第二話 全ての始まり
「……」
白いフード付きの服を着た少女が町の中を練り歩いていた。
その姿は町民の目を嫌でも引き付けている。
町民はそれを遠目から眺めている。触らぬ物には祟り無しというような雰囲気である。
しかし、白いフードの少女、アリスは町民の気持ちも知らずに道端の店から顔を出してチラチラと見ている男性の方に歩いて行く。
男性はアリスが近付いて来るのに気付いた。しかし、男性はどうして良いのかうろたえているうちにアリスは既に男の側に来ていて尋ねた。
「……赤い髪をした女を知らないか?」
「えっ?」
いきなりの事で質問の意味を掴め無かったのか男は聞き返した。
「赤い髪をした女を知らないか?」
急に吊り上がった。
「知ってるのか?」 「あ、ああ」
次の瞬間にアリスによって男性は絞め挙げられていた。
「その女は何処にいる?」
鋭い口調でアリスは男性に尋ねる。
「あ、あの丘の上の家だ」
男性は息も絶え絶えに応えた。
男性が言った所でアリスは男性を放した。 そして座り込んで咳き込む男性を尻目に歩き出した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「これが母さんの……」
レインが呟いたのを聞いたフレアが言った。
「貴方のお母さんは私にとっても姉のような存在だった……」
レインは指で指輪をいじりながら聞いた。
「母さんてどんな人だった?」
フレアは何処か遠くを眺めて応えた。
「優しくて強い人だったわ。 貴方と同じ白い髪をしていて紅い瞳を持っていたわ」
「……そっか」
母親と同じ色の髪と瞳だと聞いてレインは何処か嬉しそうな表情をしていた。
「よしっ湿っぽいのは終わりよ」
フレアが手を叩きながら言った。手を叩くとショートケーキが出てきた。
その時トントンとドアを叩く音が聞こえた。
「ん?誰だろう。
ちょっと待っててね」
そう言ってフレアはドアの方に歩き出した。ここから運命は大きく動いて行くことになっていく。