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48 聖女

 ユーズ団長に質問はないかと言われ、思わず手をあげてしまったけれど……当たり前だが、みんな一斉に私の方を見ている。今更だけどなんで手なんてあげちゃったのよ私!


 隣でランス様もミゼル様も不思議そうな顔をして私を見ている。そうですよね、手をあげておきながら何も発言しないのはおかしいですよね。はい、わかっていますとも。


 すうっと深呼吸して心を落ち着かせる。大丈夫。気になることをちょっと聞くだけだもの。


「えっと、先ほどシキ様が剣の腕前を披露してくださり、すごく強くて驚いたのですけど……他の聖女の皆様も剣を扱うことができるのでしょうか?私は……残念ながら剣は扱えません」


 そう言って周りを見渡すと、シキ様は驚いたような顔をしてこちらを見ている。うぅ、剣を扱えないことがなんだか悪いことのように思えてしまうわ。


「……リラも、剣は使えない、の」

 ロイ様の横でロイ様の腕の服をつまみながら、リラが小声で言う。リラが、初対面の人たちの前で言葉を発した!感動していると、リラの横にいるロイ様も感動したような顔でリラを見つめている。


わたくしも、剣は使えません」

 ルル様も申し訳なさそうな顔で発言した。よかった、ルル様も剣は使えないのね!


「えっと、私だけ剣が使えるってこと?そうなの?」

 シキ様が驚いた顔でそう言うと、横にいるガイル様が呆れた顔でため息をつく。


「まぁそうだろうとは思ったけど。シキは聖女のくせに強すぎるんだよ。全く」

 やれやれというような顔をするガイル様に、シキ様が一瞬ムッとする。この二人、仲があまり良くないのかしら?それにしては、ガイル様はシキ様が勝った時に自分のことのようにドヤっていたけれど……。


「今ここにいる聖女の中で剣が使えるのはシキとベルくらいだろうな」

 ユーズ団長が言うと、ベル様も片手を頬に添えてそうねぇと頷く。えっ、ベル様も剣が扱えるの?!


「だが、剣が使えないからといって足でまといになるわけじゃない。ルルは攻撃魔法に長けているし、リラは治癒魔法が得意だ」

 そっか、ルル様もリラも得意なことがあるんだ。それに比べて私は何もできることがない……。


「セシルは……まぁこれから追々だな」

「任せておいてくれよ。これから討伐祭までに私がみっちりしごいておくから」

 ミゼル様が満面の笑みでそう言うけれど、一体何をするつもりだろう……?ランス様も驚いた顔でミゼル様を見つめている。


 ふと、机の下でランス様の握る手が強まった気がする。ランス様を見ると、目があった。


「大丈夫、ミゼルが何をする気かはわからないけれど、僕もついているからね」

 ふっ、とランス様に微笑まれて思わず顔が赤くなってしまう。ランス様にそう言われるとなんとかなるような気がしてしまうから不思議だ。


「はい、よろしくお願いします」

 笑顔で答えると、ランス様の表情が一瞬固まって、それから顔を片手で抑えて俯いてしまった。耳が赤いけれどどうしたのかしら?


「あーぁ、お熱いことで。何を見せられてるんだかね俺は」

 向かえに座っていたガイル様がため息をついてそんなことを言っているけれど、どういう意味だろうか?隣のシキ様は変わらず真顔だし、クロウ様とルル様はなぜか嬉しそうに微笑んでいる。


「セシルとランス、仲良しで羨ましいの」

 リラが目を輝かせてそう言うと、ロイ様がそうだなと頷いてリラを優しく撫でている。何よ、二人だってすごく仲良しじゃない!見ているだけで癒されるわ。



「他に質問は?なければ私から一つ伝えておきたいことがあるのだけれど、いいかな」

 静かに白龍のギール様が言葉を発すると、一斉にギール様に注目が集まる。


「聖女の誘拐についての情報だ。聖女の誘拐にはおそらくだが、過去に聖女だった人間が関わっている」




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