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I am happy  作者: 竜樹
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第五話 死別

 “私、フレアは捨て子でとある騎士団に拾われた。才能のあった私は着実に力を上げていった。


 しかし、ある男により騎士団は私を一人遺して全滅した。悪魔・クロウによって。


 私はクロウに復讐を誓い仲間を探した。


 クロウとも対等に戦えるだけの仲間を。


 そして奴と同じ組織に入り、奴の研究施設で奴を倒した。いや倒したと思っていた。



……しかし実際は”




 勝負は一瞬だった。倒れるフレアとそれを見て笑うクロウ。


 「フレアともあろう者が情けない限りだ」


 クロウはフレアに近付くとその頭を踏みつける。


 「くっ」


 「その程度ではアリスも退けるのがやっとだな」



 クロウの後ろで何かが動いた。気絶していたアリスだった。アリスは頭を何度か振り次第にはっきりとしていく視界に自分の連れがいるのに気がついた。


 「……クロウ?」


 「やっと起きたかアリス。

 この程度の奴にやられるなんて、まだまだ修行が足りないな」


 アリスはクロウの足の下で倒れているフレアに気付く。


 「死んでいるのか?」


 「いや、まだ生きている。

 止めをさしたいだろ?」


 アリスは黙って頷くと刀を造り振りかぶった。


 フレアは、それを霞む視線で見上げた。


(こんな筈じゃなかったんだけどな…

 私はあの子と一緒に、一緒に楽しく暮らしたかったのに。

 あの子に本当の事話せなかったわね。

 ……ハハハ 考えてみると私、まだ何もやりとげてないわね。クロウも生きているし。 ゴメンね、レインあなたをおいてって。



だけどこいつだけは、クロウだけは向こうに連れて行くから)


 「どうした?アリス。何を躊躇っている?」


 その言葉に後押しされアリスは刀を振り下ろした。


 しかし、フレアは最後の力で跳び起きるとクロウに体当たりをした。アリスの刀を空を斬る。


 「くっ、まだこんな力が」


 クロウが怯み二人はそのまま倒れこむ。


 フレアはそのまま魔力を高めて行く。


 (さようなら。レイン)


轟音が響き。光が辺りを明るく照らした。




 「……フレア、お前の最後の力見せてもらった」


 最後には片腕を失ったクロウが立っていた。


 「アリス、生きてるか?」


 そう言ってクロウは傍で倒れているアリスを抱き起こした。


 「まだ息はあるか……」


 クロウは魔術を発動して、その場を去って行った。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 レインは半壊した玄関から光を見た。その天を貫くかの様にも見えた。


 「何だ?今の光は」


 (さようなら。レイン)


 その時フレアの声が頭に響いた。


 「まさか……フレアさん?」


 レインは直ぐに家を飛び出した。




 目の前に広がるのは一面の焼け野原。そこに一点だけ染みがあった。ボロボロだったが確かにそれは人型をしていた。


 「フレアさん!!」


 レインはその人型、変わり果てたフレアに近付いた。そして何度も揺する。


 「フレアさん。しっかりしろ」


 「レ…イ……ン」


 弱弱しい声でフレアはレインの名前を呼んだ。


 「今、治癒の魔術をかけるから動かないで」


 レインの手が緑色の光を発し、フレアの全身を包んでいく。


 しかし何の効果も表れない。


 「くそっ、何で、何で何もおきないんだ?」

 レインが焦った声で叫ぶ。そしてレインは更に魔力を込めようとするがフレア自身が止めた。


 「無駄よ……

 わた…し……が…使った……のは禁術……命…と引き換えに……

 ゴ…メン レイン」


 「何で、何で謝るんたよ」


 レインの目には涙が浮かんでいた。


 「泣かないで……貴方は…男の子……でしょ」


 レインはフレアの体が徐徐に体温を無くしていくのを感じていた。


 「貴方は……自由に生きな…さい。過去に…囚われては………いけない」


 「わかった、わかったから生きていてくれよ、母さん」


 それにフレアは少し驚いた顔をすると微笑んだ。


 「初めて……そう呼んでくれ……たわね。もう思い…残す…事……もない……わ」


 そう言ってフレアの体は力を失った。


 「母さん?しっかりしてくれよ」


 しかしもうその返事も反ってこない。


 「う、うおおおぉぉぉぉ」


 そこには大切な者を喪った男の悲しい叫び声だけが響いていた。

主人公が殆んど出ずにひとつの句切りがついてしまいました。次の章からはバシバシ出してく予定なのでヨロシク

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