判明
首筋に鋭い痛みが走ると同時に視界がブラックアウトする。
伊令は、愛して愛してやまない彼を愛しすぎだがゆえに....殺した。
部屋中に飛散する鮮血、次第に勢いは薄れ、綺麗な丸太状に切断された首筋からは、心臓の鼓動と併せて、マグマでも流れてくるかのように、ドクドクと粘着質な、濃い血が流れ出る。
心臓の鼓動が止まり、血が流れ出なくなった切断面からは、筋肉らしきものが、”うにょうにょ”と、まるで蛆虫でも這うかのように蠢き、そして瞬時に新たな頭部が形成された。
伊令は、すご~い、と関心したような声を上げている。
意識を取り戻した緋秀が最初に見た光景は、鉄の匂いに包まれた真っ赤な壁紙。
そして、自分の頭部を大事に、大切そうに抱きかかえる伊令の姿だった。
俺がこうやって、自分の頭部を見ているということは、異能の力によって頭部が再生したんだなということは、容易に想像できる。能力上、正確には、再生ではなく再構築といったところか。
右手を見ると、瞳の数字が19から『18』に減っている。
一応俺の異能の効果が、現状最低限必要な段階まで情報が揃ったわけだが、何故にいきなり何の確証もなしに、こんな危険な真似をするのかと文句を言いたいところだ。というか言ったわけだが。
「だって~私の異能は、【不可視の確認】だって言ったでしょ~? さっき緋秀に触れた時に、緋秀の情報は~全部私の管理下に置かれたんだよ~?私には、緋秀がどんな異能を持っているのか、何をしてきたのか、ぜ~んぶわかっちゃうんだよ~?」
「だからって、いきなり刺すことないだろ、わかってたんなら事前に伝えれば済む話だろ?俺だって痛かったんだからな!」
「え~でも~ 私は、緋秀の頭が欲しかったのっ 緋秀痛いの嫌いみたいだし~ 死なないってわかってても、断られると思ったんだよ~?」
「あたりまえだ、俺の頭がほしいとか、マジでやばすぎだろお前」
「ほら~頭寒足熱、っていうでしょ~?」
「お前は馬鹿か!その言葉はな、頭を冷やし足もとを暖かにするって意味の健康法だ!」
「ちがいますか~?」
「ちがうわっ!」
「え~でもでも~ あたま外したから涼しくなって~健康に...」
「ならねえ!」
この後延々と不毛な会話が続いたことは言うまでもない。
手抜き作業丸出しw