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第2話 実力差

 ドレスアップシステムを使用し、大幅に力を増してきたオリジナルライト。どうやら、ただでさえ高い戦闘力がこれにより、さらに超えてきたらしい。


 その証拠として、ついさっき、目の前で響輝が目にも止まらない速さで叩きのめされるのを目撃している。

 響輝がこんな簡単に吹き飛ばされたのは初めて見た。


 そして、そんなオリジナルライトは今、一樹の隣に。


「どうしたのですか? 君は攻撃してこないのですか?」」


 余裕の笑みを浮かべるオリジナルライト。だが、余裕を見せてきているうちはまだチャンスがある。


 顔と表情は変えることなく、ウエストポーチからピストルを引き出す。そのまま、クイックドロウ。

 だが、引き金を引いたときにはすでに、ほおに反撃を食らっていた。


 重い一撃が入りこみ体が完全に宙へと浮いてしまう。そのまま、態勢を立て直すこともできず、地面へと落ちてしまった。


「うん。やはり、計算通り、戦闘力は上回っているようですね」


 そんな余裕をこいているオリジナルライトに、次の一手を打ったのは喜巳花。リストバンドを装着し、取り出したマシンガンでオリジナルライトを狙っていく。


 一樹のほうに意識が向けられていたため、不意を突いた一撃だったはず。だが、オリジナルライトは反応。

 すばやく地面を蹴った。


 喜巳花の放った攻撃は、オリジナルライトが元いた地面を穿つだけ。一方で、一樹の後ろに回り込んできた。


「あ、……くそ……」

 それは、喜巳花の攻撃を止めさせる。喜巳花の射線上に一樹が巻き込まれたため、巻き込むのを恐れて。

 ……この男、考えて行動している。


「どうしました? 撃たないのですか?」

 一樹の肩にポンと手を置き、喜巳花を挑発する。


「……ひ、卑怯やな」

 そう悪態をつきつつも、喜巳花は引き金を引かない。


 ……一樹がここに居る限り、撃てない。


「この野郎がっ!!」

 だが、直後、後ろから叫び声。それは響輝のものだった。


 戦闘に復帰しオリジナルライトの後ろに回り込んでいたらしい。振り向けば、オリジナルライトの横腹に響輝の鋭い蹴りが入っているのが見えた。


 完璧な一撃に見えた。事実、オリジナルライトの体は崩れかける。だが、倒れきることはなかった。

 不自然なほどに、踏ん張りを利かせ態勢を崩しきらなかった。


 それどころか、響輝の腹にこぶしを入れる。いとも簡単に、カウンターが入ってしまっていた。


 響輝は耐え切れなかったのか、その場に崩れ落ちてしまう。


「みなさん。もっと本気を出してくれていいんですよ? 人数さなどで遠慮なさらず、全力を出していただいて結構ですから」


 響輝の背中を足で踏みつけつつ、煽りを繰り返してくる。


 にしても……ちょっと力の差がえぐすぎないか? 監視役だったあのライトも……一樹たちとそうそう変わらなかったはず。


 ……この男が普通より強いだとか、良く分からない説明をいろいろしていたが、ここまでの差がつくものなのか。


 このまま単調に攻撃を繰り出しても効かない。……なら……、足を狙って。


「バレバレですよ」

「がっ!?」


 ピストルでオリジナルライトの足を狙ったが、それより先に蹴りを入れられてしまった。


 とっさだったのか、重さはなかったが、それでも体は十分弾き飛ばされてしまう。


「響輝くん!!」

 ずっと、見ていた奈美がこちらに向かって駆け寄ってくる。手には例の包帯。回復をしようと駆け寄ってくる。


「……うっ」

 だが、奈美の前に、オリジナルライトが回り込んで、立ちふさがってきた。


 そのスピードに、だれも付いていけなかった。


 一樹から見れば、オリジナルライトの背中が見えているのだが……、ここで攻撃しても成功するビジョンが浮かばない。


 一樹より一回り小さいはずのオリジナルライトが、……やたら大きく見えてしまう。


 対してオリジナルライトは奈美に声をかけ始めた。

「どうしました、六号? さっきから戦闘に参加してこないようですが?」


「……」

 答えない奈美にオリジナルライトは軽く笑う。


「わかっていますよ。攻撃、できないんでしょう? なにしろ、目の前にいるのは、過去、ともに過ごした仲間と同じ姿なのですから。

 君は友人を殴れない。そう言う性格なのですよね?」


 ジリジリと奈美に近寄るオリジナルライト。それに合わせるように奈美が一歩一歩後ろに下がっていく。


「さぁ、どこまで下がります? どこまでもついて行きますよ」


 奈美はなおも下がり続けたが、やがて後ろの木にぶつかる。……残念ながら、それ以上は下がれない。


 ……もう無理だ。ここは、自分が動くしかない。そう思い、足に踏ん張りを利かせた。


「……違う」

 ふと、奈美から声が漏れ聞こえてきた。


「……うん? なんです?」

 オリジナルライトは余裕の笑みを浮かべたまま、奈美と距離を詰めていく。そして、追い込まれている奈美の手がこぶしになっているのが見えた。



「違うっ! ライトくんじゃないっ!」

 奈美の握りこぶしがオリジナルライトの顔にクリーンヒット。続けざまに繰り出したもうひとつのこぶしが腹を打つ。


 続けざまに引き抜いたピストルでライトの腕を撃ちぬいた。


 その場に崩れ落ちるライトを見下ろして奈美が叫ぶ。

「君はあたしの知っているライトくんじゃない。あたしはみんなと一緒に生き抜く。だから、……君だけは……倒す」


「……奈美ちゃん」


 奈美だって、もともと化け物たちを倒せる気概と強さはあったんだ。人間は殺さない、なんて言っていたけど、敵を倒せる強さもまた、奈美は持っている。


 そして、確かに奈美はオリジナルライトへ大きくダメージを与えることができた。


 ……と思ったが……。


「……え?」


 オリジナルライトは何事もなかったかのように立ち上がっていた。驚き硬直している奈美を回し蹴りで軽くなぎ倒してくる。


 撃ちぬかれ血が流れている腕を痛がる素振りすら見せず、ふるった。


「まさか六号が攻撃してくるとは。これは……性格が変わった……、いや、大きな成長と言うべきでしょうか。

 面白いですね。実験観察のしがいがあるというものです」


 すると、オリジナルライトはものすごく冷徹な目をして見せた。

「ちなみに。この程度の攻撃では、わたしは倒せませんよ?」


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