14.悪魔令嬢は、ライバル宣言をする
読んでくださった方ありがとうございます
「そう、あなたもクローバのことが好きなのね」
「はい、アザミーナ・クロッカス侯爵令嬢様の前でこういうのは失礼でしょうが、今はいいですよね」
なるほど、今はアザミーナさんだ
確かに、今は貴族でなくて平民としてここにいるのだから、言っても問題ない
人としてはどうかと思うが
「アザミーナさん、私は今年だけクローバのことを好きでいます」
「今年だけ?」
「ええ、来年になったら諦める。クローバに私のことを見てほしいの。妹としてではなく、一人の女の子として」
ナーシサスは、クローバ様によく似た瞳で私を見る
この子は、本気だ
目に、意思の力が宿るとは言うが、本当らしい
「分かったわ。でも、人を閉じ込めるとかはいけないわ」
「そんなことやりませんよ。正々堂々、クローバにアピールします」
ということはどういうことだろうか
ナーシサスなら、やりかねない
その時は、そう思ったが違ったのだろうか
「金髪のポニーテールと聞いたのだけれど」
「金髪なんて珍しくもないですし。ポニーテールは今年の流行の髪型です」
確かに、ポニーテールは多い気がする
金髪も珍しい色ではない
では、私をいじめようとしたグループとナーシサスは無関係だったということか
そっちの対策もしなくてはいけないかと思うとめんどくさい
「疑って悪かったわね」
「何を疑ったのですか?」
私は、この前あった、閉じ込められて二階から飛び降りたことを話した
「それ、大丈夫ですか?よく生きていますね」
そんな化け物を見るような目で見ないでほしい
私の普通の女の子だ…… 多分
「大丈夫とはいいがたいわね」
「私のほうでも探りましょう。アザミーナさんよりは友人多いですから」
失礼なことを言う
けれども、本当のことだから言い返せない
領地に引きこもったのはいけなかっただろうか
「それでは、お願いしようかしら。友達の多いナーシサスさんに」
私は、ナーシサスをちらりと見る
そう言えば言っておかなくてはならないことがある
「クローバのことは、譲れないわ。確かに政略結婚だけれども彼のことは好きなの」
「分かっています」
「だから私は、あなたと真正面から戦う。今日からライバルということでいいかしら?」
ナーシサスは、私が何を言ったのかわからないというような顔になった
けれど、意味が分かった瞬間、顔をほころばせた
今まで、自分のことを気にも留めなかった相手が見てくれたからだろう
ネモフィラちゃんがまえに、無関心が一番冷たいことと言われた気がする
私のことを嫌いな人でさえこうなるのだから
よっぽどひどいことだったのだろう
やっと、この世界に目を向け始められている
無関心から、関心へと変わっていける
私はそう確信した
それはそれとして、クローバはどこに行ってしまったのだろう
ありがとうございました
間話を挟んで3章は終わりです
3章は4章へ向けての準備という考えで書きました
よろしくお願いいたします。




