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突然『こども』で白雪姫パロディ

 昔々ある所に、白百合姫と呼ばれるたいそう美しいお姫様がいました。まばゆい黄金の髪に白い肌、漆黒の瞳をもつ彼女の美しさは国中に轟いていましたが、人間嫌いで偏屈な彼女はひっそりと暮らしておりました。



 ある日、まま母の野茨がリリィを呼びつけて言いました。




ソーン「ジョー、ちょっとジイさんに食べ物と飲み物を届けてやっちゃくれないかい?」


ジョー「…………すでに配役に無理があるんじゃない? そもそも、それじゃ『白雪姫』じゃなくて『赤ずきん』じゃないか。しかも、まま母ってソーンさん……すごく似合ってるよ。腕はゴツいけど」


ソーン「おだまり! とっとと行ってきな。途中、狼に気をつけるんだよ」


ジョー「狼には心当たりがありすぎる」



 人間不信ですが身内には優しいリリィは、バスケットを持って森の中に入っていきます。途中の綺麗なお花畑も、澄んだ泉も、眼中にありません。




ニール「がおーっ! 狼だぜ!」


ジョー「!?」




 可哀想にリリィはびっくりして、悲鳴を……




ジョー「ロランじゃない? どうして?」




 上げませんでした……。




ロラン「オレならここにいるぜ」


ジョー「まさかの二匹、だと……?」




 木の影から顔を覗かせたのは、最初の一匹より大きい狼でした。




ニール「俺が最初に唾つけたんだ、あれは俺のだ!」


ロラン「あン? オレが最初に見つけたんだよ! 当然オレがもらっていくぜ!」


ニール「なんだと!?」


ロラン「……やるか?」




 二匹が争っている隙に、リリィは森を抜けておじいさんの住むみすぼらしい、どぶねずみの棲み家に似た、粗末な小屋にやってきました。




ジョー「ナレーションに悪意がこもりすぎてる!!」




 リリィが戸を叩くと、中から可愛らしい声がしました。



???『お入りなさい、リリアンヌ』


ジョー「……だめだ、ここはとっくにヤツの支配下じゃないか!」




 しかし、このままでは狼の餌食! リリィは中に入らざるを得ませんでした。




ジョー「前門の虎、後門の狼……ええい、ままよ!」




 リリィが戸を開けると、そこには完全体となった私……いやいや、黒い触手が狼のかたちになったものがいたのです。




???『リリアンヌ~っ、待ってた! 待ってた待ってた待ってた待ってた待ってた!』


ジョー「…………チッ!」


ロラン「追いついたぜ! 今度こそお前を……この爪で引き裂いてやる!」


ジョー「……ロラン、ニールはどうしたの?」


ロラン「ハッ、今ごろ血ヘドを吐いて転がってんじゃねえか?」


ジョー「………………」


???『リリアンヌ~!!!』




 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ 




 ……僕は、髪をほどいて真の力を解放し、狼? たちを叩きのめした。呆気ないくらい簡単に彼らは床に沈んだ。



 師匠はここにはいない。成果なく帰る途中、傷ついたこどもの狼を治癒してやると、なつかれてしまった。追い払っても追い払ってもついてくるので、仕方なく連れて帰ることにした。



 夜の寝床が暖かくなるのではと思って入れてやると、なんと襲いかかってきて、食べられてしまった……。恩を仇で返すなんて、やっぱり狼になんか優しくするんじゃなかった! でもなぜか、その狼は今も僕の隣にいる。     





☆ハッピーエンド?☆




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