ひだまりの知られざる過去
みんな〜!元気?あたしはひだまり!今日は、マノンは、ちょっときつかれてんじゃないかなぁ〜?って、勝手に決めつけて、今回はあったしが物語の事を、パパァ〜〜っとお届けします!
えっとね、今回は、過去の鏡っていう、やっかいな鏡を巡って、色んな事が起こるの!そして、あたしの過去が明らかに!あたしの友達の、読者のみんなだけに教えてあ・げ・る!あっ!後ね、今回の物語は、新キャラが登場!その子、あたしの知り合いだったの!相変わらずドキドキハラハラする冒険だったなー!いつか、読者のみんなとも、冒険できたらいいな!それでは、みんな!あたし達の冒険を、とくとご覧あれ!
私達は、またもう一つの竜巻を越えた。
こんにちは。私マノン。前までは普通の小学生だったんだけど、ある子と出会ってから、私の人生は一変し、普通じゃ無くなりました。でも、今はその子のことを話している暇はなさそう・・・。「またかよ。」私の隣に立っていたグゥールが、そうため息をついた。その横にいたラインもため息をついた。こちらはグゥールとライン。グゥールは、ラインの兄貴分で、ラインは、冷静で女子からひそかに人気があるグゥールとは大違いの弟分なの。(なんで2人は仲がいいんだろう。)私はそんなことを考えながら周りを見渡した。そこは全体鏡だらけで、酔いそうになる。「すご〜い!鏡がいっぱいで、あたしが何人もいるみたい!」こうのんきに楽しそうにしているこの女の子が、私の人生を一変させたひだまり。数日前にうちの学校に引っ越して来た転校生。それも、魔法界から来たらしい。「ひだまり。ここは何て言う国なの?」「えっ?わかんないよー。」ひだまりの声がこの世界に響き渡る。「おい。どうすんだよ。またいつ仲間が危険な目になるかわかんねーのに、その魔法もわかんないなんて。」多分、グゥールがこんなに心配するようになった理由は、さっきの氷の国で、弟分のラインが危険な目にあったからだと思う。
「とりあえず、竜巻を探しましょう。兄貴。
マノンも、ひだまりもお願いな。」「わかった。」「ok☆」私達が返事するのを聞いたラインは、グゥールと一緒に左側の通路を歩いて行った。「ひだまり。私達も探しに行こうか。」「うん。」ひだまりがそう返事をした時、「なんだよ。これ!!!待てっ!ラインみるなー!!!!」とグゥールの叫ぶ声が聞こえて来た。「何だろう?」「行ってみようよ。マノン。」私達は、グゥール達が歩いて行った道を通って、声が聞こえた方に走って行った。「今回は何?」何個もの偽の鏡の中のグゥール達をよけて、やっと本物のグゥール達を見つけた。「マッマノン。これ以上来るな!」グゥールの動揺っぷりにただ事じゃあ無いと思いつつ、「何で?」と聞き返した。「そんな事言われたら、余計気になるじゃない。」「うっうるさい!俺のガキの頃の思い出が次々流れてくから仕方ねーだろ。」顔を真っ赤にしているグゥールの右横で、ラインが映像が流れているらしい鏡をまじまじと見つめて、口を押さえて笑いをこらえている。それは今にも吹き出しそうだ。「グゥールの思い出ねぇ。面白そうね。」私も、グゥールに気付かれないように、こっそり鏡の映像を見た。そこには、ちょっと太った男の子が、全身泥だらけで泥だんごを作っている。「うわっ。どれだけ汚してんの。グゥールのお母さんが気の毒だわ。」「マノン!見るなって言ったよな!お前いつからそんな人間になったんだよ!」「えっ!そんなに面白いの?あたしも見た〜い!」好奇心旺盛のひだまりも、私とグゥールの顔の間から、ひょっこりと顔を出した。「うわぁ。全身泥だらけだぁ。グゥールって小さい頃、こんな感じだったんだね。うわっ!次の映像出たー!」ひだまりは、飛び跳ねながら映像の流れる鏡に向かって歩いて行く。「ぶっ。ぐはははは。」ラインは、もう耐えられなくなって吹き出した。「お前なぁ。人の思い出見て笑うかよ!」「すみません兄貴。最近のアニメより面白い・・・。」「はぁ!?」そうどうこう話していると、「見るなら全員の思い出を出す事にしようぜ。鏡に触ったら、映像が映るから。」「うんっ!いいよ!あたしの昔と正体を見てびっくりしないでね!」そう言うと、ひだまりはにっこりと笑った。(ひだまりの正体 かぁ。そうだったな。私、ひだまりが魔法界出身って言うの以外に何も知らないんだった。)まだ少ししかひだまりが来た日から日にちはあまり経っていないのに、とても長く一緒にいる気がして来る。「グゥール。赤いの口の周りにいっぱい付けてるー!」「小さい頃の兄貴は、可愛いですね。」「はぁ!」向こうでひだまり達が無邪気に笑っている。「あっ。マノーン!早く来なよ!面白いよ!グゥールが口の周りにいっぱい赤いの付けてるの!ねー早く!」たぶん:赤い:のとは、ミートソースの事だと思う。「あっは〜い!今行く!」(まぁ。今日知れるからいっか。でも、みんなの思い出を見せなくちゃいけないのよね。私のも・・・)私は、そんな思いを振り払って、ひだまりの過去が知れる!と思う気持ちを強くした。私は、楽しそうに話す3人の元に走って行った。ひだまりの悲しい過去を知る事になるとは知らず・・・。「ねっ!グゥールの思い出、面白かったよ。何か終わっちゃったけど。あぁあ。もうちょっと早く来たら良かったのに。」ひだまりは、口をとがらせて私にそう言った。「ごめん。考え事してて。」「考え事?」「次は誰の思い出を見せてくれるんだ。」私が話す間もなく、グゥールが私達の間に割って入った。「えっだっ誰にしようか・・・。」「グゥールが決めたら?」ひだまりは、軽く言いのけた。(ちょっと!ひだまり!それって一番怖いのだよ〜。誰になるか分からないんだからぁ〜。)私は、心の中でひだまりに叫んだ。「あぁ。それがいいな。じゃあ・・・ライン!お前だ次は。」「僕ですか!?何で!」「お前が一番俺の思い出を見て、笑ってたからだ。」グゥールは腕組みをして、「ふんっ。」と鼻で笑った。(こわい仕返し・・・!)「分かりましたから、そんなこわい顔しないでください。」「コレが普通だ!」ラインは立ち上がると、ゆっくりと映像が映る鏡に向かって歩いて行った。そして、優しく鏡に触れた。すると、ラインが触れた部分から、鏡が割れて行く!そして、光も一緒に広がって行く。そして、割れた鏡がパズルのように枠にはめられて行く。「グゥール。すごいね。」「えっ?何でだよ。」グゥールは、びっくりしたのかすっとんきょうな声を上げた。「こんな風に映像が出るまで鏡が割れたり、いろんな事が起こるのに、映像が出てから大声出したから。」私は、目と鼻の先で起こっている事を見ながら、あんぐりと口を開けた。「こんなの全く大丈夫だぞ。だってゲームの方がもっとすげぇの出てるし。」私は、グゥールがどんなゲームをしているか気になったが、グゥールのお父さんがゲーム関係の仕事だった事を思い出して、納得出来た。(グゥールのお父さん。だいぶ変なゲームを作ってるもんなぁ。一回見たけど、変だったもんなぁ。)1人頷いていると、映像が映る鏡に、何か白い物が映った。「なんだろ?」ひだまりは、興味深々で、鏡に近づいて行く。すると、その白い物が、なんだか動きだしたの!「お化けだぞぉ〜お化け〜」その白い物は、どんどん大きくなり、人の形になった。シーツをかぶったその子は、こけそうになりながらこちらに近づいてくるぅ〜!「おおおおお化け〜!」私は、いよいよ後ろにひっくり返った。やっぱり本物じゃないって知ってても怖いよぉ〜「大丈夫?マノン。コレ、きっとシーツをかぶったラインだよー。怖く無いじゃん。」「知ってるけど怖いよお〜。」ひだまりの言う通りで、その白い物 シーツ が、下にずるずると落ちて来た。するとそこには、幼少期のラインの姿があった。「うわっ。ライン。お前、全く面影無いな。」グゥールは、さっきの敵討ちのようにゲラゲラとお腹を抱えて笑った。「兄貴だって今と全く違うじゃないですか。」そう二人が言い合っている間に、鏡の映像は進んでいた。楽しそうに笑う鏡の中の幼少期のラインは、こちらに向かって、「本にあったお化けなんだよ。[うらめしやぁ〜」って言うの。」と元気に言った。「結局は変わらないわね。今のラインと。」私は、そう呟いた。ラインは、とっても本が好きな 本好き少年 なの。まぁ私も 本好き少女 何だけどね。まぁ、だから気が合うんだけど。「あれ?もう終わったの?早すぎなぁい?」横でひだまりが私に喋りかけて来た。確かにもう映像が映る鏡には、ラインの幼少期の映像が流れていない。「確かに。グゥールの思い出は、二、三個あったのに、ラインの思い出は、一個だけだったね。なんでだろう。」そうひだまりと二人で考えていると、ラインが、「分かった!」と大きな声で言った。「うっそー!何で何で!ライン!」ひだまりは、はしゃいでラインにたずねた。私は、ひだまりを見ながらふとひだまりの後ろの鏡が自然と目に入った。何だか目が離せない。何だかずっと見つめられているみたい。「何だろう。この鏡。」「どうしたの?マノン。」小さい声で言ったつもりだったけど、だいぶ大きな声で言っていたようで、ひだまりが私の顔をのぞきこんで来た。「そこの鏡から、視線を感じるの。」私は、そう話しながら、その不思議な鏡を見た。だけど、もうその鏡は、他の鏡と同じになっていた。「えっ?」ひだまりは、私が見ていた鏡の方を向いた。「あっううん。やっぱり何でもない。」「うっうん。そうならいいけど。」ひだまりは、まだちょっと疑うような顔をしたけど、すぐにいつもの顔に戻った。私は急いで話題を変えようと、「でっ?何で思い出の数が違うの?」とラインに聞いた。「あっうっうん。これはただの僕の考察なんだけど、多分恥ずかしかった思い出や、悲しい思い出がよみがえっているって事なんだと思うんだ。この考えだったら個数が違っても不思議はないだろう?」ラインの見事な考えに感心しながらも、同時にラインの思い出の中に恥ずかしかった思い出、悲しい思い出がこれしかなかったことにもびっくりする。「あっ!この国の名前分かった!」ひだまりは、ラインの話を聞いてすぐに、ポンッと手を叩いた。「本当か!ひだまり!」「うんっ!」ひだまりは、はげしく頷くと、自信たっぷりの顔で、「この国は、たぶん 鏡の国 だと思う。」と言った。「鏡の国?」私達三人の声が重なった。「そう。鏡の国には、[過去の鏡]って言うのがあるらしいの。」どうやらひだまりの話によると、大昔の魔法界統一国家王の マリーズ様 の武器の過去の槍という人々の過去を見る力がある槍があったそうで、当時、過去を見ず、前を見続けていた鏡の国に、過去の槍を持ち、ある日出向いたそうだ。そして、こう言ったと・・・「そなた達の前向きな姿にはいつも感服しておる。だが、過去を見る事も大切な事である。そなたらの為に、我が武器であり、友であり、そして、苦楽を共にして来たこの過去の槍を与えよう」・・・と言い、一番大きかった今私達が使っている鏡に、槍を溶けこましたらしい。「そして、結局は、鏡の国の住民は、過去しか見れなくなってしまったわけの。これが、今、明暗歴史の一つの、 過去の槍と鏡の国 の一部始終。」「難しいわね。なんとも言えないわ。そのマリーズ様は、新しい力を授けて幸せにしようとしたんでしょ?でも、結局は鏡の国の住民は、過去しか見れなくなってしまった。やっぱり人間には完璧な人はいないっていう意味にすごく納得出来る内容だわ。」「そうなのー。なんとも言えないんだよねー。」私達が、うなずき合っていると、「何か話の方針変わってないか。」とラインが言って来た。「あっ・・・」私達もその事に気がついて、苦笑いしながら、顔を見合わせた。「でっ。次は誰の過去を見せてくれるんだ?」グゥールは、私達の会話の中に割って入ると、楽しそうに私達を交互に見た。その瞬間、私の頭の中に昔の悲しい過去がよみがえって来た。「どっちが先にやる?」ひだまりは、あんまり悲しい過去は無いのか、普通の顔をして言った。本当は、ひだまりの過去が、とんでもなく悲しいとは知らずに・・・。「あたし先にやろっか?」「いいの?」「うん。」ひだまりは、どんどん 過去の鏡 の元に歩いて行った。「じゃあ・・・いっきま〜す!えいっ!」ひだまりは、先ほどのラインとは違い、勢いよく鏡を触った。
そして・・・あの現象が起こった後
「やっぱりグゥールすごいわ。」「マノン。お前、何回言うんだよ。」ひだまりが、過去の鏡に触った後、私は、もう四回くらいずっとグゥールに 「やっぱりグゥールすごいわ」 と言い続けていた。「兄貴。マノン。始まった!」「本当!」私とグゥールの声が重なった。(これで、もっとひだまりの事が知れるんだ!)私は、こっそり心をときめかせながら、ゆっくりと流れて行くひだまりの過去の映像に視線を向けた。
ひだまりの過去・・・
「きゃは。」黄色のフリフリがついたオレンジ色の短めのドレスと、長いストレートの太陽のような鮮やかなオレンジ色の髪をなびかせて、幼いひだまりが、セピア色に輝く廊下を走って行く。「明姫さま!ダメですよ!廊下をはしっちゃあ!」メイド服を着た黄緑色の髪の女性が、拳を突き上げて早歩きでひだまりを追いかけている。まるでおとぎ話に出て来そうなお城の廊下を! 「なぁ。何でひだまりの事をこの人 明姫さま って呼ぶんだ?」グゥールは、映像 を指しながら私とラインの方を交互に見た。全くその通りだ。「確かに・・・。何でだろう?」私も、不思議に思って首を傾げた。「そんなの簡単じゃん。」ひだまりは、首を傾げる私と、考え中のグゥールとラインに言ってのけた。「姫さまって、丁寧に言えば お姫様 でしょ?」私は、一時して、「あーーーーっ!」と叫び声を上げた。「何だよマノン。声でけぇ。」グゥールは、耳を抑えて私を見た。「あっごっごめん。あっ!そんな事より、ひだまり、魔法の国のお姫様なんだよ。きっと!」私は、グゥールが何か言おうとしたのを無視して一気にに言い切った。「正解!マノン!さすが!そう。あたしは、 太陽の国 のお姫様なの。 明 の部分は、あだ名。いっつも明るいからだって。だから、寒い氷の国と、空に上がる時間が違う月の国とは敵同士で、それぞれの魔法が苦手なの。それにしても、この映像、何の思い出だったっけ?」「この思い出忘れたんだ。まぁ、見れば思い出すんじゃない?」「うん。そーだね!」ひだまりは、満面の笑みを私に向けた。「あっ!そういえば、映像見てなかった!」私の言葉に、ラインとグゥールも映像に視線を向けた。
ひだまりの過去・・・
私達が話している間に、映像は進み、廊下を走り終わっていた。「明姫さま。言う事聞いて下さい。」「何でよぉ。なんでママサマのとこいっちゃあいけないの?」テラスのような所を、幼いひだまりと、メイド服の女の人が歩いて行く。オレンジ色に輝く太陽の光が眩しくキラキラと幼いひだまりとメイド服の女の人に降り注ぐ。どうやら外に出たらしい。(それにしても、 ママサマって、ひだまりのお母さん?ということは、太陽の国の女王様!!)私は、心の中でそうさけんだ。気分はもうすっかり映画を見ている時のようだ。
「明姫さま。お部屋で何度も言ったじゃあないですか。女王は、多忙なのです。」メイド服の女の人は、幼いひだまりの前に出て言った。「多忙?なぁに?それ?美味しいの?あっ!分かった!ママサマ美味しい物食べてるのね!あたしも食べたぁ〜い!」「明姫さま!違います!女王は忙しいのです!」「じゃあ、あたしが手伝ってあげなくちゃ!」幼いひだまりは、「へへ。」と笑うと、メイド服の女の人の隙を見て、走り出した。すると、現代のひだまりが、「あっ。」と声を上げた。「どうしたの?ひだまり。」「思い出した・・・。」「えっ?」「思い出したよ。この思い出。」ひだまりは、暗い顔をした。(どうやらいい思い出じゃなさそう。まぁ元々いい思い出は流れないんだった。)「そう言えば、何でお母さんに会いに行くのに、外に出るんだ?」グゥールは、悲しんでいるひだまりが見えていないのか、平然と聞いたらいけないと思われる質問をした。「ちょっとグゥール!」私は、グゥールに小声で怒鳴った。「兄貴!」ラインも私と同じように小声で怒鳴った。「いいの。グゥールの質問、何でママサマに会いに行くのに外に出るのか でしょ。理由はね、ママサマとあたしが、別のお城に住んでいるから。」そのひだまりの言葉に、私達は、絶句した。「どういう事?ひだまり。」「ママサマね。会議とか、他の王様との会食とかがあって、本当に多忙・・・忙しかったの。だからか、あたしを離宮の方に移したの。」「離宮に?」「うん。あたしね。ママサマと一緒に住んでいる時、ママサマを喜ばせようと思ってね、毎日勉強を頑張って、テストで100点いっぱい取って、喜ばせようとしたの。ママサマは、その時優しく笑ってくれた。でも、その後あたしを離宮に移した。ママサマ、あの時、心の底から笑ってなかったみたい。あたしといても楽しくなかったみたい。」確かに、ひだまりは色々な事を知っていた。魔法界の明暗歴史の事や、国の名前も。途中で学校が変わったのに。「あの時のあたしは、今みたいじゃなかったからかな。」ひだまりは、過去の鏡の方を向いていていて、私達には後ろ姿しか見えない。(ひだまり・・・)私は、そんな風に思わないよ。とか、そんな事を言ってはげますべきなのに、どうしても、口を開く事が出来なかった。
ひだまりの過去・・・
「着いた〜。ママサマ。あたしですぅ〜。」場所は移り、立派なお城のような所に移った。お城は、オレンジ色のベールに包まれ、屋根の上には、光り輝く太陽の飾りがある。(ここってもしかして、太陽の城?)幼いひだまりは、タッタッタッとお城の大きな門に続く階段を駆け上がって行く。そして、身長の何倍もある重そうな門を押して開いた。そこは庭園で、木々がたくさんあり、滝まである。 それに、さっきの木々をよく見ると、木に何か実が付いている。それは、ひだまりが付けているシャボン玉だった。 (さすがお城!こんなの見た事無い・・・!それに、あのシャボン玉。木の実だったのね。てっきりガラス細工だと思ってた。)現代のひだまりの様子を見てみると、懐かしそうに映像を見つめていた。(あまり住んでいなかったとしても、実家だからね。そう実家・・・。ひだまりは、帰りたいのかな?お母さんに会いたいのかな?つばさは、帰りたいかな・・・。)私は、ひだまりを見つめながらそう思った。つばさは、私が幼稚園の時、仲が良かった男の子なの。だけど、今は会えていない。突然いなくなってしまったから・・・。
ひだまりの過去・・・
幼いひだまりは、庭園を駆け抜けて、お城への入り口までたどり着いた。「お待ち下さい!明姫さま!女王は今、お偉い方の接待をしてらっしゃるのですぅ!」「じゃああたしが手伝ってあげなくちゃ!」「明姫さまぁ!お仕置きされてしまいますぅ!勘弁して下さいよぉ〜。」ひだまりは、荒い息をしながらお城の扉を開け放った。入り口から左に曲がり、その一番奥の扉に向かって「ママサマ!明だよ!」と明るい声で言った。きっとそこが接待用の客間なんだろう。「明姫さま!だぁめぇ〜」[バタンッ!]幼いひだまりは、客間の扉を開け放った。「ママサマ!」「明ちゃん!なぜここに?マイはどうしたの?」客間の中には、きらびやかなドレスを着た女の人が二人いた。そのうち一人は、ひだまりと同じ明るいオレンジ色の髪色だ。(この人が、ひだまりのお母さんかな?)その女の人を、私はじっくり見つめた。でもどう見ても、ひだまりを嫌うような悪い人には見えない。むしろ激愛しそうな人に見える。 「あたしのママサマ。綺麗でしょ?」「えっ・・・。」私が見つめているのに気がついたひだまりが、私に言った。 「うっうん。綺麗。」「でしょ。あたしの自慢のお母さんなんだ。まぁ、離宮に移したけどさ。」ひだまりは、誇らしく笑った。(ひだまりは、すごいな。ずっとお母さんの事を信じているみたい。離宮に移されて、悲しかったはずなのにな。もし私がひだまりだったら、絶対お母さんの自慢なんて出来ないと思う。)私は、ひだまりのさっきのセリフを頭の中で繰り返しながら、また過去の鏡の映像に視線を向けた。
ひだまりの過去・・・
「マイ?マイなら、お城の外にいるよ。ねっねっママサマ!大変なんでしょ?あたしが手伝うよ!ねぇ何すれば良い?ねっねっ!」「すみませんね。スズラン夫人。」ひだまりのお母さんは、もう一人の女の人 スズラン夫人 にそう言って謝ると、「明ちゃん。ちょっと来なさい。」と言うと、幼いひだまりの手を取って客間の外に出て、お城の入り口の扉に向かって歩いて行った。「明ちゃん。ママサマはね、忙しいの。だから、マイと離宮で楽しく遊んでいて。いい?」「何で?あたし、ママサマのお手伝い、出来るよ?計算も、紅茶を注ぐ事も出来るよ?ちゃんとマイに習ったよ?役に立てるよ?なのに何でダメなの?どうしたら来れるの?ずっとずっと忙しいんでしょ?ママサマのお仕事終わらないでしょ。ママサマのお仕事終わらないとあたし、またママサマと一緒に住めないもん。」幼いひだまりは、お母さんに一生懸命にそういった。「明ちゃん。大丈夫よ。ママサマは、後もう少しでお仕事終わるから。終わったらまた一緒に住みましょうね。それまで待っていてくれる?」ひだまりのお母さんは、優しくひだまりのほほを撫でた。「うん!分かった!あたし待ってる!ママサマと一緒に住める日まで!」「ありがとう。明ちゃん。明ちゃんは優しいわね。」「へへっ。あたし優しいかなぁ。」「えぇ。とても。」「じゃあ帰るね。頑張ってね。ママサマ。あたしの住んでいるお城にも来てね。待ってるから!」ひだまりのお母さんは、優しく頷いた。そして、暖かい笑顔がその場にあふれた。すると、お城の外の庭園の木々に実が実った。すると、ひだまりのお母さんは、何かひらめいたのか、「そうだわ。」と言った。「明ちゃん。明ちゃんとママサマは、繋がっていると言う意味で、あるものをあげるわ。」ひだまりのお母さんは、幼いひだまりの手を取ると、外の庭園に出た。そして、さっき二人が実らせたシャボン玉の実を二つ手に取った。「明ちゃんに、この実を一つあげるわ。」「うわぁ!ありがとう!ママサマ!でももう一つは?」幼いひだまりは、シャボン玉の実をもらいながら聞いた。「もう一つは、ママサマのよ。この実でママサマと明ちゃんは繋がっているの。これからずぅーっとね。」「うわぁ。ママサマと?」「えぇ。そうよ。」幼いひだまりは、にっこり笑うと、「あたしの住んでいるお城に来る時には、この実をもう二つ持って来て。またその次にママサマが来てくれた時に、一つ渡すから。」と言った。「分かったわ。さぁ。もう行きなさい。スズラン夫人もマイも待たせてしまっているわ。」ひだまりのお母さんは、「またね。明ちゃん。」と言うと、笑顔で手を振った。「バイバイ。ママサマ!またね!」幼いひだまりは、明るい声でそう言うと、マイの元にタッタッタッと走って行った。そこで映像は[ブチッ]と切れてしまった。
「終わっ・・・たね・・・。」私達の間を微妙な空気が流れる。「うん。終わったね。すんごく気まずい思い出出すよね。過去の鏡。」ひだまりは、無理矢理笑顔を作った。「ごめんな。」グゥールは、珍しく顔が引きつっている。だけど、よく考えてみたらここで気まずくならない人がいたら逆にすごい。「何でグゥールがあやまるの?何も悪い事なんてしてないじゃん。」「いや。俺が全員の思い出を出そうって言ったせいでだから。俺のせいだ。」グゥールは、視線を落としながら謝った。「兄貴のせいじゃないですよ。僕がたくさん笑ってしまったからこうなったんです。すみません。」「そんな事ない。確かに腹は立ったけど、ひだまりの思い出の事に関してはお前のせいじゃねぇー。」グゥールはラインの頭を撫でてあげた。「まぁ、笑った事に関しては許してないからな。」「はっはい。そこは無理ですよねー。あははははは。」そんな事を話している二人はいいとして、私はひだまりの方を見た。ひだまりは、首にいつもかけているシャボン玉のネックレスを手に取って見つめていた。私は、そんなひだまりの元に歩いて行った。「それ。お母さんからもらったんだね。」「あっうん。そうなんだ。」「へぇ。いいね。そう言えば、髪飾りのぶんもいっしょのあるよね。」私達は、グゥール達を置いて、二人だけで鏡の国を散策しながら話し始めた。「うん。あの後一カ月くらい経ってから、ママサマが来てくれたの。その時この二個をもらったんだ。その後は来てくれなかったけどさ。」「なんか映像の中で、ひだまり、言ってたもんね。[次来る時も二個持って来てね。]って。」私は、横で一緒に歩くひだまりを見ながらゆっくりと話して行く。(ひだまりの事、知れて良かったな。でも、悲しい思い出だけだった。他に楽しかった思い出の方は無いのかな?)私は、思い切って、ひだまりに聞いてみる事にした。「ねぇ。ひだまり。」「んっ。なぁに?」ひだまりは、いつもの笑顔で私にたずねる。「ひだまりの思い出の中に、お母さんとの楽しかった思い出ってある?」「突然どうしたの?。」「今日、ひだまりの過去を知れて良かったと思ったけど、悲しい思い出だけだったから、楽しかった思い出を知りたいと思って。あっ無理だったらいいよ。」私はずしずし行く派じゃないから、遠慮して言った。「う〜ん。イヤだ。」「えっ・・・。」私は、予想とは違ったひだまりの答えに、声にならない声で返事をした。「・・・そっか。・・・」その言葉が、なんとなく悲しかった。「マノン。」いつのまにか歩調が早くなってしまって、後ろからひだまりの呼び止める声がした。「ごっごめん。さっきの質問も、早く歩いちゃった事も、後、悲しくて辛い思い出を見てしまった事も。」この言葉も、歩調も、なぜかどんどん早くなってしまう。(本当は止まってから、ひだまりの目を見て、ちゃんと謝らなくちゃいけないのに。ちゃんと、ごめんって言わなくちゃいけないのに・・・。ちゃんとわかってるのに・・・。)「マノン。」「ごめん。」私は、ひだまりが他の事を話そうとしているかもしれないのに、気づいているのにすぐに ごめん と返してしまう。「マノン。」「ごめん。」「マノン!もうごめんって言わないで!」突然、ひだまりのぽかぽかする太陽のような声が、大きな怒った声に変わった。ひだまりは、パタパタと走って来て、私の肩を掴んで後ろの方に振り向かせた。私は、ひだまりの顔を見る事が辛くて、うつむいた。「マノン。あたしが何で、あの質問を断ったと思う?」ひだまりの声が、鏡ではね返って聞こえる。「私には、言いたく無かったからじゃ無いの?」「違うよ。」ひだまりは、私の肩から手を離すと、続きを話し出した。「マノンが、初めて話す人みたいに言ったからだよ。」ひだまりの予想外の理由に、私は顔を上げた。「マノン。あたし達は一体どんな仲だと思う?通りすがりの女の子?それとも、ただの挨拶だけをする仲?違うでしょ?あたし達は、れっきとした友達なの。いや。それより上の親友かも。でも、どちらでも、初めて顔を合わせて話した仲じゃないでしょ?なのに、何で最後、遠慮して、無理だったらいいよって言ったの?あんな風に気遣うのは、とっても大事な事だって分かるけど、あたしじゃない友達で、そういう風に言った方が良い人は、いるかもしれないけど、あたし達の間では、そんな風に言わなくてもいいよ。だって、あたし達は、他の友達よりも、もっと硬い友情の糸で結ばれた友達なんだから。だから、気を使わなくていいんだよ。」ひだまりのその言葉が私の心を良い方に変えてくれた。今まで、出来た友達には、みんな気を使って来た。でも、ひだまりは、気を使わなくてもいいと言ってくれた。今まで出会って来た人と違って。「そうだね。ひだまりは、私の一番の友達だもの。硬い友情で結ばれた。」ひだまりは、私の言葉を聞いて、安心したのか、優しく微笑み、声もいつもの明るいぽかぽかする太陽のような声に戻った。「あっでも、さっきの過去の鏡の映像の件は、さすがに友達でも見てほしくないでしょ?」私は、ひだまりに言った。「ううん。そんな事無い。だってあの思い出、本当の悲しい思い出じゃ無いんだもん。」「えっ?悲しい思い出じゃ無いの?」私がそう言ったのと同時に、「ハッハッハッ。何を言っておるのかと思いきや、悲しい思い出を、本当の悲しい思い出ではないなどと意味の分からぬ事を次から次へと並べて行きよって。馬鹿馬鹿しい。」と、野太い声が鏡の国に響き渡った。「えっ。だっ誰?」私は、ドラマのような展開にびっくりしながら、辺りを見渡した。でも、上空も鏡の後ろにも、全く人影は無い。ひだまりは、私とは変わって、ひらめいたような顔をした。「マノン!声の主と、場所が分かったよ!」ひだまりの自信満々の声をあざ笑うかのように、あの野太い声はずっと笑い続けている。(すごい!ひだまり!すぐ分かる何て!それにしても、イラつく声ね!)「本当にイラつくわ。あの野太い声!ひだまり。あの声の主は誰?」「あの声の主は、マリーズ様だよ。」「えっ!あっあの明暗歴史の?あの大昔の王様?」私は、自分で言った 大昔の王様 に、反応した。頭の中に、幽霊 という言葉が浮かんで来て、脳内を駆け巡る。大昔の王様だったら、もうとっくにいないはずだ。(幽霊・・・?いや違うよね。だけど、ひだまり、大昔って言ってたよね?じゃあやっぱりそうなんじゃない?だってずっといるって怖くない?)「マノン。声に出してるよ・・・。」私は、怖すぎて声に出してしまっていたようだ。「あっごめん。考えれば考えるほど、怖くなってきっちゃって。」「マノン、幽霊とか怖いの苦手だからね。」私は、ひだまりの幽霊とか苦手だからね、に反応した。だって、ひだまり。まだマリーズ様が幽霊って言ってないじゃない!「マッマリーズ様、やっぱり幽霊なの?」「うん。大昔の王様だからね。あっそうそう。マリーズ様の場所だけど・・・。」幽霊の事で頭がいっぱいだった所に、マリーズ様の場所という疑問があった事を思い出した。「あっそうだったわ。それがあった。ひだまり。どこなの?」私は、一旦 幽霊 から離れて、ひだまりに質問した。「きっと、鏡の中だよ。」「えっ?鏡の中?。」私は、すっとんきょうな声を上げた。一気に血の気が引いて行くのが、自分でも分かる。一人わなわなとくちびるを震わせていると、ふと、私の頭の中に、ひだまりの過去を知る前に見たあの不思議な鏡が出て来た。「ひだまり。マリーズ様が、鏡の中にいるのが本当なら、私、心当たりあるかも。」「えっ!心当たりあるの!?いつ?」「えっと、ほら。今日、私が変な鏡があるって言ってた時あったじゃない。あの時、何か視線を感じたあの鏡。もしかしたら、その視線はマリーズ様の視線だったんじゃないかな?」ひだまりは、あの鏡を思い出したのか頷いた。「確かに。あたしはちょうどの所で感じ取れなかったけど、マノンが感じたならそうかも。」私達がそんな事を話していると、「ハッハッハッ。人間にしてはお見事だ。だが、鏡の中にいると分かったとしても、どの鏡にいるかは分からないだろう。念のため言っておくが、この鏡の国には、約3500万個の鏡がある。私を見つけるのは不可能だ。クックックッ。」高らかな笑い声が、また響き渡る。「ムカつく〜!。マノン!過去の槍を鏡の国に授けた張本人を見つけよう!」ひだまりは、いつも以上の気合いで右手を天高く突き上げた。「ひだまり。その前に、グゥール達を探さないと。」「それは後。グゥール達は逃げないんだから。」ひだまりは、私の手を握って、鏡の国の中央部と思われる場所に向かって走って行く。「ひだまり。当てがあるの?」「ううん。とりあえず、進むっきゃないかな〜と思って。」「いやいや。逆にダメだって。」私がそう言っても聞く耳を持たないので、一緒に走りながら考える事にした。相変わらず、マリーズ様は高らかな笑い声を鏡の国中に響かせている。だけど、なんだかさっきいた場所で聞いていた時より小さく聞こえる。その時、私の頭の中に、一つのアイデアがうかんだ。「あっ!そうだ!いい事思いついた!」私がそう言ったのとほぼ同時に、「本当!さっすがマノン!」ひだまりはそう言って振り返った。まるで私がそう言うのを待っていたようだ。「本当にそこにいるとは限らないからね。」「マノンが言ってるんだもん。絶対あってるよ!でっ?どこなの?マリーズ様は!」ひだまりは、そう言いながら、どんどん私に近づいて来る。ひだまりが近づいて来る分、私は、どんどん後ろに下がって行く。「ひだまり。何か近づいて来てるよ。」「てへへ。ゴッメンゴッメン。」ひだまりは、舌を出して、頭をかいた。「いいよ。じゃあ、一回さっきの所に戻ろう。」私は、ひだまりの手を取って、さっきの所に走って行った。「マリーズ様は、多分ここから右がわにいると思う。マリーズ様の笑い声が右がわから聞こえるから。とりあえず行って確かめるしかないんだけど。」「なるほど!ok!」ひだまりは、早速右がわに走って行った。「ひだまり!ストーップ!全部走らなくてもいと思うんだけどー。映像の中にいたマイも気の毒ね。」私は、叫んでも聞かないひだまりの元に走って行った。
私は、マリーズ様の笑い声が一番聞こえる場所で、「ひだまり!ストップ!」と言って、そのまま走り抜けようとしていたひだまりを止めた。「ハッハッハックックックッ。」マリーズ様は、自分で出している笑い声でどこにいるのか知られてしまうとは考えもしなかったのか、ずっと笑い続ける。「ハァハァハァ。ここにある鏡のどこかにマリーズ様がいるって事?」ずっと走り続けていたひだまりは、荒い息をしながら私に聞いた。「うん。多分ここら辺の鏡だと思う。」「ok!」ひだまりは、パタパタと鏡をのぞきはじめた。「ひだまり。それただ鏡の中の自分を見てるだけになるよ。それに、もし中にいたとしても、見えないよ。」ひだまりは、「そうだった!」と声を上げて、振り向いた。
「お〜い!ひだまり!」「兄貴!早いです!あっ!マノン!」ずぅーっと向こう側から、声が聞こえて来た。間違いなく、聞き慣れたグゥールとラインの声だ。「あっ!二人とも!」私も、そう叫ぶと、二人の元に走って行った。「待ってよー!」ひだまりも、遅れて走り出した。「おい。何で置いて行ったんだよ。ここ、何が起こるか分からないんだからな。実際になったヤツがいるだろ。」「分かったわよ。置いて行ったのは、後から謝るから。」「何で後から何だよ。」グゥールの説教を聞いた後、私は、今、私達が置かれている状況を説明した。「いつの間にそんな事になったんだよ。まぁ、今は、そんな事言ってる暇はないな。とりあえず、そのマリーズ様を探せばいいんだろ。」グゥールは、そう言うと、ひだまりと同じように鏡をのぞき始めた。(ちょっと。グゥールもひだまりと同じじゃない。)私は、苦笑いしながら、「グゥール。それただ鏡の中の自分を見てるだけになるよ。それに、もし中にいたとしても中は見えないよ。」私は、ひだまりに言った事をグゥールにそっくりそのまま返してあげた。「あっそうか。」「そうだよー。あったりまえじゃん。」「ひだまりも言えないでしょ。」私は、自分はやってないように言っている、ひだまりに言った。「あはははは。痛い所つかれちゃった。」「ひだまりもやってたのかよ。」グゥールは、ひだまりをジロリと見た。「うっ。あははははは・・・。」「まぁそこら辺はいいとして、本題に戻りましょう。」私は、ひだまりと、グゥールにそう呼びかけた。「あぁ。そうだな。じゃあ、早速言うけど、どうやって、鏡の中を見るんだ?」「そうなのよねー。そこが分からないとよねー。」私は、後ろにあった、普通の岩よりふた回りほど小さい青い透明の岩に座って、ほおづえをつく。「マノン。その座ってる岩、ちょっと見て良い?」「うっうん。良いけど・・・。この岩をどうするの?。」私は、急いで岩からどくと、ひだまりに尋ねた。「魔法界ではね、過去の色と未来の色っていうのがあるの。」「過去の色と未来の色?」私と、グゥールとラインは、口をそろえて言った。今も、相変わらずマリーズ様の笑い声は続く。「まぁ、そういう色があるの。でね、この岩の色は、青色でしょ?青色ってね、[未来の色]って言われてるの。だから、過去の槍を持ってたマリーズ様には、苦手な物じゃないかと思って。どう?」「なるほど!いいと思うわ。それでいってみよう!」私は、ポンッと手を叩いた。「じゃあ、早速やるか?」私の横から、グゥールが、顔を出した。「でも、どうやってこの岩を使ってマリーズ様を出すんだ?」「この岩で、マリーズ様がいる鏡をバンッとしたら良いんだよ!」ひだまりは、にっこりと笑った。(ひっひだまり・・・。それって、鏡を 割る って事だよね・・・。まだどの鏡かとか、詳しくは分からないのに。)「ひだまり。どの鏡かまだ分かってないじゃない。どうするの?」「そんなの簡単じゃん。」ひだまりは、いつもの声でそう言うと、鏡の方をむいて、「片っ端からバンッと・・・。」「ちょっと!ひだまり!鏡の国の鏡どれだけあると思ってるのよ!片っ端から割るって・・・。」私は、苦笑いをするひだまりに、全力講義をする。「えっ?どれだけあるの?」「さっきマリーズ様が言ってたじゃない。まぁ、そんな事言ってる場合じゃないわね。私達の本当の目的は、この世界から出て、遠足の行き道に戻る事ですもの。」「うん。そうだね。きっと、マリーズ様なら、何か知ってる可能性もあるし、倒したら、この世界から、出れるかも知れないし!」「どちらにせよ、実際にやって見ない事には、分からないしね。」「まぁ、運のいい事に、マリーズとか言うやつは、まだ笑い続けてるぜ。今の俺らなら、行けっかもな。まぁ、団結力だな。」グゥールは、あやしく笑った。「ねぇねぇ。鏡を割る前に、エイエイオ〜ってしようよ!」「えぇ?」私は、ひだまりの無邪気な笑顔を見つめた。この笑顔で見つめられると、断れない。「えぇ。分かったわ。」「やったー!」どうやら、私以外に、反対者はいなかったようで、グゥールとラインは微笑んでいた。「じゃあ、準備はい〜い〜?」「えぇ。」「うん。」「あぁ。」ひだまりは、私達を見回すと、頷いた。すると、一番に、グゥールが。二番目にラインが。三番目にひだまりが手を重ねた。そして、四番目の一番上に私が手を重ねた。「早く出よう!」「「エイエイオ〜!」」私達は、声を合わせて右手を天高く突き上げた。「よぉ〜し。さてと。じゃあ、鏡割って行こうか。」「一番笑い声が聞こえる鏡を割ろう。」私は、鏡の国が、鏡の破片だらけになるのを防ぐために念を押して言った。「分かってるよー。鏡の国の片っ端からは割らないよー。」(すごく不安なんだけど。鏡の国が破片だらけにならないように願うしかないわね。)笑って終わらせるひだまりに、私は、苦笑いしながら見つめた。「ほら。持ち上げるぞー。」左側から、グゥールの声が聞こえた。「あっはぁ〜い!」私とひだまりは、そう返事をすると、急いで二人の元に向かった。「行くぞ。一、二の三。よっこらしょ。」私達は、力を合わせて、未来の色の岩を持ち上げた。「最初はどの鏡を割る?」「あたしは、あの金色のふちの鏡がいいと思う。」ひだまりは、一番綺麗な鏡を指差した。「でも、いくらマリーズ様でも、それじゃ無いと思う。」私は、何となくそう思った。「じゃあ、どこの鏡を割るの?」「そうねー。あの鏡とかは?」私は、左手で、一番中心にある人一倍小さい鏡を指差した。その途端に、未来の色の岩が、ぐらりと傾いた。「おい!ちゃんと持て!片手で持つな!両手で持て!」「あははは。ごめんごめん。」私は、笑いながら、両手で持ち直した。「じゃあ、あの小さい鏡を割るんだよな。行くぞ。」「うん。」「えぇ。」「はい。」私達は、それぞれ返事をすると、未来の色の岩を運んで行った。「行くぞーっ。せーの。」私達は、未来の色の岩を、一番小さい鏡にぶつけた。すると、ピキピキピキと、鏡に亀裂が入った。私達はその調子で、息を合わせてまた未来の色の岩をぶつけた。すると、またピキピキピキとイナズマのように亀裂が入った。そして、いよいよ、パキンっと鏡が割れた。「やったー!わぁ〜れたぁ〜!」ぴょんぴょんと飛び跳ねるひだまりを見ながら、私は、「まだ、マリーズ様出てきてないじゃない。」と言うと、割れてしまった鏡の破片と、木製の枠の方に視線を向けた。(出て来るかな?まぁ、早く出てきてもらわないと困るんだけどね。あーもう、早くこの世界から出たいものよ。)私は、「はぁ。」とため息をつきながら、肩をガクリと落とした。「マノーン!すごいよ!見て見て!」ひだまりは、そんな私の気を、知ってか知らずか、嬉しそうに私の手を握る。「なぁに?ひだまり。」「あのね、あったしすごいのを目撃しちゃったの!」「何を目撃したの?」ひだまりは、「実はね、実は・・・。」と、渋りながら、楽しそうに私の顔の表情を伺う。「何?渋らないで、早く言って。」「うん!分かった!絶対驚くよー!一大事だもん!」そうひだまりが言って、その、ひだまりの[一大事]をもう少しで聞ける所で、ラインが間に割って入った。「マノン。あの小さい鏡。当たりだったよ。ひだまりが渋ってたのも、この事だ。」「うそ!本当!良し。来たわね。後は、この世界から出る方法を、早く聞き出して、さっさと出るだけね。」私は、心の中でガッツポーズをすると、残念そうにしているひだまりを置いて、ラインと共に、グゥールの所に走って行った。「あっ!ちょっとー!まってよー!」ひだまりも、後からパタパタと走って来た。「グゥール!」「あっ。マノンか。」グゥールは、小さい鏡の前で(もう破片と化してしまったけど・・・。)割れた破片が空に舞い上がって行く所を眺めるのをやめて、私達の方を向いた。「ラインから聞いたわ。この鏡。当たりだったって。」「あぁ。そうなんだよ。なんだか分かんねーけど、鏡の破片が空に舞い上がってくんだよ。」「もしかしたら、あの鏡の破片が、マリーズ様を作り上げるのかもしれないわ。全部舞い上がるまで、待ってみましょう。」私達は、頷き合うと、空を見上げた。そして、一時すると、破片が空に全てのぼり終わった。すると、鏡の破片の下に、へんな模様が描かれ、ぐるぐる回る。そこに、文字か数字のような物が、音符のように飛び跳ねながら、模様にはめ込まれて行く。私は、小さな声で、「あの模様、何か知ってる?」と、私の右横で、感激している魔法界の知識がすごいあるひだまりに聞いた。「あれは、[作り出し魔法陣]っていうので、上級魔法使いしか使えない魔法陣で、魔力量が多くないと魔力が無くなってしまうという、むずかし〜〜〜い魔法なの。出来る人は、100万人に一人しかいないんだってー。あたしも上級魔法使いに早くなりたいなー。あたし、中級魔女見習いだから、後もうも〜う少しなのにー。」ひだまりの詳しい説明に感心しながら、また空を見上げる。私がひだまりに尋ねている間に、よく魔女の物語の挿絵で見た事のあるような魔法陣の形になっていた。(ひだまりも憧れる上級魔法使い・・・。100万人に一人の逸材なのに、過去の杖を鏡の国にあげた。こんなすごい人だったら、先のことも見通せたはずなのに。)そんな事を考えながら、また空を見上げると、魔法陣がぐるぐる回っているのは変わりないけど、鏡の破片の方が、何だか溶けてるように見えるんだけどーーっ!?「ねぇ!ひだまり!何か、鏡の破片、溶けてない!?」「う〜ん。ホントだぁ〜。ガラス細工の作り方で、作り変えるんだぁ〜。」「へっ?」この後、詳しく聞いて見た所、[作り変え魔法陣]は、名前の通り、魔法陣の上にある物を、魔法を発動させている発動者が、望んだ姿にする魔法らしい。その説明を一緒に聞いていたグゥールが、「それって、結局は、自分のための魔法だよな。」と、至らぬ事を言った。「へんな言い方しないでよ。」「そうですよ。兄貴。僕達の夢を壊さないでくださいよ。」私とラインは、口をとがらせて、そう言った。「あっ!出来上がったみたいだよ!」ひだまりが、興奮して、ぴょんこぴょんこ飛び跳ねながら、私の服の袖を引っ張った。「本当!」私とラインとグゥールは、いっせいに空を見上げた。すると、そこには、赤いマントに、鉄で出来たよろいを身にまとい、白馬にまたがる男の人がいた。焦げ茶色のウェーブのかかったつやつやとした髪は、腰まで届くほど長く、風になびいている。(これがよく本にある、白馬の王子ね。この場合、王様の方だけど)そんな事を考えている私とは打って変わって、グゥールとラインはその男の人をジロリと睨みつけている。「おやおや。この私を睨むとは、何と無礼な。まぁ、まだしょせん子供であるな。特別に許してやろう。」その男の人は、不適な笑みを浮かべる。私は、その笑みを見て、この外見は騎士か王子に見える若い男の人が、マリーズ様だと気がついた。ひだまりも、私と同じく気がついたのか、こちらを見ていた。「誰も話さぬのか・・・。まぁ良い。其方達を、一つ褒めてやろう。」マリーズ様は、白馬をいななかせると、私達を囲むように、空を一周する。そして、私達の後ろの方の空で止まった。すると、ひだまりは、顔をしかめた。「どうしたの?ひだまり?」「あっうっうん。今、マリーズ様がぐるって一周回ったでしょ。あれは、禁錠の円って言って、術者が解かないと、その円から出れないっていう、上級魔法なの。」ひだまりは、また顔をしかめながら、話に戻る。「何ですか?褒める事って。」ひだまりは、その顔のまま、マリーズ様に聞く。「ほほう。中々すじが良いな。中級の上部の見習い魔女か。ベール様が好まれた理由が良く分かる。」「ベール様?誰ですか?」私は、気になって、マリーズ様に尋ねた。「ベール様とは、月の国の姫である。この世界や、其方達にも、深く関係のあられる方だ。」「月の国の?」私が、「へぇー。」と頷いた。(そういえば、ひだまり、月の国の事何か話してたよね?確か、ひだまりは太陽の国の姫だから、月の国とは、敵 じゃなかった?)私は、ちらりと、ひだまりの方を向いた。ひだまりは、また私の左横で、顔をしかめている。。(やっぱり、敵同士だから、顔をしかめてるのかな?そういえば、そろそろ本題に入らないとよね。)「あの〜。マリーズ様。」「何だね。特別に王である私が聞いてやろう。」「あの、私達、この鏡の国から出て、人間界に帰らなければいけないんですけど、どうすれば出れるのか、教えてくれませんか?」私は、とにかく気を使って、マリーズ様に一か八か聞いてみた。「ここでは嫌な思い出しかないからか?まぁ、そうであろうなぁ。クックックッ。あのような悲しい過去を思い出させ、他の者に見られ、笑われ、変わらないと思われ・・・。我が過去の槍の力がこもった鏡を見つけてしまった場合、こうなるのが運命<さだめ>だがな。まぁ、我が杖は、過去を見させるのが使命であるからな。」私とひだまりと、グゥールとラインだけの間に、微妙な空気が流れる。(マリーズ様・・・。やっぱりずっと見ていたんだ。)全ての謎が確実に解けた気がした。
(それにしても、本当に悲しい過去を見せて来るわよね。ひだまりを嫌な思いにしたんだもの。何か言ってあげようかしら。)そう思って、私が口を開こうとした所だった。「本当にそうだったのかな?」「何?」「本当に・・・。そうおもってるの?実際に聞いた事があるの?」「ひだまり・・・。」辺りに、ひだまりの声が響く。「あたしは、実際に、マリーズ様が悲しい過去と思っている事を経験している。だから言える。悲しい思い出も、恥ずかしい思い出も、全部大切な人生の宝物の、一つだと思う。あたしだって、最初は苦しかった悲しかった。でも、前を向かなきゃいけない。大昔の鏡の国の住民のように!なのに、この二つの思い出は、マリーズ様の中では、他の思い出から抜け者扱いになってる。あたしみたいな子にとって。いや。他の人にとっても、大切な一つの思い出のはずなの。だから、あたしはその思い出を本当の悲しい思い出にしたくないし、恥ずかしい思い出も、本当の恥ずかしいの感情の思い出に変えたくない!」「ひだまり・・・。」すぐに分かった。最初にマリーズ様の声がする前に、ひだまりは、「あの思い出は、本当に悲しい思い出じゃない」と言っていた。多分、あの続きが、今の言葉なんだ。(確かにそうだった。ひだまりのように、親と離れて暮らしていた人ならなおさら、どんな思い出も、大切な思い出だと思う。一つ一つの思い出が。何も無かった人だって、その事から何かを学んだりしたこともあるはずだ。そんな大切な思い出を、今まで忘れようとしていただなんて・・・。)「私も同じだったな。」私の口から、そう自然に言葉が出た。「マノン・・・。」ひだまりは、さっきの私のように、かける言葉を探しているようだ。「私も、同じだったよ。ひだまり。私も、ある子との思い出を、忘れようとしてた。過ごした日々は、短いのに。どんな嫌なことでも、それも思い出。短かった中の、大切な、大切な思い出だった・・・。そう気付かされた。ありがとう。ひだまり。」私は、涙を浮かべながら、にっこりと微笑んだ。すると、「私は、これを待っていたのかもしれぬ。」と、空から見ていたマリーズ様が、急に口を開いた。「えっ・・・?」私達は、マリーズ様の予想外の言葉に、口を開かずにはいられない。「どういう・・・事でしょうか?」「そのままの意味だ。私は、今まで、たくさんの者達が、悲しい思い出を見ている姿を見てきた。だが、其方達のように、本当は、悲しくない思い出だ。と言っている姿は、一度も見た事は無かった。其方達は、自分達だけではなく、長年生きてきた私にも、大切な事を教えてくれた。もう、私は、役目を終えた。今まで、想像から目覚めさせるために、人々に過去を見せてきた。だが、私の本当の役目は、また違うものだったかもしれぬな。もう少し早く気付ければ良かったな。そうしたら、誤った道を行かずにすんだかもしれない。」「そんな事・・・。」私の口からそう言葉が出た。私は、さっき出た涙を拭って、「そんな事無いです!」と、今度ははっきりと言った。「何?」「マリーズ様も、ちゃんと鏡の国の人達を考えていて、誤った道では無いと思います。」「フッ。フハハハハ。」マリーズ様は、優しく笑う。「ありがとう。そう言ってくれて。其方達は行け。この世界からでて、ベール様の所に行くがよい。」マリーズ様は、そう言うと、優しく笑った。(マリーズ様も、もしかしたら、私と同じように、何か、辛い過去を忘れようとしていたのかな?だから、そう言う事で悩んでいる人を助けようって思って、過去の槍で、過去を見せてたのかな?)そんな事を考えていると、マリーズ様が、またもや口を開いた。「先ほど申したように、私の役目はもう終わった。そろそろ眠りにつく事にする。私がここからいなくなると、槍の力が暴走し、鏡の国が崩れる。もう鏡の国の住民は、未来を向いていないからだ。」「えっ!くっ崩れるの!やばいじゃんそれーっ!」「無事に出る方法はあるから、静かにしなさい。」マリーズ様は、こめかみに手をやると、ため息をつきながら、そう言う。「分かりました。」私は、また話そうとしたひだまりの口を軽く押さえて、マリーズ様に「話して下さい!」と目で合図する。マリーズ様は、そっと頷くと、また話し出した。「出る方法は、ただ一つ。過去の槍が溶け込まれている、[過去の鏡]を使うのだ。[過去の鏡]を、先ほど、私がいた鏡を割った岩で割れ。理由は、そこが力の原点だからだ。なるべく早く割らなければ、自然に割れてしまう。自然に割れると、もうこの世界から出られなくなる。まあ、自然にわれるのは、其方達が近くに向かってから起こるため、あまり心配するな。」(それって命に関わるんじゃない!?ていうか、心配するなって、結局割れちゃいけないんでしょ!?)一人どぎまぎする心臓を押さえていると、空から声がしてきた。「そうなのね。うたかたは、もう長く深い眠りについてしまうのね。」その人は、私達の話をずっと聞いていたようだ。(不思議な声。すごく透明なのに、何か暗いベールに包まれているような・・・。)私は、自分で思ってはっとした。ベール・・・。この声の主は、ベール様だと言う事を・・・。「誰か、私の事が分かったのですね。そうです。わたくしは、ベール。月の国の姫でございます。以後よろしく。」そうベール様が言ったのと同時に、マリーズ様の元に、金色の星やら月のスパンコールが散りばめられた黒いレースのベールが現れた。「マリーズに話があるゆえ、其方達はそこにいなさい。」そう空からまた、ベール様の声がした。私は、何となく、ちらりとひだまりがいる左側を見た。ひだまりは、やはり、顔をしかめていた。「マリーズ。うたかたは、もうねむられるのですか?」「はい。ベール様。このような前向きな方が、まだ残っております。」「どんな国の者達なのです?あの方々は。」そこまで言うと、ベール様は、一度言葉を区切る。(空から声が聞こえるのに、目の前から視線を感じる・・・。)私は、「変なの・・・。」と言いながら、空を見上げる。でも、そこは、ただの、さっきまで見てきたのと同じ雲一つ無い青空だった。「あの方々は、太陽の国の姫と、人間界の者達でございます。」「なっ!い、今何と言われたのです?」ベール様の焦り声が聞こえる。(うわぁ〜。やっぱり、人間界の者って言うのとか、太陽の国っていうのが気にかかったのかな?でも、良く良く考えてみたら、最悪な組み合わせだよねー。)私は、おどおどとしながら、肩をすくめる。すると、今までベール様の言う通り、話が終わるまで待っていたひだまりが、急に口を開いた。「ベール姫。ようやくあたしの事が分かった?」「ちょっと!」私も思わず口を開く。(も〜う!ひだまりったらぁ〜!話したらダメだよー!早く普通にこの国から出た方が安全だと思うんだけど!)私は、心の中で叫ぶ。「ひだまり!話しちゃダメって言ってたじゃん!ていうか、一度会ってたの?」私は、気になって、ひだまりに尋ねる。「うん。まだあたしがママサマと暮らしてる時、行儀作法教室のじっせんお茶会であった事があるの。」「じっせんお茶会?何か良く分からない・・・。」私は、「聞いたのが悪かった・・・。」と小声で言いながら、また、ベール様の話に耳を傾ける。「ひだまり姫。あの頃、一度お会いした後、会えなかったゆえ、お会い出来て嬉しく存じます。」「えぇ。こちらこそ、お久しぶりですね。ベール姫。お会い出来て嬉しく存じます。」ひだまりは、スカートを広げて、お辞儀をする。二人とも、おもっていないオーラと、感覚的だけど、ひだまりとベール様の間に火花が散っているような・・・。(まぁ、気のせいよね。)私は、頭をぶんぶんふると、久しぶりに会った人にするらしい挨拶を終えたひだまり達の方に向き直す。「ひだまり姫。お話は、また後でしましょう。どうせ、会いたくても、会わなければなりませんからね・・・、。」私は、ベール様の最後の言葉が気になったが、(きっと、空耳だろう。)と願いつつ、空耳だとおもって、あまり考えない事にした。「えぇ。分かりました。」ひだまりは、そう礼儀正しく言うと、一歩後ろに下がった。いつものひだまりとは思えない姿に、私はぼう然と立ちすくむ。「はぁ。少し時間が経ってしまいましたね。」ふとマリーズ様の方を向くと、また話の続きが始まっている。「いいえ。いいのです。それでは、私は、そろそろ眠りにつくことにします。」「えぇ。どこにいても、わたくしや、他の方々の事をお忘れなきよう。お願い申し上げます。」ベール様の声が響き渡るのと同時に、マリーズ様を囲っていたスパンコールが散りばめられた黒いレースのベールが消え、それとほぼ同時に、マリーズ様は、「皆、正しき道を歩むように。」と言って、私達に微笑むと、金色の粉となって消えてしまった。そして、マリーズ様が作った、禁錠の円も、共に消えてしまった。「いなく・・・なっちゃったんだね。もう・・・。」「うん・・・。」ひだまりは、暗い顔で、そう返事をした。その時だった。[ゴゴゴゴゴッ]と、嫌な音がしてきた。(ももももももしかしてっ!この音は、マリーズ様が言ってた槍の暴走!!!)「ひだまり!早く過去の鏡を割らなくちゃ!揺れを止めなくちゃっ!ベール様のところに行かなくちゃぁっ!」「うんっっ!」私達には、まだやらなければいけない事がある。だから、今は、悲しみに浸って何かいられない!これが、マリーズ様の伝言だから!私は、歯をくいしばって、心の中で、そう自分を振るいたたせると、いそいで未来の色の岩をの元に向かった。「マノンはそっちを持て!」先に作業に取り掛かっていたグゥールとラインは、私にそう指示をすると、ひだまりにも、持つ場所を指示する。「ひだまりはマノンの斜め前な。」「分かったぁー。」ひだまりは、指で、「ok!」と形を作ると、急いでその部分を持った。「じゃあ、持とう!」ラインがそう言うのと同時に、私達は、さっきのように息を合わせて未来の色の岩を持ち上げた。「あの過去の鏡の方に持って行って割るんだよな?」「えぇ。」私達は、大きく揺れる地面の上を、何も考えずにとにかく走る。もし考えているとしたら、「猛烈に足が痛い!」っていう事だけだ。(後、もう少し!もう少ししたら、着くはずっ!)私は、それだけを考えて、最後の力を振り絞って、全力疾走する。すると、目の前に、この鏡の国の中で、一番大きいと思われる鏡が見える。その鏡は、他の鏡が割れて行く中、一つだけ、赤色の光を帯び、一つも傷が入っていない。(良かった!まだ割れていないわっ!だったら、もうゴールは目前ねっ!後は、鏡を割るだけだわっ!)そう、希望を持っていると、私達が持っていた、未来の色の岩から、青い光が放たれた!すると、その光は、赤色の光を帯びている、過去の鏡の一番中心に伸びて行く。「ヤッバイ!」ひだまりが、珍しく、焦り声を出す。「どうしたの?ひだまり?」「ヤバイよ!さっき、未来の色は、青色って話したでしょ?でっ!過去の色は、赤色なんだけど、反対色の二つのうち、絶対的な力を持つのが、青色の未来の色で、赤色の過去の色を破壊っていうか、まぁ、過去を倒す事が出来るの!だから、へたしたら、過去の鏡、割れるかも!」「はぁ〜〜〜!」事実を説明したひだまり以外の、全員が、そう声を発すると、[ピキピキピキッ]と嫌な音がした。「まままままさか!」「そのまさかだな。」グゥールは、冷静にそう言う。「はっ早くしなくちゃ!また明暗歴史が一個ふえちゃうじゃな〜い!」私は、急いで三人に言うと、未来の色の岩をしっかりと持ち直し、猛ダッシュでかけて行く。(マリーズ様が言ってた意味がすごい分かったわ。マリーズ様は、この青い光りが出る事が分かってたのかも。ていうか、分かってるのなら、言ってよーーー!)私が、そんな事を考えていると、いつのまにか、後もう少しのところにたどり着いた。その時、今までで一番の青い光が放たれた!私達は、それと同時に過去の鏡に未来の色の岩をぶつけた。
☆★次のひだまりもお楽しみに♪☆★
ハイハァ〜イ!みんな!こんにちは!いつものおなじみ!ハイテンション月夜でぇ〜す!なななななんと、今回で、ひだまりも、ドキドキ冒険第4話!うれしい限りです!(一回落ち着きます)さて、今回の前書きには、初のひだまりちゃん到来!(やったー!)今度のひだまり#5には、ラインくんか、グゥールくん登場させよっかなぁ〜〜。良かったら、どっちがいいか、活動報告に送ってくれたら、すんごく嬉しいな!おっと、また話がずれましたね。今回の物語は、ひだまりちゃん、マノンちゃん、ラインくん、グゥールくん達の、過去が分かる作品でした。マノンちゃんの過去は、詳しくはまだ書いていないのですが、まぁまぁネタバラシしちゃったので、今度書こうとおもっている、出会いの物語・ひだまり達の小さい頃編に、詳しく書こうと思います!あと、今回は、新キャラ登場です!(ヒューヒュー!)新キャラの名前は、ベールちゃん!ひだまりちゃんの知り合いですね!この子は、氷の国と、鏡の国に、ひだまりちゃん達が行く事になった理由などを握っている、大切な人なので、これからも、バンバン出したいと思います!後、もう一人、影で新キャラが登場しましたね!みんな誰か分かった?・・・そう!つばさくんです!マノンちゃんによると、すごい美少年なんだって!!あってみたぁ〜〜い!!だけど、マノンちゃん、詳しく教えてくれないんだよねー。それでは、次回のひだまりでお会いしましょう!バイバーイ☆★♪