初めての冒険!!(皿洗い)
「よし、今日からいよいよ冒険の始まりだな」
「そうね」
「その顔は、何か宛があるのだな?」
「ふっふっふ、これを見なさい!じゃじゃーん」
エレナは自信満々に1枚の紙を広げて見せた。
「んー、何なに、急募、皿洗い日給300ゴールドまかない付きます。これは?」
「そこのドアに貼ってあったわ、これなら私でもできる」
「しかし、日給300ゴールドでは宿代にしかならぬではないか」
「2人いるじゃない」
「?」
私とお前(指さし)
「エレナちゃんだっけ、助かるわぁ最近お客が多くて手を焼いていたのよ」
「はい、頑張ります!!」
「なんで僕がこんな事を…」
「喋る暇があったら手を動かしなさい!!」
~夕方~
「2人ともお疲れ様、おかげで助かったわ。明日も頼むわね、はいこれ今日の分のお給料」
「はい、ありがとうございます」
「これパラシオスちゃんのね、小さいのに凄いわね」
「流石、最強を名乗るだけあるわね」
「そ、そうか?僕にかかれば皿の20枚や30枚敵ではないわ、はっはっはっは」
「チョロいなこいつ」
「それじゃあまた明日」
「はい、ありがとうございます」
「さてと」
「む、何をするのだ」
「あんたの給料を没収するの」
「ふざけるでない、これは僕が稼いだお金だぞ!!」
「元々アンタのおかげで400ゴールド無駄にしたんだから!!没収よ」
「もう少し頑張れば、給料も上がるんじゃない」
「うぬぬ、見ておれ僕の本気を見せてやろう」
翌日
「話が違うぞ!30枚どころではない、200枚以上あるではないか!」
「ごめんねぇ、今日は特に忙しくって頼んだわよ」
「やるしかないわね…」
「こうなったら仕方あるまい」
「なにをする気?」
パラシオスは何やら唱え始めた。
「ウォッシュ・クリエイター!!」
すると皿が次々と泡に包まれみるみる綺麗になっていく。
「はっはっは見たか、これが新しく編み出した僕の新魔法ウォッシュ・クリエイターだ。さぁ皿汚れども、油汚れにカピカピ達よ全てこの僕が根絶やしにしてやろう!」
「なんか言ってることはかっこいいけど、これただの皿洗いなんだよね」
魔法 ウォッシュ・クリエイターを会得した。
消費マナ 1
どんな頑固な汚れもこれ一つ、パラシオスが編み出したオリジナル魔法。
「今日はありがとね、助かったわ、お給料おまけしといたから」
エレナとパラシオスは400ゴールド手に入れた。
「さて、それじゃあ…」
「待て、もう100ゴールドで返済は終わりであろう、何も全部取らなくても」
「何言ってるのよ、これはあなたの為でもあるんだから文句言わないの」
「せめて、100ゴールドだけでもくれんかの…」
「仕方ないわね…無駄遣いするんじゃないわよ」
「おぉ、恩に着るぞ!!」
それから数週間2人は冒険、もといアルバイトに励むのであった。
「ついに、ついに貯まったぞ!」
「うん、長かったけど3500ゴールド貯まったわ、私達の冒険もこれでおしまいね」
「冒険者というより、フリーターだったがな…」
「なんにせよ、目標の金額は貯まったわ」
「うむ、険しい道のりであったな」
「ところで、なんの為にお金貯めてたんだっけ…」
「…」
「あれだ、あのー、何だっけ」
パラシオス「指輪だー!!」エレナ
「毎度ありー」
「ついに手に入れたわ」
「早速付けてみるのだ」
「言われなくとも」
エレナは魔道士の指輪を装備した。
「どう?」
「おぉ、今までゆるゆるで漏れていたマナが、安定しておる」
「ちょっと、変な言い方しないでよ」
「ともかく、これでやっと冒険できるな」
「私はこのまま皿洗いでも…」
「皿洗いでは、僕の名はとどろかないであろうが!!」
「いいじゃない、っよ皿洗い世界一の召喚獣」
「そんな不名誉はいらぬわ」
「エレナちゃん、行くのかい?」
「あ、宿屋のおばさん、お世話になりました」
「エレナちゃん達がいなくなると寂しくなるねぇ」
「すみません、いちをこれでも魔術師なんで」
「そういえば、この近くにもマナスポットがあるみたいね」
「マナスポット?」
「なんだ知らぬのか、マナが多い場所に魔術師共が集まって体内に取り込む場所だ」
「そんな場所があるんだ、ありがとうございますおばさん」
「ううん、またバイトしたくなったら来てくれよ」
「はい!!」
2人は初めての冒険場所(宿屋)を後にしてマナスポットへと向かった。