馬鹿な勇者
「うわぁああぁあぁぁあ!!」
「きゃぁあぁぁぁぁぁああ!!」
クラスメイトたちの作り出す地獄絵図に気にも留めずに魔物を殴る。
「オラァァァア゛」
まったく、数がいてどこかの黒光りするヤツのことを思い出す。
「おい!エミル団長!大丈夫なのかコイツら?ほとんど足手まといじゃねぇか!」
「今日ばっかりは君が正論のようですね」
そうはいっても、魔物に囲まれているが余裕がないわけではなかった。
現在の階層は二十一層だ。泣き言を言っていてもチート強化の入った集団だ。
*そんな中警戒心ができてきたりすると調子に乗るやつがいるお決まりで勇者はそれをやってしまった
ガコン
*明らか罠であろう壁のところに手をかけたのだ。エミル団長の止めようとする声も気にも留めずだ。そうすると大量の魔物が出現する。しかし、勇者たちは対処が少し遅れていた。
「オラ゛ァァアア!」
*だがしかし騎士団の人と竜牙はまだ余裕がありそうだった。
「おい!いくら倒してもきりがねぇぞ!!」
「ここは、私が道を作ります。その間に行ってください」
*エミル団長がそういうと魔力を込め始めた。騎士団の者たちはその時間を稼ぎ始めた。
「あまねく光の渦よ今こそ切り裂きたまえ〝光刃〟!」
*魔物の群れが一気に殲滅されていった。
「さぁ!早く!!」
「おい!あんたたちはどうすんだよ!」
*エミル団長がこちらを見て軽く微笑んでから
「私たちは少しだけここに残ってから行きます」
「じゃあ俺も残る!こういうときは前より後ろからの襲撃が危ないからな!」
「戦闘などにだけは頭が働くのですね」
「おい!俺が馬鹿みたいじゃねえかよ!」
「だからそう言ってるのではないですか。・・・・・副団長!あなたは彼らの元についていきなさい。この人がここに残るらしいですからね。」
「わかりました。団長」
*そういうと副団長であるケース・ヴァレンが走っていく。
*しばらくすると、魔物の数が明らかに減り始めてきた。
「おい!だいぶ減ってきたぞ!そろそろ上に行った方がいいんじゃねぇか!?」
「そう・・・・ですね。総員!撤退!」
ったく。あの勇者面倒しか起こしてねぇじゃねぇか・・・・・それにこの騎士団長一人で十分な気がするんだけどよ。
*走って階段を駆け上がった先から絶叫が聞こえてきた。
「おい!」
「えぇ、分かってます」
*階段が終わったところで、副団長を含めた数人がサイクロプスのようなものと戦闘していた。そこから少しはなれたところで勇者が膝をついていた。
「団長!俺、少しむこう行ってくるわ。あっち頼む」
*そういうと剥ぎ取りように持たされていたナイフをサイクロプスに向けて思いっきり投げる。右腕の二の腕に刺さった。
「まったく、人使いが荒いですね!」
*エミル団長はサイクロプスの方へ。竜牙は勇者のほうへ向かった。
*竜牙
「おい!どうしてこうなってるんだ!」
「りゅ!竜牙くん!?」
*答えたのはクラスの中でも明るくて小さい 小阪 燐だった。
「さっさと言え!」
「あ、うん」
上に上がった時にも魔物がいたから、姫からもらった魔物避けの煙球を投げた。弱い魔物は逃げていったが、気づいたらあのサイクロプスのようなものがいて、勇者が何とかしようとしたけど無理で両腕の骨が折れてしまって、今は一部の生徒と副団長でどうにかしていた感じらしい。
俺の感想。
〝馬鹿じゃねぇの!?〟他人からもらったものを簡単に信じてあっさり使うとか信じられん。いくら俺が馬鹿でも人を疑うことぐらい知ってるのに
「まあいい、俺は向こうに行く」
「・・・どうして君はそんなに戦えるんだ?」
*勇者が聞いてくる
「・・・・そんな物簡単だ。俺は・・・俺の正義のために戦う!・・・・・・・・逆にお前は何のために戦おうとするんだよ!?」
「俺は・・・・・皆を・・・・・守りたくて」
「皆を守る?そんな寝言、寝てから言え!そんな台詞、自分の身を守れるやつがはじめて言っていいんだよ。・・・・・俺は行くからな!」
俺はエミル団長のほうへ走っていった
*勇者はかなり頭を抱えていた。
「自分・・・の・・・身を・・守れるか・・・」
「まったく面倒なほうを押し付けてくれましたね・・・」
「そりゃ、悪かった・・・な!!」
*竜牙が合流してきた。サイクロプスを殴って軽くひるませる。
「詳しい話は後であいつらにでも聞け!・・・・まずはこいつだ!」
「そうですね・・・・何か作戦は?」
「あるわけねぇだろ」
「期待した私が馬鹿でしたか」
*サイクロプスはすでにこちらに向かって走ってきている。
「とりあえず、アンタは他のやつらのところにでも行ってな」
「君は大丈夫ですか?」
俺は笑う。
「無理そうだったら呼ぶさ」
「そうしてくださいね?」
そういうとエミル団長は他の人たちのほうへ走っていった。
「さ~てと。んじゃ行きますか!」
*そこから竜牙の戦闘が始まった