表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
39/111

10.悪魔令嬢は、薬を作る

読んでくださった方ありがとうございます。


クローバ様の手を取った瞬間絹を裂くような悲鳴が聞こえた

声には聞き覚えがある

ネモフィラちゃんだ


私は不安に駆られて立ち上がると、声のした方へと駆けだした


「ネモフィラさん!」

「来ちゃダメです。こっちには」


彼女は柔らかな草の上にうつぶせに倒れており、その背には大きな傷があった

早く手当てしなければ命にかかわる


「呪われたクロッカス家の姫、お前がいると多くの人間が死ぬ」


駆け寄ろうとすると黒いローブの男が立ちふさがる

こいつがこの前のイチイを怪我させた奴だろう


「バカを言わないで、彼女をそうしたのはあなたでしょう。この人殺し! そこをどきなさい」


精一杯強がって怒鳴るが全然効果がない

また目に薬をかけてやろうとハンカチを出すが、魔法陣を二つに割くように切られてしまう


唖然として地面に落ちたハンカチを見ていると私の前にクローバ様が立ちふさがった

無言のにらみ合いの後黒いローブの男は去っていった


私は薬を合成しようにもできない状態に思考が停止した

イチイの時のように地面ならまだしも草が多すぎて正確な魔法陣を書けない


「とにかく、運ばないと」

「それじゃ、間に合わないわ」


クローバ様の言葉に我に返ると絞り出すような声で言う

そう、間に合わない

仮に薬を合成できたとしても薬じゃ手当てしきれない


ファンタジーのゲームに出てくるようなポーションでなくては


「やらなくちゃ」


何を作りたいか分かっているならこの世界のルールが助けてくれる

ごり押し魔法理論がこの世界にはある


いつも使っている魔法陣を頭の中で鮮明に描き、ポシェットの中から薬草を全部出す


調合(コンパウンド)


何種類かの薬草が輝き、球状の液体となった

なれた手順で瓶の中に入れて、ネモフィラちゃんの背中に注ぐ


あっという間に傷は消えていた

クローバ様は驚いてその様子を見ているが、私にその気持ちはない

できるという確信があって、当然の結果を眺めているようだ


「早く帰りましょう」

「そうしたほうがいいかもな」


私たちは馬に乗って学園まで戻った





「ほう、そんなことがあったんだね。俺がついていけばよかった」

「グロニオサ先生のせいじゃない。あいつらはいったい何だろう」


遠くでクローバ様とグロニオサ先生の会話がするのを聞きながら、いまだ目覚めない彼女を見ていた

穏やかな寝息を立てているのが焦ったこっちからすればほんの少し腹立たしかった

もちろん、安堵からの感情である


「アザミーナ様。今回もあいつらだったのか?」

「先生……多分、あいつらだわ。呪われたクロッカス家、そんなもの聞いたことないわよ」

「だろうな」


お父様に聞きに行った方がいいのだろうか

こんなこと考えたくもなかったが、私のほかにこの世界へ転生した人間がいるかもしれない

その場合、私の行動がおかしいとはっきりわかっているだろう


「何のために私を、家はローレルが跡継ぎだから意味がないことだわ」

「その何のためが大事になってくるんだろうな」


あまり良くない予感がしたまま私はネモフィラちゃんの横にしばらくついていたのだった






ぎりぎりで書き上げたため誤字があるかもしれません


明日は午前8時に次話投稿します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ