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プロローグ
「先生 開けてくだせい」
柄の悪い体の大きな男がドアを叩く。そのたびにドアは軋む。
「どうしたの?」
ドアから現れたのは背の高い女性だった。大体180cmほどもある。
「赤子が道で捨てられていたんですが、俺らじゃどうしたらいいか分からないんっすよ」
大男の顔には困ったと書いてある。
「とりあえず、その子何処にいるの?」
「へい、ウチで寝かしています。
着いて来てくだせい」
そう言って男はドタドタと走り出した。
女は男を追い掛けようと外に出た。そして立ち止まり空を見上げた。
「雨か」
ポツリポツリと雨は地面に跡を遺していた。