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I am happy  作者: 竜樹
2/9

第一話 龍の指輪

予定より大幅に遅れての第一話の投稿です。


まぁ今回はどうにか完結まで持って行くので暇な方は読んで見てください。


後 出来たら感想を書いて貰えたら嬉しいです。恐らく投稿のペースが早くなります。

「うしっ、今日もいい天気だ」


 少年と言ってよい年頃の男が二階の窓を開けて、空を見上げていた。


 少年は十代の後半位の年齢で髪の色は真っ白、瞳の色は真紅。まあ普通では考えられない色をしている。

 少年の名前はレインという。雨の日に産まれたからという単純な名前だったがレイン自身は気に入っていたのでそれはいい。


「レイン。朝ご飯できたわよ。早く降りてきなさい」


 レインの事を呼ぶ声が下から聞こえた。

「今、行くよ。フレアさん」


 そう言ってレインはすぐそこの階段から下に降りていった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



それと同じ頃


「いいか、この赤い髪の女を始末してくるんだ」


 黒いフードを深くかぶった人が白いフードをかぶった人物に言った。


「……」


 しかし白い方は心此処にあらずといった調子で反応を示さない。


「おい、アリス聞いているか」

 黒い方が再度問いかけると白い方はそちらを向きやっと言葉を返した。


「任務は果たす……」


 しかし、そう言ってまたそっぽを向いてしまう。

 黒い方は呆れたように首を振るともう何も言わなかった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 再び場面はレイン宅へ


 レインは黙々と朝食をたいらげていた。

向かい側には真っ赤な髪の女性が座っている。まだ30にいってるかいってないかという年頃である。


「どう?美味しい?」


 赤い髪の女性が尋ねる。

 この女性こそがレインの母親代わりのフレアである。


「別にいつも通りだけど」


 レインは頭に?を浮かべながら尋ね返した。


 するとフレアは大きく(嫌味ったらしく)ため息をついた。


「な、なんだよ」


 思わず尋ねてしまったレインはフレアの目が光るのを見て激しく後悔した。


「いい?女性に料理の味を訊かれたら優しく微笑みながら『おいしいよ』って答えなくいけないの。これは世界の中の常識だよ。

覚えておきなさい。」


 『んな常識があってたまるか』


と心の中では思っていたがレインはそれを口に出すほど愚かではない、適当に相槌をうって流した。


 暫しの沈黙の後フレアが切り出した。


 「そう言えば今日って何の日か覚えてる?」


「……?」


 レインは本気で分からないという顔をしている。

 それを見てフレアは優しく微笑みながら言った。


「貴方の16歳の誕生日よ。

誕生日おめでとう」


 そう言ってフレアが手の平を上に向けて何やら呟くと紙包が手の平の上に現れた。

 この場に他の人がいたら間違えなく驚いたのだろうがレイン達にとっては普通の事である。フレアが使ったのは魔術である。勿論レインも魔術を使う事が出来る。


 「いや、ちょっと待て。

 俺 誕生日を祝ってもらった事なんてないし。

誕生日を教えて貰ってすら無かったぞ。」


 レインが一気にまくしたてる。


 フレアは当然の様に言った。


 「だって今決めたんだもん」


 呆然とするレインはあまりの事に倒れそうになったが根性で踏み止まり尋ねた。

 「一体なんで今日にしたんだ?」


 「私が貴方に初めて魔術を教えた日だからよ。確か今年で10年目かな?なんで今日からなのかは気分で」


 フレアはどう?と言う表情でレイン見て来る。


 「アンタって本当にいい加減なのな……」

 レインはフレアを紅い瞳で睨みつける


 「あーもう。煩いな。

グダグダ言ってるとプレゼントあげないよ」


 レインは黙って暫く考えてから尋ねる。

「……これ、実は悪戯だったなんてオチじゃ無いよな?」


 フレアは首を振りながら応える。


 「そんなに意地の悪い事しないわよ」


 「じゃあ」


 そう言ってレインは紙包を手に取った。


 「開けていい?」


 既に袋に手をかけながら尋ねる。


 レインはフレアが頷くのを確認してから一気に紙包を開いた。そこに入っていたのは一つの指輪だった。


 「これは……」


 指輪には二匹の龍が描かれている。


 「貴方のお母さんの形見よ。

 貴方が16歳になったら渡して欲しいって」


 フレアは淡々と告げる。それを語るのが苦痛かのように、その顔からはいつの間にか笑顔は消えていた。


 「……」


 レインは何も言わずにただ手の中にある指輪を見つめていた。

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