利用的計画
清々しい朝
.........ではなかった......11時45分
約束までタイムリミットまで15分
自分から呼んでおいて遅れるわけには行かない、たとえ利用する相手であってもだ。
人は、平気で殺すくせに何故かそういうところは、倫理的なのだ。
急いで支度をする。11時55分
駅前の公園まで車でおよそ5分弱
だが今日は、常磐伊令に会いに行くのだから車で行く訳にはいかない。
彼女に不審がられるような行動は,今はできるだけ控えるべきだ。
となると必然的に自転車に乗ることになる。
約束の時間まで残り4分、自転車で猛ダッシュする。
ケツの後ろ辺り、ハムストリングスが痛くなってくるが、ここで速度を落とすわけにも行かず、痛みを我慢いながら走り続ける。
約束の時間まで残り20秒...公園に到着した。
だがそこに伊令は、いなかった。
体力には元々自信があったので、さほど疲れたわけではないが呼吸を落ち着かせるために、ベンチに腰を掛ける。
5分、10分と、待っても彼女が現れる気配がない....
30分後、薄い紫がかった髪を、黒いリボンで止めハーフアップにし、白チュールスカートに目玉のロゴの白いTシャツを着た、お待ちかね伊令ちゃんが登場した。
目玉のロゴはちょっとドキッとしたが、それ以上に、俺がこんなにも急いだのは何のためだったんだと言いたくなる。 実際は、そんなことですら全く思わない、思っているのは自分の中にある偽りの部分であるわけだが....上辺は全部捨てると入ったものの、まだ人間として生活しなければならないので今しばらく人としての一定の感情的なものは、残っている、否残している。
首を傾げ悩んだ風にして「遅れてごめんなさい?」
なんで疑問形なんだ。と言うかコイツは謝る気があるのだろうか
「いやまあ、だいぶ待ったけどな 遅すぎなお前」
「ごめんね~ 起きたら11時45分だったの~ 」
コイツもか。。。。。。まあいいか
「そうか 大変だったな 来て早々悪いんだが、今からカラオケ行かないか?なんか今日無性に歌いたい気分なんだよ」
本当に歌いたいから行くわけではない。
異能を得るための条件として石に触れなければならない。その耐え難い痛みに必然的に叫びを伴うはずだ。カラオケには、ある程度の防音設備が整っているから大丈夫だろうと判断した、ということだ。
「ってことは、カラオケデートでしょうか~? 昨日は、違うって言ってたように思うんですけどね~?嬉しいです~」
「へんな勘違いするな 少なくとも俺は、お前に好意を持っていないからな」
「え~なんでですか~ 私は、好きですよ~。緋秀くんのこと」
実際に伊令の俺に対しての好意は、本物だろうと思う。ラブレターという名の手紙も貰ったし、直接告白されたことだってある だからこそ利用しやすいと踏んだわけだ、能力が俺の望んだものでなければ速攻処分するつもりだが。
チャリでニケツしカラオケまで行った俺達は、小一時間ほど歌って楽しんだ.....ふりをした。
一段落したところで、話を切り出すことにした。
「なあ伊令。例えばさ、超能力とか魔法の類が使えるようになれるって言ったらどうする?」
「超能力?....魔法?.... サイコキネシスとかのことなんですか~? と言うかどうしたんです?いきなりそんな話して」
「いや 例えばの話だよ。使えるとしたらどんな能力を望む?」
「そうですね~? やっぱり治癒系とかが望ましいですかね~ 攻撃系は、危ない感じがしますし~人を傷つけたくないってのもありますからね~」
治癒系....これこそ俺が今望んでいる異能だ。
異能は、人それぞれの性格で色々変わってくる、と言った真樹雄の話し道理であれば、治癒系の異能が付与される可能性が高いだろうと思われる。
ここまでは計画道理と言っていいだろう。後は、結果次第。
例の石を取り出す。
「これは、異能を得ることができる石だ。これに触れれば力を得れる、痛みと引き替えにして。それも単なる力じゃない 君の望んだ力だ、君が治癒を望むのなら... 信じるかどうかは、伊令...君次第だ」
「急にどうしたんですか~?といいたいところではあるのですが~緋秀くんがそんな嘘を付かないのは、よく知っていますから 信じるかどうかと言われると信じるほかないですね~。いいですよ~あなたが望むようにあなたの力となりますよ 緋秀くんが目的もなくこんな話を私に切り出すとは、思っていませんし~利用されてあげますよ~大好きな緋秀くんの為になれるのなら」
中々に鋭い女だ。自分が利用されているであろうことまで把握しているとは...少し侮っていたようだ。
伊令は、赤い石に手を伸ばし掴んだ。
そして発現した異能は、治すでも傷つけるでもなく........
感想アドバイス、ありましたらください
これからもよろしくお願い致します