表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

イヤホンの忠告

私は、ワイヤレスイヤホンを耳につけ、スマホで動画を見始めた。

寝る前にこうして動画を見るのが、私の日課である。

しかし、最近はイヤホンの調子が少し悪くなってきた。ときどきノイズが入ったり、スマホとの接続が途切れたりする。至福の時間を邪魔されるようで、私は疎ましく思っていた。だが、買い換えるほど深刻な不調でもなかったから、しばらく放置していた。

この日も、ノイズに若干うんざりしながら、ゲーム実況動画を見ていた。

すると、この日は少しずつノイズが大きくなってきた。初めは気のせいかと思っていたが、気のせいではない。だんだん、はっきりと、ノイズが耳に刺さってくる。

何だ、これ。

私は右のイヤホンを耳から外した。するとそのとき、左の方から微かに声が聞こえてきた。


「……でイヤホンつけると危ないよ」


とっさにイヤホンを放り投げた。

何これ。気持ち悪い。

初めの方は何を言っていたのか分からなかったが、明らかに動画の音声ではない。男の声か、女の声か、子供か大人かも分からない。

その日はそれ以上動画を見る気にはなれず、イヤホンをゴミ箱の奥に押し込んで、ベッドに潜り込んだ。


次の日曜日、私は新しいイヤホンを買いに行った。前より少し高いワイヤレスイヤホン。もう二度とノイズが入らないように、高性能なものを選んだ。

店を出て、早速初期設定を済ませる。

私は買ったばかりのイヤホンをつけて、家までの道を自転車で走り始めた。

本当は良くないが、ワイヤレスイヤホンだとニット帽で隠せばまずバレない。

やはり、値段が高いだけあって、音質は前のより格段に良かった。

私は、今までと一味違う音楽に聞き入っていた。


通り道にかかる橋に差し掛かったときだった。

何の前触れもなく、私の体が後ろから突き飛ばされた。

いや、正確には前触れに気づかなかった。パトカーに追いかけられた自動車が、それを振り切ろうと無理な走行をしていたのだ。

その車は橋の前のカーブを曲がりきれず、道路脇を走っていた私に接触した。

私の体は宙を舞い、橋の下の河原めがけて飛んでいった。

そのとき、買ったばかりのイヤホンから聞こえるはずのない声が聞こえてきた。


「だから言ったのに」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ