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ろくでもない物語  作者: あかさたな
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ダンジョンボス

しばらく進むと開けた場所に出る。

奥には玉座があり、一際目立つリザードマンが座っており、それを固める重装備のリザードマン。杖をもつリザードマン。弓をもつリザードマンと今までのリザードマンよりも格上の奴等がいた。

「なるほど、落とし穴の下にボスがいたのか。今までのは巡回兵やただの兵卒のようだ。セージ職の視点だと何かわかるかな?」

ニャルが分析し俺に投げる。

「建物の材質からして多分何かの遺跡が地下にあったんだな。そこを拠点に上までダンジョンを築いてきた。そして後ろに控えてる奴等は冒険者と遜色ない強さのリザードマンだ。」

「このパーティーでなければ詰みだったね。いや、本当に君がリレイズを連れてきてくれて助かったよ。」

「そりゃどうも、来るぞ」


玉座から俺達を眺めていたリザードマンの王は俺達がやる気だと判断すると立ち上がり号令を叫ぶ。開戦だ。


「さあさあ、今度こそかつやくしますよ![ロットンウィンド]」

腐敗の風が初撃に射たれた矢を散らし、真っ先に突っ込んできた兵卒リザードマンを腐らせる。

「大いなる大地よ我らを守る盾となれ」

「切り込みは任せろ」

ビトルの祈りが熱に強い土の大盾を作り、それをトラスが持ち二撃目の魔法使いのリザードマンから放たれた炎を防ぎながら距離を詰めていく。

兵卒を数が効かないリレイズが片っ端から相手をし、後衛の攻撃をビトルの奇跡とトラスがさばき後衛を相手にしている。

残る動いていないのは俺とニャル、リザードマンの王だ。

先に動いたのは王だった。

王は魔法使いリザードマンを1匹連れ俺達の前に[テレポート]する。

「くそ!おい、あれを使え!出し渋るんじゃねえぞ」

後衛まで切り込み、重装リザードマンと魔法リザードマンをビトルと一緒に相手にしているトラスが叫ぶ。

「ああ、わかってるよコンチクショウ。どんどん内緒にしたいことがバレていくじゃねえか。」

俺はニャルから教わった通りに呪文を唱えリザードマンの王の胃を海水で満たす。

「×××××××」

魔法リザードマンはすかさず詠唱し王に魔法をかける。

「その魔法、[アンチマジック]かよ。魔法解除持ちを用意してるとはな、さっき逃げたやつから対策はとられてたのか」

そして素の生命力で胃を海水で満たされながらも王は刃をふるう。目の前に刃が迫るが俺じゃ回避が間に合わない。

しかし、何者かに脚を引っ張られ間一髪でかわしすぐ上を刃が通りすぎる。

「ぼーっとしてないで下がるんだ!」

ニャルの服から地面を伝うように伸びた触手に引っ張られていたようだ。そのまま触手と一緒に巻き上げられ下がる。

「助かった、ありがとうな」

礼を言いながら王の追撃に対し必死に後ろに下がりながら逃げる。

逃げながら状況を見る。

リレイズは兵卒の数に押され処理が間に合いきってなく、魔法を受けたリザードマンの交代と回復を許している。

ビトルとトラスは回復持ちの重戦車同士の戦いでどちらも沈まない泥沼化している。

助けは期待できない。俺とニャルが王を倒さないといけないようだ。

しかし、回避を止めることもできないままやがて壁に背がつき下がれなくなる。

逃がすかと言わんばかりに王は剣を引き狙いを定める。

「くそ!」

セージ道具に買ったインクを投げつける。王は攻撃を止め、突然投げられたものを盾で防ぐ。

目潰しにすらならない悪あがきだ、しかしその一瞬が王と俺の生死を分けた。


攻撃が突如止み王は慌てたように魔法使いを声にならない声で指示を出している。

「なんだ?」

「これが今の君の強みであり致命的な弱点だよ。」

魔法リザードマンは必死に何度も[アンチマジック]や[ヒール]といった回復魔法をかけているが一向に王は回復せず、王は最後に俺に剣を投げつける。

その最後の剣は苦し紛れなせいか今までの攻撃よりかは遅く、致命的な部分は避けることができ、俺の肩を壁に縫い付けただけに終わった。

そして王は陸で溺死した。

「君に教えたこの魔法はね、こっちの世界にはない魔法だからまだこの世界じゃ治し方がないんだ。」

肩に受けた剣の痛みも緊張で麻痺したままニャルは解説する。

「そう、か。」

頭が回らない、そう返すのが精一杯だった。

魔法リザードマンと兵卒と弓のリザードマンは王が討たれ散り散りに逃げ出し、重装リザードマンはトラス相手に戦っていたが王の死を見た途端トラスの刃に斬られる。

「よっしゃあ!よくやったリーダー。あたしたちの勝利だ!」

トラスが勝鬨をあげる。

「やりました、やりました。どうですか!私役に立つでしょう、強いでしょう!私パーティーに要るでしょう!」

リレイズは未だパーティーから追い出される心配でもしてるのかアピールしながら喜ぶ

俺は肩を剣が貫通し、トラスは身体に矢を生やし切り傷をつけながら、ビトルは奇跡の使いすぎでふらふらしながら立っていた。

リレイズとニャル以外無事ではないがそれは確かに勝利だった。


やがて落ち着いていた頃にやってくる激痛を耐え、復活したビトルの奇跡で動けるほどに傷を治される。

さあ、ダンジョンには宝があると相場が決まっている。ダンジョン主が大事に持っているはずだからである。

「どでかい宝石のネックレスは王がつけてた」

「他にも宝石がたくさん!見てくださいよこの杖!亡者が憑きやすいように先端に宝石が埋め込まれてます!」

どうやらリザードマンは宝石をあつめていたようだ、これは運がいい。しばらくは金銭の心配はいらないだろう。


そうして俺達の初めてのパーティークエストは終わり、リザードマンの使っていた遺跡の隠し通路を使い帰路についた。

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