覚醒!?
むしゃり!!
エレナがそれを口に入れた途端パラシオスの体が輝き始めた。
「おおお、力が溢れてくるぞ!!やはり僕の目に狂いは無かった。のうエレナ」
オロロロロロロロロ
パラシオスを覆っていた光はみるみる消えていった。
「ええい、何を吐いておるのか!せっかく魔力が供給されたと言うのに」
「む、無理、食べたもん全部ぶちまけたわ…」
「なんなのよこれ…少しぐらいなら我慢しようと思ったけど、私の許容範囲を嘲笑うかのように軽く越していきやがったわ…」
「団子はまだある、もう1回チャレンジだ」
「もう二度とごめんよ!!」
「やれやれ、これだから人間は」
パラシオスは首を振ると袋から1つ摘み上げ口へと運んだ。
オロロロロロロロロ
「ほらみなさい、あんただってそうなるじゃない」
「な、ななな何だこれは血海で泳いでいるバベドロロの方がまだましなレベルだぞ!!」
「あんたの例えは全く分からないんだけど、言いたい事はわかるわ」
「ええい、騙された!あの商人はどこに行ったのだ」
「あんたと話してる間に消えたわよ、そして400ゴールドも無駄にしたわ。今夜の宿代どうするつもりよ」
「宿代くらいなら足りるであろう」
「そういう事を言ってるんじゃないの、無けなしの1000ゴールドを無駄にしちゃって、稼がなくちゃいけないじゃない」
「なんだそんな事か、それなら冒険者ギルドに行ってだな…」
「やだやだ、働きたくない」
「安心しろ、僕がいるのだから」
「それが一番の心配どころよ!!」
謎の袋を手に入れた。
悪臭漂う団子×8
マナを1000たちまち得ることの出来るアイテム。ただし激マズ。
「それ、捨てないのか…?」
「だって、いちを400ゴールドもしたんだし、勿体ないでしょ」
悪臭漂うアイテムは取り敢えず厳重にぐるぐる巻きにして、持っていくことにした。おそらくもう開封することはないだろう。
「結局、マナに関しては進展なしかぁ」
「やはり…」
ギロ
「…他の方法がないことも無いぞ」
「ほんと!?」
「あぁ、マナの力を制御するアイテムがある。それを付ければ漏れているマナも体内に留めることが出来るであろう」
「何処にあるのそのアイテム」
「それならそこのショップで売っていたぞ」
「早く教えなさいよ!!」
すぐにその場所へと向かったが、直ぐに無駄だと分かった。
魔道士の指輪 ランクC 体内のマナを自動でコントロールしてくれるアイテム。
お値段 2800ゴールド
「高すぎない?」
「人間の価値観は分からぬが、こんなものではないか?」
「せっかくこれで解決できると思ったのに」
「お金が無いなら稼ぐか、何か売るしかないな」
「売るって言ったって、私この臭いアイテムくらいしか…」
2人は同時にある物に目がいった。
ビクゥ!!
「そういえば、この本ランクSだったわよね」
「ランクSならば5桁はいくのではないか?」
「そしたら、しばらく働かなくてもいい…ふふふ」
アナライズブックは逃げ出した。
「あ、こら待ちなさい!!あいつ動けたの!?」
「追うのだ、逃がすでない!!」
「言われなくても!!」
散々町中を追い回しなんとか捕まえることができた。
「はぁはぁ、私の今晩の夕飯は貴方にかかってるのよ大人しくしなさい」
ブルブルブル
「あら、文字が浮かんできたわね」
アナライズブック ランクS
初期化されており、残存データがないため価値はなし。
相場価格 180ゴールド
「ホントかしら」
「騙せれるでないエレナ、こやつの作戦だ」
「そうね、せめて買取価格を聞いてからにしましょう」
既に裏に名前が記載されているため、販売不可である。
「何ですって!?」
本の裏を見るとそこにはエレナと書かれている。お母さんの字だ。
「もぅー、私は子供じゃないってのに、これじゃ売れないじゃない」
ッホ
「諦めて働くしかあるまい」
「ぐぬぬ、よし、明日からにしよう、明日から本気出す」
エレナはそう言うと宿屋へと向かうのであった。