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23 射抜かれた心

 声のする方を見ると、複雑そうな顔のユーズ様とランス様がいる。そういえば、私もベル様もそれぞれ人の姿をした白龍様に肩を抱かれている状態だ。


「ダメだったかい?お互いに白龍から自分の聖女を守っているだけなのだけれどね」

 ユイン様の言葉にミゼル様もうんうんと首を縦に振る。そのままお二方とも肩に回した腕は解くつもりはないようだ。

 ランス様の方を見ると、明らかに機嫌が悪そう。えぇと、こういう場合どうしたらいいんだろう。


「自分の聖女を守るのは白龍として当然のことだろうな。それはわかる。でも我々がこうして到着したのだから、ベルとセシルの肩に回した手はそろそろ退けてくれないかな。我々の心が平穏でいられない」


 ひきつるような笑顔でユーズ様がそう言うと、ユイン様とミゼル様は目を合わせてからにっこりと微笑み肩から手を退けた。


「ユーズもランスも嫉妬深いんだねぇ。そんなところは好感が持てるけれど」

「ユインもミゼルもわざとやってるだろ」

「さぁ、なんのことかな」


 ユーズ様はユイン様とベル様の間に割って入り、ベル様の肩にそっと手をかけベル様を見つめる。ベル様はそんなユーズ様を嬉しそうに見つめて微笑み、そんなベル様を見てユーズ様も嬉しそうだ。


 ふと、自分の肩にまた体温を感じて目を向けると、すぐ隣にランス様がいる。あれ、いつの間に?!そう思っているとランス様も私の肩に手を回してきた。えっ、えっ、どういうことですか?!


 思わずランス様の顔を見ると、ランス様が戸惑うような顔でこちらを見つめている。

「俺にこうされるのは嫌、かな」


 えっ、えっ?!そんな?!

「い、嫌だなんてそんな、そんなことないです」

 顔が熱い。なんならランス様の手がある肩もじんわりと熱い。どうしよう、恥ずかしくて思わず俯いてしまう。


「セシルは本当に素直で可愛らしいね」

 ふふ、とミゼル様の声がする。あぁ、恥ずかしい!!


「セシル、俯いてばかりではランスは嫌われていると勘違いしてしまうわよ」

「そうそう、そいつは悪い方に勝手に考え込んでしまう癖があるからな。もうちょっとわかりやすく好意を表してやってくれ」


 ベル様とユーズ様からそう言われて思わず顔をあげると、少し困ったような悲しげなランス様のお顔があった。


「あっ、あの……」

 ランス様を見つめると、ダークブルーの髪の毛がサラサラと風に靡いてアメジスト色の瞳が私を射抜く。どうしよう、顔が熱くなってきた。もう目を反らしたい!反らしたいのだけれど……。


「わ、私はランス様に触れられたりするのは嫌ではありません。ランス様のことはとても素敵な方だと思っていますし、むしろ嬉しい、です……」

 勇気を振り絞ってそう言うと、困ったような悲しそうな顔をしていたランス様の瞳が大きく開かれる。あぁ、瞳がキラキラしていてキレイ。


「本当に?そうだとしたら嬉しいよ、セシル。俺も君のことは素敵だと思っているし、これからずっと大切にしたい。まだ会って間もない男にこんなこと言われるのは気持ち悪いかもしれないけれど」


「気持ち悪くなんてありません!ランス様はむしろ私になんて勿体ないくらい素敵です。かっこいいし優しいしお強いですし」

 思わず捲し立てるように言ってから、我に返る。


 目の前には顔を真っ赤にしたランス様、近くにいるベル様はとっても嬉しそうだし、ユーズ様はニヤニヤしている。

 ミゼル様とユイン様は微笑んでいる姿がまるで絵画のよう。


 あぁぁぁどうしよう、思わず言ってしまったけれどめちゃめちゃ恥ずかしい!!!!


「ありがとうセシル。そんな風に言ってもらえて本当に嬉しいよ」


 ランス様が嬉しそうに頬笑む。その頬笑みは向日葵が咲いたような、太陽の光のような、その位眩しくてクラクラする頬笑み。その頬笑みを見た瞬間、私の心臓は完全にランス様に射抜かれてしまった。





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