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突然『こども』で千匹皮パロディ

 昔々あるところに、大変仲の良い王さまとお妃さまがいました。しかし、お妃さまは病気で亡くなってしまいました。お妃さまは最期にこう言い残しました。



お妃さま「もし、私が死んでから新しいお妃を迎えるなら、私と同じく黄金の髪の毛を持った、私より美しい女のひとでなければなりません。どうか、約束してくださいませ」



 王さまはお妃さまを愛していたので、とてもそんな気持ちにはなれませんでした。



王さま(ロラン)「ああ、じゃあ早速代わりを探すぜ」



 こらぁっ!?

 気持ちの切り替えが早すぎるわっ!? 「そんな気にはなれない」って言ってるだろ!


 ごほん、とにかく。

 王さまは大臣たちの勧めにより嫌々ながらも別のお妃を探すことになりました。しかし、そんな相手は国中のどこにも、果ては外国にもいませんでした。でも、ただひとり、その条件を満たす娘がいたのです。それは王さまとお妃さまの娘でした……。



ジョー「サイテーな説明をどうもありがとう。僕は逃げる」


妖精D『逃げるにしたって準備がいりますよ。お父さまに結婚を承諾する条件として、手に入れるのが難しいものをたくさんおねだりしてください。その間に私が必要なものを揃えますから』


ジョー「どのくらいかかるの?」


妖精D『さぁ? ちくちく手縫いするので結構かかります』


ジョー「手縫い……」



 お姫さまは妖精の名付け親と相談して、王さまにありとあらゆる物をおねだりしました。しかし、王さまはそれを全部揃えてしまいました。



ロラン「こんな簡単なことでオマエが手に入るなら、安いもんだぜ! で? もうおねだりは終わりか?」


ジョー「ど、どどど、どうしよう……」


妖精D『ならば最後の手段です、お父さまの持っている、黄金を産み出すロバの皮をおねだりしてごらんなさい。さすがの王もあれを手放すのには難色を示すはずです!』


ジョー(あ、だめだ。これ、『千匹皮』じゃなくて『ロバ皮の娘』だ。Dの嘘つき……『ロバ皮の娘』だと父親と結ばれるエンドじゃないか。このままだと全年齢にならない!)


ロラン「よぉ、ロバ皮持ってきたぞ!」


ジョー「決断が早すぎる!」



 王さまはロバの皮をなめしたものをお姫さまに与えました。婚礼を翌日に控え、お姫さまは妖精の準備が整わないままに、ロバの皮をかぶってお城から逃げ出しました。



ジョー「ロバの皮をかぶったら、本物のロバになっちゃった! どうやって戻るのこれ……」



 動物に変身するのはドルイドの鉄板芸です。妖精の助けを借りずに何も持たず飛び出してきたお姫さまは、食べるものも飲むものもなく走り疲れてフラフラになってしまいました。目についたところにたまたま小屋がありましたので、お姫さまはそこで休むことにしました。


 お姫さまがぐっすり眠ってしまった頃、仕事を終わらせた農夫の少年が小屋に帰ってきました。ここは彼の寝床だったのです。



ニール「うわ! なんだ、ロバが増えてる!? ……誰のものでもないロバだな。もらっちまうか」



 農夫の少年はロバを手に入れてほくそ笑みました。ロバには餌を食べさせなければいけませんが、荷物を運ばせてもよし、乗ってもよし、いざとなったら売れるのですから、餌代は無駄にはなりません。彼はようやく自分だけの財産を持つことができたのです。



ニール「それにしても、毛並みのいいロバだなぁ。しかも可愛いし……メスだし。何か名前をつけてやらなきゃな」



 いっぽうその頃、お城では妖精の名付け親がお姫さまを探していました。



妖精D『リリアンヌ~、ウェディングドレスができましたよ~! 観念して出てらっしゃ~い!』


ロラン「アイツ、どこ行きやがった……! おい、ヘボ妖精、話が違うぞ」


妖精D『おっかしいですね~。なんでバレたんでしょう?』



 王さまは「お姫さまを見つけた者に褒美を取らせよう」とお触れを出してまで探していましたが、一向に見つかりません。


 元お姫さまのロバは、働くのには向いていませんでしたが、農夫の少年はロバをとても可愛がりました。ふたりはとても楽しく暮らしました。


 やがてロバが可愛い女の子の赤ちゃんを産んだので、お姫さまのことはバレてしまいましたが、王さまは仕方なくふたりのことを許してやりました。妖精の名付け親は、新しいお姫さまのお母さん代わりとなりました。


 人間に戻れるようになった元お姫さまは、ロバの暮らしが忘れられず、ときどきロバの姿でお出掛けしているようです。



ジョー「めでたし、めでたし? まぁ、父親と結ばれるエンドよりは随分マシじゃないかな」





☆終わり☆

どちらにせよ全年齢にならない件(’-’*)♪

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