第一の異能使い 黒瀬真樹雄
自室には先客が居た。
空いた窓枠に座る一人の少年
優しそうな笑顔で話しかけてくる。
「やあ 久しぶりだね 緋秀 元気にしてたのかな? 」
こいつはボクシング時代の親友 黒瀬 真樹雄
「真樹雄? なんでここにいるんだ」
「そんなの決まってるじゃん 緋秀 手に入れたんでしょ? 力を」
なんで真樹雄がそのことを知ってるんだ?
親を殺したところを見られたか?
ならば選択肢は一つ殺るしかない。
「ちょっとちょっと、そんなにムキにならないでよ 酷くない?親友だったのにそんなにあっさり殺そうとしないでよ 実は僕"も"力を得たんだよね そんでさ 少しばかり緋秀にもレクチャーしてあげようと思って来たんだ」
"も"? 俺以外にも能力者がいるということか厄介だな。
派手に殺し回ればニュースにもなるだろうし他の能力者に居場所を特定されることにもなりかねない。
「今 緋秀や僕も含めて23人の異能者がいるんだ 異能者は、全員それぞれ全く違った能力を持っているんだけど、その中でも直接的に『殺害』できる力を持っているのは僕と緋秀だけなんだよ 特に緋秀の能力は、特殊みたいだね ところでなんで僕たちが異能を与えられたか解るかい?」
与えられた?
俺らに異能を与えた誰かがいるということなのだろうか?
「・・・」
「これはねゲームなんだよ ゲームの内容を知っているのは一番目の能力者である僕しかいないけど緋秀には特別に教えてあげる ゲームに生き残れるのはたった一人 そしてゲームの勝者は望むものをなんでも一つ叶えてくれる 仲間を騙し裏切り殺す楽しそうでしょ 闘わないなんて選択肢はなしだよ?もし闘わないなんて言うなら今すぐブチ殺すよ」
今すぐブチ殺す というのは、真樹雄が、俺を今すぐに殺すことが出来るだけの能力を持っているからだろう。
人を殺害できる能力の持ち主が、俺と真樹雄の二人というのも含め、ハッタリという可能性もあるが
なんにせよ そんな面白そうなゲーム参加しない理由はない。
自室の椅子に腰を下ろし、もちろん殺るよと答えた。
「良かったよ そう言ってくれて、どうせハッタリだとでも思ってたんでしょ? もし`NO`なんて言われたら本当に殺すつもりだったんだから」
そう言いながらポケットに手を突っ込み何かを取り出し投げてきた あの赤い石だ。
「今僕は、ゲームの真実を知らない異能使い達、数人を騙して組織を運営しているんだ。僕だけ集団なんてずるいから、それあげるよ まあずるいって言ったら緋秀の異能も十分にずるいわけだけどね 命の吸収なんて反則だよねホント」
命の吸収?俺の能力は腐食じゃなかったのか ならば母さん父さんを殺した時、心臓に感じた違和感は、新たに二人分の命を得たからなのかもしれない。
「24人目、最後の能力者の石だよ 発現する能力はその人の性格で違うものになるからね 必要だと思った人をよく考えて選ぶことだね もちろん後々殺すことも踏まえて」
真樹雄の話を聞きながら目の前に落ちた赤い石をしゃがみこんで拾い上げた。
「じゃあね 緋秀 次にあった時は敵同士だからね」
次に顔を上げた時には、もう真樹雄の姿はなく開いた窓から吹く風にカーテンが揺れるだけだった。
今更後戻りはできないだろう。
敵だろうがなんだろうが、俺のじゃまをする奴は関係なく殺すしか無い。
それしか俺の生き残る道は残っていない。
もう迷うことは何もない、生き抜くために殺るしか無い。
いや、楽しむために殺るしか無い。
ま何はともあれ、俺の異能....今後色々と検証しなければいけないみたいだな
窓を閉め静かになった部屋を後にする。
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