7.悪魔令嬢は、弟と戯れる
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季節関係なく花が咲くのは魔法のおかげです
あの日以来私はずっと正しいのか考え続けている。気まずいまま手紙を書かなくなり、向こうからの手紙も侍女に読ませて代返してもらっている
「…ま」
正直何をしたらいいのかわからなくて、ここのところずっと思考がどこかに飛んでいる感じがする。いい加減戻らないと日常生活に支障が出そうだ
「姉さま!」
「ローレル?ごめんなさい。何かしら?」
「姉さま僕がずっと呼んでいたのに無視してた」
「あ、ごめんなさい。姉さまね考え事していたの」
しまった。考え事に夢中になるあまり、大事な私の天使を無視していたとは。アザミーナ・クロッカス一生の不覚、ここから巻き返さなくては
「姉さまさいきん僕と遊んでくれないから」
「遊びたいの?いいわよ、何して遊ぼうかしら」
ローレルに目線を合わせて言うと、天使のような微笑みが返ってきた。やはり、寂しい思いをさせてしまったらしい。私の手をいつもより強く引くと植物園のほうまで連れてきてくれた
「あのね。きれいな花見つけたから姉さまに見てほしいの」
「まあ、それはぜひ見てみたいわ」
ローレルが連れてきたのは真っ赤な花畑。
かの有名なヒガンバナ畑がそこにはあった
有毒であるこの花は手持ちの花火がはじけるのをさかさまにしたようでとてもきれいだ。きれいな花には毒があるというが、植物なんてみんな毒を持っている
「この花はヒガンバナっていって毒もあるけどね、水にさらして毒抜きしてききんのときに食料になるって」
「よく勉強していますね」
「うん、僕頑張ってるよ」
「アザミーナ様、ローレル様こんにちは」
ローレルと話していると長い銀の髪を一つにまとめた人間が声をかけてきた。彼は植物園管理者のイチイという名で平民でありながら学院に進みその後この侯爵家に勤めている青年だ。どうしてそんなことになっているのかぜひ聞いてみたいが、プライベートに踏み込みすぎるのは良くない。
「こんにちはイチイ」
「ローレル様良かったな。ずっとアザミーナ様のこと心配していたでだろ」
「そうなの」
「ええ、何か悩み事があるのなら俺聞くけど」
イチイは敬語を使わない。もちろん許可を取っている。もともとこの国の人間ではないらしく、話すことで精一杯で敬語を使う余裕がないそうだ。とてもそうには見えないけど
悩み事というとクローバ様のことだがローレルに心配をかけてしまうほどひどかったのだろうか
「悩みですか。特にはないですね」
「嘘、姉さまあいつのせいで悩んでるんだよね」
ローレルの言葉に心臓が跳ね上がった。弟が分かってしまうほど私は隠すのが下手だったのだろうか
「ローレル、あいつというのは正しくありません。ちゃんとクローバ様と呼びなさい」
「はい。でも」
「本当に何もないの」
「ローレル様そろそろ 勉学の時間だ。行かなくてよいか?」
ローレルは渋々といった様子で温室を後にした。あの子に隠し事をするのは本当に心苦しいが巻き込みたくない。いずれ、知るべきことだがその前に私が解決しておきたい
「アザミーナ様、あれはローレル様に不誠実じゃないか」
「主の娘である私にそんなこと言っていいの?」
「おや怖い。俺のこと首にするの」
「冗談よ。私はローレルを守りたいのよ。間違ってるかしら」
イチイは苦笑いするとヒガンバナを一つ抜いてしまった。いったい何がしたいのだろう
「間違ってない。ただ、手厚く保護するだけでは守るとは言えないぞ」
ヒガンバナを手にイチイは静かに微笑む。ヒガンバナの華がやけに紅く見えた
明日の10時ごろ次話投稿します