42 王都騎士団本部へ
ランス様と街へお出かけしてから数日が経ち、ついに魔物討伐祭の打ち合わせの日がやってきた。
打ち合わせは王都の騎士団や任務に当たる他の白龍使いの騎士や聖女との顔合わせも兼ねているそうなのだけれど、他の白龍使いの騎士や聖女様ってどんな方達なんだろう。
打ち合わせが開かれる王都騎士団の騎士団本部にやってきた。白龍も会議に出席するため白龍の姿ではなく人の姿になったミゼル様も一緒だ。
白龍使いの騎士団本部とはまた違った雰囲気の建物。いかにも騎士団って感じの佇まいね。
中庭を通ると、騎士達が稽古をしていた。
「懐かしいな」
ふとランス様が稽古の様子を眺めて目を細める。そういえば、ランス様は白龍使いの騎士になる前に王都の騎士団にいたとユーズ様が言ってたっけ。
「ランス様もここで稽古をしていたんですか?」
「そうだよ。でも実際ここにいたのは一年もみたないんだ。王都の騎士になれたと思ったら突然白龍使いの騎士に選ばれてしまったから」
ランス様が肩をすくませて困ったように頬笑むと、隣にいたミゼル様がおや、と意外そうな顔をして覗きこんでくる。
「なんだかここを離れたことが残念そうだね。白龍使いの騎士に選ばれたのは不服だったかい?」
「いや、そんなことはないよ。君に選ばれたことは光栄だったし、何よりもこうしてセシルに出会えた」
こちらを向いてにこっと頬笑むランス様。その笑顔があまりにも優しくて嬉しそうで思わず顔に血がのぼってしまう。
「ふふ、それならよかった。嫌々白龍使いの騎士をされてしまってはこちらとしても困るからね」
クスクスと笑いながらミゼル様は言うけれど、きっと嫌がっていないことなどはなからお見通しなのだろう。
中庭を抜けて会場となる大会議室に到着した。中に入ると、そこには沢山の騎士が席に着いている。
自然と分かれているのだろうか、片側には明らかに白龍使いの騎士と聖女、そして白龍達が座っていた。
私達を含めて全部で4組くらい……?
人の姿をした白龍はどの白龍も見目麗しいという言葉がピッタリで息を飲む。ミゼル様も当たり前に美しいけれど、そんな美しさが数人集まるだけでその場が輝いて見える……!
「おう、ランス!」
声のする方を見ると、ロイ様とリラ、白龍のジュイン様がいた。リラはロイの隣にぴったりとくっついているけれど、私の姿を見た瞬間にとびっきりの笑顔になった。あぁ、なんて可愛らしいの!!!
「ロイ!もう来てたんだな」
ランス様がそう返事をしてからロイ様達の後ろの席に座る。私はランス様とミゼル様に挟まれて座っている状態だ。
よく見ると、どの白龍使いの騎士と白龍達も二人で聖女様を守って座っているかのようだ。
「セシル、久しぶりなの」
リラが振り返って挨拶をしてきた。
「久しぶり!ロイ様とジュイン様もお久しぶりです」
お二人にも挨拶するとロイ様はおう、と手を振りジュイン様は微笑んで会釈してきた。ジュイン様の微笑み、美しすぎてやばいです……!
ふと視線を感じてそちらを見ると、ロイ様達の斜め前の席に座る白龍使いの騎士様だった。濃いめのブラウンの髪に翡翠のような色の瞳だ。
軽く会釈するとふいっと目をそらされた。え、何それ嫌な感じ。もしかしてうるさかったのかしら。
ふと騎士様の隣に座る聖女様と目が合った。艶のある長い黒髪に琥珀のような瞳の美しい聖女様だ。軽く会釈すると向こうも会釈を返してくれたけれど真顔で、そのまま前を向いてしまった。
ユーズ様やロイ様、ベル様やリラとはまた違う雰囲気でなんとなく胸の辺りがもやもやする。これから一緒に任務に当たることになるのに、大丈夫かな……。
「よーし、全員そろったか。そろそろ始めるぞ」
声のする方を見ると、前方の席にケインズ団長が座っていた。その隣にはユーズ団長とベル様、白龍ユイン様が座っている。
ケインズ団長、なんだかいつにもまして機嫌が悪そうだけどどうしたのかしら。




