誰も居ない学校。
あくまでも想像上の学校です。
でも最近のニュースとかみていると、こうなってもおかしくはないでしょう。
こうなった場合どうなるんでしょうね。
何処かの学校、この学校を預かる校長室。
「我々全員、辞表を提出します! これは我々全員の一致した意思です。例え懇願されても二度とこの学校では働きません! いえ、働けません!」
校長の机に、全員の辞表が叩きつけられた。
この学校に居た、教師全員の辞表である。
校長が説得を続けるも…………
「いやぁ、流石にこれは如何かと思うよ? 別に悪い子供達だけじゃないだろう。とてもいい子達が大半じゃないか」
「舐めないでいただきたい、その一部の生徒のおかげで、我々の人生が終わるかもしれないのですよ! あまつさえ、学校は我々を護ってはくれない、これはもう辞表を突きつけるしか手はないでしょうが!」
「いやぁ、でもねぇ、生徒達はどうなるというんだい、次の先生が来るまでで良いんだ、如何か頼むよ皆さん」
「そのたった数日で我々の人生が終わると言っているんです! 我々は、この日この時刻をもって、退職させていただきます!」
「いやぁ、でもねぇPTAの皆さまがそれで黙っているとは思えないんだよねぇ。訴訟になったりしたら困るんじゃないのかなぁ?」
「それならそれで構いません、学校の内部がどれほど酷かったかと暴露してやりますよ。自分の子供達がどんな悪童なのかと、とくと知らしめてやりますよ!」
「う~むぅ…………他の皆さんもそれに賛同すると見て宜しいのかね?」
全ての教師がそれに頷く。
「では校長、今までお世話になりました。お元気で」
教師達が去り、校長までも辞職届を理事に届けたという。
この日、一つの学校が終わる事となった。
生徒達の教師虐め、学校側の対応、それは色々あっただろう。
だが彼等も人間で、もう耐える事が出来なかったのだ。
始業時間となるが、誰一人現れない教師達。
生徒達は各々が自分達のしたい事をしている、自分達が見捨てられたことも知らずに。
最早カオスとなり、自分達が勝利したと信じている生徒達に、突如学校全体にスピーカーから声が響く。
それは先ほど辞表を届けた校長の声で、一言こういったという。
「君達は捨てられました。あとはご自由にお過ごしください。もう誰も入学して来ません。卒業も出来ません。ではさようなら」
プツンとスピーカーが消え、生徒達は何も理解していないようだった。
数時間が経ち、一切何も起こらない教室に、恐怖を覚える生徒が現れる。
「ねぇ、先生は何処行ったの? どうなってるのこれ? 私達一体どうなるの?!」
「大丈夫だって、絶対何処かに隠れているだけだから。その内出て来るって」
「そうそう、自習なんてたまにあるじゃん。気にしないでもいいって」
あっけらかんと、遊びふける男達。
それでも彼女は納得できなかったらしい。
「…………やっぱり私、他の教室見て来る!」
「わ、私も行く!」
「お、俺も!」
次々と教室を飛び出し、いやこの教室だけじゃない、他の教室からも、何人も生徒が飛び出し、両親に電話を入れている者も居る。
だがそれが伝えられたところで、もうこの学校には誰も居ない。
PTAが文句を言うべき人さえいないのだ。
「君達は捨てられました」
最後には、その言葉が頭にこびりついたという。
次の日、普通に学校に行った者も多かったらしい。
ずっと開け放たれた正門は、誰一人拒むことも、留める事もしていない。
居たはずの教師の声も聞こえない。