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15.悪魔令嬢は、失敗する

よろしくお願いします

「クローバ様、その」

「気にしてませんよ。ただ、あなたの前で怒鳴ってしまったので怖がらせてしまったかと思うと」

「本気でそれを言っているのかしらね」

「何を」

「目の前に母親を殺した女の娘がいるのですよ。本当は私のこと絞め殺したいのでは」


クローバ様の口は何をと動かされた。私も自分で言っていて思う、何を言っているのだろう。今の言葉は彼の本音を引き出したかったのか、疑いから出た言葉かは全く分からない


「あなたのことは愛している、俺はそういいましたよね。でも、憎しみは消えません。正直どうしていいかわからない」


それもそうだろう。ちょっとまて、今クローバ様は何と言ったのですの?


「く、クローバ様は私のこと」

「今も言ったように愛しています。あなたは俺の口説き文句も流してしまってましたが」


私の頭はショート寸前だった。前世でも恋愛はしたことがなかった。小学校のころ隣の席の子がかっこいいなくらいの初恋にも満たない淡すぎる恋心を抱いたくらいなのだ。つまり、恋愛戦闘力はゼロを通り越してマイナスまでいっている


「クローバ様、帰りましょう。今すぐに」

「もちろん帰りますが」

「帰りの馬車も長いのよ。そこでゆっくり考えたらどうですの?」


馬車に乗って酔えば思考も停止してくれるはず。クローバ様は何か言いたげな顔をしていたが見なかったことにした


結果としては冷静な思考になれた。ただ、酔いすぎて私の意識があやふやになったためクローバ様に別れの挨拶すらすしていない。今回の件についてはお父様にはあきれられたが頑張ったなと褒められ、馬車酔いについては私の天使ローレルが薬を作ってくれた。私の家族はやはり素敵だ。そういえば、前世の家族はどんなものだっただろうか。よく覚えていない




次の日に冷静な思考で下した判断は、『あれは嘘だな』だった。悪魔令嬢(アザミーナ)も恋愛には免疫がなくて鵜呑みにして舞い上がったのだろう。私は騙される気はない。今回もあの噂を私に吹き込んでお母様に本当のことを聞くために利用したというのが正しい解釈だろう


「でも、嫌いになれないですの」

「姉さま?またなやんでいるの?」

「ローレル、あなたは本当のこと知りたいかしら」


部屋におそるおそるといった様子でローレルは入ってきた。正直隠しておきたいがローレルの意思を尊重したことにはならない


「しりたい」

「つらい事実だから嫌になるかもしれませんのよ」

「僕はしりたい」


私はローレルの目を見て悩んでいることを、恋愛のことは個人情報なので置いておくことにして、すべて話した


「姉さまは、クローバ様をまもるためにがんばってるんだね」

「そうよ。この事は誰にも話してはいけないわよ」

「うん。わかった!」


ローレルは嬉しそうに部屋を飛び出した。その数十分後私は本当に話してよかったか悩むことになるのだった



その日の午後、薬の材料が切れたので植物園に行き薬草を見繕っているとイチイが現れた。顔には穏やかな笑みが浮かんでいる。嫌な予感はしてくるが聞かないわけにはいかないだろう


「アザミーナ様、ちゃんと話したんだな」

「なぜそれを…ああ、ローレルが言ったのね」

「秘密だけどと教えてくれた」

「話すのは少し早かったかしら」


嫌な予感は的中、なかなかうまくいかないものだ。私に悩みの種は増える一方で減る気配を見せない。ローレルには後でお説教をしておかなくてはならないことは確かだった

明日は午前9時に投稿します

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