第9話 神皇様は上皇様が心配です
すいません。600字程度と今日は短いです。
上皇ミカドが神界から人間界に移住してまだ一月余り。宿屋を初めて二組目のお客のお悩み解決に向けて思案をしいている時、時を同じころ神界では神皇様が曾祖父であり左大臣のミカルドを呼び出していた。
「大お爺様、上皇様は如何しておられる」
「陛下、それは昨日もその前もその前の前もお聞きですよ」
「私は上皇様が心配なだけです」
「……分かっておりますが、上皇にはユミルもサガルもキャスハだって付いて居ります。何か有れば連絡が来るでしょう」
「では、何も連絡が来て無いではないか」
「はい。来ておりません」
「誰かに様子を見させに向かわせた方がいいのでは……」
「その必要は有りません。人間界にはこのような言葉があります。『便りが無いのは元気な証拠』先ほども申しましたが、何か有ればお傍に付かせた者から連絡があります」
「…………」
「それよりも陛下、上皇の心配よりご自身のお仕事が進んでおりませんよ」
「……分かっておるわ」
「では、さっそく今日の予定ですが……」
「……それは左大臣殿と右大臣殿に任せる」
「なりません。財務大臣も含め我らが重責を務めるのは陛下の側近を育てるためと、陛下に小言を言いながらも執務の引継ぎが終わるまでの間。いつまでも父や爺達を頼ることが出来ないのですよ」
「…………」
「お黙りになると言う事はわかって頂いたという事で良いですね」
「…………」
有無を言わさぬ曾祖父に反して隙を見つけて人間界に降りて上皇様の様子を直接見に行くことを密かに決めた神皇ミカドであった。