表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

夜の女王 第三話

「さっむ…」


 冷たい海風が吹く船上に私たち五人はいた。私、(ミユキ)さん、暁月(アカツキ)さん、(ルイ)ちゃん、そして何故だか紅さんのお姉様である(アカネ)さんだ。


 紅さんよりも薄い青色の瞳、唇には真っ赤なルージュ。フワフワの栗色の髪をなびかせた茜さんに涙ちゃんは少しだけ腰が引けてるみたいだ。さっきから私の後ろに隠れている。今日の涙ちゃんは水色のシャツワンピに暖かそうな白いモコモコのコートを重ねていた。うん、かわいい。


 もちろん、茜さんは今日も綺麗だ。お世辞ではなく。黒のタートルネックのニットワンピに、足元はファーがついたブーツ。少し高めのヒールだ。そして、毛皮のコートを着ていた。


「そんな薄着で来るからだ、ボケ」


 そう言った紅さんは、マスタード色のシャツに黒のフード付きカーディガンを重ね、その上に紺のダッフルコートを着ていた。下はカーキ色の細身のパンツ。


「ごめんね、厚着してきてって言えば良かったよ」


 そう言う暁月さんは、白黒のボーダーニットに、濃いグレーのサルエルジーンズ。その上から黒のチェスターコートを着ている。そして、首にはスヌードをしていた。


 こう見ると、暖かそうな他の四人に比べて私は薄着だった。薄着といっても、ワインレッド色のパーカーにデニムのジャケットを羽織っている。下はショートパンツにタイツ。ただ、マフラーは巻いてこなかったし、ショートカットの首筋はスースーしていて寒い。耳元で揺れるピアスが冷たい。…っていうか、この人たち何でこんなにオシャレなの?


「だって、まさか日本海沖に来るなんて思ってもみなかったもん。紅さんのバーカ」


 雪はまだ降らねども暦の上ではもう初冬だ。地元は雪国だから冬の寒さは身に染みて知っている。今日、新幹線に乗ってから目的地を知ったのでは対策のしようもなかった。ほんと、あり得ない。


「誰がバカだ。しばかれてーのか」


「こら、(ミユキ)。口悪い。さっさとそのコート脱ぎなさいよ」


 横から突如、ローキックが入った。紅さんに。

 確認しておくがここは船の上だ。そして、見渡す限りの日本海の荒波が広がっていた。


「あっぶねー…姉貴!何すんだよ!!」


「なに、この私に口答えするの?さっさと脱ぎなさいよ」


 紅さんは一つ舌打ちを打つと、私にコートを投げてよこした。ありがたくそれを受け取って着るとほんのりと体温が残っていた。


「さすがは茜さんだ」


 ゆるーく暁月(アカツキ)さんが笑った。その後ろで(ルイ)ちゃんも苦笑いしていた。


「あー、さみーなー。玻瑠(ハル)のバカヤロー」


「はいはい、すいませんね。そーいえば、茜さん。茜さんはどうしてここに?」


「ふふ、それはね…」


「あっ、見えました!あれが蓮湧島(レンユウジマ)です!」


 この島と波宮家には、ある秘密があるのよ…、そう言った茜さんの言葉は涙ちゃんの声と海風に攫われていった。だから、誰の耳にも届く事はなかったのだ。


 どんよりと曇った空の下、見えた島は鬱蒼(うっそう)と森に囲まれていた。

こんな感じで早く投稿出来るように頑張ります!次は間隔空きそうですが…。

昨日は雪が降りました。積もってはいませんが、嫌ですね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ