの匙で唐揚げが乗せられていた。
艶やかな着物と背丈の高い下駄を合わせた花魁のような格好をするアイゼルネは、第一席【世界創生】であるグローリアから順番に巡っていく。目隠しのせいで視界を塞がれている学院長は、どこかそわそわと落ち着きがない。何かをされると思っているのだろう。
アイゼルネは匙の1つを手に取ると、
「『口を開けて学院長!!』」
「え、ハルア君!?」
驚いたのも束の間、アイゼルネは得意の声真似でハルアの声を真似るとグローリアの口に唐揚げを乗せた匙を突っ込む。
グローリアは「もがごぼッ」と鈍い悲鳴を漏らしたが、遅れて口の中に投じられたものが唐揚げだと理解すると「あ、美味しい」と呟く。それは当然である、作ったのは問題児の中でも肉料理だけならばユフィーリアさえも凌駕するエドワードだ。
そうして順調に全員の口の中に唐揚げを投じて、アイゼルネは舞台袖に引っ込んでいった。一口大の唐揚げなので口の中にも収まりやすく、目隠しをした状態で全員が口をモゴモゴと動かしているのが可愛い。いや目隠しのせいで不細工になっているので可愛くない。
「美味しいですか?」
「唐揚げだね」
「下味がしっかりしてあるから美味しいッス」
「もう少し刺激的なスパイスがあれば良いんですの」
「君はもう喋るな」
「美味いのう、味がしっかりしてるのぅ」
「美味しいです……!!」
「それはよかった。舞台袖のエドさんもガッツポーズをしております」
ショウが舞台袖を覗き込むと、唐揚げを作った張本人であるエドワードが親指を上げていた。七魔法王の舌を騙すことが出来て嬉しそうである。
「では次に2番目の料理です」
さて、2番目の料理を持ってアイゼルネが登場だ。同じような唐揚げを乗せた匙を七魔法王の口へ順番に差し入れていく。
1番目の時と同じく、七魔法王は吟味するように頷いた。「美味しいッスねぇ」「うん、これも唐揚げだね」と言っている。味は分かるようで何よりだ。
そして3番目の料理へと差しかかり、同じようにアイゼルネが七魔法王の口の中に差し入れていく。唐揚げを口の中に入れてから咀嚼すること数秒、七魔法王たちの態度に変化があった。
「んむ……?」
「普通に美味しいッスけど」
「美味しいですの」
「ふむ……」
「ううむ……?」
「唐揚げですね……?」
「んん?」
7人中6人が首を傾げるという異例の事態に発展した。これはもう何が正解が当たってしまったようである。
もちろん今回は簡単な問題を用意したので、優秀な味覚を持っているならば分かるだろう。少なくとも蛙の肉を選ぶような真似はしないはずだ。
ショウは全員が口に入れた唐揚げを嚥下したのを確認して、
「さて、目隠しを取ってください」
ショウの合図を受けて、七魔法王の全員がかけていた眼鏡型の目隠しを外す。先程まで目隠しの影響で不細工だったのに、目隠しを外した途端に美男美女へと戻る。あの面白い目隠しの魔力は凄まじい。
「では皆さん、目の前に3枚の札があります。正解の高級食材を使った唐揚げだと思う札をお上げください」
目隠しを置いていた机には、一緒に『1』『2』『3』という数字の札があった。これが選択肢である。
七魔法王は数字の札を手に取って、それからどれが正解だっただろうかと目隠しで食べた唐揚げの味を思い出す。大半は3番の札すら手に取らず、1番か2番で悩んでいる様子だった。
悩んだ末に七魔法王の全員は、一斉に選んだ手札を上げる。
「学院長は2番でした?」
「凄く迷ったんだけど」
2番の札を上げたグローリアは、
「お肉が柔らかくて美味しかったんだよね」
「あ、ボクも思ったッス」
スカイも同じように2番の手札を上げている。どうやら学院長と副学院長のコンビは2番の唐揚げが美味しいと感じた様子である。
「わたくしは」
「聞かなくても分かっておりますので」
「どうしてわたくしには何も聞かないんですの!?」
言わずもがな、全員が手に取ることはなかった3番の手札を持ち上げたルージュを無視したショウはその隣の実父に移る。
「父さんは1番か?」
「2番と迷ったのだが、1番の方が食べた記憶のない味だった訳だが」
キクガは「まあ、あれが上手く処理された蛙だったとしたら何も言えない訳だが……」と自信なさげに言う。どうかその回答に自信を持ってほしい。
「儂も1番じゃ、奇遇じゃのう」
「え、2番ではないのですか?」
「りりあ殿は2番を選んだのかえ? 確かに2番も美味しかったのじゃが、肉がより柔らかいものは1番じゃったじゃろ?」
八雲夕凪は1番を、リリアンティアは2番を選んだ様子だった。隣にいるキクガが八雲夕凪と同じ回答でどこか安堵の表情を見せている。
そして肝心のユフィーリアである。
七魔法王で1番の料理上手な彼女は、味覚も当然ながら発達していることだろう。あの味覚がなければ、あの美味しい料理を作れない。
彼女が出した答えは、
「ユフィーリア、3番でいいのか?」
「おう」
ユフィーリアが掲げていたのは3番の札である。誰もが触れることのなかった代物だ。
ぶっちゃけ言うと、ユフィーリアも3番の手札には目もくれていなかった。それがどうして3番の手札を掲げるのか。
料理上手なユフィーリアが3番の手札を掲げると、他の七魔法王も慌てて手札を持ち替える。今まで彼らが導き出していた答えを翻し、揃って3番の手札を上げるという大波乱を巻き起こした。
「ユフィーリアの味覚だよ? じゃあもう彼女が合ってるでしょ」
「もしかしたら唐揚げを作ったエドワード君がわざと下手くそに作ったかもしれないからッスね」
「この馬鹿舌と同じ回答になるのが悔しい訳だが、義娘が間違うはずがない」
「ゆり殿は料理上手なのじゃ、えど殿の癖も見抜いてるじゃろ」
「そうです、ユフィーリア様は間違うはずがありません。料理上手ですもの!!」
「何でみんなはそんなにユフィーリアへ全幅の信頼を寄せているんだ? 少しは疑問を持とう?」
ショウは「えーと」と困ったように、正解を発表する。
「正解は1番なんだが……」
「え!?」
「嘘!?」
「何だと」
「ほあ!?」
「ええ!?」
「そんな驚くことか?」
驚きを露わにする七魔法王に、ショウは「むしろ何でユフィーリアに合わせて変えてしまうんだ」と嘆く。
ちなみに正解の黄金鶏は1番、モゲ鶏の唐揚げが2番、ダイオウヌマガエルが3番である。3番の唐揚げを食べて首を傾げていた七魔法王の面々は正解だったのだが、最もやべえ食材で作られた唐揚げを正解だと思い込んでしまった。
ユフィーリアはわざとらしい声で、
「ワー、ハズレダッタカー」
「ユフィーリア、わざとか?」
「うん、もちろん」
最愛の旦那様は満面の笑みで言う。
そうだろうと思った。3番の唐揚げを食べたユフィーリアもまた「んん?」などと言いながら首を傾げていたので、絶対に選ばないものだと思っていたのにハズレを選ぶとはそういうことだ。彼女の性格が仇となってしまった。
ショウは「じゃあ」と口を開き、
「正解は分かっていたのか?」
「1番だろ。食ったことねえけど、肉の柔らかさと調味料の馴染み具合がいいよな」
その上で正解もピタリと当ててしまった。本当に彼女は心の底から問題児である。
問題児の性格に巻き込まれてしまった他の七魔法王は頭を抱えていた。唯一、同じ答えを出したルージュは「あら、不正解だったんですの」などと大して傷にもなっていない雰囲気だ。やはり舌馬鹿は健在だ。
ショウはやれやれと肩を竦め、
「では全員不正解ということで、お仕置きだな」
「え?」
「お仕置き?」
「そんなのあるんですの?」
「ショウ?」
「しょう殿、聞いとらんが」
「え、あの、ショウ様?」
「ショウ坊? 何でそんな重要なことを言ってくれねえんだ?」
「みんな素晴らしい魔法使いと魔女だから正解するものだと思っていたんだ。だからあえて伝えなかったのだが――」
ショウは舞台袖に視線をやり、
「ハルさん、お仕置きを頼むぞ」
「あいあい!!」
舞台袖から飛び出してきたのは、ショウが最も尊敬する先輩のハルアである。今回は出番がないかと思っていたのだが、まさか全員不正解で出番が出来るとは思っていなかった。
彼の格好はいつもと同じく衣嚢が無数に縫い付けられた黒色のつなぎを着ていたのだが、顔を覆い隠すのはドラゴンの鱗模様が特徴的な目出し帽である。購買部で買った福袋で当たったプロレスマスクである。どうしてこんなものが購買部にあったのか。
ハルアは衣嚢から黄金に輝く剣――神造兵器のエクスカリバーを取り出すと、
「エクスカリバー!!」
金色の奔流が椅子に括り付けられたまま抵抗できない七魔法王たちに襲いかかる。
防衛魔法を展開する間もなく、七魔法王は見事に大講堂の舞台からまとめて吹き飛ばされた。問題児の問題行動へ結果的に巻き込まれてしまった哀れな七魔法王たちである。
風穴が開いた大講堂の穴から、学院長の絶叫とユフィーリアの悲鳴が聞こえてきた。
「ユフィーリア、君って魔女は!!」
「ごめんってえ!!」
こうして哀れな七魔法王は、綺麗なお星様になった。
「めでたし、めでたし」
「何もめでたくないんだけど?」
「あ、ようやく帰ってきたか」
それから七魔法王が帰ってきたのは、エドワード、ハルア、アイゼルネ、ショウが調達した肉で唐揚げパーティーを開催している最中のことだった。
《登場人物》
【ショウ】異世界出身の女装少年。異世界文化である有名なテレビ番組の内容を再現しようと目論み、エドワードやハルアやアイゼルネと共謀した。ユフィーリアには「こういうイベントをやりたいから協力してくれ」とは伝えただけ。味覚に関してはある程度ならば自信あり。
【ユフィーリア】味覚に関してはかなり自信がある。さすが料理上手なだけあるのだが、クイズが絡んでくるとウケを狙って間違った回答をすることもしばしば。
【グローリア】味覚に関してはあまり自信はない。美味しいと不味いが判断できればいいとさえ思っている。クイズだけなら得意です。
【スカイ】味覚に関しては自信がない。基本的に携帯食料とか簡単なものしか食べてこないのだが、美味しいや不味いなどは判別できる。クイズはシルエットクイズなどが得意。
【ルージュ】料理の腕前はクソだが、味覚だけはユフィーリアにも匹敵する。利きワインが得意なので当てることが可能。クイズはアハ体験とか得意。
【キクガ】味覚は自信はないと言う割には高級食材などを分けることが出来る。他にもこの手の番組は見たことがあり、妻と共に回答を楽しんでいた。もちろん全問正解した。
【八雲夕凪】味覚は自信があり。料理上手な妻が影響している。クイズはあまり得意ではなく、せいぜい間違い探し程度しか自信がない。
【リリアンティア】味覚はあまり自信がなく、野菜なら自信がある。クイズは文字が読めないので、そもそも問題が認識できない。ショウに読み上げてもらってようやく答えられる。今回のような形式のクイズなら好きになれそう。
【エドワード】クイズの料理を作った。3種類の肉で唐揚げを用意。高級食材である黄金鶏を渡された途端、悲鳴を上げた。
【アイゼルネ】料理を回答者の口の中に入れる担当。声真似は楽しそうだったからしてみた。
【ハルア】お仕置き担当。全員成功するだろうし、もしやるならルージュだけになると踏んでいたら全員仲良く不正解したので出番が回ってきた。