第六話 光と闇
あの後、俺は必死になってフレアさんの仇を探した。そして今も探していり。何の為?勿論、復讐のためだ。フレアさんは過去に囚われるなって言った。しかし、俺にはそのまま忘れるなんて事はできない。だから俺は仇を探す。そしてこの命に変えてでも……
3yers reter
三人の人影が裏路地にあった。
「おい、兄ちゃん。
金貸してくんねぇか?」
一番、背も横幅もある男が中肉中背の青年を威嚇するように言った。
「返さないけどな。イヒヒ」
対称的に小さく痩せた男が嫌らしい笑い声をあげる。
しかし青年は何も言わない。
「何か言ったらどうだ?ビビってるのか?」
「…お前らなんかと話す事なんてねぇよ」
青年独り言かの様に呟いて二人の間を抜けようとする。
「ちょっと待てよ。まだ話は……」
大男が肩を掴み引き止めようとするが最後まで言葉を言う前に路地の奥まで吹っ飛んでいく。
「なっ……」
小男は絶句した。彼の目には青年が何をしたのか全く見えなかった。
「話になんねぇな」
そう言うと青年は路地から出て行く。
残された小男はただ呆然と立ち尽くした。
(俺は何をしてんだ。
フレアさんの仇を見つける事も出来ずにただ放浪して……
あんな雑魚を倒すために得た力なんかじゃないのに)
裏路地から出た青年、レインは今度は普通の道を歩いていた。今夜の宿を探すためだ。昼間だからか今町は賑やかだ。
この3年という時間レインはずっと町を転々としている。その間に学習したことで人々はレインの白い髪を縁起の悪い物と見るらしい。そのためレインは今布を頭に縛りつけている。
その時道の向こう側が急に騒がしくなった。
「何だとコラ」
男の罵声が響く。
「煩い。世界のゴミは消え去れ」
レインより頭一つ分小さい少女が負けじと声を張り上げる。首より上で適当に切ってある赤い髪が特徴的だ。
「ゴ…ゴミだと」
「なんだ?文句あるのか」
少女が直も挑発する。
我慢出来なくなったのか顔を真っ赤にさせた男は少女に向かって拳を振り上げた。
その拳が少女の顔に当たろうとした瞬間少女は男の前から消えた。
「おせーな」
男の背後に回った少女はそう言って男の側頭部に回し蹴りを叩きこんだ。
「なっ」
男は何をされたのかも判らずその場で崩れ落ちた。
野次馬がワッと沸いた。
「強いな」
喧騒の中レインはポツリと呟いた。少女の動きはレインの目を持ってしても早いと思わせる物だった。
「まあ俺には関係無いことか」 レインは人混みを避けて再び裏路地に入って行った。