捕まった
頭に酷い鈍痛がある。視界がはっきりしない。
しかし感覚は伝わってきてガタゴトと揺れるなにかに乗っていることだけはわかった。その瞬間急速に意識が回復してゆく。
「はっ……あれここは……」
よく目を凝らしてもあまり良くならない視界に異変を感じ立ち上がろうとするとガチャリ……と金属と金属が擦れ合うような音がなった。
音の方へ目をやる……というか手がなんか拘束されてた。
冷や汗がつーっと頬を伝う。
「え……うそでしょ……」
「嘘なんかじゃないぜ?」
「ひっ……?!」
突然後ろから声をかけられビクゥっと背を伸ばして驚き後ろを振り向くと暗くてよく見えないが少年?青年?らしき人物が座っていた。
「お前も捕まったんだよ。奴隷商人にな」
「どれいしょうにん……?奴隷ってあの?」
「他に何があるんだよ。」
「ご、ごめんなさい……」
「べつに怒ってねぇよ。」
彼が少し怒ったように言うので思わず謝ってしまう。すると彼はまた少し怒ったような雰囲気になる。
「あ、え、えっとあなたは……どうして捕まったんです?」
「あ?」
「ごめんなさいぃ!」
「だからなんで謝ってんだよ!……っはぁ……親にな売られたんだよあのくそババァ……」
理由を話すとさっきよりもっと怒ったようになって身体中が震えてきた。お、怒るのはやめましょう……
「あぁ!思い出したらめっちゃムカついてきた!クソが!」
「うるせぇぞガキ共!静かにしやがれ!」
「ひぃっ……」
「チッ!」
彼が感情的になり声を荒らげると前の方から男の人の怒鳴り声が聞こえて涙が出そうになる。
よく泣かなかった私。
「どうしよう……」
「あ?んなもん逃げるに決まってるだろ」
「どうやって?この手のヤツ固くて外れないよ……」
「こうするんだよ。」
すると少年の目が赤く光り出すすると全身にモヤみたいなのごかかっていって手首の枷をぐにゃって曲げてしまっていた。
けど私は先に疑問が浮かんだ。
「ね、ねぇ……なんでそんな力があるのに逃げなかったの?」
「は?じゃあお前はここに残るんだ?」
「え……や、やだ……」
私は置いてかれないようにと必死で首を横に振ると彼は満足したようで私のての枷もぐにゃって曲げて外していた。
「すごい……」
「少し黙ってろ。はぁっ……」
彼はその後鉄格子のような所も少し力を入れたろうな感じで私たちが通れそうな隙間を作った。
そして彼は馬車の御者の方へ向かい……御者の人は二人いた。どちらも私なんかより全然体格が大きくて簡単に殺されちゃいそうなくらい大きい男の人たちだった。
しかし彼は躊躇うことなく男二人の頭を掴み
「うおっ?!なんだ?!」
「なっ?!」
ブチィッ!!!……ねじ切った。
「うっ!……」
その光景をもろに見てしまい途端に口の中に酸っぱいものが出てきて吐き気がこみ上げてきた。
「なんだ?こうゆうのは初めてか?なら慣れちまった方が楽だぞ特にお前みたいなのはな。」
「……」
やっとあかりが差し込んできて彼の姿が良く見えるようになった。
しかし私はその用紙を見て目を見開いた。なぜなら……
「鬼人……なの?」
「あぁ、もっとも親には捨てられた身だけどな。」
鬼人の特徴は黒い2つの角……しかし彼の角の色は片方は赤黒くもう片方は無かった。
「俺の名前はスヴェン鬼の忌み子さ鳥天狗の忌み子さん?」
まだ主人公の名前が出てこないか……次は多分出るはず