九話
「先生、ちょっといいですか」
「なんだ、トイレか?」
「そうじゃなくて、俺の祠徒を開放して欲しいんです。この紅白戦だけでいいんです」
「それは私の一存じゃーなぁ」
「お願いします! 卑猥なことには絶対使わない! レイヴンを開放してもらわないとまともな勝負ができないんです!」
虹子先生は目を閉じて腕を組んだ。
しばらくの沈黙。それがまた居心地が悪い。
「お前がなにを考えてるかはわからん。でも、お前の祠徒を開放したらお前は結果を残せるんだな?」
「先生の期待は裏切らない」
「よし。なら許可してやろう。レガールを出せ」
俺が右腕を出すと、先生は俺のレガールになにかの装置を当てた。
「これでいい。くれぐれも下着なんか覗くんじゃないぞ。下着の下もダメだ」
「わかってますよ。ありがとうございます」
「これで結果が出せなきゃ意味ないけどな。お前は祠徒があろうがなかろうが関係ないって評価を出す教師も出てくる」
俺は一つ頷き生徒たちの元へと戻った。
こんなに上手くいくとは思わなかったが、これがなくては本当に勝負にならない。
思わず頬が緩む。
「イッキ、キモチワルイ」
アリシャに言われると一層ヘコむな。
「まあ、にやけるくらいいいじゃねーか。さて、作戦を説明するぞ」
時間はもう五分もない。要点だけを伝え、的確に動いてもらう。
俺の言葉を聞き、協力してくれるという生徒たちが驚いていた。誰ひとりとして漏れることなくそんな顔をしている。
そして、スピーカーから教師の声が響いてきた。
「さあ、目にもの見せてやろうぜ」
一丸、とまではいかない。しかし協力者がこれだけいるというのは非常に心強い。
俺たちは作戦通り、チームごとに森の中へと入っていった。




