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未定  作者: 藤宮陽前
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住良木トオル

「だりぃ」

「そんな、サルバドール・ダリを高校時代からの親友みたいに呼ばれましても」

「僕は歴史上の人物じゃない!!!!???」

「え、違うんですか?だったらなんなんですか?まさかとは思いますが自分の体調もしくは精神的感情を今まさに対話しているマジもんの友人に吐露するという愚の骨頂なることをしでかしたわけですか?おそろしい、おそろしいです。湿り木さん」

「僕の名前は住良木すめらぎだ!」


 この自らの体調もしくは精神的感情を少し吐露しただけで心配するわけでもなく、先祖から授かった名前をまるでライターで火をつけたくてもなかなかつけることができない、落ちこぼれの落ち木みたいに扱ってくるこいつは僕の中学時代からの友人且つ有人宇宙飛行船に他ならない。後者の方は特に気を取られなくても良いことは優秀な皆さん(?)ならお分かりになることは僕がお分かりになっていることは言うまでもない。さて始まった初っ端からダリネタ、一部の勉強の物足りない、空腹のブタゴリラのように物足りない方々(と言っては大変失礼なことは存じ上げているが)にとっては理解不能な話から始まったことは申し訳ない。何故なら僕たちは今まさに青春を謳歌している真っ逆さま(失礼)真っ盛りの高校生なのであり、そこらへんのコアネタに走ることはベートベンよりも運命であることは間違いないのだ。それでも僕たちは優秀な皆さんに認めてもらいたいなどという恐れ多い感情を抱くことは人間としてごく自然の感情なのであり、そこのところは目を瞑ってもらいたいのである。


 さて皆さん文学は好きであろうか?などというこれまた愚の骨頂な質問を投げかけるようでは僕もまだまだだなと思うところ然りなわけだがそれでもやはり僕がこの質問をしたくなるのは僕が「バ」と「カ」がいくらついても空腹のブタゴリラのように物足りない文学好きだからであり、さっきからブタゴリラというこれまた一部の優秀な皆さんには真の意味が理解できない人物名を使っているようでは僕もまだまだだなと肝に命じる羽目になるわけである。


 まあそんなことはさておき僕が今会話している兼、(別にけんという名前ではない)一緒に近くの映画館に足を運んでいる正体不明、身元不明のこの人物について説明しないわけにはいくまい。こいつの名前は宮古桜木。別に冗談ではない。そもそもこれが冗談であったら僕の冗談センスが疑われるわけであり、そんなことは是が非でも全力否定しなければ僕の両親に申し訳が立たないことは当の然なのである。


 宮古桜木。


 この苗字に誤って名前を持ってきてしまったような名前を付けた両親を持つこいつは僕の親友であり兼、(別にけんという名前ではないことは記憶力が定かであればお分かりでしょう)僕の文学仲間である。

さてここで説明しておかなければならないが、僕は文学好きとのたまってはいるものの僕の読書量は一か月に一冊でも読めばいい方であり、おいおいなにが文学好きだよただの口だけな奴じゃないかと突っ込みがきそうでおそろしいのだが、次に述べることを少し聞けばちょっとは納得してくれることがちょっとはあると期待してもらって構わない。もう初めてまともに小説を書き始めてから七年になる。僕の年齢が17歳であるからして、七年前といえば十歳である。その間ほぼ休まずに小説を書き続けている。ジャンルは特にこだわってはいない。純文学、ファンタジー、ライトノベル的何か、その他諸々。書くだけではもちろんない。あらゆるところに応募し続けた。だが賢い皆さんならお分かりになる通り宮古桜木などというふざけた名前の友人と映画館に向けて歩を一生懸命進めている僕を見ればお分かりになる通り、未だ作品がただの一つでも認められて華の舞台に立ったというわけではない。ちくしょうである。だがまだ焦ってはいない。僕もまだ17歳だ。その程度の人生経験で認められるほど甘い世界ではないことは重々承知している。ならば今なすべきことを一生懸命やるだけであろうと常々思っているのである。故に僕が今こうして映画館に足を運んでいることは決して現実逃避ではないのだ。ケッシテ!現実逃避デハ!ナイノダ!

「もう僕小説書くのやめようかな」

「やめてまえ。爆笑を取ったのに『もう、お前、来なくていいよ』とADに言われたラッパーのようにやめてまえ」

「僕は豊から曲を取った奴か!!!」


 思えばなぜこんな奴と親友なのかというくらいドライ、朝日スーパードライな奴なのだがそれでもいいとこがないわけではないわけではない奴なのである。え?つまりいいとこない奴ってことじゃん。待て待て、探そう、こいつの………………宮古のいいとこ……………。


 あった。昨日こいつに百円貸してた。


「なあ。宮古、僕昨日お前に何か貸したよな?返してくれないか?」

「はい」

 手に乗っけられた乾電池。


 どうしよう。僕は今このとき何を求められているのか。必死になって考えてみる。僕は昨日こいつに百円を貸した。僕はそれを返して欲しい。しかし宮古が渡してきたのは今の僕にはどう必死に考えようとも使い道のない乾電池しかも単4だ。僕は頭を悩ませる。どうしようか、どうしようかと考えたときにあることを閃いた。そうか何も頭を悩ませることはなかったんだ。答えはこれしかない。僕は宮古の二つある鼻に乾電池を挿入した。血が出るくらい強く。

「いてえええええええ!!よ馬鹿!!!!!なにすんだよ!!!」

「僕は必死に考えた。『いてえええええええ!!よ馬鹿!!!!!なにすんだよ!!!』とはどういう意味であろうか」

「そんなモノローグみたいに説明されても困るよ!そのまんまの意味だよ鼻に乾電池しかも単4を挿入されたら痛いんだよ。おまえにもやってやろうか!」

「おまえにもやってやろうかとは如何にも悔しい奴のセリフであろう。さあ!僕たちの冒険が始まる!」

「そんなプロローグみたいに説明されても困るよ!もういいわ!」


こんなどうでもいいやり取りを繰り広げることが可能なあたり世界は平和なんだなぁと実感できる。百円を貸したことなどもうどうでもいいと感じるくらいに平和を実感できる。だがその平和とやらはすりゴマのように脆くも崩れ去ろうとしていた。



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