25.悪魔令嬢は、誕生日を迎える2
読んでくださったかたありがとうございます
誤字報告ありがとうございました。仕訳けではなくて仕分けでしたね。勘定科目に分けてどうするって話です。気を付けます
いつまでも指輪を眺めていられないと私は視線を逸らした。もう少し見ていたいと惜しい気持ちになったが、帰ってきてからでも見れるだろう。傷つけないようにしまっておくことにした。この後は家の敷地でパーティーをすることになっている
指輪を台座の上に戻し、ベロニカに声をかける
「今日のドレスは前から相談していたように紅色がいいわ。よろしくて」
「ええ、もちろん準備していますわ」
私はネモフィラちゃんが着るようなレースがたっぷりついた水色のふんわりドレスよりも、背中が大きく開いた派手な色のドレスのほうがよく似合っている。これは悪魔に見えるかもなと鏡を通した自分を見て思った
「アザミーナ様。誕生日おめでとうございます。今日も大輪のバラのように美しい」
「まあ、クローバ様。エスコートを引き受けてくださったこと感謝するわ」
クローバ様と腕を組むと硬い感触が伝わってくる。見た目では筋肉はついてないように見えるが意外にもしっかりとついている。その感触に心臓が跳ね上がった気がしたが、それはもちろん気のせいだ
様々な人からの、婚約とお誕生日おめでとう攻撃を切り抜けてある程度の挨拶を終えた。お腹がすいたがここは主役として我慢しないといけない。ふと、隣を見るとクローバ様が私のほうを見ていた。何か用事があるのだろうか
「アザミーナ嬢、久しぶりだな。クローバとの婚約と誕生日おめでとう」
「……ヒーラギ公爵令嬢様。お久しぶりでございます」
「この前の薬良かった。個人的に買いたいのだが、まあここで話すことでもないし今度直接依頼するよ」
男装公爵令嬢のヒーラギ様が、片手をあげながら近づいてきた。相変わらずきらびやかなオーラを出していて自然と人がよけていく。これがカリスマというものか
「それは、良かったですわ。ぜひ、クロッカス家にご依頼くださいませ」
「いや、私はどうか君の作った薬を直接もらいたい……ダメかい?」
ヒーラギ様は私の右手をとりその手の甲に口づけを落とした。女性というのは解っているが美形は美形なので緊張する。とはいえ、私個人が直接取引するのはまずい、薬を売るときは家の長であるお父様に通すのがルールだ。副作用とかの責任問題もあったりする。答えに困っているとクローバ様が間に入った
「いくら、女性同士だからと言って婚約者のいる女性に気安く触れるのはどうかと思います」
「それは嫉妬かい?クローバ」
彼女がからかうように言うとクローバ様は押し黙ってしまった。心配になってのぞき込むと首のあたりがほんのり赤くなっていた。まさか本当に嫉妬しているわけではないだろう
「どうだっていいでしょう。それよりバードック様は一緒じゃないのですか?」
「バードックは公務だ。さて、アザミーナ嬢も困っているようだしクロッカス侯爵に依頼してくるよ」
ヒーラギ様はそういって颯爽と去っていってしまった。唖然として彼女を見送ったが、その表情は一瞬で変わっただろう。私は、跳ねるポニーテールを見つけてしまったのだ。向こうも私のことを見つけたらしい。それよりも、クローバ様を見つけたと言う方が正しいかもしれない
「クローバ!久しぶり」
「ナーシサス、ちゃんとアザミーナ様に挨拶をしなさい」
「嫌よ、何でこんな人に挨拶しないといけないのよ。彼女の母親は」
「ナーシサス挨拶をしなさい。彼女は関係ないだろう」
クローバ様が強く言うとナーシサスは金色の髪をしょげたように揺らすと。黄色のドレスを摘み礼をした
「お誕生日おめでとうございます。クロッカス侯爵令嬢様」
「どうも。二人で積もる話もあるでしょう。私は少し休みますわ」
明らかに敵意のこもった眼に腹が立ちそうになるがこらえて笑う。ここで否定したら、お母様の思いを台無しにすることになる。このままでは言ってしまいそうになるのでその場を去ることにした
ナーシサスのクローバ様と楽しそうに話す声を背に受けて、惨めな気持ちになる。私は、彼女のように彼の隣へ立つことはできない。そのことに、なぜか苦い気持ちがこみ上げるのだった
ありがとうございました。明日は日曜日なので8時と20時合わせて二本投稿します。
熱が出ると体がしんどいものですね




